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米陸軍省 マイクロ炉導入に向けて5社を選定

07 Sep 2026

桜井久子

© U.S.ARMY

米陸軍省は826日、軍事施設へのマイクロ炉導入を目指す「ヤヌス計画(Janus Project)」で、5か所の陸軍施設でプロジェクトを進める民間5社を選定したと発表した。陸軍省は、国防イノベーションユニット(DIU)と連携し、軍事施設におけるマイクロ炉の所有、建設、運転を支援するため、2027~2031年の会計年度[1]米国の連邦政府の会計年度は、10月1日から翌年の9月30日まで。に総額最大22億ドル(約3,400億円)を交付する。

選定された5社と導入する陸軍施設は、以下のとおり。

  • Antares Nuclear(ノースカロライナ州 フォート・ブラッグ)
  • BWXT Advanced Technologies(ケンタッキー州 フォート・キャンベル)
  • General Atomics Electromagnetic Systems(テキサス州 フォート・フッド)
  • Radiant Industries(ジョージア州 フォート・ベニング)
  • Westinghouse Government Services(ニューヨーク州 フォート・ドラム)

米陸軍省はDIUとともに202511月、産業界に対し軍事施設でのマイクロ炉導入に向け、技術提案を募集。同月にヤヌス計画の最初のステップとして、マイクロ炉の設置候補地として、全米9つの陸軍施設を特定していた。

政府資金に加えて各社も民間資金を拠出し、最終的には軍の施設全体で20基以上のマイクロ炉の建設・運用が想定されている。陸軍省は、外部送電網に依存することなく、軍事施設に安全かつ信頼性の高いベースロード電力を、高い設備利用率で長期間にわたり供給したい考え。これにより、米陸軍の軍事能力を強化するとともに、米国の原子力産業基盤の活性化と技術的リーダーシップの維持を支援する方針だ。

企業選定にあたっては、安全性を最優先に、エネルギー需要から地震や水文的な考慮事項など多岐にわたる観点から評価を実施。エネルギー省(DOE)、国立研究所、および各軍の代表者からなる決定委員会と、原子力・技術分野のトップ専門家パネルが審査にあたった。陸軍省は今後、選定企業とその他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)交渉を実施する。OTAは、開発途上にある技術の実証を想定し、米政府が通常の調達契約とは異なる柔軟な枠組みで締結する契約方式で、設計変更や段階的な実施を認めている。今回、技術目標を段階的に設定し、各企業が目標を達成した場合にのみ資金を支払う「マイルストーン方式」を採用しており、建設するプロトタイプ炉は各企業が所有・運転する。

ヤヌス計画は、軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉を設計・建設・実証する「プロジェクト・ペレ」や、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)に続くもので、今回選定された企業が信頼性と経済性を備えたマイクロ炉を開発し、将来的に軍以外の顧客にも販売できるようにすることも重要な目的としている。

陸軍省は、20255月に発令された大統領令「国家安全保障強化のための先進炉技術の導入」に沿って、20289月までに陸軍省の規制下にあるいずれかの軍事施設で初号機の運転開始をめざす。今後は、他の軍事施設にも導入を拡大していくとしている。

脚注

脚注
1 米国の連邦政府の会計年度は、10月1日から翌年の9月30日まで。

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