米ディプロイアブル・エナジーのマイクロ炉 DOMEでフルパワー試験へ
16 Oct 2026
米原子力新興企業のディプロイアブル・エナジー(Deployable Energy)社は10月7日、アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)が運営する「マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments: DOME)」テストベッドで、2027年に同社が開発するマイクロ炉のフルパワー試験を行う事業者に選定されたことを明らかにした。今回の選定を受け、同社はマイクロ炉「ユニティ・ニュークリア・バッテリー(Unity Nuclear Battery)」の商業展開に向けた取組みを推進していく。
「ユニティ」は今年6月30日、INLでゼロ出力臨界試験を成功裏に完了した。2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉の臨界到達という目標を達成した4基のうちの3基目である。ユニティはプロジェクト開始から約150日後に臨界を達成。ディプロイアブル社はNRICの「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下で臨界を達成した初企業である。DOMEでの試験は、2026年7月の申請を経て選定され、試験に係るコストは自己負担となる。
「ユニティ」は、0.1万kWeの軽水減速・ヘリウム冷却式のマイクロ炉。コンパクトなモジュール式、かつ運搬可能な原子力発電システムで、遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。
DOMEは、先進原子力への需要拡大を背景に、産業界向けの実証用に開発され、2026年4月に稼働を開始した。こうしたニーズに対応できる専用の試験環境は、米エネルギー省(DOE)の国立研究所のみが提供可能とされている。2025年5月に発令された先進原子力の開発加速に関する大統領令を受け、テストベッドの建設は当初計画より約1年前倒しで進められた。
DOMEは、高さ約30m、直径約24m、高速増殖実験炉II(EBR-II)の格納容器構造を再利用して建設された。同施設で、実験用原子炉の概念試験や将来の商業用ライセンス申請に活用可能な性能データを収集する。原子炉の開発時間やコストの削減、プロジェクトリスクの低減につなげるのが目的。最大2万kWtの熱出力をもつマイクロ炉の実験用に特別に設計され、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つなど、世界で唯一の試験施設だという。
ディプロイアブル社のB. ギャラガー共同創業者兼CEOは「DOMEにより、実験のために特注の原子力施設を建設することなく、フルパワー試験運転へ持ち込むことができる。原子炉を建設し、迅速に学び、製造段階へ移行する――これこそが、先進原子力産業に必要なモデル。INLでの2027年の実証実験により、『ユニティ』は実用化に一歩近づく」と述べた。
同社はユニティの開発において、1. 工場での燃料装荷、2. 燃料装荷済み原子炉の輸送、3. DOMEへの原子炉の設置・展開および定格出力運転の実施、4. DOMEでの運転終了後、INL内での原子炉の再配置、5. 燃料の処分完了、の一連の取組みを実施し、原子炉システムのライフサイクル全体を実証する計画である。これにより、原子炉とその支援システム全体にわたる統合的な性能データを得て、再現性のある製造、輸送、運転の基盤を築きたい考え。臨界試験と同様に、DOMEでのフルパワー試験を米原子力規制委員会(NRC)は注視しており、ディプロイアブル社は、商用展開の実現に必要な許認可取得への取組みにおいて重要な一歩になるとしている。
ディプロイアブル社は今後数か月にわたり、NRICおよびINLと協力し、2027年の試験に向けた設計、実験計画、燃料、安全性、および運用準備に取組む。なお、同社はDOMEで自社技術をテストする2社目の企業。これに先だち、ラディアント(Radiant Industries)社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)が試験を実施している。同炉は、2025年8月にDOEの先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉。





