原子力産業新聞

海外NEWS

ロールス・ロイス 英ダービーにSMR製造開発拠点を開設へ

09 Jul 2026

桜井久子

© Rolls-Royce SMR

英ロールス・ロイスSMR社は626日、イングランド中部のダービーシャー州にある工業都市ダービーに約1,200万ポンド(約24億円)を投じ、製造開発拠点「Pioneer Works」を開設すると発表した。欧州でのSMR(小型モジュール炉)展開を支える製造基盤の強化が目的。同施設は同社初の製造開発センターであり、英国、チェコ、スウェーデンで進めるSMR建設プロジェクトの実施に向けて、専門的なエンジニアリング・製造工程を確立し、精密組立や先進的な試験を実施する中核拠点となる。

Pioneer Worksは、一次冷却系や高い品質管理が求められる機器の製造・組立技術、試験手法を開発・検証する施設として運用される。ここで製造プロセスを事前に確立・検証することで、実際のSMR建設時のリスクと作業量を低減。従来の現地中心の建設方式から、工場で効率的に製造、現地で組立するモデルに転換し、ロールス・ロイスSMR社の量産モデルを支える役割を担う。同施設では、燃料や放射性物質は扱わない。なお、同社は今年5月には、原子炉設備(Nuclear Island)の主要機器のサプライヤーとして、チェコのシュコダ(Škoda)社と韓国の斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)社と契約しており、国際分業により、欧州でのSMR事業の展開を加速する考えだ。

同施設は2026年第4四半期の稼働開始を予定しており、高度なエンジニアリングや溶接、試験、精密組立、製造開発などの分野で約40の高度技能職の長期雇用の創出・維持が見込まれている。また、次世代の技術者育成を目的とした同社初のトレーニングセンターとしても機能し、将来のSMR建設を担う人材の育成を進める方針。

さらに、同施設はシェフィールド大学先進製造研究センター(AMRC)内にある既存の「EXPERI」施設と連携し、設計・試作からモジュール製造・組立まで一貫した開発体制を構築する。

ロールス・ロイスSMR社は、英国初のSMR導入を目指す英政府から優先権者に選定され、同社製SMRPWR, 47kWe×3基の建設を北ウェールズのウィルヴァで計画。また、英政府系機関Great British Energy – NuclearGBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。

さらに同月には、チェコ電力(ČEZ)とテメリン・サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結。サイト固有設計や許認可準備など、初期エンジニアリング作業を実施している。

スウェーデンでは、新規建設のプロジェクト会社ビデバーグ・クラフト社が今年6月、英ロールス・ロイスSMRの採用を決定し、リングハルス発電所サイトの近隣に3基の建設に向けて詳細な計画策定を進めている。

cooperation