原子力産業新聞

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IT大手 相次ぐ原子力発電への投資

08 Oct 2026

桜井久子

© @ConstellationEG/ X

AIやデータセンター、デジタルインフラの拡大は低炭素で信頼性の高い電力に前例のない需要を生み出しており、IT大手各社は原子力発電の価値に注目している。9月末~10月初めにかけて、IT大手各社が原子力発電所の出力増強や運転期間延長を支援する長期の電力購入契約(PPA)の締結が相次いだ。大口電力需要者が信頼性の高い、クリーンエネルギーの原子力発電に投資することで、電力システムを強化、地域全体のエネルギーコストを安定化するとともに、出力増強や設備投資に伴うコストを一般の電力利用者に負担させないことを重視している。

■Amazon

Amazon社は9月30日、米国最大手の電力会社コンステレーション社と、同社がメリーランド州で1970年代後半から運転する、カルバートクリフス・エネルギー・センター(PWR×2基、各90万kW級)の19万kWeの出力増強を支援する20年間のPPAを締結した。増強分は2030年~2032年に運用を開始する見込み。同契約に基づくAmazon社の投資額は30億ドルに上り、増強分を含む69万kWの電力供給を確保する。両社はまた、系統運用者PJMの市場全体でAmazon社の事業に電力を供給するため小売電力供給契約も締結。PJMは13州とコロンビア特別区の電力網を管理している。Amazon社との長期契約により、コンステレーション社は安定した収益を見込めるようになり、さらに20年間の運転期間延長認可の取得や、同サイト内での新たなクリーンエネルギー源の開発を進める考えだ。現在の1-2号機の運転認可期間は、それぞれ2034年7月と2036年8月までとなっている。

■Google

Google社は10月6日、コンステレーション社と、同社が運転する既設炉11基の出力増強を支援する長期PPAを締結した。原子力発電所6サイトでタービン、蒸気発生器、デジタル制御システムなどを改修し、2032年末までに原子炉の1基の新設に相当する計89万kWeの出力増強を図る。対象となるのは、PJM管内のイリノイ、ペンシルベニア、ニュージャージー各州で運転中の発電所。また、管内のコンステレーション社の既存発電設備から270万kWeを調達する15年間のPPAも締結。Google社は今回の契約により、約4,400の既存雇用の維持と、建設期間中の約7,200の新規雇用創出につながるほか、設備投資やサプライチェーンの強化を促進し、43億ドル超の新規投資につながると試算している。出力増強に伴うコストを他の電力利用者に転嫁しないことも強調している。さらに契約には、Google CloudのAI「Gemini Enterprise」をコンステレーション社の発電所に導入する取組みも含まれ、AI活用により、出力増強の計画や建設作業、運転を効率化し、電力供給の早期実現をめざしている。

Google社はこれまでにも原子力発電所の運転再開や出力増強を支援しており、今回を含め、米国内で新たに確保した原子力発電設備容量は計150万kWe超える。ジョージア州ではジョージア・パワー社のボーグル1-2号機(PWR, 各120万kW級)、ハッチ1-2号機(BWR, 90万kW級)の4基への計9.6万kWeの出力増強を支援し、運転期間を通じて一般の電力利用者に約9億ドルの便益をもたらすほか、アイオワ州ではネクストエラ・エナジー社とデュアン・アーノルド発電所(BWR, 62.4万kWe)の運転再開を進めている。また、テネシー峡谷開発公社(TVA)は、2030年にテネシー州オークリッジで運転開始予定のケイロス・パワー社のフッ化物塩冷却高温実証炉ヘルメス2発電所(出力5万kWe)から電力を調達するPPAを締結。TVAを通じて地域のGoogle社のデータセンターに電力が供給される計画である。

米エネルギー省(DOE)は2030年までに既設炉の出力増強・運転再開によって500万kWeの原子力発電設備容量の拡大を目標としており、Google社は自社の取組みでその約25%を実現できると指摘する。データセンターによる電力需要の増大を見据え、既設炉を活用して大型炉の新設よりも短期間で安定した電源を確保したい考えだ。

■Oracle

Oracle社は10月2日、ネクストエラ・エナジー社がウィスコンシン州で1970年代初めから運転するポイントビーチ原子力発電所1-2号機(PWR, 各64.0万kWe)の電力の一部を購入する方針を発表した。これにより、発電コストの上昇分約3億ドルをOracle社が負担し、ウィスコンシン州の100万人超の電力利用者への電気料金負担を抑えるとしている。

今回の取組みは、Oracle社がウィスコンシン州ポートワシントンで進めるAIデータセンター「Project Lighthouse」への投資の一環。Oracle社は同データセンターが建設期間中に4,000人超の雇用を創出し、稼働後には約1,000人の雇用を生み出すほか、地域経済に110億ドル超の効果をもたらすと見込んでいる。また、データセンターに必要なエネルギー費用をOracle社が全面的に負担し、一般の電力利用者に追加負担を求めることなく、送電網の信頼性を維持し、カーボンフリー電力の活用を進めるとしている。

Oracle社の発表では具体的な購入電力量や契約期間などは明らかにされていない。計画はウィスコンシン州公共サービス委員会(PSC)の承認が必要で、現時点では確定した契約ではない。

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