
加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は2月2日、自社が所有・運転するダーリントン原子力発電所4号機(カナダ型加圧重水炉=CANDU炉、93.4万kWe)の改修工事を終了、これにより同型の全4基の改修工事が予定より4か月早く完了し、改修コストも当初予算を1.5億加ドル下回ったことを明らかにした。改修により、今後少なくとも30年間、2055年までの運転期間の延長が可能になる。2016年10月の同2号機の改修開始を皮切りに、総額128億加ドルを投じて実施され、支出の96%が州内に留まったという。改修工事全体では、合計1,920の燃料チャンネルと3,840の給水管の交換など、延べ数百万時間に及び作業が行われた。4号機は数週間以内に営業運転を再開予定。改修工事や運転継続による雇用創出は年平均14,200人と見込まれ、州への経済効果は900億加ドルに達すると予想されている。OPG社は、今回の成功は主要プロジェクトパートナーやベンダーなどの何千人もの熟練労働者との連携、そして各炉改修から得られた効率化と教訓の成果によるものであると強調。複雑な原子力プロジェクトを予定より早く、予算内で成功裡に完了できることを世界に示したとしている。本改修工事を通じて得られた8,000もの教訓や技術を活用して、今後はピッカリング原子力発電所5-8号機(CANDU炉、各54万kWe)の改修、ダーリントン・サイトでの小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(BWR、30万kWe)×4基の建設、ポートホープ自治体で提案している大規模原子力開発など、将来のプロジェクトを進めていく方針だ。なお、OPG社は2月12日、ポートホープ自治体にあるウェスリービル・サイトで最大1,000万kWeの新規原子力発電の導入可能性検討に向け、同自治体と協力推進に関する覚書を締結した。同社は今年1月、同サイトにおける原子力発電所新設計画について、初期プロジェクト概要(Initial Project Description: IPD)をカナダ環境影響評価庁(IAAC)に提出。これにより、同計画は連邦政府による影響評価(Impact Assessment: IA)手続きの初期段階に入っている。ウェスリービル・サイトはオンタリオ湖沿岸に位置する約1,300エーカー(約5.26㎢)の敷地で、1970年代に石油火力発電所の建設を検討していた。既に電源開発地に分類され、送電網や鉄道、道路などのインフラにも近接している。
16 Feb 2026
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ルーマニア国営原子力発電会社ニュークリアエレクトリカ(SNN)は2月12日、南部ドゥンボビツァ県ドイチェシュティ(Doicesti)で計画されている小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトの最終投資決定(FID)を承認した。これによりプロジェクトは分析段階から実施段階へ移行し、順調に進めば欧州初のSMR導入例となる見通しだ。同プロジェクトは、ドイチェシュティの旧石炭火力発電所跡地に、米ニュースケール・パワー社製SMRである出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)を建設するもの。SNNと民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社の合弁企業のロパワー・ニュークリア(RoPower Nuclear)社が中心となり、EPC(設計・調達・建設)大手でニュースケール社の大株主でもある米フルアー(Fluor)社、韓サムスンC&T社(サムスン物産)、米サージェント&ランディ(Sargent & Lundy)社などが参画している。プロジェクトは2022年9月に正式に開始され、2023~2024年に基本設計の第1・第2段階(FEED1、FEED2、Front-End Engineering and Design)が完了。IAEAによる独立評価も実施され、サイトの妥当性が確認されている。今後、ロパワー・ニュークリア社は2026年5月までに地質調査、許認可手続き、長納期機器の契約交渉、サプライチェーン整備など、第3段階(Pre-EPC)入りに向けた準備作業を進める。続く約15か月の第3段階(Pre-EPC)では施工体制の確立を図り、並行して投資・資金調達の枠組みを構築、2030年代初頭の運転開始をめざす。ルーマニアのB. イワン・エネルギー大臣は今回のFID について、「欧州の新たな原子力産業の最前線に立つ重要な一歩だ」と強調。開発段階では約4,000人の雇用創出が見込まれ、長期的な国内産業の発展にも寄与するとした。また、ニュークリアエレクトリカのC. ギータCEOは、世界の計画中のSMR設備容量が2021年以降65%増の2,200万kWに達したと指摘し、「SMRはエネルギー安全保障と脱炭素の現実的な解となりつつある」と述べた。同プロジェクトは、ルーマニアのエネルギー安全保障、脱炭素、電力供給の安定化を同時に達成する国家戦略に合致したものであり、建設・製造・運転を通じた、国内産業の拡大や関連投資の誘致も期待されている。なお本プロジェクトは、ルーマニア政府に加え、米国貿易開発庁(USTDA)の技術支援金、米輸出入銀行(US EXIM)および米国際開発金融公社(US DFC)による資金支援など、米国政府からの後押しを受けている。さらに、日本企業ではIHIがサムスンC&T社から原子炉建屋用鋼製モジュールのモックアップ製作を受注するなど、国際的な協力体制の下で進められている。
16 Feb 2026
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米エネルギー省(DOE)は1月28日、燃料サプライチェーンの強化、燃料サイクル全体の刷新を目的に、全米の各州に対し、原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス(Nuclear Lifecycle Innovation Campuses)を誘致する関心を問う、情報提供要請(RFI)を開始した。締切は2026年4月1日。DOEは、今回の措置について、地域経済の活性化を図るとともに、連邦政府と州政府が連携して国内の原子力エネルギー戦略を構築するための第一歩になるとの考えを示した。DOEのC. ライト長官は、「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパスは、トランプ大統領の米国の原子力基盤再生に向けた優先事項であり、州と直接協力する機会をもたらすもの」と指摘した。同キャンパスでは、燃料の製造、濃縮、使用済み燃料の再処理、廃棄物処分など、燃料のライフサイクル全体にわたる活動を実施。州の優先事項や能力に応じて、これらのサイトで、先進炉の配備、発電、先進技術による製造、データセンターの共同設置なども支援できる可能性があるとしている。DOEは州に対し、同キャンパスの誘致への関心表明に加え、州が担える人材育成、インフラ整備、経済の多様化、技術的リーダーシップといった戦略的優先事項や、州が想定する活動の範囲を示すなど、建設的なフィードバックを求めている。また同キャンパスの設立・維持に必要な資金調達構造、リスク共有案、その他必要な支援やインセンティブ、連邦政府との連携についても意見を求めている。なおDOEは、本キャンパスの実現に民間資本と州資本を優先、連邦による支援は対象を限定した条件付きかつ期間限定とし、大規模な人材育成、環境保護対策、核不拡散に配慮した運営を想定。同キャンパスが多大な利益を生み出し、エネルギー安全保障を向上させ、原子力分野における国際的なリーダーシップを強化する可能性を秘めていると強調する。DOEは、米国の電力需要が消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測し、2050年までに原子力発電設備容量を4億kWeに拡大する野心的な目標を掲げている。一方で、使用済み燃料の蓄積・滞留や放射性廃棄物の最終処分地の問題は未解決のままである。今回の措置により、州との連携を強化してこれらの問題を解決し、原子力拡大路線を堅持したい考えだ。また、DOE原子力局は2月5日、使用済み燃料・放射性廃棄物を大幅に減容し、エネルギー資源を最大限に活用するために、米国企業5社に合計1,930万ドルを助成して使用済み燃料のリサイクル技術の初期段階の研究開発を支援すると発表した。2024年12月に使用済み燃料リサイクル技術の研究開発活動を支援するとしたDOEの発表を受けたもの。DOEは、米国の既存炉はウランのエネルギーポテンシャルの5%未満しか使わないが、使用済み燃料のリサイクルにより、資源利用率を約95%まで高め、廃棄物量を約90%削減、必要な新規ウラン量を減らすことができ、さらに、医療・産業・防衛分野で利用可能な放射性同位体の回収可能性もあると指摘。本取組みは、2025年5月の大統領令「国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入」「原子力産業基盤を再活性化」に即したものであり、T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「使用済み燃料は、米国にとって未活用の貴重な資源。