米運輸省 商業船舶向けSMRの活用可能性を調査
20 May 2026
MARAD Facebookより
米運輸省海事局(MARAD)は5月7日、商業船舶へのSMR搭載の実用化に向け、産業界からの意見募集(8月5日締切)を正式に開始した。D. トランプ大統領令に基づく取り組みで、長年構想にとどまってきた船舶の原子力推進に関し、政策的な検討が本格化しつつある。
今回公表した情報提供依頼(RFI)では、SMR技術の技術的・商業的な実用性を評価するとともに、商業化に向けた政府支援の方向性を検討する。意見募集の範囲は、船体・機関への統合設計から、責任・保険の法的枠組み、寄港受け入れ体制、人材確保・育成、規格の標準化まで広範にわたる。
背景にあるのは、D. トランプ大統領が署名した「Unleashing American Energy」(2025年1月)と「Restoring America’s Maritime Dominance」(2025年4月)の2つの大統領令だ。海事産業強化を目的とする大統領令を直接的な契機としつつ、エネルギー政策面での原子力推進方針とも連動する形で、政府として原子力船の実用化検討を進める構図が鮮明となっている。
過去にも原子力船の建造・運航は試みられている。米「サバンナ号」、独「オットー・ハーン号」、日本の「むつ」などがあるが、商業的採算性や制度面、社会受容性などの課題から普及には至らなかった。SMRは従来の特注設計型原子炉と異なり、小型化とモジュール化により既存船型への搭載を現実的なコストで実現できる可能性があると期待されている。MARADは寄港間隔の延長、航続距離の拡大、GHG排出削減を原子力推進の利点として挙げる。
S. M. カーメル海事局長官は「SMR導入の成功のためには、技術実証だけでなく、制度・インフラ・運用を含めた包括的な取り組みが必要」と述べた。
近年、海運業界では脱炭素化とエネルギー安全保障への関心を背景に、英国・韓国でも船級協会や大手造船所を中心に原子力推進船を想定した整備制度や概念設計が進められている。国際的な動きも加速しており、MARADはRFI終了後、公開ワークショップや技術交流を通じ、課題の具体化を進める方針だ。




