原子力産業新聞

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規制委 山中委員長が川内原子力発電所を視察 地元首長らと意見交換

02 Mar 2026

中西 康之助

川内原子力発電所©九州電力

原子力規制委員会の山中伸介委員長は214日、九州電力川内原子力発電所を視察。その後、同発電所の近隣9市町村の首長や九州電力関係者との意見交換会に臨んだ。

山中委員長は冒頭、同日午前中に同発電所の特定重大事故等対処施設や緊急時対策棟、および乾式貯蔵施設の建設予定地を視察したと説明。そして、現場での実際の運用状況や職員の業務の様子を確認したとし、「重大事故への対策が整ったことを改めて確認できた」と述べ、堅牢な施設の完成により「安全性が向上した」との受け止めを示した。

さらに、川内原子力発電所の立地について、「非常にフラットでゆったりとした敷地に建設されており、自然ハザードに対する備えも行き届いている」との認識を示した。また、同行した規制委の神田玲子委員は、「特定重大事故等対処施設についてこれまで議論を重ね、学んできたが、実物を目の当たりにすることで、その大きさや堅牢さ、各種設備の状況を実感することができた」と語った。

一方、鹿児島県の塩田康一知事は、山中委員長らに対し同発電所1号機(PWR89.0kWe)が202474日から、2号機(同上)が20251128日から運転開始後40年を超える期間に入っていることに言及。県としては常に事故の発生を念頭に置き、「県民の生命と暮らしを守る観点から、安全対策・防災対策の充実強化に取り組んでいく」と述べた。

そのうえで塩田知事は、規制委員会に対し以下の6項目を要請した。

 

①乾式貯蔵施設

昨年10月、九州電力が川内原子力発電所の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置に係る原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、規制委による厳格な審査を求めたほか、県民に分かりやすい情報発信を行うよう要請した。

②六ヶ所再処理工場

川内原子力発電所の乾式貯蔵施設は、青森県六ケ所村の再処理工場へ搬出するまでの間の一時貯蔵施設の役割を担っているが、六ヶ所再処理工場の稼働延期が続き、現在も規制委の審査が行われていることから、着実な審査と分かりやすい状況説明を求めるとともに、今後の見通しについても説明を求めた。

③運転期間延長

20237月に鹿児島県が規制委に提出した10項目の要請について、県の原子力専門委員会で規制庁から対応状況の説明を受けているが、継続的な取り組みや将来の知見拡充に関する事項が多いとして、今後も対応を継続し、その内容を県民に分かりやすく説明するよう求めた。

④屋内退避の運用

昨年、一部改正された原子力災害対策指針において、屋内退避中でも生活維持に必要な範囲での一時外出や、民間事業者の活動が可能とされた点に言及し、引き続き分かりやすい情報発信と説明を求めた。

⑤次世代革新炉

設計段階から新たな安全メカニズムを組み込む次世代型の革新軽水炉について、今後の規制上の取り扱いに関する見通しを問い合わせた。

⑥中部電力の不正行為への対応

中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動策定に関する不正行為について「安全・安心の観点から大変遺憾」と述べたうえで、原子力施設の安全確保に一義的責任を負うのは事業者であるとしながらも。規制委に対しても安全規制に万全を期すよう求めた。

 

要請を受けて山中委員長は、乾式貯蔵施設については、既に他の発電所で実績のある堅牢な方式であり、リスクの小さい施設と説明。規制側の審査実績も多く、「特段大きな懸念はない」としつつ、住民への丁寧な説明に応じる考えを示した。

六ヶ所再処理工場の審査状況について、現在は設工認審査(分割二回目)の最終段階に来ており、今後、保安規定の審査や事業者・規制側それぞれの使用前検査などを経て稼働に至ると説明。なお、同工場の稼働の正式な時期は明確にしていない。

同発電所12号機の40年超運転については、10年ごとに劣化状況を確認する長期施設管理計画制度の下で、40年運転から50年運転までの基準適合性を確認済みと説明した。

そして、屋内退避の運用については、継続判断を「概ね3日目」に行う方針を示し、原子力災害対策指針は改定済みだが、より具体的な運用方策を示す関連文書について、近く発行する予定だという。

また、次世代革新炉(規制側は建替原子炉と表現)については、ATENA(原子力エネルギー協議会)と規制上の取り扱いや課題整理を進めており、建替原子炉の申請があれば迅速に審査できる体制を整えるとコメント。また、中部電力のデータ不正については「極めて深刻」と指摘し、再発防止策の強化に取り組む考えを示した。

また、同発電所が立地する薩摩川内市の田中良二市長は、原子力発電所の立地自治体として規制委と直接、意見交換できることは「市民の安全・安心の醸成において極めて重要」と評価。そのうえで、両機の40年超運転、そして昨年10月、九州電力が使用済み燃料の乾式貯蔵施設設置に関する原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、「市民の関心は非常に高い」と述べた。

特に乾式貯蔵施設については、安全性や審査状況に関する丁寧で分かりやすい説明を求めるとともに、審査体制の強化と高い独立性・透明性の確保を要望した。さらに、27日に実施された県の原子力防災訓練にも言及し、防災体制の不断の見直しと改善が不可欠だと強調。事故やトラブル時の迅速な情報共有を含め、継続的な助言を求めた。

また、いちき串木野市の中屋謙治市長からは、川内原子力発電所のすぐ南に同市が位置するため、冬場の季節風が強い時期に発電所で事故があった際、立地する薩摩川内市よりも被害が大きいのではないかと懸念する住民が一定数いることを明かし、規制委による専門的・科学的見地に基づく厳格な審査が何より重要だとコメントした。その他、電源三法交付金制度について「立地自治体に極めて偏った制度ではないか」との認識を示し、市民が納得していない状況が見受けられると述べた。

その他、阿久根市の西平良将市長からも、地域の防災拠点や避難経路の整備、また、電源三法交付金の増額など財政的な支援が要望され、いちき串木野市の中屋市長同様、同件すべてが規制委の所管でないことを理解しながらも、立地自治体が置かれている現状や課題について理解を深めてほしい旨が伝えられた。

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