米エネルギー省 国内ウラン濃縮能力強化に27億ドル助成
09 Jan 2026
米エネルギー省(DOE)は1月5日、今後10年間にわたり総額27億ドル(約4,000億円)を投じ、米国内のウラン濃縮能力の強化を支援すると発表した。低濃縮ウラン(LEU)と、次世代原子炉向け燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)[1]U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウランの供給体制を構築し、燃料サプライチェーンの強化を図る。
支援の対象となったのは以下の3社で、各社に9億ドルずつ、随時発注契約を付与する。契約はマイルストーンベースで、段階的な成果の達成が求められる。
・American Centrifuge Operating社(セントラス・エナジー社の子会社)
HALEU濃縮能力の構築を担う。同社は2019年以降、DOEと連携して遠心分離機技術の実証を進め、2023年にHALEUの実証生産を開始した。昨年12月には、将来的な商業規模の濃縮事業に対応するため、遠心分離機の製造を開始している。今回の支援を通じて設備を段階的に増設し、2029年ごろの商業規模の稼働を目指す。
・General Matter(ゼネラル・マター)社
HALEU濃縮能力の構築を担う。ケンタッキー州パデューカにある、ガス拡散法を用いたウラン濃縮工場跡地(2013年閉鎖)を活用し、HALEU濃縮施設を建設・運用する計画。
・Orano Federal Services(オラノ)社
LEU濃縮能力の拡大を担う。米テネシー州オークリッジに新設する大型ウラン濃縮施設に約50億ドル(約7,500億円)を投資する計画で、DOEからの資金もこの事業に充てられる。
さらにDOEはグローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社に対しても約2,800万ドル(約42億円)を配分し、レーザー濃縮など次世代ウラン濃縮技術の開発の支援も同時に発表している。従来の遠心分離方式とは異なる技術の実用化を後押しする狙いだ。
米国は海外企業の濃縮サービスに依存しており、現時点で米国内にて稼働する商業用ウラン濃縮施設はニューメキシコ州ユーニスのウレンコUSAの工場のみ。また、2028年以降米国ではロシアからの低濃縮ウランの輸入が原則禁止される予定で、供給源の多様化と国内生産体制の確立が課題となっている。DOEのC. ライト長官は、「今回の投資は、既存の原子力発電所と将来の先進原子炉に必要な燃料を生産できる体制を回復させるため、政府が全力で取り組んでいることを示すものだ」と述べ、原子力分野の再建を通じ、エネルギー安全保障と米国の競争力強化を図る姿勢を強調した。
脚注
| ↑1 | U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン |
|---|