リサイクルは資源を無駄なく使い、エネルギー自立と経済成長につなげる現実的な政策だ」と強調している。助成先に選定された5社は以下のとおり。国の厳格な核不拡散基準の遵守が前提。助成条件として、プロジェクトの期間は最大3年間、コストシェアリング(最低20%が企業側負担)となる。アルファ・ヌール社(Alpha Nur Inc.)研究炉由来の使用済み燃料から高濃縮ウランを回収し、小型モジュール炉(SMR)向け燃料(高アッセイ低濃縮ウラン: HALEU)に変換する技術を研究。キュリオ・ソリューションズ社(Curio Solutions, LLC)使用済み燃料から六フッ化ウランガスを製造する技術を開発。フリベ・エナジー社(Flibe Energy Inc.)電気化学的方法による使用済み燃料処理を研究。オクロ社(Oklo Inc.)熔融塩中での重元素の挙動を調べ、乾式処理施設の最適化を研究。シャイン・テクノロジーズ社(Shine Technologies, LLC)使用済み燃料のハイドロプロセシングと併せ、輸送・貯蔵・処分を一体化したプロセス設計を開発。先進炉やSMRの普及、脱ロシア依存政策によるHALEUの供給危機のため、使用済み燃料のリサイクルは、燃料供給を確保するとともに、使用済み燃料の蓄積・滞留や最終処分場が決まらない中、廃棄物管理の長期的持続可能性を支援する対応といえる。
13 Feb 2026
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英国で原子力発電所を所有・運転するEDFエナジー社は1月21日、今後の重点施策をまとめたレポートを公表し、2026年から3年間で12億ポンド(約2,300億円)を投じ、運転期間延長を図る方針を示した。同社は現在、英国で9基の原子炉を運転している。2025年の総発電電力量は329億kWhで、英国の総電力消費量の約12%を占めた。前年を下回ったものの、2009年のブリティッシュ・エナジー社買収時の想定の3倍超の発電量を確保した。2026年は約360億kWh、2027年は約370億kWhを見込む。1995年に営業運転を開始したサイズウェルB(PWR、125万kW)は高い設備利用率を維持。2025年の設備利用率は99%、発電量は104億kWhで、英国の原子力発電量の約3割を占めた。2035年までとされる運転期間については、事業性の確保を前提に2055年までの延長を検討している。残りの改良型ガス冷却炉(AGR)についても、トーネス1、2号機(各68.2万kWe)およびヘイシャムB 1、2号機(各68万kWe)は2030年3月まで、ヘイシャムA 1、2号機(各62.5万kWe)およびハートルプール1、2号機(各65.5万kWe)は2028年3月までの延長が決定している。同社は、各炉が寿命後半にあることも踏まえ、安全性と経済性が確保される範囲で延長の可否を判断していくとしている。さらに、ヘイシャム(イングランド北西部)とトーネス(スコットランド)についても、既存インフラと人材基盤を備えるサイトとして将来的な活用可能性に言及した。政府や民間企業と連携しての既存サイトを活用した新規原子力開発も進めており、ノッティンガムシャー州の旧コッタム火力発電所跡地では、EDFエナジー社が参画する小型モジュール炉(SMR)とデータセンターの統合構想が進行中。ハートルプールでは、英セントリカ社と米X-エナジー社が高温ガス炉の導入を検討しており、EDFエナジー社は技術的知見の提供を通じて関与している。
13 Feb 2026
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米大手電力会社でフロリダ州に本拠地のあるネクストエラ・エナジー社は1月27日、2025年第4四半期の決算説明会を開催。AIやクラウドサービスの拡大に伴い急増する電力需要を背景に、同社が所有する複数の既存サイトや新規サイトを開発し、最大600万kWeの小型モジュール炉(SMR)の追加配備を検討していることを明らかにした。ネクストエラ社は現在、フロリダ州以外に所有する既存サイトについて、先進原子力導入に適した状態にあるとし、様々なSMR炉型の詳細評価を実施。2025年10月に発表した米IT大手のGoogle社との25年間の電力購入契約(PPA)により実現した、アイオワ州デュアン・アーノルド原子力発電所(BWR、62.4万kWe)の運転再開に向けた作業も進めている。同PPAにより、Google社が25年間にわたり電力を固定価格で購入するため、ネクストエラ社は運転再開に必要な巨額投資を長期収益で回収できる見通しを得た。今回のGoogle社とのPPAは、政府補助に依存しない事例として注目を集めており、今後同社とは全米で原子力発電の展開についても検討することで合意している。アイオワ州唯一の原子力施設であるデュアン・アーノルド発電所は、1975年に運転開始。45年以上にわたり稼働したのち、経済性の悪化を理由に2020年に閉鎖された。当初は2034年までの運転が認可されていたが、地域電力会社との売電契約期間の短縮と同年の自然災害による設備損傷により、閉鎖が前倒しされた。AIやデータセンター需要の急拡大により電力不足が顕在化し、ネクストエラ社は運転再開の可能性を模索。2025年1月に米原子力規制委員会(NRC)への運転再開を申請しており、2029年第1四半期をメドに送電を開始したい考え。運転再開にあたっては、地元の合意も重要。今年1月初め、発電所が立地するリン郡の監督委員会は、ネクストエラ社とのホストコミュニティ協定の締結を承認した。同協定は、住民と公共の安全を最優先に考え、プロジェクトに関連する財政的影響が納税者ではなく、原子力プロジェクト会社への帰属を確認するもの。また同委員会は、ネクストエラ社によるサイトの再区画設定の申請を承認し、農地用途から原子力発電施設と廃棄物貯蔵専用として認定するなど、運転再開に向けた動きが着実に進められている。ネクストエラ・エナジー社は、傘下にフロリダ・パワー・アンド・ライト社ならびにネクストエラ・エナジー・リソーシズ社を所有。これら傘下企業を通じ、フロリダ州でターキーポイント3、4号機(PWR、各82.9万kWe)とセントルーシー1、2号機(PWR、各105万kWe級)、ニューハンプシャー州でポイントビーチ1、2号機(PWR、各64万kWe)、ウィスコンシン州でシーブルック発電所(PWR、129.6万kWe)を運転している。
12 Feb 2026
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ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は1月27日、ウズベキスタンの首都タシケントを公式訪問し、同国のS. ミルジヨーエフ大統領と会談した。会談では、ウズベキスタン東部のジザク州で進められている同国初の原子力発電所建設プロジェクトの状況について報告が行われた。ロスアトムが建設に協力する同プロジェクトでは、当初予定よりも前倒しで、今年3月にSMR初号機の原子炉建屋基礎部分への初コンクリート打設を実施する予定である。同プロジェクトは、低出力の先進炉と実績のある大型原子炉を同一サイトで導入する計画で、ロシア製SMR「RITM-200N」の2基に加え、大型炉VVER-1000を2基建設する。RITM-200Nは、舶用炉を陸上用に改良したPWRで、熱出力19万kW、電気出力5.5万kW。設計運転年数は60年。ロシア製SMRの初となる海外輸出プロジェクトで、2025年10月に、SMR初号機の原子炉建屋の基礎掘削工事が開始されている。ロシア国内では、サハ共和国北部のウスチ・クイガ村で同炉型の建設プロジェクトが進められている。会談では、2030年までにクリーンエネルギーの割合を52%に引き上げるというウズベキスタンの目標達成において、原子力発電が重要な要素であることが確認された。本プロジェクトは、2035年までに1.7倍に増加すると予想されるウズベキスタンの電力需要の増大に対応するもので、同発電所の稼働により、国内電力需要の最大14%を賄う見込み。建設ピーク時に約13,000人の雇用創出が期待され、社会経済的にも重要視されている。会談に併せ、ウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)のA. アフメドハジャエフ長官との実務会議も開催され、具体的なタスクや管理ポイント、期限を決定。IAEAの要件を含む国際的な原子力安全基準を完全に遵守し、スケジュール通りに事業を厳密に実施していく方針が示された。会議では、医療(診断と治療)、農業(種子と農産物の処理加工)、産業、科学など、電力以外での原子力の平和利用についても討議。リハチョフ総裁は、原子力発電所を拠点とし、エネルギー、科学、ハイテク生産、地域創成の社会プロジェクトを組合わせた原子力クラスターを構築する考えを示した。なお、両者は人材育成における協力を特に重視。ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)やロスアトムが拠点とする大学でのウズベキスタンの若手専門家向け訓練の継続・拡大に加え、タシケントにあるMEPhI支部の発展を支援することで合意した。現在、ロシアの大学やタシケントのMEPhI支部で数百人のウズベキスタンの学生の研修が行われているという。また、ロスアトムの燃料部門TVEL社はウザトムと、放射性廃棄物管理および原子力施設の廃止措置の協力に関する覚書を締結した。TVEL社は、情報交換のほか、ウズベキスタンにおける放射性廃棄物管理システムの開発や専門家育成を支援する。TVEL社とウズベキスタン科学アカデミー核物理研究所は、研究炉向けの燃料供給分野で既に協力の実績を有する。TVEL社は、独立国家共同体(CIS)加盟国との活動の枠組みの中で、合同セミナーや研修、技術視察の定期的な開催を通じ、放射性廃棄物管理問題に関する加盟国間の連携構築に取組んでいる。ベラルーシでは、ロシアの放射性廃棄物管理(最終処分)に関する国家オペレーター(NO RWM)に倣い、BelRAOが設立された。ベラルーシでは、放射性廃棄物の最終処分地を整備し、将来の施設操業に必要な人員の専門的な訓練を行うため、ロシアとの共同作業が進行中である。2025年11月、TVEL社はカザフスタンの国立原子力センターと、バックエンド分野における協力およびカザフスタンにおける放射性廃棄物処理のための国家システムの構築を目的とした覚書を締結している。
