原子力産業新聞

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日立GE 加ダーリントン向けに主要機器供給へ

09 May 2025

石川公一

「BWRX-300」の断面図

日立GEニュークリア・エナジーは5月9日、カナダ・オンタリオ州の州営電力オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が推進している小型モジュール炉(SMR)4基を建設するダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)の初号機向けに、パートナーであるGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GEベルノバ日立)と連携し、原子炉の主要機器を供給することを発表した。

DNNPは北米初のSMRプロジェクトだ。OPG社は2021年12月、最速で2029年の運転開始を目指し、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)と日立GEが共同開発するSMR「BWRX-300」(BWR、30万kW)を選定。今年4月4日には、カナダ原子力安全委員会(CNSC)により、建設が承認された。〈既報

合わせて日立GEは、5月8日にその初号機が建設開始されたことも発表。「BWRX-300」は、自然循環の利用によりポンプを排除し、受動的冷却システムにより電源・注水設備・運転員操作なしで7日間の冷却が可能だ。また、圧力容器に隔離弁を直付けすることで、冷却材喪失事故の発生確率の削減につなげている。

日立GEでは今後、「BWRX-300」の主要機器で、安全上重要な機器となるRIN(Reactor Internals 炉内構造物の一つで、原子炉圧力容器内に組み込まれ、炉心の支持や炉内の冷却材流路形成などの機能を持つ)、制御棒駆動水圧ユニットを供給する計画だ。

日立GEの原子力国際技術本部長の森脇正直氏は、「この先駆的なプロジェクトに貢献できることを誇りに思う。当社は、BWRにおける豊富な経験および確かな技術力により、DNNPの成功を支援していく」と述べ、先進的なSMR開発の実現に期待を寄せた。同社では、DNNP2~4号機についても、初号機の知見を活かし機器の受注を目指す。

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