原子力産業新聞

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NUMOが地層処分の提言コンテストで表彰式、次世代層からアイデア集まる

03 Mar 2022

開会挨拶に立つNUMO・植田理事

原子力発電環境整備機構(NUMO)は2月20日、「私たちの未来のための提言コンテスト」の表彰式を開催した(オンライン)。次世代層を対象に、広く社会全体の課題として高レベル放射性廃棄物地層処分への関心を持ってもらい事業の理解促進につなげていく方策となる提言を募集したもので、今回、「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で10名が、「高専4年生以上・大学・大学院生」の部門で5名が表彰(最優秀賞、優秀賞、入選)された。

表彰式の開会に際しNUMO・植田昌俊理事が挨拶。全国17校から寄せられた181点の提言応募への謝意を表した上で、「提言内容を今後の事業に反映できるよう努めていきたい」と述べた。

「高専4年生以上・大学・大学院生」、「中学生・高校生・高専3年生以下」でそれぞれ最優秀賞を受賞した橋本さん(左)と石﨑さん

「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門では京都教育大学附属高校の石﨑悠也さんが、「高専4年生以上・大学・大学院生」では東京都市大学工学部の橋本ゆうきさんが最優秀賞を受賞。今回の提言コンテストで審査に当たった麗澤大学教授の川上和久氏は「自分で探求心を持ち正確な事実を調べる」ことの重要性を強調したほか、提言には新学習指導要領への言及もあったことから、京都教育大学教授の山下宏文氏は「今後学校教育の中でどのように取り上げていくか」と述べるなど、学生たちによるさらなる発想、それを通じた課題解決の具体化に期待を寄せた。

「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で前回コンテストに引き続いての最優秀賞となった石﨑さんは、新学習指導要領で2022年度から高校で導入される必修科目「公共」の探求課題として高レベル放射性廃棄物問題を取り上げるよう提言。「高専4年生以上・大学・大学院生」の部門で最優秀賞を受賞した橋本さんは、放射線教育について、表面的な知識の詰め込みではなく「なぜ?」に答えられる基礎的素養への注力、感覚的に学べる教材開発の必要性を提言したほか、処分事業のインセンティブや後世への語り伝えに関し、東京臨海部にある「夢の島」がゴミの最終処分場からリゾートへと変貌してきた経緯を良好事例としてあげた。

関西学院高等部の佐竹さん(入選)、「平和について考えを深めている中で応募に至った」と話す

今回、各賞の表彰状授与は式終了後の送付に替えられたが、受賞者たちはオンラインを通じて意見交換。高レベル放射性廃棄物問題の学校教育での取り上げ方に関し「『総合的な学習の時間』を活用し、まず生徒たちに『知る』きっかけを与え、知った上で自分で考えさせること」といった提案や、六ヶ所村を訪れエネルギー問題に対する村全体での取組姿勢を知った高校生から「大人も子供も一緒に『自分ごと』として考えないといけないと思った」との声があがった。また、「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で入選作のあった福井南高校で指導に当たっている浅井佑記範氏は、高レベル放射性廃棄物について取り上げた教科書の少なさを指摘。今回の提言コンテストで教育に関する優秀作品が多かったことを歓迎した。

なお、学生・生徒への表彰の他、特に応募が多かった愛媛県立八幡浜高校、京都教育大学附属京都小中学校、京都府立鴨沂高校、南九州短期大学に対し「学校賞」が贈られている。

※写真は、いずれもオンライン中継より撮影。

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