10 Feb 2026
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米ウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)は1月23日、テネシー州アンダーソン郡のオークリッジにある技術製造センターを拡張し、遠心分離機製造の大規模展開を促進すると発表した。同社は今後数年間で5.6億ドル以上を投じ、アンダーソン郡に約430人の新規雇用を創出、数千台の先進的な遠心分離機の製造を支える計画だ。遠心分離機製造は2025年12月に開始されており、最初に生産される新型遠心分離機は、2029年にオハイオ州パイクトンにある米国遠心分離プラント(ACP)で稼働開始予定である。セントラス社は2025年9月、ACPの大規模拡張計画を発表。同計画には、連邦政府からの資金提供を含めて数十億ドル規模の官民投資が必要であり、米エネルギー省(DOE)から今年1月、9億ドルの助成を獲得した。同社はウラン濃縮拡張計画を活用し、国内外の電力会社顧客からの23億ドルの条件付き購入契約に対応する計画であり、将来的には高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の商業規模生産も目標としている。ACPは、国産の遠心分離機と関連機器を用いて稼働する唯一の国内施設。セントラス社の遠心分離機は、テネシー州オークリッジにある約4万㎡の技術製造センターで一貫して製造されている。製造には、全米13州に広がる14社の主要サプライヤーに加え、数十社の中小企業が関与している。製造された遠心分離機と関連機器は最終組立て、設置のためにパイクトンに送られる。セントラス社は、テネシー州が2023年に創設した「原子力基金」を活用する8社目の企業となる。同基金は、リー知事の提案を受けて設けられ、累計規模は7,000万ドルに達している。なお、テネシー州では、国防用途でも遠心分離機製造開発を進めている。BWXテクノロジーズ(BWXT)社は1月26日、テネシー州オークリッジに遠心分離機製造開発施設(CMDF)を開設した。2025年6月下旬の起工式からわずか7か月で稼働を開始した。2025年9月、BWXT社はDOEの国家核安全保障局(NNSA)と15億ドル規模の契約を締結。防衛需要向けの濃縮ウランの安全かつ確実な供給を確保するNNSA戦略を支援するプログラムの一環で、BWXT社は、米国の国家安全保障上の優先事項である完全な国内ウラン濃縮能力の再構築に取組む方針である。BWXT社が長年担ってきた国防・エネルギー支援の役割を基盤とし、CMDFは先進的な遠心分離機の設計、エンジニアリング、製造、試験の中心拠点として機能する。同施設は精密製造スペース、社内品質保証・試験能力、将来の遠心分離機生産を支える専門インフラを備え、遠心分離機技術の開発から製造準備段階への移行を加速する方針である。製造された遠心分離機は、テネシー州アーウィンにあるBWXT社傘下の原子燃料サービス社のサイトで建設中の国内向けウラン濃縮遠心分離機実験(DUECE)パイロットプラントで使用される。同パイロットプラントは、NNSAの防衛任務向けLEU生産の実証に使用された後、海軍推進用途向けの高濃縮ウラン生産に転用される。現在、約100名の高度な技能を持つ専門家がCMDFおよびプロジェクト活動を支援しており、製造活動の拡大に伴い人員を増強する計画だ。
09 Feb 2026
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米エンジニアリング企業のアメンタム(Amentum)社が率いるコンソーシアムは1月22日、オランダ政府と同国における新規原子力発電所の計画・開発に向けたプログラム管理および技術ソリューション提供に関する契約を締結したことを明らかにした。コンソーシアム(NEXUS-NL)には、アメンタム社のほか、オランダの設計・エンジニアリング企業であるアルカディス(Arcadis)社、ベルギー大手エンジニアリング企業のトラクテベル(Tractebel)社、オランダの原子力研究機関NRGパラス(NRG PALLAS)が参加。オランダの脱炭素化とエネルギー安全保障戦略を支援するため、100万kWe級×最大2基の新規原子力発電所の開発に取り組むとともに、気候・グリーン成長省(KGG)傘下に新設される、原子力発電所の準備、建設、運営を所管する国営企業のオランダ原子力機構(NEO NL)を支援する。同コンソーシアムがKGGと締結した枠組み契約の期間は2年で、契約額は最大2.07億ドル(さらに1年ごとの延長を最大3回行う選択肢あり)。同契約下で、サイト特性調査、炉型選定、サイト整備、インフラ(電力・水など)の接続、輸送ルートに関する計画内容と作業範囲を策定する。アメンタム社は、炉型選定、設計・エンジニアリング、商業・調達戦略を含む新規建設プログラム管理を担当。アルカディス社はサイト調査、許認可関係(非原子力)を担当。トラクテベル社は炉型選定のための技術要件定義にオーナーズ・エンジニアの経験を活かし、基本設計(FEED)調査を主導し、NRGパラスは、パラス研究炉建設プロジェクトで培われたオランダ独自の原子力分野の専門知識、特に、原子力設備と非原子力設備の許認可が交わるグレーかつ重要な境界部分に関する知見を提供する。アメンタム社のM. ホイットニー・エネルギー・環境事業部門長は、「当社のグローバルなプロジェクト遂行ノウハウを提供し、米国・欧州・中東における複雑な原子力インフラ及び新規建設プログラムの経験を活かし、オランダの原子力発電拡大計画を支援していく」と語った。オランダ政府は、原子力を2040年までに炭素排出ネットゼロを達成するための主要なエネルギー源に位置づけており、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換し、新規大型炉の建設をめぐる議論を進めている。2022年12月には、新設サイトとして同国ゼーラント州で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR、51.2万kWe)サイトが最適との見解を示していた。現在、ボルセラ・サイトを含むスロー地域に加え、フローニンゲン州のエームスハヴェン、ロッテルダム港のマースフラクテII、ゼーラント州のテルネーゼンの4地域の7か所がサイト候補に挙がっており、今後、安全・環境面を含めた総合評価を実施するとしている。政府は、2030年代末までに出力100万~165万kWe級×2基を新設する計画で、最終的には最大4基の新設も検討している。現在同国の原子力シェアは、約3%を占め、ボルセラ発電所は運転開始後40年目の2013年に運転期間が20年延長され、現在の運転認可は2033年まで有効。2025年10月、政府はボルセラ発電所の2033年以降の運転継続をめざし、原子力法改正案を議会に提出した。また、2基の大型炉建設に加え、政府は小型モジュール炉(SMR)導入も準備しており。オランダでの開発を促進するために2,000万ユーロを割り当てている。SMR導入をめぐる具体的な動きとしては、同国のSMR導入に特化した原子力開発会社であるULCエナジー(ULC-Energy)社が1月22日、第三者試験・検査・認証(TIC)機関の仏ビューローベリタス(Bureau Veritas)社との協力契約に署名したと発表。ULCエナジー社は、英ロールス・ロイス社製SMRのオランダにおける唯一の開発パートナーであり、同SMRのオランダへの導入を目指している。ビューローベリタス社は、30年以上にわたる世界中の原子力分野の原子力安全当局、ライセンシー、設計・調達・建設(EPC)、技術提供者、サプライチェーンへの支援実績の中で培われた原子力安全と品質管理の高度な知見を活用し、SMRプロジェクトのすべての設計および調達の段階でULCエナジー社を支援する考え。
06 Feb 2026
