BWRX-300が英GDAを完了
12 Dec 2025
米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社は12月11日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」が、英国の包括的設計審査(GDA)のステップ2(実質的な技術評価段階)を完了したことを明らかにした。
GDAとは英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査で、原子力規制庁(ONR)が設計の安全性とセキュリティの観点から、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)が環境影響の観点から、英国の基準を満たしているかを、規制プロセスの早い段階から、立地サイト特定後の建設申請とは別に評価する。BWRX-300は2024年12月にGDAのステップ1(GDA範囲とスケジュールの合意段階)を完了している。ONRとEAの声明によると、ステップ2評価では、BWRX-300設計において基本的な安全性、セキュリティ対策、環境保護面での問題は確認されなかった。なお、GVH社は現時点で、GDAのステップ3(詳細評価)の実施は選択していない。
GVH UK社のA. チャンプ英国代表は、「GDAのステップ2の完了は、規制上の重要なマイルストーン。炉メーカーとして、最速でステップ1と2を完了した。カナダでのBWRX-300建設プロジェクトにおける当社の進歩の価値を示すもの」と述べた。
ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は、ポーランドをはじめとする東欧諸国においてBWRX-300の建設計画を進めている、そして、規制上の教訓を活用するため、GVH社とともに、英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)」からの補助金交付を申請し、GDA申請や商業展開にむけた準備活動に充てている。OSGE社のR. カスプロウCEOは、「当社は、手頃な価格でクリーンかつ信頼性の高いエネルギーで英国を支援する新たな一歩を踏み出した。GDAステップ2の完了は、世界で導入に最適なSMRであることを意味する」と語った。
BWRX-300への期待は、世界中で高まっている。加オンタリオ州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社のダーリントン・サイトでは、BWRX-300初号機の建設が進められている。サイト内で計4基が建設される予定。一方、米原子力規制委員会(NRC)は、テネシー峡谷開発公社(TVA)がテネシー州オークリッジに有するクリンチリバー・サイトでの米国初となるBWRX-300の建設許可申請を受理し、審査中である。OPG社とTVAは、米デューク・エナジー社、ポーランドのシントス・グリーン・エナジー社(OSGE社に50%出資)とともに、BWRX-300の標準設計に共同出資している。
BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代BWR。2014年にNRCから設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。





