規制庁 高耐久スマホで放射線測定データを伝送 夏冬の過酷環境で耐熱・耐寒実証へ
13 Jul 2026
原子力規制庁(規制庁)は7月7日、公益財団法人原子力安全技術センター及びKDDI株式会社(KDDI)とともに、高耐久スマートフォンを活用した放射線測定データ伝送システムの実証実験を実施すると発表した。原子力災害時のモニタリング体制強靭化を目的に、第1回の耐熱実証を8月に東大阪で、第2回の耐寒実証を12月に泊オフサイトセンター(北海道共和町)で行い、将来的に従来の可搬型モニタリングポストの代替となり得るかを見極める。
2024年1月の能登半島地震で、放射線測定自体は行われていたにもかかわらず、通信障害で一部のデータを送信できず欠測が生じたことから、通信の多重化や容易に設置できる代替システムの配備が検討されている。現行の可搬型モニタリングポストは1台約45kgと重く、道路寸断時の迅速な設置を妨げる一因ともなっている。
今回のシステムは、小型のサーベイメータ(RadEye PRD ER4J)とKDDIの高耐久スマートフォン「TORQUE(トルク)」をBluetoothで接続する構成をとる。通常はLTE回線で通信し、圏外になると自動的に衛星通信「au Starlink Direct」へ切り替わり、回線復帰時には元に戻る。取得した線量・時刻・位置情報はSMSで送信され、収集サーバを経由して規制庁の「放射線モニタリングプラットフォーム(RAMP)」用に変換・暗号化されたうえで、測定値を公表する「放射線モニタリング情報共有・公表システム(RAMIS)」上でリアルタイムに確認できる。低軌道衛星通信の採用で送信電力を抑えたことで、小型バッテリーでも給電なしに7日間の連続運用が可能。システム重量は従来の約45kgに対し約4kgとおよそ10分の1に軽量化され、通信コストも約4分の1に低減する見込みで、規制庁は「緊急時に最も必要な空間線量を、衛星通信でも確実に送れるよう設計した」と説明。実証実験ではシステム全体として過酷環境で安定的に機能するかを確認し、寒冷地専用バッテリーへの交換や断熱などについても検証する。
規制庁は本システムを、モニタリング体制強靭化に向けた複数の対応策の一つと位置付けている。低消費電力で相互に通信するLPWA(省電力広域無線通信)なども並行して検討している。昨年、福井県のLTE圏外地域で衛星通信への自動切替と災害時の通信確保を検証しており、今年度の結果を踏まえ、来年度からの実用化を目指す方針だ。




