原子力産業新聞

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フィリピン SMR導入へ米国が資金支援

02 Apr 2026

佐藤敦子

米、比の原子力協力に関する調印式(フィリピン・マカティ市)©USTDA

米通商開発庁(USTDA)は2月16日、フィリピンの電力会社メラルコ・パワージェン(MGEN)社に対し、フィリピン初の小型モジュール炉(SMR)導入に関するフィージビリティ・スタディ(FS)を支援するため、280万ドル(約4億2000万円)規模の資金の提供を発表した。同月には、フィリピン政府も原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートの策定を発表しており、同国における原子力導入に向けた動きが具体化している。

MGEN社は、フィリピン最大の配電会社であるマニラ電力(Meralco)の発電子会社。USTDAの支援は米国製SMRの評価および導入ロードマップの策定に充てられる。同事業は、USTDAの支援のもと、米国企業から技術支援の提案を募る形で実施される。FSは年内に開始し、立地や送電網との接続、許認可、資金調達などを含めた導入計画を整理する。

一方、フィリピン政府も制度面の整備を進めている。フィリピンのエネルギー省(DOE)は2月24日、原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートを策定した。2032年までに原子力発電所の運転開始を目指すという。

フィリピンは1970年代の石油危機を受け、バターン原子力発電所(BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)を建設したが、財政問題や安全性への懸念から運転には至らなかった。その後、原子力導入は停滞したものの、2022年に導入方針が示され近年再び検討が本格化。SMRを含む多様な炉型の活用が模索されている。政府は2032年までに初の原子力発電所の運転開始(120万kW)を目指し、2035年に240万kW、2050年に480万kWへ拡大する計画としている。

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