ドイツでVVER燃料製造が認可
13 Aug 2026
ドイツのニーダーザクセン州環境省は7月22日、仏フラマトム傘下のAdvanced Nuclear Fuels(ANF)社がニーダーザクセン州リンゲンの燃料製造工場で計画する、ロシア製PWR=VVER向けの燃料集合体の製造設備への改造を、厳しい安全対策を条件に認可した。
ANF社は2022年3月、ニーダーザクセン州環境省に対し、リンゲンの燃料製造工場でロシア設計の六角形のVVER用燃料集合体を製造するため、製造・試験設備の変更や追加設備の設置を含む改造を申請した。ロシア国営原子力企業ロスアトム傘下の燃料製造企業TVEL社が保有するライセンスと技術を用いて、欧州で稼働するVVER向け燃料の製造と供給を目的としている。
本申請は、その直前の2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を受け、大きな物議を醸した。同州のC. マイヤー環境相は認可にあたり、ロシアとの原子力分野での協力は政治的に「根本的に誤り」と強く批判し、ロシアへの依存を減らすべきだとの立場を改めて表明した。しかし、ニーダーザクセン州は原子力法に基づき、連邦政府の委任行政として認可を発給する立場にあり、連邦監督当局は安全保障上の評価を見直した結果、「法的に認可を拒否できる根拠はない」と判断。州政府は今回、これに従って認可した。EUが現在、ロシア産ウランや原子力分野に対する制裁を導入していないことも認可の背景にあった。
但し、認可には厳格な条件が課せられた。TVEL社やロスアトム、関係する職員の工場への立入りは原則として禁止され、例外的な立入りも監督当局の同行が必要となる。また、ロシア製のハードウェアおよびソフトウェアは第三者による安全性検証を受け、工場内の他のシステムから完全に分離。さらに、ロシアから搬入されるガドリニウム燃料棒は全数について二重の改ざん検査を実施し、従業員に対してもスパイ・妨害工作対策の教育を定期的に行うことが義務付けられた。
ロシア製VVERは現在、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ハンガリー、フィンランドで全19基が稼働、各国で国内電力供給の1/3~2/3を生産している。ロシアのウクライナ侵攻後、これら欧州の発電事業者は、燃料調達の代替サプライヤーへの切り替えを順次進めているが、ロシア製燃料はいまだ多くの原子炉で利用されている。2023年4月にはドイツの原子力発電所の段階的廃止が完了し、ドイツ国内市場はほぼ消滅。フラマトム/ANF社は2023年にTVEL社との間で締結したライセンス契約に基づき、リンゲン工場でVVER用燃料を製造し、欧州の既存原子力発電所に供給していく考え。フラマトム社によると、今回の認可によりANF社での雇用維持と拡大が保証され、VVER向け燃料集合体は2027年から供給可能だという。
フラマトム社は、まずは欧州のVVERで実証済みの既存の燃料設計に基づく燃料製造・販売を実施する一方、100%欧州製のVVER用独自設計の燃料の開発、認定、認可取得、および製造も段階的に進めていく方針である。新規設計の認定には、規制当局の枠組みおよび通常の認証手続きに基づき、数年を要すると見込んでいる。





