中央アジアの新規建設 原子力産業の持続的発展をめざす
25 Sep 2026
中央アジアのウズベキスタン、カザフスタンでは、原子力発電所の新規建設を単独の発電プロジェクトとするのではなく、技術・人材・インフラ整備を含め、国内の原子力産業を体系的に発展させる契機と捉えている。
■ウズベキスタン
ウズベキスタン原子力庁(ウザトム)は9月2日、同国のS. ミルジヨーエフ大統領に、「国内初となる統合型原子力発電プロジェクトの進捗」を報告。今年6月の小型モジュール炉(SMR)初号機の着工後、これまでに原子炉建屋基礎への916㎥のコンクリート打設や、建設・据付拠点の100haにわたる土木工事を完了した。今後、発電所で必要となる製品・機器の現地調達率を現状の21%から少なくとも30%へ引き上げるほか、周辺インフラの整備、原子力発電所周辺への工業団地建設、人材育成などを一体的に進める計画だ。
同国東部のジザク州ファリシュ地区では、ロシア製大型PWR=VVER-1000×2基と小型モジュール炉(SMR)RITM-200N(PWR, 5.5万kWe)×2基を組合わせた総費用95億ドルの統合型原子力プロジェクトが進行中である。建設工事が本格化するなか、道路や鉄道などの周辺インフラの整備を進めるとともに、建設資材、金属構造物、ケーブル製品などの供給面で国内企業を広く参画させる計画。周辺インフラ整備における現地調達・サービスの比率を60~70%とする目標を掲げるほか、発電所で必要となる製品・機器の現地調達率を30%超とするため、発電所から25kmの地点に面積200haの専門工業団地を建設する。同団地には少なくとも100社の合弁企業が立地し、技術移転を通じて生産の現地化(ローカライゼーション)を進め、最大2,000人の新規雇用の創出を見込む。さらに建設のピーク時には現場で10,000人の雇用が予想されている。
人材育成については、将来的に発電所を運転することになる高度な専門性を持つ運転員、エンジニア、放射線安全の専門家を育成するため、ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)のタシケント分校での履修に加え、国際的なパートナーと共同で実務者向けの研修プログラムの実施も計画。さらに、プロジェクト管理能力の向上やエンジニアリングに関する専門知識の強化を図り、技術面の検討を発注者の立場からも行える体制を整えるため、海外の主要エンジニアリング企業との合弁会社の設立を計画している。
■カザフスタン
カザフスタンの有限責任会社カザフスタン原子力発電所は9月3日、ロシア国営原子力企業ロスアトム傘下のエンジニアリング企業アトムストロイエクスポルト社とカザフスタン初の原子力発電所「バルハシ発電所」のEPC(設計・調達・建設)契約を締結した。この契約の調印式には、カザフスタン原子力庁のA. サトカリエフ長官と、ロスアトムのA. リハチョフ総裁が立会った。
同国初の原子力発電所となるバルハシ発電所(ロシア製PWR=VVER-1200, 120万kWe×2基)がアルマティ州のジャンブール地区、バルハシ湖近くのウルケン村で建設予定であり、2025年8月から建設予定地でエンジニアリング調査が実施されている。2027年にサイト許可を取得し、建設工事を開始する予定。約10年以内に工事を完了し、初号機を稼働させる計画である。
カザフスタンにとって原子力発電所の建設は、エネルギー安全保障の強化、産業・技術基盤の発展、人材の育成、技術的自立の強化に向けた長期的な方針の一環であり、戦略的に重要な意味を持つ。経済、産業、インフラ、デジタル化、AIの発展を背景に、信頼性の高い持続可能な電力への需要は着実に増加することが予想され、原子力の導入により、今後数十年にわたり安定した基幹電源を確保したい考え。バルハシ発電所の建設では、国内企業、専門家、製品、工事およびサービスを最大限に活用する現地化(ローカライゼーション)に特に重点が置かれ、国内産業の発展や先端技術の導入、高度な技能を持つ人材の育成につながることが期待されている。





