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インド、ロシア型PWRのクダンクラム6号機を着工

24 Dec 2021

本格着工したクダンクラム6号機 ©Rosatom

インドでロシア型PWR(VVER)の建設工事を請け負っているロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は12月21日、インドの南端タミルナドゥ州にあるクダンクラム原子力発電所で20日から6号機(105万kWのVVER)建設工事が正式に始まったと発表した。原子炉建屋の基盤部に最初のコンクリートを打設したことによるもので、今年6月に着工した5号機(105万kWのVVER)と同じく、どちらも2030年までに運転開始すると見込まれている。

クダンクラム発電所では、同様にVVERを採用したⅠ期工事の1、2号機(各100万kW)がそれぞれ2014年と2017年から営業運転中であるほか、Ⅱ期工事の3、4号機(各100万kW)もそれぞれ2017年6月と10月からロスアトム社が建設中。

5、6号機は同発電所のⅢ期工事に相当し、インドとロシアの両政府は2017年6月、これら2基の増設計画について一般枠組み協定(GFA)とプロジェクトの実施に必要な政府間信用議定書に調印した。両国政府はさらに、インド国内の新規サイトで第3世代+(プラス)の革新的VVERを6基建設する計画も2018年10月に明らかにしている。

インドは、1950年代にカナダから導入した研究炉の使用済燃料を基に1974年に核実験を実施したため、国際社会はそれ以降、同国への原子力輸出を停止した。しかし、禁輸が始まる前の1988年、ロシアはクダンクラムでのVVER建設に向けた合意文書をインドと締結しており、2002年から1、2号機の建設工事を開始。インド国内の原子力発電所ではそれまで、出力が最大でも50万kW級という国産加圧重水炉(PHWR)が中心だったことから、クダンクラム1、2号機はインドで初の大型軽水炉となった。

インドではその後、米国が同国への原子力輸出を目的に2008年に米印原子力協力協定を締結している。原子力供給国グループ(NSG)も、米国の主張を受け入れインドへの原子力機器禁輸を解除したが、事故時のベンダー責任など様々な理由から欧米諸国の原子炉ベンダーによる輸出計画は進展していない。

ロスアトム社の今回の発表によると、同社のエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社のA.レベデフ副総裁がクダンクラム発電所について、「1、2号機が現在、定格出力で順調に運転中であるほか、3号機では原子炉圧力容器の設置準備が進められている」と述べている。

Ⅲ期工事の2基に関しては、ASE社は2017年8月に主要機器の設計・製造契約をインド原子力発電公社(NPCIL)と締結。優先的に設置しなければならない機器に関してはすでに搬入を開始しており、これらの2基はタミルナドゥ州のみならず、インド全体の生活や産業に重要な追加電源をもたらすと指摘している。また、「友好国であるインドがロシアの最も進んだ大容量の原子炉を活用することで、原子力分野における両国間の平和利用協力は一層拡大していく」と強調している。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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