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米原子力新興企業のケイロス・パワー社は1月20日、米エネルギー省(DOE)と高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)供給契約を締結したことを明らかにした。同社がテネシー州オークリッジで建設中のフッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス(Hermes)」(熱出力3.5万kWの非発電炉)向けに利用する。ヘルメスは、米原子力規制委員会が50年以上ぶりに建設を許可した非水冷却炉。ケイロス社は、DOE傘下のロスアラモス国立研究所との提携により、HALEUを用いたヘルメス向けのTRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料ペブルを製造する計画。同社は同実証炉と燃料製造プログラムを、同じくオークリッジに建設予定の発電炉「ヘルメス2」実証プラントから得られる運転データやノウハウと併せ、将来の商業規模のフッ化物塩冷却高温炉「KP-FHR」(熱出力32万kW、電気出力14万kW)に活用したい考えだ。ケイロス社は2025年4月、DOEから条件付きでHALEU供給先として選定された米国内5社のうちの1つ。HALEUの割当ては、民間の研究開発、実証、および商業利用に向けてHALEUの国内供給を確保するためにDOEが2020年に設定した「HALEU利用プログラム」を通じて行われる。多くの先進炉が、既存炉よりも小規模で、より長い運転サイクル、より高い効率を実現するためにHALEUを必要としている。米国の燃料サプライヤーは現在、HALEUを生産する能力が不足しており、国家核安全保障局(NNSA)管理下の原料や政府所有の研究炉からの使用済み燃料由来の高濃縮ウラン(20%以上のU235)を希釈して、限られた量を製造している。なおHALEUは、通常の商用炉向けの濃縮ウラン製造のプロセスを利用した製造も可能であり、DOEはウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)と提携し、オハイオ州パイクトンの濃縮施設で16台の新型遠心分離機を製造、連結設置し、HALEU製造のための濃縮の実証を行っている。ケイロス社のヘルメス実証炉開発プロジェクトは、2020年12月にDOEの先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の10~14年後に実証を想定したリスク低減プロジェクトに選定されており、最大3.03億ドルの資金提供を受けている。また同社は2025年8月、米テネシー峡谷開発公社(TVA)と電力購入契約(PPA)を締結し、ヘルメス2を用いてTVAの送電網に最大5万kWeの電力を供給する計画である。ケイロス社はヘルメス2の出力を当初の2.8万kW(1.4万kW×2基)から5万kWe×1基に増強。2030年の運転開始を見込んでいる。この送電網はIT大手のGoogle社がテネシー州とアラバマ州に所有するデータセンターに電力を供給する。それに先立ち、Google社は2024年10月、自社のデータセンターへの電力供給を目的にケイロス社とフッ化物塩冷却高温炉を2035年までに複数基、合計出力にして最大50万kWeを導入するとしたPPAを締結している。なお、ケイロス社は2025年9月、BWXテクノロジーズ(BWXT)社とヘルメス2を含む先進炉向けTRISO燃料の商業生産の最適化を共同検討することで合意している。
05 Feb 2026
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カナダ連邦政府とサスカチュワン州政府は1月19日、州内の公立大学であるレジーナ大学に設立予定の小型モジュール原子炉(SMR)の安全性・許認可・試験センター(SMR-SLT)に対し、連邦政府と州政府から合わせて約600万カナダドル(約6,800万円)を拠出すると発表した。軽水冷却SMRの研究拠点で、実証と人材育成を進める。施設は、大学に隣接するイノベーション・サスカチュワン研究・技術パーク(R+Tパーク)内に設置予定。SMRの一部を再現した2基のSMR試験ループを整備し、研究者や企業が電気熱を用いて、軽水冷却型SMRの運転条件を再現した環境で部品試験を行える。同プロジェクトにより、10の中小企業を支援するほか、2030年代半ばに見込まれるSMR発電所の建設・運営に向け、最大3,500人規模の人材育成に備える。サスカチュワン州は世界最大級のウラン埋蔵量を有し、世界の電力用ウラン供給の約4分の1を担う一方で、州内に原子力発電所はない。州政府は昨年10月に発表した「エネルギー安全保障戦略」で、州内の電源構成に原子力を加える方針を明確に示しており、原子力活用により天然資源の付加価値向上と電力需要への対応、排出量削減を目指している。この動きに関連し、州政府は1月28日、大型原子炉の導入に向けた炉型評価を正式に進める計画を発表した。評価は、州営電力サスクパワー社が進めるSMRプロジェクトと並行して実施する。サスクパワー社のR. パンダヤCEOは、「大型炉の稼働までには少なくとも15~20年を要する可能性があり、今からプロセスを開始する必要がある」と述べた。同社によれば、大型炉建設には規制手続きや立地選定など多くの手続きが必要となる一方、SMR計画は着実に進展しているという。米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー社の「BWRX-300」の導入を軸に、年内にも州南部エステバン近郊で州内初の建設サイトが確定する見通しとしている。
05 Feb 2026
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インド電力省は1月20日、新たな国家電力政策(NEP)2026の草案を発表。公開協議を開始した。草案は、「先進インド構想(ヴィクシット・バーラト)」の開発戦略を支えるため、電力部門の構造改革を打ち出したもの。2025年度連邦予算や、同年12月に成立した原子力関連法(SHANTI法)で示された原子力発電開発目標とも整合する内容となっている。最終決定され次第、2005年に制定されたインド初のNEPに代わるものとなる。NEP 2005は、需要供給不足、電力アクセスの制限、インフラの不十分さなど、電力部門の根本的な課題に対応し、その後、インドの電力部門は変革的な進展を遂げ、設置された発電容量は民間部門の参加により4倍に増加、1人当たりの電力消費量は2024年度に1,460kWhに達した。一方で、配電部門における累積赤字や未払いの負債、電気料金が実際のコストを十分に反映していない部門もあり、その結果、産業向けの電気料金の高騰を招き、インド産業の国際競争力を弱める要因となっている。草案では、2030年までに1人当たりの電力消費量を2,000 kWh、2047年までに4,000 kWh以上へ引き上げる目標を掲げた。あわせて、2030年までに排出原単位を2005年比45%削減し、2070年までにネットゼロ排出の達成というインドの気候変動に関する公約を果たす考え。低炭素電源への移行と手頃な価格による電力供給の信頼性を重視し、原子力発電の拡大、再生可能エネルギーの統合、送電網の近代化、財政的持続可能性など、主要な電力部門の改革を提案している。NEP 2005では、官民連携による原子力発電開発を想定していたものの、民間部門の参入に対する政策上の障壁と多額の初期資本要件のため進展は限定的であった。2025年度連邦予算では、2047年までに原子力発電設備容量1億kWeを達成する目標を設定、2025年12月のSHANTI法の制定に伴い、中央政府と民間部門が連携した原子力開発の促進が期待されている。NEP 2026の草案では、原子力発電をクリーンで信頼性が高い持続可能な電源と位置づけ、インドの長期的なエネルギー安全保障を支える重要な選択肢とした。また、小型モジュール炉(SMR)の設置、バーラト小型炉の開発、および先進的原子力の開発を進めるとともに、原子力関連プロジェクトをグリーンボンドによる資金調達の対象とする方針を示している。さらに、既存原子力発電所のサイト拡張(ブラウンフィールド開発)、可能な場合は、石炭利用の自家発電設備を原子力への置き換え、同一設計の原子炉をまとめて建設する方式(フリート方式)の導入、原子炉サイズの標準化と国内サプライチェーンの構築によるコスト削減、閉鎖された旧火力発電所サイトを原子力サイトとして再利用するなどの施策の検討についても指摘している。また、大規模な商業・産業用(C&I)電力需要家による原子力発電の利用を奨励し、将来の原子力発電所については、出力を柔軟に調整できる設計を導入、太陽光や風力などの変動性再生可能エネルギー(VRE)との統合についても検討するとしている。なお、発電設備容量の拡大、送配電インフラの整備には2032年までに50兆ルピー(約86.5兆円)、2047年までに200兆ルピー(約346兆円)が必要になるとし、「エネルギー安全保障とエネルギー移行の成否は、低コストで多様な資金調達手法を確保できるかに左右される。再生可能エネルギーや原子力プロジェクトは、多額の初期投資を要する一方、運用コストは低い」と言及している。2026年度予算案では、原子力発電プロジェクトに必要な物資の輸入に対する現行の基本関税免除を2035年まで延長し、出力に関わらず全ての原子力発電所への拡大が提案されている。
04 Feb 2026
