原子力産業新聞

メディアへの提言

  • 2019年04月25日

    SNS時代にふさわしいメディアチェックとは ― おかしな記事を評価して、世間に知らせる活動をもっとやろう
    おかしな新聞記事やテレビニュースを見つけたときに、まずだれもが思いつくのが「訂正の要求」か「抗議文の送付」だろう。しかし、相手が完全に無視したら、どうすればよいのか。そのひとつが相手の評判を落とすアクションだ。どのメディアも世間の評判には弱い。そのやり方を私なりに考えてみる。私が共同代表を務めるメディアチェック団体「食品安全情報ネットワーク」(もう一人の代表は唐木英明・東大名誉教授)は、科学的な根拠がないか、あるいは乏しい記事を見つけたら、その媒体に訂正を求めたり、意見書を出したりする活動を続けている。学者や記者、企業の品質保証担当者、公的機関の研究者など約50人が集まったボランティア団体であ
  • 2019年02月28日

    メディアへの訂正要求は多角度から試してみよう
    おかしな記事やニュースを見たとき、だれに、どうやって訂正を求めればよいのか。また、どんな方法で抗議をしたらよいのか。日本のメディア(新聞やテレビなど)には残念ながら、欧米のメディアと異なり、反論を載せてくれるコーナーや番組が存在しない。では、どうすればよいか。狙ったメディア内で、できるだけ多くの人(記者も含め)に周知してもらう作戦がよい。その具体的なやり方を紹介しよう。七つのルート新聞社やテレビ局などに訂正を求める場合、限られたルートしかないようなイメージがあるが、実は案外と多い。思いつくだけでも、以下の七つの方法がある。記事を書いた記者本人に抗議し、訂正を求める。記者の直属の上司(多くは部長
  • 2018年12月06日

    メディアの間違いにどう対処すればよいか ― 記事の弱点を突き、照準をしぼることが肝要
    新聞やテレビをはじめメディアの“誤報”にたびたび苦杯をなめてきた体験をお持ちの方は多いはずだ。しかし、誤報と分かっても、たいていは文句も言えず、泣き寝入りで終わるケースがほとんどだろうと察する。では、どうすればよいか。果敢に訂正を求めるアクションを起こすしかない。ただアクションを起こすからには賢い方法を身に着けておくことが必要だ。どんな方法か?賢い方法のヒントは、日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件にある。東京地検は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕し、立件を進めている。犯罪を立件するなら、背任や横領のほうがニュース価値は高いが、なぜ、有価証券報告書の虚偽
  • 2018年10月10日

    科学者は市民意識でアクションを
    なぜ、科学者は市民に負けるのか。これが前回コラムのテーマだった。今回は、では、どういう場合に科学者が市民に勝つ(科学者の意見が世間やメディアに伝わることを勝つと定義)のかを考えてみたい。具体的な例を示すのが一番よいだろう。東京の築地市場が豊洲に移転するかどうかをめぐって、当時の小池知事は「(豊洲に移転することは、科学的にみれば安全かもしれないが、安心が達成されていない」といったニュアンスの発言を繰り返していた。豊洲の地下水から発がん性物質のベンゼンが環境基準値を超えて検出されたため、新聞やテレビなどのメディアも、さも健康被害が生じるかのような論調を展開していた。しかし、その地下水は飲み水ではな
  • 2018年07月30日

    なぜ、科学者は”市民”に負けるのか ― メディアと市民と科学者の力学について ―
    なぜ、多数派の科学者の考えが市民にしっかりと伝わらないのか。これが、長く記者生活を送ってきた私の現在の疑問である。たとえば、牛の放射性セシウムの検査。農水省の調査によると、2013年以降、牛肉からは基準値の1キログラムあたり100ベクレルを超える例はない。もはや牛のセシウム問題は収束したといってよい。ところが、福島だけでなく、東日本の他県の牛まで延々と全頭検査が続いている。おそらく食品科学に詳しい専門家100人に聞けば、99人が「検査する根拠はない」と答えるはずだ。ところが、それを言い出す科学者はいないし、メディアもあまり伝えない。もし10人の科学者が農水省の記者クラブに飛び込み、「いつまで、

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