原子力産業新聞

海外NEWS

米DOE ビストラの原子力発電所に42億ドルを融資へ

14 Oct 2026

桜井久子

C. ライトDOE長官がペリー発電所を訪問
© @VistraCorp/ X

米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing, EDF)は10月5日、米電力大手のビストラ(Vistra)社に対し、同社がペンシルベニア州とオハイオ州で運転する3つの原子力発電所の出力増強や改造工事を資金面で支援するため、最大42億ドルの条件付き融資を行うと発表した。なお融資の実行には、ビストラ社が技術面、法務面、環境面、財務面で一定の条件を満たす必要がある。

本融資は、13州にまたがる系統運用者PJMの管轄地域で増大する電力需要への対応や電力の安定供給、送電網の強化、エネルギーコスト削減が目的。対象となるのは、ペンシルベニア州にあるビーバーバレー(PWR, 95万kW級×2基)、オハイオ州のデービスベッセ(PWR単機, 92.5万kW)、ペリー(BWR単機, 130.3万kW)の各発電所。300万世帯以上に電力供給が可能な約400万kWの設備容量が維持されるとともに、43.3万kWの設備容量が追加され、ペンシルベニア州やオハイオ州、およびPJM地域全体での電力需要増に対応する。発電所の改造工事に伴い、エンジニアリング、建設、停止期間中の保守作業など、プロジェクトに関連して約3,000人の雇用が創出されるほか、数千人分の高賃金の常勤雇用も維持されると見込まれている。

米IT大手のメタ・プラットフォームズ(Meta)社は2026年1月、データセンターやAIインフラの稼働に必要な電力の安定確保を目的に、これら3つの発電所から計217.6万kWの電力を2026年後半から20年間購入する電力購入契約(PPA)を締結し、これら発電所で2034年までに計43.3万kWの出力増強を行う計画を支援することでも合意している。

ビストラ社によるこれらの発電所への投資は、同等規模の新規建設をすることなく既存発電所の発電能力を増強するとともに、運転認可の20年間延長に向けた取組みを支える。なおDOEによる本融資には、同社がテキサス州で運転するコマンチェピーク発電所(PWR, 125万kW級×2基)における将来的な出力増強への資金提供オプションも含まれている。コマンチェピーク発電所については、ビストラ社は2025年9月、Amazon Web Services(AWS)社と同発電所から最大120万kWの電力を20年間供給するPPA(最大20年間の延長オプション付き)を締結している。電力供給は2027年第4四半期に開始され、2032年までに最大量に達する見込み。

cooperation