原子力産業新聞

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米テラパワー Natriumの建設開始

27 Apr 2026

桜井久子

© TerraPower

米先進炉開発企業のテラパワー社は422日、ワイオミング州ケンメラーで開発を進める先進炉「Natrium」の原子力部(Nuclear Island)の建設を開始した。米国で実用規模の先進炉が本格的な建設段階に入るのは初めてであり、次世代炉の商業化に向けた重要な節目となる。

同プロジェクトは、ナトリウム冷却高速炉(約34.5kWe)に加え、熔融塩を用いた蓄熱システムを組み合わせた設計が特徴。需要に応じて出力を一時的に50kWeまで引き上げることが可能で、再生可能エネルギーの変動を補完する柔軟な電源として位置づけられている。米原子力規制委員会(NRC)は20263月初旬、同発電所の建設許可を発給した。

建設地点は既存の石炭火力発電所に隣接しており、化石燃料から原子力への転換モデルとしても注目される。プロジェクトは米エネルギー省(DOE)の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の支援を受けて進められており、エンジニアリング・調達・建設(EPC)はBechtelが担当する。

テラパワー社のC. レベスクCEOは建設開始について、「同発電所は信頼性が高く、調整可能な電力を送電網に供給する。今後、米国および世界でNatrium炉を採用した発電所フリートを展開するうえで実用的なモデルとなるだろう」と語った。

同発電所の建設には約1,600人の作業員が参加予定。稼働後、約250人の常勤スタッフを雇用する。原子炉建屋基礎への初コンクリート打設は2027年を予定し、全体の完成は2030年を見込む。なお同プロジェクトは20246月に起工式が行われ、非原子力部の建設が先行して進められていた。

テラパワー社は、Natrium炉の商業展開も視野に入れている。2026年1月にはIT大手のMeta社と、2035年までに最大8基の導入に向けた開発支援契約を締結。また20262月には、英国における包括的設計審査(GDA)が開始されており、海外展開も進みつつある。

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