原子力産業新聞

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原産協会・増井理事長が会見 行動指針改定案への考え示す

30 Jun 2026

深澤伊弦

増井理事長が参加したnucleareurope 2026会場の様子

日本原子力産業協会の増井秀企理事長は6月26日、理事長会見を行い、記者団からの質疑に応じた。

増井理事長は会見冒頭、6月5日に開催された原子力小委員会での自身の発言を紹介した。「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案に、中期目標(2040年代までに約220万~550万kW)と長期目標(2050年代までに約1,270万~1,600万kW)が基数とともに明記されたことについて、「産業界としても、未来への希望と長期的展望を持つことができ、大変意義深い」と評価した。

また対米投資に関する協議では、数百億ドルから1,000億ドル規模の原子力案件が複数取り上げられていることに触れ、我が国の原子力産業の技術・製品・サービスが活用される大きな機会になるとの期待を示す一方、コストオーバーランなどの事業リスクや米国の制度・政策リスクへの懸念を表明。日本企業に過度な負担が生じないよう、日米双方で十分に協議が行われることを期待した。

続いて、nucleareurope2026(欧州原子力産業協会 年次大会)への参加を報告。欧州では、原子力は安定供給と脱炭素に加え、欧州の産業基盤の競争力を支える電源と位置づけられており、欧州全体で課題解決に取り組む姿勢を強く感じたと述べた。また、欧州全体で原子力分野の技術や人材、サプライチェーンを支える体制を強化する「Nuclear Airbus」構想を紹介し、利用可能なクリーンエネルギーを総動員しなければ、欧州は経済的な競争力を維持できないという強い危機感が共有されていると説明。さらに、オランダやポーランドなど、欧州各国における原子力新設の最新動向についても紹介した。

会見後半では、欧州で導入されている差金決済取引(CfD)モデル[1]事前に定めた基準価格と市場価格の差額を精算する仕組みについて、記者から「コスト超過となった場合にCfDモデルがリスクを吸収できるのか」との質問があった。これに対し増井理事長は、「リスク要因を過度に織り込むと基準価格が高くなり、国民の理解を得ることが難しくなる」と述べ、制度設計に当たっては十分な試算を行う必要性を指摘した。加えて、ルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所の改修工事でCfDモデルが活用される事例も紹介。運転実績や機器交換の経験を通じて、より精度の高い基準価格の設定に繋がるとの見方を示した。

また、記者から、行動指針改定案で示された長期目標に対し、現在の日本の電気事業者の状況を鑑み、リスク補償の仕組みについて問われた増井理事長は、現在検討されている電力広域的運営推進機関(OCCTO)を通じた融資制度について、30%とされている融資上限や金利の高さが課題との認識を示した。そのうえで、融資上限を過半以上にすることに加え、民間金融機関の融資決定後にOCCTOが融資を決定する仕組みではなく、OCCTOが先に融資の枠組みを示し、それに民間金融機関が参加する協調融資の仕組みが重要との考えを示した。

脚注

脚注
1 事前に定めた基準価格と市場価格の差額を精算する仕組み

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