原子力産業新聞

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総合エネ調分科会が安定供給の具体策取りまとめ GX実行会議に報告へ

19 Dec 2022

分科会の冒頭、挨拶に立つ西村経産相(インターネット中継)

総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)は12月16日、「エネルギーの安定供給の確保」に向けて具体策を取りまとめた。今夏、政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」より、年末までに具体的結論を示すよう求められていたもの。〈配布資料は こちら

冒頭、挨拶に立った西村康稔経済産業相は、昨今のウクライナ情勢に伴う欧米諸国におけるエネルギー政策転換の動きにも言及しながら、「安定的で安価なエネルギー供給の確保は、国民生活・社会経済活動の根幹に関わるわが国の最優先課題」と強調。「強靭なエネルギー需給構造」への転換を加速すべく、需要サイドの徹底した省エネとともに、供給サイドでは、再生可能エネルギーや原子力など、脱炭素効果の高い電源を最大限活用していく考えを述べた。

 原子力政策については、同調査会の原子力小委員会が8日、審査対応などで停止した期間を除外する(いわゆる「時計を止める」)ことによる運転期間の延長、廃止が決まった炉の建て替えを前提とする次世代革新炉の開発・建設などを柱とした「今後の原子力政策の方向性の実現に向けた行動指針」を大筋で了承している。同小委員会の委員長を務める山口彰氏(原子力安全研究協会理事)は、16日の分科会で、これまでの議論を振り返り「長期的な視点をもって『エネルギー確保の将来見通しを立てる』という視点を入れ込んで欲しい」と要望。最終処分に関しては、処分地選定に向けて文献調査が進められる寿都町・神恵内村に対し感謝の意を表する必要性を述べた上で、「全国民が自分の問題として考える」ようさらなる取組の強化を求めた。

立地地域として、杉本達治委員(福井県知事)は、エネルギー基本計画の見直しに言及するとともに、原子力政策に関し「国民にわかりやすい説明」を要望。この他、委員からは、再生可能エネルギーの開発に伴う環境保全対策や、省エネ・需要サイドの対応として、リモートワークの浸透や少子高齢化など、国民生活の変化を踏まえた省庁横断的な議論の必要性を求める意見も出された。

「エネルギーの安定供給の確保」に向けた具体策は近く「GX実行会議」に報告される運び。これまでの議論に関し、電気事業連合会の池辺和弘会長は、16日の定例記者会見で、「今回示された方向性は非常に大きな一歩」との認識を示した上で、2023年に向けて、「日本のエネルギーを安定的に供給するシステムを『再構築し、実行に移す年』になる」と抱負を述べた。

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