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SZCプロジェクトへのRABモデル適用が進展 英国

15 Jun 2022

サイズウェルC原子力発電所の完成予想図
©EDF Energy

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のK.クワーテング大臣は6月14日、イングランド南東部のサフォーク州でEDFエナジー社が計画している「サイズウェルC(SZC)原子力発電所建設プロジェクト(約167万kWの欧州加圧水型炉=EPR×2基)」に対し、「規制資産ベース(RAB)モデル」を通じて資金調達を行う手続が大きく進展したと発表した。

今年3月に成立した「原子力融資法」の基準に基づき、同相はこの日、同モデルの支援を受けるSZC発電所の開発事業者として、EDFエナジー社の子会社であるNNB GenCo(SZC)社を指名した。指名理由をまとめた文書案は7月4日までの期間、NNB GenCo(SZC)社と規制当局の原子力規制庁(ONR)と環境庁(EA)、ガス・電力市場局(Ofgem)に提示される。また、資金の調達方法や収益調整など同モデルの詳細に関する見解も、複数の原子力開発事業者やエネルギー企業、英国の送電系統運営者、スコットランドとウェールズの関係閣僚といったステークホルダーから聴取する。これらは同モデルで事業者支援を行う最初のステップになるとしている。

これとは別に、SZC建設プロジェクトを正式に進めるには、主要認可である「開発同意書(DCO)」を英国政府から取得しなければならない。NNB GenCo(SZC)社は2020年5月、計画審査庁(PI)に「DCO」の申請書を提出しており、BEISの担当相はPI勧告に基づいて7月8日までに可否の最終判断を下す予定。この締め切り日は当初、今年の5月22日に設定されていたが、関係情報を十分検討する時間が必要だとして、PIが5月12日に日程の延期を発表していた。

英国では現在、EDFエナジー社が南西部サマセット州でヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所(172万kWのEPR×2基)を建設中だが、開発リスクに対する英国政府の保証として発電電力の売買に「差金決済取引(CfD)」を適用することが決まっている。しかし、CfDでは開発事業者が建設資金を全面的に賄わねばならない上、発電所の運転開始後に初めて資金の回収が可能になることからリスクが大きく、後続のカンブリア州のムーアサイド計画や、ウェールズにおけるウィルヴァ・ニューウィッド計画は撤回された。

これに対して、RABモデルで建設資金を調達した場合、事業者は経済規制当局の認可に基づき、建設工事の初期段階から平均的な世帯の年間電気代に数ポンドを上乗せできるほか、本格的な工事期間中は月額平均で約1ポンド(約162円)が徴収可能。資金の調達コスト(借入利子)も軽減されるため、プロジェクトの確実性という点で民間部門の投資家に安心感を与え、最終的には消費者の電気代が削減される。英国政府は、大型炉建設プロジェクトの全期間中に節約される金額は、1件当たり300億ポンド(約4兆8,700億円)を超えると試算している。

このような手続を通じて、原子力発電所の新設交渉はまた一歩、実現に近づいたとBEISは指摘。SZC建設プロジェクトは、新しい資金調達の枠組を原子力で活用する最初の事例となり、英国では2030年までに新たな原子炉の建設計画を最大で8基分承認するほか、2050年までに原子力発電設備を2,400万kWまで拡大、「英国の原子力ルネサンス」を実現に導くことができると強調している。

(参照資料:BEISEDFエナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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