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仏政府 グラブリーヌのEPR2建設準備工事を認可

03 Sep 2026

桜井久子

グラブリーヌ発電所  © EDF

仏政府は820日付の政令で、フランス電力(EDF)に同国北部にあるグラブリーヌ原子力発電所(PWR, 95.1kW×6基)において2基の改良型欧州加圧水型炉(EPR2, 165kWe)の建設準備工事に必要な環境許可を発給した。これにより、EDFはサイト整備や地盤補強工事を段階的に進めることができるようになる。なお、原子炉の建設許可そのものではなく、核物質を扱う施設や原子力安全に関わる設備の建設は対象外。

2023年6月の「原子力推進法」に基づき、環境許可の取得後には特定の土木工事や付帯施設の建設を開始することができるようになった。具体的には、敷地造成・土工、地盤改良、建設用設備の整備、鉄道設備の移設、取水路の建設、初期の土木工事など。保護対象の動植物種の移送や水管理、自然生息地の保全、公害対策、建設現場の環境モニタリングなどの環境対策も講じる必要がある。環境許可の取得により、原子炉建設に必要な全ての手続きが完了するのを待たずに、長期を要する複雑な準備工事に着手できる利点がある。

グラブリーヌ・サイトに建設される2基のEPR2は、EDF6基の新設計画の2組目となり、同サイトで既に稼働している6基の90kW級の原子炉を補完するものとなる。1組目はパンリー発電所(PWR, 138.2kW×2基)に、3組目はビュジェイ発電所(PWR, 90kW級×4基)に建設される。なお、202512月に明らかにされたEPR26基の建設費用の見積額は合計728億ユーロ(2020年価値)。

■グラブリーヌの基礎工事における課題

グラブリーヌ・サイトでは、敷地整備が特に重要な課題となっている。この敷地は海から埋め立てられた干拓地に位置しており、厚い砂層と粘土層、地表に近い地下水位が特徴。巨大で重量の大きいEPR2を建設すると地盤が不均一に沈下・変形し、建物や配管などの安定性を損なう恐れがある。地盤改良をしなければ、EPR2では約5080センチの沈下が起こる可能性があると予測されている。既存の90kW級原子炉6基でも2530センチ程度の沈下が確認されているが、EPR2は場所によって従来炉の約2倍の重量があるため、より厳しい対策が必要になる。

EDFは当初、地中に鉄筋コンクリート製の柱を多数設置し、さらに土と固化材を混ぜて地盤を硬くする方法を検討していた。しかし、仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)は、その規模は前例がなく、十分な施工実績もないと懸念を表明。より実績のある技術の使用に加え、補強システムの有効性、地震荷重下での動的挙動、および追加の地盤工学試験・調査の結果について、さらなる根拠を示すように求めた。

そこでEDFは設計を見直し、長さ約50mの鉄筋コンクリート製の柱を約2,000本、重量の大きい建物の下に配置し、建物の基礎に直接つなぐのではなく、その間に十分に締め固めた粒状充填材の厚い層を挟む方法を提案。この層によって建物の重さを柱と地盤に分散させ、局所的に影響が集中するのを防ぐ仕組みである。さらに、地震の際に砂地の「液状化」を防ぐため、建物の下にある約15mの砂層を取り除き、液状化しにくい材料に置き換える計画だ。

フランス技術アカデミーは、この新たな方法について、基本的な考え方は妥当で、特に大型液化天然ガス(LNG)タンクの建設において国際的な施工経験の実績もあるとし、「頑健な(robust)」設計だと評価。一方で、地下水位より深い場所を掘削する難しさや、塩分を含む地下水に100年間さらされるコンクリート製の柱の耐久性など、今後注意すべき課題も指摘した。

さらに同アカデミーは、建設後に基礎を直接見ることができなくても、センサーとデジタル技術によって沈下や劣化の兆候を長期間監視できるように、建設段階から光ファイバーセンサーや腐食を調べるセンサーを組込み、「デジタルツイン(仮想モデル)」から実際の建物の挙動をセンサーで常時把握し、設計時予測と比較する仕組みを推奨した。ASNRはこの新しい地盤対策について、EPR2の設置許可申請(DAC)審査の中で2026年秋に意見を示す予定となっている。DACは今年6月に実施されている。

■パンリー・サイトでは準備工事が進行中

同国北部にあるパンリ―・サイトでは、EPR2初号機の準備工事が2024年夏に始まり、2026年初めには1,000人以上が現場で作業している。1990年代に中止されたN4原子炉プロジェクトの旧基礎を解体し、崖の形状を整えるために100万㎥以上の白亜(石灰岩)を掘削して崖を整形するほか、海側への拡張工事も進む。準備工事は2028年初めまで続き、その後、土木工事および電気機械設備の設置が開始される。DAC20236月に実施済みであり、環境許可を20246月に取得している。

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