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米マイクロ炉 イリノイ州に研究拠点新設 

10 Oct 2025

佐藤敦子

イリノイ大学における「KRONOS MMR」
エネルギーシステムの設置予想図
©NANO Nuclear Energy Inc.

米国の先進原子力エネルギー企業であるナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuclear Energy)社は107日、イリノイ州商務省経済機会局(DCEO)と連携し、米イリノイ州に製造・研究開発施設を新設すると発表した。イリノイ州のクリーンエネルギー政策支援プログラムより680万ドル(約10億円)の支援を受け、総額1,200万ドル(約183,000万円)以上を投資する計画だ。

同社は7月にシカゴ近郊に約23,500平方フィート(約2,200平方メートル)の実証施設とオフィスを取得している。新施設では約50人のフルタイム雇用が新たに創出される見通しで、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)と共同で進める小型モジュール炉「KRONOS MMR」の構築・実証・商業化に向けた拠点として機能する。また、原子力技術者をはじめ部品メーカー、研究者らの人材育成・技術支援にも活用される見込みとなっている。

今回のプロジェクトは、イリノイ州が推進する「REVイリノイ法(Reimagining Energy and Vehicles in Illinois)」プログラムの一環。ナノ・ニュークリア・エナジー社は対象企業に選定されており、制度を通じて680万ドル(約10億円)の奨励金を受ける見込みとなっている。なお、REVイリノイ法は、電気自動車や再生可能エネルギーなど次世代クリーンエネルギー産業のサプライチェーン強化を目的としている。

同社のジェームズ・ウォーカーCEOは、「本施設を活用して全米から優秀な人材を惹きつけ、目標達成に向けて全力を尽くしていきたい」とコメントした。また、イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は、「イリノイ州はクリーンエネルギー生産への投資企業にとって最適な州である。この重要な投資は、州民に新たな雇用を創出し、クリーンエネルギー産業における革新的な進歩を促進するだろう」と述べ、歓迎の意を示した。

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