中国 CGNが「華龍一号」を2サイトで連続着工
25 Nov 2025
中国では11月18~19日の2日間で、中国広核集団(CGN)による「PWR=華龍一号(HPR1000)」の新規建設が2サイトで相次いで始まった。
三澳原子力発電所(浙江省)3号機が着工
11月19日、浙江省温州市で三澳(Sanaocun)原子力発電所3号機(華龍一号、121.5万kWe)が着工した。三澳プロジェクトは2007年にサイト調査が開始され、2015年に国家能源局が総計6基のサイト取得・整備作業等の実施を承認。2024年8月には国務院常務会議がII期工事として3‒4号機の建設を承認し、今月13日に国家核安全局(NNSA)が建設許可を発給した。I期工事の1・2号機(各120.8万kWe)は、2020年12月31日と2021年12月30日にそれぞれ着工している。プロジェクト完成後、浙江省および長江デルタ地域に年間540億kWh超の電力供給が見込まれている。
招遠原子力発電所(山東省)1号機も前日に着工
前日の11月18日には、山東省煙台市で招遠(Zhaoyuan)原子力発電所1号機(華龍一号、121.4万kWe)が着工した。招遠プロジェクトも6基の「華龍一号」建設を計画しており、省内の原子力・風力・太陽光・蓄電を統合したクリーンエネルギー産業クラスター形成を担う重点プロジェクトである。2024年8月に国務院がI期工事として1‒2号機の建設を承認し、NNSAが今月13日に建設許可を発給した。
本プロジェクトでは、「華龍一号」に初めて二次系循環冷却技術を採用し、高さ203m、散水面積16,800㎡となる自然通風冷却塔6基が設置される予定である。この冷却塔により、タービン建屋の直接冷却源は海水から大気へと切り替えられ、海水は補給水としてのみ使用される。海水を大量に汲み上げて循環させるポンプや海水処理設備の稼働による電力消費を抑え、冷却水のリサイクルを実現して冷却水源の安全確保が可能になるとしている。自然通風冷却塔はその大きな貯水容量により、外部からの補給水が途絶える特殊な状況でも、少なくとも2時間は原子炉の継続運転を確保。また本プロジェクトでは、「華龍一号」に対して初めて原子力級の機械通風冷却塔を配置。大容量の貯水池を備え、補給水が失われた状況でも、原子炉に対して30日以上の冷却能力を提供し、原子炉側の冷却安全性を一層強化するという。中国の原子力発電所は通常、沿岸沿いにあるが、将来的には、内陸地での原子力プロジェクトの開発を視野に入れる。同建設プロジェクト完了後、発電量は年間500億kWhに達し、約500万人の年間電力需要および生活需要を満たす規模になると予測されている。さらに同発電所は、山東省膠東半島におけるクリーン暖房ネットワークに利用され、原子炉1基あたり約1,000トン/時の蒸気供給を行い、発電所周辺地域を含む、1,500万㎡以上の範囲をカバーする計画。今後、産業用蒸気や原子力水素生産、海水淡水化などでの利用も検討されている。





