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中国で「華龍一号」の昌江4号機と三澳2号機が本格着工

07 Jan 2022

昌江4号機の建設工事©CNNC

中国核工業集団公司(CNNC)は2021年12月29日、海南省の昌江原子力発電所で、中国が知的財産権を保有する第3世代のPWR設計「華龍一号」を採用した4号機(Ⅱ期工事では2番目の炉)(PWR、120万kW)の建設工事を28日の午前中から本格的に開始したと発表した。

昌江原子力発電所ではすでに、第2世代のPWR設計「CNP600」を採用したI期工事の1、2号機が、2015年と2016年からそれぞれ営業運転中である。Ⅱ期工事となる3、4号機の建設工事は、海南省・自由貿易試験区における建設プロジェクトと位置付けられており、総投資額の約400億元(約7,280億円)のうちCNNCが49%、華能集団公司が51%出資。2019年11月に海南島で起工式が開催された後、2021年4月に3号機が本格着工していた。CNNCによると3号機の完成は2025年に、4号機については2026年末までに完成させる計画である。

同発電所ではまた、多目的小型モジュール炉(SMR)設計の「玲龍一号」(PWR、12.5万kW)を採用した実証炉の建設工事が、2021年7月から始まっている。「玲龍一号」は元々「ACP100」と呼称されていた小型炉設計であり、昌江Ⅱ期工事と同様、海南自由貿易港にクリーンなエネルギーの供給を保証することになる。

三澳2号機の本格着工 ©CGN

このほか、中国広核集団有限公司(CGN)も12月31日、浙江省の三澳原子力発電所でCGN版の「華龍一号」となる2号機(PWR、121万kW)を建設するため、30日に原子炉建屋部分で最初のコンクリートを打設したことを明らかにした。

CGNの発表によると、三澳2号機の本格着工は同1号機の建設工事がちょうど1年前、2020年12月に始まったのに続くもの。これら2基のプロジェクトについては2007年にサイト調査が開始され、国家能源局は2015年5月、最終的に合計6基の「華龍一号」を建設する計画として敷地の取得と整備作業等の実施を承認。2020年9月には、国務院の常務会議がⅠ期工事の1、2号機について建設を承認、同年12月30日付けで国家核安全局(NNSA)がこれら2基の建設許可を発給している。

1、2号機は2026年と2027年にそれぞれ送電を開始すると見られており、6基すべてが営業運転を開始した場合、同発電所の年間発電量は525億kWhとなり、浙江省温州市における2020年の総電力需要を超える計算である。

(参照資料:CNNCおよびCGNの発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月29日、1月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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