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米ニューヨーク州 先進炉導入計画を拡大

27 Jan 2026

桜井久子

© @GovKathyHochul/ X

米ニューヨーク州のK. ホークル知事(民主党)は113日、2026年一般教書演説の中で、炭素排出ゼロの電力供給と送電網の信頼性確保に向け、原子力発電を推進すると表明。新たなイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)を確立するため、州内での原子力発電の新規開発規模を500kWeに拡大する方針を示した

ホークル知事は20256月、州営のニューヨーク電力公社(NYPA)に対し、州の脱炭素化目標を支援するため、同州北部に少なくとも合計100kWeの先進原子力発電設備容量の追加を要請していた。今回、電力系統の信頼性強化を目的に、州政府機関に対して400kWeの追加導入を指示した。原子力信頼性基盤は、新設の公共事業局(DPS)によって策定され、現在、ニューヨーク州で稼働する約340kWeの原子力発電設備容量と既に発表された100kWeの開発計画と合わせると、将来的に合計約840kWe規模となる見込み。ニューヨーク州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイトで計4基の原子炉を運転している。

同知事は演説で、「当初、合計100kWeの原子力発電所を建設するという目標を設定したが、私が信じるのはただ1つ。大勝負に出るか、撤退するかだ。500kWeは、過去30年間に米国全土で建設された原子力発電所の中でも最大規模である。ニューヨーカーの準備を確実にするために、原子力労働力の開発プログラムを開始し、クリーンエネルギーの未来を共に築くことができるようにする」と原子力拡大への意欲を示した。

同知事は202512月、熟練労働力の開発に向けて、今後4年間で年間4,000万ドルの資金を提供すると発表。これにより、技術系高校、コミュニティカレッジ、大学、労働組合などと提携し、先進的な原子力エネルギー分野での就業に備えるための技術研修、再訓練、履修、見習いプログラムを開発する。

ホークル知事からの少なくとも合計100kWeの先進原子力発電設備容量の追加要請を受け、NYPA202510月、先進原子力開発の潜在的なホストコミュニティと開発事業者の情報提供要請(RFI)を開始した。RFIのうち1件は、NYPAの先進原子力プロジェクトの誘致に関心のあるニューヨーク州北部のコミュニティを対象とし、もう1件は、原子力プロジェクトの開発、建設、運転またはサービス提供の経験を持つ開発事業者を対象としている。NYPA202617日、開発事業者候補から23件、同州北部のコミュニティから8件の回答を得たことを明らかにしたNYPAは現在、これら回答を審査中であり、その情報を2026年の原子力対策の指針として活用する予定である。

なお202512月、NYPAと加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、協力覚書(MOU)を締結。大型炉および小型モジュール炉(SMR)を含む先進原子力技術の開発に関する協力枠組みを確立するもので、今後、情報共有や技術革新、人材育成、資金調達および経済性評価などで協力を進めていく。また、両者間の電力取引を強化する機会を模索するとしている。

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