米セントラス マイクロ炉向けHALEUを供給へ
30 Sep 2026
米国の濃縮事業者であるセントラス社は、米マイクロ炉開発事業者であるラディアント・インダストリーズ社およびアンタレス・ニュークリア社と、それぞれ高純度低濃縮ウラン(HALEU)の複数年供給契約を締結した。
ラディアント・インダストリーズ社とは9月9日に契約を締結。同社が開発する、ヘリウムガス冷却マイクロ炉「カレイドス」(電気出力約0.1万kW)は、遠隔地やデータセンター、米陸軍の「ヤヌス計画」などの防衛やその他の商業・産業用途を想定した可搬型マイクロ炉。ラディアント社は「カレイドス」の試験を経て、商業利用や国家安全保障分野への展開をめざしており、今回の契約によりHALEUを確保し、原子炉本体の開発と並行して燃料供給体制を強化したい考え。
一方、アンタレス・ニュークリア社とは9月17日に契約を締結した。同社は、ナトリウムヒートパイプ冷却マイクロ炉「R1」(電気出力100kW~1,000kW)を開発しており、今回の契約により、宇宙・国家安全保障分野を含むR1の開発・展開に必要なHALEUを確保する。R1は、ノースカロライナ州フォート・ブラッグにおける米陸軍の「ヤヌス計画」やテキサス州サンアントニオ統合基地における米空軍の「先進原子力プログラム(ANPI)」にそれぞれ採用されている。また、宇宙用原子炉の実証を目的とした宇宙軍の「戦略的ブレークスルー賞」にも選定されている。
セントラス社は米エネルギー省(DOE)とのHALEUの実証生産に関する2022年の契約に基づき、オハイオ州パイクトンにある米国遠心分離濃縮プラント(ACP)で2026年6月末までに累計1,900kg以上のHALEUを生産した。現時点でACPは西側諸国で唯一、HALEU生産の認可をもつプラントである。
米国が最後に所有した大規模なウラン濃縮工場(ガス拡散法)は1950年代に建設され、2013年に永久に閉鎖されており、米国は現在、濃縮ウラン供給を海外企業に完全に依存している。今後数年で原子力発電向け需要の増大が予想され、2028年からロシア産濃縮ウランの輸入が完全に禁止される中、米国所有のウラン濃縮能力の拡大が喫緊の課題となっている。こうしたなか、セントラス社は2025年12月、HALEUおよび低濃縮ウラン(LEU)の大規模生産を含む、数十億ドル規模の拡張計画を開始。今回の供給契約では代金の前払いが定められ、同社の生産能力拡大を資金面で後押しする。同社は商業利用や国家安全保障分野向けの可搬式マイクロ炉の展開に向けて、2020年代末までにHALEUの供給を開始する計画だ。
なおセントラス社は、同社のAC100遠心分離機について、実用化段階にある唯一の米国発祥の技術であり、製造も国内のサプライチェーンに依存していると強調。このため、海外起源の技術や資材使用による平和利用上の制約を受けず、国家安全保障/防衛用途に使用可能になるとしている。