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世界原子力協会(WNA)は1月20日、初の「世界原子力発電見通し」(World Nuclear Outlook Report)を発表した。各国政府が定めた目標を詳細に分析するとともに、世界の原子力開発に関する包括的な情報をとりまとめた。WNAは、各国政府が自らの公約を達成するために迅速かつ持続的な行動をとることを条件に、2050年までに世界の原子力発電設備容量の三倍化が可能であると結論している。WNAによると、各国政府の目標が達成されれば、世界の原子力発電設備容量は2050年までに14.46億kWe(グロス)に達し、2023年にUAE・ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)以降、30か国以上が支持した原子力の三倍化宣言で設定された約12億kWeの目標を上回る可能性があると予測。これには、各国による既存炉の運転期間延長、建設中の原子炉の完成、計画および提案されたプロジェクトの実現が織り込まれている。目標値を上回る設備容量の拡大は、気候・エネルギー安全保障戦略の中核として原子力に対する国際的な支持が高いことの表れであるとしている。本見通しで示された主な調査結果や提言は以下のとおり。○世界の原子力発電設備容量の見通し各国政府が発表した原子力の新規建設に関する計画と目標に、既存炉の運転期間を最長80年間に延長、現在計画・提案されている原子炉の建設と組み合わせると、2050年までに14.46億kWeの原子力発電設備容量が実現するとしている。なお、既存の殆どの原子炉の運継継続と建設中の原子炉の完成により、2030年までに設備容量は5.02億kWeに達すると予測。計画中のプロジェクトが2035年までの容量拡大を牽引し、提案中・潜在的・政府主導の計画が2035年以降の容量増加を占める。WNAは、2050年に原子力発電設備容量を稼働させる計画がある50か国を特定している。2050年までに予測される原子力発電設備容量のうち、中国、フランス、インド、ロシア、米国の5か国で約9.8億kWe近くを占める見込み。新規参入国は2050年までに1.57億kWeの原子力発電設備容量を目指すとしており、従来の原子力発電国以外での関心の高まりが浮き彫りになっている。また、原子炉の運転期間延長は、2050年予測の設備容量の4分の1以上に貢献する可能性がある。経年による設備利用率の低下は見られない。永久閉鎖した原子炉の平均稼働年数は増加傾向にあり、2024年には48年に達した。運転期間延長は、追加的な低炭素電力を確保する最も費用対効果の高い方法の一つである。また、予測される2050年の設備容量の達成には、年間の追加設備容量を1,440万kWe/年(2026-2030年)、2,230万kWe/年(2031-2035年)、4,902万kWe/年(2036-2040年)、5,160万kWe/年(2041-2045年)、6,530万kWe/年(2046-2050年)と引き上げていくことが必要となる。なお、2046年-2050年にかけて必要となる年間6,530万kWeの設備容量は、1980年代に見られた過去最高の建設ペースの約2倍である。一方で、政府目標は野心的だが願望的なものでもあり、計画中または提案中の原子炉の全てが必ずしも建設段階に進むわけではない。政府目標には、特定済みのプロジェクトによる裏付けもないものもあり、政策やその他政府措置による公約水準も国により大きく異なる。○エネルギー需要増への対応としての原子力2050年までに電力・エネルギー需要に重大な影響を与える5つの主要な世界的動向として、①電力供給のない7.5億人に供給を拡大、②2050年までに98億人に達すると予測される世界人口のエネルギー需要を公平な方法で充足、③各国が化石燃料から低炭素電源へ移行する中、経済の全分野における電化を加速、④デジタルインフラやデータ集約型プロセスによる電力消費の増加、⑤代替的な低炭素熱源により、削減が困難な分野の脱炭素化、などがある。気候変動と持続可能性の整合性から、エネルギー需要の増大に応える原子力拡大の必要性は高まる一方である。○政府、金融機関、産業界への提言(政府向け)長期的な投資を可能にし、技術レベル、労働力、サプライチェーンを維持するための、持続可能で実行可能な原子力政策の策定および事業環境整備。技術的に可能な限り、60~80年の運転期間延長プログラムを支援、早期閉鎖を回避。原子力が他の低炭素電源と同様に公平に扱われるよう電力市場を改革。許認可・立地選定・資金調達メカニズムの迅速化を支援。(金融機関向け)原子力およびその他の低炭素電源を同等の基準により評価、技術中立的な融資を実施し、資金調達枠組み、保証、多国間パートナーシップを通じて、新興経済国における原子力導入を支援。(原子力産業界向け)燃料サイクルインフラを含む製造・サプライチェーン能力の拡大。コスト削減と建設期間短縮に向けた、シリーズ建設の最適化。熱利用など発電以外の用途も含む、2035年以降のエネルギー需要に対応する大規模導入戦略の策定。
03 Feb 2026
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英国のロイドレジスター(ロイド船級協会)は1月19日、民間商船での運用を前提とした原子力船舶の実用化に向け、「海上原子力コンソーシアム(Maritime Nuclear Consortium)」を設立したと発表した。原子力技術に加え、国際基準の策定など制度面の整備を進めることで、海運の脱炭素化をめぐる国際競争において主導権を確保する狙いがある。国際海運分野での温室効果ガス(GHG)について、国際海事機関(IMO)が2020年に公表した調査によれば、2018年時点における国際海運全体のGHG排出量は約9.2億トンと世界全体の約2.5%を占める。海上輸送の需要は今後も増加が見込まれる中、2023年7月、IMO加盟国は、2050年頃までに国際海運からのGHG排出をネットゼロとする新たな削減目標に合意し、海運業界に対応を求める方針を明確にした。今回設立された海上原子力コンソーシアムには、以下の6社が参加している。・ロイドレジスター:事務局・ロールス・ロイス:原子炉設計・バブコック・インターナショナル・グループ:船舶設計・建造・サポート・グローバル・ニュークリア・セキュリティ・パートナーズ:核セキュリティおよび保障措置・スティーブンソン・ハーウッド:法務・規制・ノーススタンダード:保険コンソーシアムは当面の取り組みとして、先進型モジュール炉(AMR)の設計適合性声明(SoDA)の策定プロセスの確立、原子力船を対象とした新たな船級認証制度の策定、軍事転用を防ぎ透明性を確保する制度設計、事故リスクに対応した保険制度の構築、産業界・政府向けの導入手引きの公表などをあげている。ロールス・ロイス社の新型原子力・特別プロジェクト部門の担当ディレクター、J. トンプソン氏は、「さまざまな分野でエネルギー転換が迫られており、その解決策の一つとして原子力がますます注目を集めている」と指摘。その上で、今回のコンソーシアムによる連携は、原子力船をめぐる将来の国際基準策定に向けた重要な第一歩になるとの認識を示した。原子力船は、英国においても海軍で数十年にわたり利用されているほか、世界各国の海軍では700基以上の船用炉が稼働するなど、一定の技術的実績を有する。一方、これらは国家管理下での運用を前提としており、国際航路を行き交う民間商船への適用には制度面の整備が不可欠とされる。コンソーシアムは、新型炉設計に対応した制度整備を通じて、英国が海運分野における原子力利用で主導的立場を確立することを狙っている。
03 Feb 2026
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米国を訪問したスロバキアのR. フィツォ首相は1月16日、米国と民生用原子力協力協定を締結した。同協定には、ボフニチェ原子力発電所における米国製の120万kWe級原子炉の新設計画も盛り込まれており、両国の戦略的パートナーシップを深化させ、欧州のエネルギー安全保障を強化するものと位置づけられる。同協定の下、両国は原子力の先進技術、サプライチェーン分野でのパートナーシップ、安全・セキュリティの良好事例共有、人材育成、長期プロジェクト計画など幅広い分野で協力する。フィツォ首相は、「本協定は、両国がエネルギーの将来、その安全性、持続可能性、技術的成熟度について共通の戦略的思考を共有している明確なシグナルでもある」と言及。原子力がスロバキアにとり、安全保障、脱炭素化への移行、経済競争力における支柱であるとし、スロバキアの原子力シェアは半分以上であり、気候目標の達成と価格が安定した信頼性の高いエネルギー供給を可能にすると強調した。同首相はさらに、ボフニチェ原子力発電所の新規炉の運転開始時期を、2040年~2041年との見通しを示した。なお同首相は以前、米ウェスチングハウス社製AP1000を採用する考えを表明していた。スロバキア政府は2024年5月にボフニチェ5号機(最大120万kWe)の新設を承認している。新設の資金調達に向け、今回の協定締結を機に、両国の輸出入銀行間で原子力プロジェクトの資金調達、情報交換などに係る協力協定も締結された。また、スロバキア国営バックエンド企業のヤビス(JAVYS)は1月上旬、入札を通じて、ロスチャイルド&カンパニーを財務アドバイザーに選定したと発表。