原子力産業新聞

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米スタートアップ 原子力産業向けAIアシスタントを全面展開へ

02 Sep 2026

桜井久子

© Atomic Canyon

米国のAI開発企業Atomic Canyon社は818日、原子力産業向けAIアシスタント「NIVANuclear Industry Virtual Assistant)」を、北米の商業用原子力発電所向けに全面展開すると発表した。NIVAは、米国原子力発電運転協会(INPO)、電力研究所(EPRI)、原子力エネルギー協会(NEI)と共同開発したもので、これらの組織に加盟する商業用原子力発電所が利用できる。約6か月間の試験運用を終え、原子力発電所に蓄積された膨大な技術、規制、運転情報をAIで検索・整理し、現場の専門家が必要な知識に迅速にアクセスできる仕組みが、実証段階から本格運用の段階に入った。

NIVAでは、「Knowledge Assistant」と「Operating ExperienceOEAssistant」の2機能を提供。「Knowledge Assistant」は、利用者が自然な言葉で質問すると、原子力規制委員会(NRC)の規制指針やNEIのガイダンス、INPOの基準、EPRIの技術報告書などを根拠として回答を生成し、回答中に出典を示す。もう一つの「OE Assistant」は、単純なキーワード検索ではなく、質問の意味や文脈を分析して関連する過去の運転経験を抽出し、その内容についてさらに掘り下げて質問することができる。技術的な問題への対応を支援する「Troubleshooting」機能も開発中で、2026年後半の試験運用を予定している。

NIVAの技術基盤となるのが、Atomic Canyon社のAIプラットフォーム「Neutron」と、原子力分野に特化したAIモデル「FERMI」。Neutronは、許認可根拠、運転手順、保守履歴、エンジニアリング記録などとAIをつなぐ役目を担う。FERMIはオークリッジ国立研究所(ORNL)とスーパーコンピューター「Frontier」を活用して共同開発され、5,300万ページを超えるNRCの規制関連データを学習。原子力特有の用語や略語、文脈を理解するとともに、回答を実際の記録に紐付け、専門家が検証できる仕組みを採用している。

先行導入企業には、米国最大級の原子力事業者であるコンステレーション社も含まれる。同社が所有する12の原子力発電所でNIVA6か月間試験運用し、今後も業務強化や知識継承、効率向上に活用する方針だ。Atomic Canyon社は今回の全面展開と同時に、NVIDIA社、ベンチャーキャピタルのPlug and Play Ventures社、米資産運用会社バンガード社のT. バックリー元CEOらから新たな資金を調達した。NIVAの全面展開により、原子力産業が長年蓄積してきた知識をAI検索で共有し、運転・保守、人材育成の効率化につながることが期待されている。

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