インド 原子炉熱を利用した水素製造施設を開設
13 Jul 2026
インド原子力省(DAE)は6月27日、タミルナドゥ州のカルパッカムにあるインディラ・ガンジー原子力研究センター(IGCAR)において、高速増殖試験炉(FBTR, 4万kWt/1.32万kWeのナトリウム冷却ループ型高速増殖炉)の原子炉熱を利用した、銅-塩素(Cu-Cl)熱化学プロセスによる世界初となる水素製造施設を開設した。同施設は、ムンバイのバーバ原子力研究所(BARC)が独自開発したCu-Cl熱化学プロセスを実証するための技術実証設備であり、原子炉から供給される高温のプロセス熱を利用して、水素を製造する。
Cu-Cl熱化学プロセスは、比較的低い温度(約500℃)で運転可能で、熱効率にも優れることから、有望な水素製造技術の一つとされている。原子力由来の熱を直接活用することで、従来の化石燃料を用いた水蒸気改質法に比べて温室効果ガスの排出を抑え、大規模なカーボンフリー水素の生産につながる可能性があるとしている。なお、原子力を利用した水素製造技術には、米国のナインマイルポイント原子力発電所で実証されている水電解法や、日本では高温ガス炉を用いるISプロセス法[1] … Continue readingの研究・実証が進められている。
本施設は、BARCとIGCARが共同で研究開発、設計、機器製作、据付、試運転を進めて完成したもので、今後は運転データの蓄積やプロセスの最適化を進め、将来的な商業規模への展開を目指す。DAEのA. K. モハンティ長官は、原子力は安定した脱炭素電源であるだけでなく、高温熱源として水素製造を支える重要な役割を担うと強調。本施設はインドのエネルギー安全保障や脱炭素化、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩であるとの認識を示した。
脚注
| ↑1 | ヨウ素(I)と硫黄(S)の化学反応を利用して、900℃の熱で水を分解・水素を製造。電気を介さず、熱だけで水を分解できるため、高効率に水素を製造。 |
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