ロスチャイルド社は欧州連合による国家補助承認手続きに向けてプロジェクトの財務スキームの準備など、プロジェクトがスムーズに実施できるように支援する。同社は英国のサイズウェルCやチェコのドコバニ発電所の建設計画など、欧州での原子力プロジェクトにも長年の経験を有している。一方のヤビスはスロバキア経済省が100%出資しており、原子力発電所の廃止措置のほか、ボフニチェ・サイトにおける新設プロセスの管理責任を負っている。スロバキアでは小型モジュール炉(SMR)導入に向けた動きも活発化している。1月15日、スロバキアの首都ブラチスラバで、SMR導入に関する初の包括的な実行可能性調査(F/S)完了報告が発表された。米国が主導する石炭火力発電所からSMRによる原子力への転換プログラムである「プロジェクト・フェニックス(Project Phoenix)」の一環として、米エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社、スロバキア経済省、スロバキア電力が協力して実施したもので、同F/Sにより、同国がSMRを責任あるかつ効率的に展開するための適切なサイト、技術的専門知識、インフラを備えており、戦略的にSMRを展開できる立場にあると結論づけられた。プロジェクト・フェニックスは、米国務省のプログラム「SMR技術の責任ある活用に向けた基本インフラ(FIRST)」によって支援されている。同F/Sでは、国際原子力機関(IAEA)の勧告に基づき、外部リスク、地質工学的な条件、環境および安全面、立地条件など100以上のパラメータから評価したほか、ボフニチェ、モホフチェ、ヴォヤニ、USスチール・コシツェの候補サイト4か所について地震安定性、水源と送電網へのアクセス、環境影響に基づいて評価。4か所すべてがSMR導入の基準を満たしているとしたほか、世界有数の炉メーカーによるSMRをレビューし、多くがスロバキアの条件に技術的に適合し、国際的な安全基準を満たしているとしている。
02 Feb 2026
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中国・江蘇省で1月16日、中国核工業集団(CNNC)の徐圩(Xuwei)原子力発電所第1期プロジェクトが開始された。同プロジェクトは、「華龍一号(HPR1000)」×2基(PWR、各122.2万kWe)と、高温ガス炉(HTGR)×1基(約66万kWe)で構成される。工業用熱(高温蒸気)の供給を主目的とし、余剰の熱エネルギーを電力供給にも活用する複合型の原子力施設となる。このうち同日、「華龍一号」を採用した1号機で先行して原子炉関連施設の初のコンクリート打設が行われた。徐圩第1期プロジェクトは、2024年8月に中国国務院常務会議で承認された。従来の、発電を主とし余剰熱を利用する方式とは異なり、工業用蒸気の需要(加熱負荷)を起点に運転条件を設定するのが特徴だ。発電量は蒸気需要に応じて調整されることになる。華龍一号で大量の蒸気を生成し、これを高温ガス炉の熱で再加熱することで、工業用熱として十分な温度を確保すると同時に、発電にも利用する設計としている。第1期プロジェクトが完成すれば、近隣の連雲港石油化学工場に対し、大規模な熱供給を行う計画だ。石油化学工場では従来、化石燃料によるボイラー熱が主流であったが、同プロジェクトは低炭素電源による大規模な熱供給を実現する試みとなる。CNNCによると、完成後は年間約3,250万トンの工業用蒸気と115億kWh超の電力を供給する見込みで、約1,960万トンのCO2排出量削減効果が見込まれている。なお、華龍一号の出力については、1月16日のCNNCによる公告で、過去に公表されていた120.8万kWeから122.2万kWeへの変更が発表された。
02 Feb 2026
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米エナジー・ソリューションズ社は1月15日、同社が所有する旧キウォーニ原子力発電所(PWR、59万kWe)サイトにおいて、新規建設に向けた許認可申請の計画に関する意向通知書(Notice of Intent: NOI)を米原子力規制委員会(NRC)に提出したと発表した。同社は米ユタ州を拠点に、原子力発電所の廃止措置や環境復旧サービスを手掛けている。現在、事前サイト許可、建設許可、または建設・運転一括認可の申請について評価中であり、2028年6月までに申請書を提出する意向を示している。ウィスコンシン州に立地するキウォーニ原子力発電所(PWR、59万kWe)は1974年6月に営業運転を開始、2013年5月に永久閉鎖された。エナジー・ソリューションズ社は2021年5月、同発電所の所有者兼運転者のドミニオン・エナジー社から、廃止措置の実施を目的に同発電所を買収。翌5月から主要な廃止措置・除染の作業を開始している。完了までに7~8年がかかると見込まれており、並行して新規建設の申請準備を進めるという。同社は2025年5月、ウィスコンシン州を拠点に電力や天然ガスの供給を手掛ける同州最大の電力会社WECエナジー・グループ(WEC)と協力してキウォーニ・サイトでの新たな原子力発電の導入可能性の検討を開始することを明らかにした。現在、将来的な許認可申請を見据え、サイトの適合性を実証するため、WECとの連携の下、計画立案に加え、必要となる調査項目や範囲を整理するスコーピング活動、さらに詳細なサイト調査を含む、体系的かつ多段階の取り組みを進めている。採用炉型については明らかにされていないが、エナジー・ソリューションズ社は2024年12月、米国に本社を置くカナダ発の原子力企業テレストリアル・エナジー社と協力覚書を締結している。覚書で両社は、エナジー・ソリューションズ社が廃炉プロセスで取得した旧原子力発電所サイトにおいて、テレストリアル社が開発するSMRである一体型熔融塩炉(IMSR)の設置と展開の検討で協力することになっている。エナジー・ソリューションズ社は、キウォーニ原子力発電所のほか、ネブラスカ州フォートカルホーン発電所、カリフォルニア州サンオノフレ発電所、ペンシルベニア州スリーマイル・アイランド発電所2号機の廃止措置を実施中(同機はエナジー・ソリューションズ社の傘下企業が所有)。ウィスコンシン州ラクロス発電所とイリノイ州ザイオン発電所の廃止措置作業はすでに完了している。ウィスコンシン州では、データセンターによる電力需要の急増が見込まれており、超党派の州議会議員らが今後数年間にウィスコンシン州により多くの原子力発電を導入することを提唱。ウィスコンシン州議会上院は2025年5月、州の公共事業委員会に原子力発電の立地調査の指示を承認する法案を可決した。ウィスコンシン州では、他にポイントビーチ原子力発電所1-2号機(PWR、各64万kWe)が1970年代から稼働しており、同州における原子力発電シェアは約15%(2024年実績)。両機は2025年9月、NRCから2度目の運転認可を得て、80年運転が可能になった。
30 Jan 2026
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仏パリに拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ社は1月15日、同社が開発する鉛冷却高速炉(LFR)の原子力安全プログラムに関する詳細を2025年12月に仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)に提出したことを明らかにした。今回の提出はフランスにおける事前許認可プロセスの一部であり、将来の原子力施設の設置許可申請(DAC)に先立ち、ASNRが原子炉設計と安全対策の主要要素を独立して審査し、安全性の改善点を特定する手続きとなる。ニュークレオ社は、同社が開発する第4世代の鉛冷却高速炉「LFR-AS-30」(3万kWe)をフランス中部のアンドル=エ=ロワール県で、フランス電力(EDF)が運転するシノン原子力発電所(PWR、95.4万kW×4基)に隣接したサイトに建設する計画。発電に加え、先進的な研究サービスや医療用同位体の生産も提供する予定であり、2031年までの稼働を目指している。ニュークレオ社のS.ブオノCEOは、「この重要なマイルストーンは、ASNRとの技術的対話によって強化された、長年にわたるエンジニアリングと研究開発の成果。当社は現在、海外の他の原子力安全規制当局との連携や将来の国際展開を支える枠組みも構築している。また、伊ENEAブラジモーネ研究センターにある研究開発プログラムを通じて技術的検証を進めており、設計条件の妥当性を確認するためのデータを取得し、今後提出予定の認証関連資料の裏付けとして活用する」と語った。原子力安全プログラムの詳細提出は、2024年12月の先進燃料製造施設向けの提出に続くもの。LFRの燃料となるMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料製造施設については、フランス東部のオーブ県ノジャン地区に建設する計画である。同施設はモジュール施設として設計されており、必要に応じて生産能力を拡大、最終的には3つの生産ラインを含む可能性があり、最初のラインは2030年に稼働を予定している。ASNRによる審査を経て、両原子力施設のDACを2027年末までに関連当局に行う計画である。