米テラパワー 英国でGDA申請へ
30 Apr 2025
米国の原子力開発ベンチャー企業であるテラパワー社は4月16日、自社の開発するNatrium炉で英国の包括的設計審査(GDA)プロセスへの参加を正式表明する書簡を英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)に提出したことを明らかにした。Natrium炉を国際市場に展開する取組みの第一歩である。
GDAとは英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査で、原子力規制庁(ONR)が設計の安全性とセキュリティの観点から、環境庁(EA)が(該当する場合、ウェールズ自然保護機関(NRW)も)環境影響の観点から、英国の基準を満たしているかを規制プロセスの早い段階から、立地サイト特定後の建設申請とは別に評価するもの。DESNZは規制当局の審査に先立ち、テラパワー社が提出するGDA申請書を事前に精査し、NatriumがGDA実施前の評価基準をクリアしていることを確認する。
テラパワー社のC. レベスクCEOは、「当社は、Natriumの世界展開に向けて、英国で何年も前から活発な討議を行ってきた。今後10年間に先進的な原子力発電所の導入で協力する点において、米国と英国には大きな関心と機会が存在している」と語った。
米国で開発中のNatriumに係る規制上のマイルストーンは、英国におけるGDA申請の基礎として利用される。米国においては、米原子力規制委員会(NRC)と密接に許認可申請前活動を行い、2024年3月にはNRCに建設許可申請(CPA)を行った。NRCとの間ではCPAおよびトピックレポートの提出に関して1年以上にわたるレビューが行われ、NRCは最近、レビューのスケジュールを前倒ししている。また、初号機建設サイトのある米ワイオミング州からは州レベルの建設許可を得ており、2024年6月に起工式を挙行、非原子力部の建設工事を開始した。原子力部の着工は早くて2026年、送電開始は2030年を予定している。
Natriumは、熔融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えた34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉。貯蔵技術は、必要に応じてシステムの出力を50万kWeに増強し、5時間半以上を維持することができる。この革新的な追加により、Natriumは再生可能エネルギーとシームレスに統合され、より迅速で費用対効果の高い電力網の脱炭素化を実現したい考えだ。