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米INLで試験炉が50年ぶりに完成

01 Apr 2026

桜井久子

Aalo-1 © @Aalo Atomics/ X

米国テキサス州に拠点を置き、2023年設立の先進炉開発企業Aalo Atomics社は3月19日、同社が開発し、アイダホ国立研究所(INL)に建設した臨界試験炉「Aalo-1」公開した。INLサイトでは1949年以降、52基の原子炉が建設されているが、1970年代以降は建設が途絶えていた。今回の建設は50年ぶり。 

Aalo-1は、出力1kWeのデータセンター専用の非加圧型ナトリウム冷却炉。LEU+(8%)を使用し、炉心にグラファイト減速材を含み、液体ナトリウムを用いた熱中性子スペクトルを実現。テキサス州都のオースティンにある同社工場でモジュール・コンポーネントを製造、INLサイトに運搬し、現地で組立てた。米エネルギー省(DOE)による予備的安全解析報告書(PDSA)の審査・承認を14日で完了し、更地の状態から、原子炉、原子炉建屋、制御室が完成するまで、実質約70日という短期間だった。DOEの最終規制承認を得た後、74日までに臨界を達成させる計画。2027年には、同一サイト内に併設されるデータセンターへの電力供給を予定している。

DOEは20255月の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」を受け、同年8月にDOE傘下の国立研究所以外でDOEの管理権限の下、先進炉の設計試験を迅速に進めるため、「原子炉パイロットプログラム」を開始。11件の先進炉プロジェクトを有する10企業が選定され、同社のAalo-1はその一つだった。選定の約2週間後には起工式を開催した。DOEは今年74日(独立記念日)までに少なくとも3基の試験炉での臨界達成を目指している。

Aalo-1は単体の1kWeモジュールから20kWeの複数ユニット発電所まで拡張が可能であり、標準仕様は5kWeAalo社は、データセンターから都市向けまで幅広い電力供給を実現する量産型原子炉の建設を目指している。試験炉の臨界達成により、物理・材料・性能に関するデータを得て、商用ライセンス取得に向けた基盤を整え、次段階としてはデータセンター向けの商用発電所「Aalo Pod」(5kWe、Aalo-1×5基)を2029年までに稼働させるとしている。

なお、DOEINL内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)は35日、先進原子力技術の開発から商用化までの加速を目的に、新たな取組み「Nuclear Energy Launch Pad」を発表している。既存のプログラム(原子炉パイロットプログラムおよび燃料製造ラインのパイロットプログラム)を発展させたもので、原子炉・燃料技術の実証の認可だけでなく、実証運転、商用化まで支援する仕組み。立地、建設、運用に必要なインフラ、専門知識や規制対応を提供し、商用化に向けた規制や技術面のハードルを下げ、開発のリスクと時間を削減する統合支援だ。原子炉、燃料製造、リサイクル、濃縮などの実証が可能なLaunch Pad INLINL以外の全米の他の場所でも原子炉や燃料サイクルの実証が可能なLaunch Pad USA2通りのルートがある。既存のパイロットプログラムには多数の企業・プロジェクトが参加しており、その需要実績を踏まえ、今後はLaunch Padに統合・拡張し、参加企業を毎年募集する予定だという。

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