欧州連合(EU)圏内の原子力安全を監督する欧州原子力共同体(ユーラトム)と保障措置設計に関する協議を2025年12月に開始した。また、原子力施設を悪意ある行為から保護するための要件について、フランス国家安全保障当局による審査も受ける。両原子力施設プロジェクトは、2025年6月に公開討論国家委員会(CNDP)の決定により公開討論の対象となり、2026年中に開催される予定。ニュークレオ社は現在、将来の原子炉の運転特性をさらに分析するため、非核反応炉のモックアップである「プレカーサー」(PRECURSOR)(熱出力1万kW、電気出力約0.3万kW)を建設中。プレカーサーは2026年末までに、イタリアのENEAブラジモーネ研究センターで完成予定である。同社は英国において、「LFR-AS-200」(20万kW)の包括的設計審査(GDA)を申請し、2025年6月、先進モジュール炉(AMR)として初めて受理された。しかし同年7月、使用済み燃料の再利用を支持し、AMRへの具体的な支援を提供する地域に経営資源を集中させる方針を決定し、英国でのLFR開発プログラムを一時停止、事業活動を大幅に縮小することとした。事業縮小の背景には、ニュークレオ社が2021年に英国に本拠地を置いて以来、英国のプルトニウム備蓄をLFR燃料としてリサイクル利用する構想を念頭に、英政府による明確な支援を必要としていたことがある。しかし、英政府からは他の小型モジュール炉(SMR)への支援や資金提供はあるものの、LFRへの具体的支援の可能性が他地域と比べて低かったとしている。ただし、英国での拠点は縮小して維持し、将来的に英国におけるAMRの見通しが改善した場合には活動を拡大する計画だという。
28 Jan 2026
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米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は1月13日、月面原子炉の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結し、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を明確にした。2025年12月にはD. トランプ大統領がエネルギー・宇宙政策関連の大統領令に署名しており、今回の協力は、50年以上にわたる両機関の協力関係をさらに強化するものとなる。宇宙探査ではこれまでも原子力が活用されてきた。放射性同位体熱電発電機(RTG)は、放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号でも用いられ、現在に至るまで40年以上電力を供給している。一方、RTGは出力規模が小さく、人が長期滞在する拠点や大規模設備の運用には十分とは言えない。月では約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になるとされ、今回のパートナーシップにより開発が加速するとみられる。NASAのJ. アイザックマン長官は「人類の月への再訪と長期滞在、さらに火星やその先への探査には、原子力エネルギーの活用が不可欠だ」と述べた。DOEのC. ライト長官も、両機関の連携が技術的飛躍につながるとの認識を示した。NASAが2025年12月に公表した月面における電力戦略に関する白書では、探査期間の延長や乗員数の増加に伴い、外部からの電力補強が不可欠になるとの見解が示された。月面電力システムは月探査にとどまらず、将来の火星探査への適用も視野に入る。火星においても、環境条件に左右されにくい電源の重要性が指摘されている。またNASAは1月27日、原子力によるロケット推進エンジンの実用化に向け、実機と同規模の試験装置を用いた検証テストを完了したと発表した。原子炉の熱で推進剤を加熱し、噴射することで推力を得るこのエンジンについて、NASAは現在の化学ロケットに比べ、速度や持続性の面で利点があるとしている。エネルギー技術としての原子力が、宇宙開発をどのように支えていくのか、今後の技術開発と政策動向が注目される。
28 Jan 2026
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米ニューヨーク州のK. ホークル知事(民主党)は1月13日、2026年一般教書演説の中で、炭素排出ゼロの電力供給と送電網の信頼性確保に向け、原子力発電を推進すると表明。新たなイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)を確立するため、州内での原子力発電の新規開発規模を500万kWeに拡大する方針を示した。ホークル知事は2025年6月、州営のニューヨーク電力公社(NYPA)に対し、州の脱炭素化目標を支援するため、同州北部に少なくとも合計100万kWeの先進原子力発電設備容量の追加を要請していた。今回、電力系統の信頼性強化を目的に、州政府機関に対して400万kWeの追加導入を指示した。原子力信頼性基盤は、新設の公共事業局(DPS)によって策定され、現在、ニューヨーク州で稼働する約340万kWeの原子力発電設備容量と既に発表された100万kWeの開発計画と合わせると、将来的に合計約840万kWe規模となる見込み。ニューヨーク州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイトで計4基の原子炉を運転している。同知事は演説で、「当初、合計100万kWeの原子力発電所を建設するという目標を設定したが、私が信じるのはただ1つ。大勝負に出るか、撤退するかだ。500万kWeは、過去30年間に米国全土で建設された原子力発電所の中でも最大規模である。ニューヨーカーの準備を確実にするために、原子力労働力の開発プログラムを開始し、クリーンエネルギーの未来を共に築くことができるようにする」と原子力拡大への意欲を示した。同知事は2025年12月、熟練労働力の開発に向けて、今後4年間で年間4,000万ドルの資金を提供すると発表。これにより、技術系高校、コミュニティカレッジ、大学、労働組合などと提携し、先進的な原子力エネルギー分野での就業に備えるための技術研修、再訓練、履修、見習いプログラムを開発する。ホークル知事からの少なくとも合計100万kWeの先進原子力発電設備容量の追加要請を受け、NYPAは2025年10月、先進原子力開発の潜在的なホストコミュニティと開発事業者の情報提供要請(RFI)を開始した。RFIのうち1件は、NYPAの先進原子力プロジェクトの誘致に関心のあるニューヨーク州北部のコミュニティを対象とし、もう1件は、原子力プロジェクトの開発、建設、運転またはサービス提供の経験を持つ開発事業者を対象としている。NYPAは2026年1月7日、開発事業者候補から23件、同州北部のコミュニティから8件の回答を得たことを明らかにした。NYPAは現在、これら回答を審査中であり、その情報を2026年の原子力対策の指針として活用する予定である。なお2025年12月、NYPAと加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、協力覚書(MOU)を締結。大型炉および小型モジュール炉(SMR)を含む先進原子力技術の開発に関する協力枠組みを確立するもので、今後、情報共有や技術革新、人材育成、資金調達および経済性評価などで協力を進めていく。また、両者間の電力取引を強化する機会を模索するとしている。
27 Jan 2026
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英ロールス・ロイスSMR社は1月20日、米エンジニアリング企業のアメンタム(Amentum)社と、小型モジュール炉(SMR)の初導入に向けた、主要な提供パートナーとしての協力契約を締結した。アメンタム社は、英国およびチェコにおける初号機導入プロジェクトの全体管理や監督、施工管理、実行体制の構築などを担い、プロジェクトの司令塔役を果たす。アメンタム社は原子力分野において、新設や運転支援、廃止措置など幅広いプロジェクトに携わってきた実績を有する。ロールス・ロイスSMR社のC. チョラトンCEOは、「強力なパートナーと協働することで、国際市場でSMRプロジェクトを展開できる体制が整った」とコメントした。このほか、ロールス・ロイスSMR社は1月14日、スウェーデンの建設大手スカンスカ(Skanska)社と、SMR向け免震ベアリング基礎(aseismic bearing pedestal)の実証モデルの納入契約を締結している。スカンスカ社はスウェーデン最大手の建設・プロジェクト開発会社で、英国にも拠点を有し、幅広い分野でインフラ事業を手がけている。免震ベアリング基礎は、SMR発電所の構造物と地盤の間に設置され、地震発生時の地盤の動きを隔離することで建物の安全性を高める重要な構造要素となる。今回のプロジェクトは、英ドンカスターにあるスカンスカの製造施設で進められ、プロトタイプの製造および実証試験が行われる予定としている。英国では2025年6月、政府が同社のSMRを同国初のSMRプロジェクトにおける優先技術として選定。同年11月には、北ウェールズのアングルシー島ウィルヴァを、ロールス・ロイスSMR(47万kWe)×3基の建設予定地として決定している。現在、同SMRは英国規制当局による包括的設計審査(GDA)の最終段階にあり、2026年8月までの審査完了を目指している。最終投資決定は2029年に行われる予定で、英国における初号機は2030年代半ばの送電開始を目標としている。最初の輸出先としてはチェコが想定されている。チェコ電力(ČEZ)によるSMR導入計画が進行中で、同社は英国に先駆け、2024年9月に当該SMRを将来の導入候補として選定した。2030年代に テメリン・サイトで初号機を運転開始する計画で、チェコ国内では合計300万kWe規模の導入が見込まれている。
