原子力産業新聞

発電所と地域を
つないだ人たち

女川原子力発電所2号機の再稼働を支えたのは、技術者だけではない。地域との対話を重ねてきた社員や、数千人規模の工事を支える総務業務を担ってきた社員もいる。

2026.08.20

text:佐藤敦子

地域とともに迎えた再稼働

広報部 加納大揮氏

2013年に女川町へ赴任した加納大揮氏は、総務業務を経て地域対応を担当した。現在は広報業務に携わるが、地域対応を担っていた7年間、町の区長や漁業関係者、商工関係者などと日常的に接しながら、発電所の状況や工事の進捗を伝えてきた。プライベートでも水産加工者の若手経営者等で組織する「女川水産加工研究会」など、地域のさまざまな団体に所属し、地域の行事やまちづくり活動に積極的に参加してきたという。

「東北電力が信頼されるには、どうしたらいいかってやっぱりまずは私自身個人を信用してもらう、それが大事なんじゃないかと思います。私が対応した人の中には、あまり電力に対していい思いはなかったけれど、プライベートも含めて関わっていくうちに、こういう人もいるんだなって理解してもらい、『原発もいいんじゃない?』との話をいただけることもありました」

加納氏は13年間、地域の一員として女川町で人とのつながりを築いてきた。

「町の一員」として向き合い続ける対話

町内で印象に残っている会社を尋ねると、加納氏は少し考えてからこう答えた。

「女川は小さな町ですが、さまざまな会社があるので…」

一つに絞るのが難しいくらい、13年間で出会った顔が浮かんだのかもしれない。

地域の一員として活動するなかでは、宿泊施設や飲食店、水産加工業者、漁業関係者など、多くの人たちと向き合う。再稼働を歓迎する声が聞かれる一方、工事完了後の人員減少による地域経済への影響を懸念する声もあった。

「工事が終わった後の経営が心配だ」

宿泊施設や飲食店からは、そんな切実な声も寄せられた。
その一方で、町を盛り上げるために地域の若手も奮闘している。大阪・関西万博では女川町が日本一の生産量を誇る養殖銀鮭のPR活動を行なった。加納氏も東北電力としての立場ではなく、地域の若手の一人として参加した。

大阪・関西万博の宮城県ブースで銀鮭のPR活動に参加した加納氏(左)。
地域の若手の一人として加わった。

「東北電力の看板は背負わなければいけない。でも、まず信頼されるのは個人から。それが第一歩だと思っています」

 

ピーク時「6,000人」を支えた総務の仕事

総務グループ 須藤修平氏

再稼働に向けた工事が最盛期を迎えた2023年夏ごろ、女川原子力発電所では協力企業社員と東北電力社員を合わせて約6,000人が構内に出入りしていた。これは現在の女川町の人口とほぼ同規模にあたる。総務グループの須藤修平氏は2022年に女川原子力発電所へ着任。清掃や食堂運営、浄化槽管理、車両管理など、発電所の日常を支える各種業務の管理・運営を担当してきた。

工事のピーク時には、発電所へ向かう車両による渋滞が発生し、正門ゲートに入るまで1時間待ちになることもあったという。

「2022~23年は基本的に常時ピークでした。さまざまな業務が重なり、その調整をずっとやっていたような状態でした」

総務グループでは発電所に入構する企業の出退勤時間を調整するなどして混雑を緩和したほか、構内で活用できそうなエリアを環境整備して臨時駐車場を確保するなどの対応も行った。
新規制基準への対応では、竜巻防護対策の一環として構内車両の固縛管理も求められるようになった。須藤氏らは委託業者へのルール周知や運用調整にも対応したという。

「正直、忙しすぎて手一杯だった時期もありました」

工事のピーク時、総務グループもまた再稼働対応の最前線にいた。

総務の仕事も地域とともに

発電所の日常を支える業務の多くは、女川町内の企業約90社で構成する女川商工事業協同組合を通じて地元企業へ発注している。同組合は事務用品の調達に加え、自動販売機や食堂の運営など、さまざまな業務を担っている。
須藤氏が「総務グループが一番お世話になっている会社」と話すのが、同組合の窓口である芳文堂の三浦常務理事だ。事務用品や什器などの調達を担い、再稼働工事の期間中は急な備品手配や追加発注にも迅速に対応してきたという。

須藤氏(左)と芳文堂の三浦常務理事。
日常的なやりとりが発電所の運営を支える(東北電力提供)

「今でも毎日のように三浦さんと話しています」

再稼働後もその歩みは続いていく。

 

※所属・役職は5月取材時のものです

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