EBRD チョルノービリ新シェルター修復支援を要請
02 Apr 2026
フランス・イヴリーヌ県のヴォー・ド・セルネ修道院で開催されたG7外相会合の「セッション2: 復興(3月26日)」に欧州復興開発銀行(EBRD)のO. ルノーバッソ総裁が出席。各国に対し、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所4号機の事故から40年の節目を目前に控え、損傷した新シェルター(New Safe Confinement: NSC)の修復へ向けた支援を要請、チョルノービリでの原子力安全の回復の緊急性を強調した。
1986年4月のチョルノービリ発電所4号機事故の影響を封じ込めるために設計されたNSCは、2025年2月のロシアのドローン攻撃により損傷を受けた。NSCは4号機を収容した巨大なアーチ型構造物。高さは110m(通路と上部通気口を含む)、幅257m、長さ162mで、これまでに建造された最大級の可動構造物の一つ。建設作業員の放射線被曝を減らすために原子炉から離れた場所で組立てられ、2016年に石棺上部までレールでスライドして設置。2019年に正式にウクライナに引き渡され、稼働を開始した。
ルノーバッソ総裁は修復の総費用はまだ不明としながらも、初期の評価では5億ユーロを超える可能性があると指摘。Novarka 2(元のNSC設計・建設会社であるフランスのBouygues Travaux Publics社とVINCI Construction Grands Projets社による合弁企業)による予備評価では、鋼鉄アーチの腐食がNSCの長期的な安全性を脅かし、2030年までに構造物を完全に機能させる修復作業が必要と推定。2030年までにNSCを元の閉鎖・換気基準に復元できなければ、100年の設計寿命が深刻な危機に瀕し、数十年にわたる国際投資が損なわれ、環境や安全上のリスクが生じるとしている。
EBRDが管理する国際チョルノービリ協力基金(International Chernobyl Cooperation Account: ICCA)のドナー国は4月1日、EBRDによるNSCの機能を回復するための早期のエンジニアリングおよび調達作業計画を承認し、3,000万ユーロの割当てを決定した。ICCAはウクライナの要請によりEBRDによって2020年に設立された、ドナー国による多国間基金。2022年2月のロシアによるウクライナ全面侵略を受けて、ICCAの活動範囲はチョルノービリだけでなくウクライナ全土の原子力安全支援にも拡大。ICCAは現在、約7,000万ユーロのドナー資金を保有している。
EBRDは1995年より国際的なチョルノービリ関連の活動の中心に立ち、資金調達、原子力安全および廃止措置の管理など、ウクライナの長期的な環境・原子力安全課題への対応支援にむけた国際的な取組みを主導。1995年以降、これまでに国際社会はEBRDが管理するチョルノービリ計画に約20億ユーロを拠出しているという。
なおEBRDは3月31日、「40年後:チェルノブイリの安全確保」と題する、新たに制作した独占ドキュメンタリーを公開した。1986年から現在に至るまで、チョルノービリ4号機の封じ込めに向けた数十年にわたる取組みをたどっている。





