原子力産業新聞

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UAE BWRX-300の国際展開に向けMOU

30 May 2025

桜井久子

MOU調印式 Ⓒ ENEC

アラブ首長国連邦(UAE)の首長国原子力会社(ENEC)と米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社は527日、UAEのアブダビで、GVH社製のSMRであるBWRX-300の国際展開に向けて、包括的なロードマップの評価と策定で協力するMOUに調印した。

MOU
は、次世代原子力技術の評価と潜在的な展開を加速するために創設されたENEC社のADVANCEプログラムの一部。ENEC社はバラカ原子力発電所(韓国製APR1400×4基)以外にも、クリーン電源である原子力による、エネルギー安全保障と持続可能性の推進のため、UAE国内外での投資、協力、展開の機会の開拓に重点を置いている。

今回のMOUは、2023年にドバイで開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の際に締結された協力の覚書に続くもの。両社は、原子力が急増する電力需要を満たす重要なソリューションであるとの共通認識のもと、サイトの特定、許認可手続き、投資と商業化戦略、サプライチェーンの開発など、ロードマップの策定において協力を深化し、国際展開の機会を探っていく計画だ。

今回のMOUにはENEC社のM. アルハマディCEOGEベルノバ社の電力部門M. ジンゴーニCEOが世界公益事業会議への出席を機に調印。ENEC社のアルハマディCEOは、「先進炉によるUAEおよび国際市場での展開を加速するため、GVH社との協力の前進を嬉しく思う。両社のノウハウを結集し、安全で効率的かつ品質主導の原子力の展開に向けたロードマップを策定していく」と語った。ジンゴーニCEOは、「SMRは、エネルギーの安全な未来において重要な役割を果たす。カナダと米国でBWRX-300のプロジェクトが進められており、ENEC社との協業はUAEとの関係をさらに強化するものだ」と述べた。

GVH
社製BWRX-300は、電気出力30kWの次世代BWR2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。5月8日、カナダのオンタリオ州はダーリントン・サイトへのBWRX-300初号機の建設計画を承認520日には、米テネシー峡谷開発公社(TVA)は、米国初となるBWRX-300の建設許可を申請している。

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