増井理事長 原子力人材確保へ提言 原賠制度の見直しにも言及
01 Apr 2026
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、3月30日に開催された「第40回原子力科学技術委員会」に委員として出席し、議題に上がった「ポストANEC(未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム)に向けた検討の方向性」や「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性」について意見を述べた。
議題1の「ポストANECに向けた検討の方向性」に関して増井理事長は、経済産業省から示された司令塔機能の創出について言及し、原子力人材育成ネットワークのこれまでの取り組みを紹介。同ネットワークは2010年11月に産官学の連携のもと発足し、現在は84機関が参加する自主的な枠組みとして運営され、増井理事長が運営委員会の委員長を務めている。
また、今後の体制強化に向けては、コアチームの組成が進んでおり、4月からの本格始動を予定していると説明。原子力の最大限活用に向けては人材確保が重要課題であるとの認識を示し、司令塔機能の具体化に向けた制度設計や仕組みづくりを進めていく考えを示したほか、関係機関との連携の必要性について強調した。
同委員会で、文部科学省が示した資料によると、現行のANEC事業は令和2年度から令和8年度までの7年間を対象としているが、ポストANEC事業においては、より長期的な事業実施期間(例:10年間)を視野に入れた制度設計を目指すという。また、安定的な運営に向けた間接経費(研究を実施するために必要な管理・運営費を補うため、競争的研究資金の一定割合を研究機関に配分する仕組み)の導入が検討事項として示されている。
また、人材育成の基盤となる公開講義コンテンツや、大型研究施設を活用した実験・実習機会の提供についても、継続的に維持・発展させていく必要性が指摘されたほか、人材育成対象の拡大に向けて、プロジェクトマネジメント能力を有するグローバル人材の育成や、他分野の学生に対する教育機会の提供など、裾野拡大に向けた取り組みの強化について言及があった。
そして、育成プログラムの選定プロセスについて、現行の公募形式でプログラムを募るのではなく、原子力学会などを通じた意見集約を踏まえ、トップクラスの専門人材の育成に必要な教育メニューをあらかじめ策定し、その実施機関を選定する方式へ転換するなど抜本的見直しが検討されていることが示された。これにより関係機関の連携・事務局機能の強化への期待が高まるという。
議題2の「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性」について増井理事長は、原子力損害賠償制度をめぐる議論に言及。次世代革新炉への投資検討が進む中で、原稿制度では資金調達や投資判断の障害となりうるとし、「過去の議論にとらわれず、時間的余裕を持って事前検討を進めるべき」との考えを示した。





