米DOE 原子力サプライチェーン再建に向けた融資を発表
06 Jul 2026
米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)は6月23日、米国の商用原子力サプライチェーンの再建に必要な長納期機器の調達資金を支援する、総額175億ドル(約2.8兆円)に上る条件付き融資を実施すると発表した。同融資制度により、米国で唯一、運転実績のある第3世代+(プラス)の大型炉であるウェスチングハウス(WE)社のAP1000(PWR, 125.0万kW)×10基の建設を支援する。
DOEからの融資はWE社の特別目的会社(SPV)を通じて実施される見込み。SPVは全米で最大5社の電力会社・エネルギー企業と提携し、同融資制度の下で、1サイトに2基建設する。各プロジェクトはWE社と提携企業の共同所有となり、SPVは原子炉圧力容器や蒸気発生器などの長納期機器を2基分まとめて固定価格契約で調達する。これにより、建設・運転を最大3年前倒しするとともに、大量一括発注方式によるコストの削減、サプライチェーンの大幅な効率向上が見込まれている。2025年5月に発令された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」で設定された、2030年までに設計済みの大型炉10基の着工という目標を後押しするものとなる。
なおDOEからの融資を受けるにあたり、WE社と提携企業はそれぞれ5億ドルずつ(合計10億ドル)自己資本を拠出する必要があり、各プロジェクトの機器調達は、自己資本の拠出時期などに応じて段階的に進められる。また、DOEが最終的な融資契約を締結・融資を実行する前に、WE社とその所有者、提携企業は一定の技術的、法的、環境的、および財務的条件を満たす必要がある。
DOEによると、WE社はすでに建設予定地が特定されている候補企業7社と基本合意書(Letter of Intent)を締結しているが、企業名やサイトは明らかにされていない。
WE社は2025年10月、親会社である資産運用会社ブルックフィールド社(51%)とウラン供給大手カメコ社(49%)とともに、米商務省と原子力発電所の新設を推進する戦略的提携を締結。政府は融資面や許認可面で支援し、米国全土で少なくとも800億ドル規模のAP1000の新規建設を想定している。
DOEは2024年時点の約1億kWeから2050年までに4億kWeへ原子力発電設備容量を拡大する目標を掲げており、多くの措置の実施を通じて、次世代の技術開発を加速させ、国内サプライチェーンを再建したい考えだ。