27 Jan 2026
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米エネルギー省(DOE)原子力局は1月14日、傘下のアイダホ国立研究所(INL)に使用済み燃料研究センター(Center for Used Fuel Research)を設立したと発表した。これによりINLは、使用済み燃料管理に関する研究・開発・実証を担う主導機関に正式に指定された。同センターでは、長期保管条件下における使用済み燃料の安全な乾式貯蔵と輸送に関する応用研究を実施。商業炉およびDOE管理下の使用済み燃料について、最終処分前の安全な貯蔵および輸送に対する国民の信頼向上を目的とした技術的知見の蓄積を進める。INLは75年以上にわたり、燃料の開発、試験、認証を実施しており、今後は使用済み燃料の安全な長期貯蔵や輸送に関して公益事業者、規制当局、連邦政府機関が必要とする実証データの提供拠点となる。DOEはこの取組みについて、エネルギーと環境に関する米国の喫緊の課題を解決するための新たなコミットメントであり、使用済み燃料の最終処分に関するDOEの法定責任に直接対応するものであるとコメント。また、2025年4月にDOEとアイダホ州が合意した1995年和解協定の一部免除がなければ実現し得なかったと説明している。1995年の和解協定では、DOEがアイダホ州から遺留廃棄物を除去するマイルストーンを設定し、INLに商業炉からの使用済み燃料の搬入を禁止していたが、2025年4月、アイダホ州は和解協定の一部免除に合意。INLが商業炉の高燃焼度の使用済み燃料キャスクと国内大学の研究用原子炉から限定的な使用済み燃料を持ち込むことを認めた。これにより現在、ノースアナ原子力発電所に貯蔵されている高燃焼度の使用済み燃料キャスクをINLに搬出し、乾式貯蔵の研究を行うことが可能になった。搬出は2027年に行われる予定である。なおDOEは、同センターは使用済み燃料の安全な保管・輸送に関する問題に専念し、処分や再処理技術に関する直接的な研究は行わないとしている。INLは「ハブ・アンド・スポーク」(Hub and Spoke)モデルを通じて広範かつ多様な協力を調整。INLが中央ハブとなり、DOE傘下の他の国立研究所、産業界、大学、海外パートナーがスポークを形成し、幅広い関係者と効果的に協力する。大学はDOEの原子力エネルギー大学プログラム(NEUP)などのプログラムを通じて参加し、専門知識や人材育成への貢献が期待されている。海外パートナーとは、得られた教訓を共有、重複研究を避け、相互利益とベストプラクティスにおける整合性の確保に向けて連携するとしている。
26 Jan 2026
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フィンランドのヘルシンキ市が保有するエネルギー企業Helen(ヘレン)社は1月12日、原子力プロジェクトの開発を目的とした完全子会社「Helen Ydinvoima(ユディンボイマ)」を設立した。新会社は、ヘルシンキにおける原子力発電所建設の前提条件に関する調査を担い、将来的な投資判断に向けた準備を進める。2月初旬に業務を開始する予定。ヘレン社は現在、地域暖房向けの熱供給源として小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を検討しており、2024年9月にSMR導入プログラムを開始した。2025年11月には、SMRの建設候補地としてヘルシンキ市内の3か所を選定し、詳細調査を開始している。新会社の取締役会長には、J. タンフア氏が就任した。同氏は30年以上にわたり原子力業界に携わり、フィンランドの原子力事業者Teollisuuden Voima Oyj(テオリスーデン・ボイマ:TVO)社で、同国最新の原子力発電所であるオルキルオト3号機(EPR、166万kWe、2023年営業運転開始)の建設を指揮した実績を有する。また、CEOには、ヘレン社で発電部門ディレクターを務め、原子力・エネルギー分野で長年の経験を有するP. トロネン氏が就任している。ヘレン社のSMR導入プロジェクトでは現在、設備サプライヤー選定に向けた競争入札が進行中。また、事業スキームやパートナーシップモデルの検討を進めている。産業界や他のエネルギー企業との協業の可能性についても検討を進めている。今回の子会社設立により、同社は2030年までを目標とする地域暖房の脱炭素化に向け、フィンランド国内初となるSMRの建設・稼働の可能性を本格的に検討していく。
26 Jan 2026
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仏アラベル・ソリューションズ社は1月13日、ポーランド初の原子力発電所で建設されるWE社製AP1000×3基向けに半速アラベル蒸気タービン・発電機セットを供給することを明らかにした。同発電所は、ポーランド国営の特別目的会社(SPV)であるPEJ(=Polskie Elektrownie Jądrowe)が、同国北部のポモージェ県ホチェボ自治体内のルビアトボ–コパリノ・サイトに建設する。主契約者は米ウェスティングハウス(WE)社とベクテル社の企業連合。PEJは現在、同企業連合とEPC(エンジニアリング、調達、建設)契約を最終交渉中である。初号機は2036年に運転開始予定。WE社傘下のWEエナジー・システムズ社のD. リップマン社長は、「アラベル社のような欧州の大手サプライヤーのプロジェクト参加は、企業連合の『Buy Where We Build』の理念に合致する」とコメント。また、タービン建屋のサプライチェーンには、ポーランドの地元の企業を活用しており、企業連合はプロジェクト全体を通じた地元企業の参画により、ポーランドの産業基盤を強化するとしている。アラベル・ソリューションズ社は、フランス電力(EDF)グループの完全子会社で、原子力タービンアイランド技術・サービス部門における世界有数の供給者。以前はGEベルノバ社の事業の一部だった。
23 Jan 2026
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カナダ・オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は1月12日、オンタリオ州ポートホープ近郊のウェスリービル(Wesleyville)サイトにおける原子力発電所新設計画について、初期プロジェクト概要(Initial Project Description:IPD)をカナダ環境影響評価庁(IAAC)に提出した。これにより、同計画は連邦政府による影響評価(Impact Assessment:IA)手続きの初期段階に入った。IPDはIAACのウェブサイトで公開されており、2月11日まで一般からのパブリックコメント)を受け付けている。IPDは、影響評価に先立ち、事業の概要や主な論点を整理して提出する文書で、利害関係者との意見交換を行うための資料。オンタリオ州政府は昨年1月、電力需要の増加を見据え、OPG社に対し、ウェスリービル・サイトにおける原子力発電所建設の可能性を検討するよう要請していた。IPDでは、立地許認可にあたりプラント・パラメータ・エンベロープ(PPE)方式を採用するとしている。これは、複数の技術を想定し、最も影響が大きい条件を前提に影響評価を行う手法で、特定の炉型を確定する前に評価を進めることができる点が特徴。炉型の検討対象の例としては、米ウェスチングハウス(WE)社のAP1000、仏EDF社のEPR、加アトキンス・リアリス社の重水炉CANDU、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社のBWRX-300が挙げられている。IPDに示された暫定的なスケジュールでは、2030年頃のサイト準備、2033年頃の建設開始、2040年頃の初号機運転開始を想定している。ウェスリービル・サイトはオンタリオ湖沿岸に位置する約1,300エーカー(約5.26㎢)の敷地で、過去に発電用途として利用が検討されていた。既に電源開発地に分類され、送電網や鉄道、道路などのインフラにも近接している。OPG社の初期検討では、最大約1,000万kW規模の原子力発電所整備が想定されている。今後、IAACはIPDとパブリックコメントを踏まえ、影響評価の方法や範囲を定める。OPG社はこれに基づきさらに詳細な影響評価文書を作成し、影響評価(IA)に進む。IAはカナダ原子力安全委員会(CNSC)と連携して実施され、完了後、連邦政府がプロジェクトの可否を判断することになる。
23 Jan 2026
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