チェコ電力 英ロールス・ロイスSMRと先行作業契約
14 May 2026
チェコ電力(ČEZ)は4月24日、英ロールス・ロイスSMR社と、テメリン原子力発電所サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結した。これにより、サイト固有設計や許認可準備など初期エンジニアリング作業が開始される。一方、ČEZは今回の契約について、機器供給や着工を含むものではなく、投資決定を意味していないと強調している。
またČEZ は同日、チェコ産業貿易省とSMRプログラムに関する覚書を締結。SMRは、大型炉、ガス火力、再生可能エネルギーと並び、チェコの将来のエネルギーミックスを支える存在となることを確認。同覚書に基づき、作業部会を設置して以下を検討していくこととしている。
- 投資モデル
- 資金調達方法
- 欧州委員会による認可プロセス
- チェコ・英国間の政府協力
- 規制・法制度支援
- チェコ国内でのSMR建設条件整備
ČEZのD. べネシュCEOは、「チェコはSMR計画によって、従来からの原子力技術ノウハウを活用し、さらに深化させることができる。政府との覚書も重要であり、ドコバニ・サイトでの増設と同様に、国家の支援が不可欠である」と述べた。
ロールス・ロイスSMR社のC. チョラトンCEOは、「チェコは原子力の豊富な実績と高度な産業基盤を持っており、両国のサプライチェーンを連携強化し、SMRプロジェクトを成功裡に導くことが可能。当社は欧州においてSMR導入に向けた複数の契約・提携を進めている数少ない企業の一つであり、欧州優先のアプローチにより、英国やチェコを含む早期導入国に最大の経済的利益をもたらす」と語った。
ČEZは、同社のトゥシミツェ(Tušimice)石炭火力発電所サイトにおいてもSMR計画を進めており、その他の候補地も調査中。既存の石炭火力発電所サイトは、送電・インフラ設備を活用できることに加え、SMRによる地域熱供給との親和性も期待されている。
ČEZは2024年10月、ロールス・ロイスSMR社とチェコで合計最大300万kWeの電力供給を実現するための戦略的パートナーシップを締結し、SMR技術の開発・準備に直接関与。ロールス・ロイスSMR社の約20%の株式を取得し、戦略的少数株主となった。
テメリン・サイトで計画されるSMRは、英国の北ウェールズ・アングルシー島ウィルヴァ・サイトで先行して進められている導入計画に続く案件となる見通し。ロールス・ロイスSMR社は2025年6月、英国初のSMRの導入を目指す英政府により、優先権者に選定され、同社製SMR(PWR、47万kWe)3基の建設をウィルヴァで計画。英政府系機関 Great British Energy – Nuclear(GBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。
「ロールス・ロイスSMR」は一般にSMRとしてイメージされる30万kWe級以下の炉型より大型である一方、モジュール化、工場生産型のアプローチを活用し、大幅な工期短縮とプロジェクトリスクの低減により、コスト競争力の向上が期待されている。
現在チェコでは約4割の電力をドコバニ原子力発電所(VVER-440×4基)とテメリン原子力発電所(VVER-1000×2基)が供給。チェコ政府はSMRに加え、ドコバニ・サイトに大型炉2基を増設する計画を進めている。2025年6月、プロジェクト会社のドコバニII原子力発電所(EDU II)は、韓国水力・原子力(KHNP)と2基増設のエンジニアリング・調達・建設(EPC)契約を締結した。





