米X-エナジー 加アルバータ州でのSMR導入の実現可能性を確認
17 Oct 2025
米X–エナジー社傘下のX-エナジー・カナダ社は9月25日、加アルバータ州にあるTransAlta社の火力発電所のサイトにX–エナジー社が開発する小型モジュール炉(SMR)「Xe-100」を導入する実現可能性を確認できたことを明らかにした。これにより、さらなる計画策定および規制当局との協議の基盤が築かれたとしている。
実現可能性調査は、アルバータ州政府のTIER(Technology Innovation and Emissions Reduction)基金を原資に、州政府系機関ERA(Emissions Reduction Alberta)から助成を受け、カナダを拠点とする電力事業者のTransAlta社、エネルギー・エンジニアリング会社のHatch社、建設会社のPCL社、原子力サービス会社のKinectrics社と共同で実施した。調査の結果、アルバータ州特有のエネルギーおよび産業構造とXe-100の特性との間に高い親和性があることが確認され、同州のエネルギー経済と長期的な競争力強化に直接貢献できる分野を特定できたという。
Xe-100は、出力8万kWeの高温ガス冷却炉。電力供給に加え、565℃の熱および蒸気を安定供給可能で、同州の産業や石油・ガス分野で幅広く応用できる。また、Xe-100では空冷システムの効率的利用により、水使用量が大幅に削減できる見込みで、従来の軽水炉と比較して立地選定の柔軟性を高めるという。燃料には、米エネルギー省から「地球上で最も堅牢な燃料」とされるTRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料を使用。運転時や事故時を含むあらゆる状況での極端な高温にも耐えられるよう設計されており、次世代型の固有安全性を確保する。アルバータ州にはサプライチェーンが確立されており、X-エナジー社の技術の製造および建設を支える体制が整っている。X-エナジー社のB. レインキ上級副社長は、「Xe-100の利点を最大限に活かせる地域である」と指摘している。
X-エナジー社は、電力会社、産業顧客、ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)向けにXe-100を系統連系と同規模のエネルギーソリューションとして推進しており、米国の大手化学メーカーであるダウ(Dow)社、大手テック企業のAmazon社や英国のエネルギ―供給会社のセントリカ(Centrica)社とすでに導入や投資、電力購入をめぐって合意している。
X-エナジー社の最初の計画としては、ダウ社のテキサス州シードリフト・サイトにXe-100×4基の発電所を建設。北米で初めて産業サイト向けに導入され、クリーンな電力と高温蒸気を供給する。ダウ社とのプロジェクトに続き、Amazon社と2039年までに合計500万kWeの導入を計画しており、その一環としてワシントン州の電気事業者であるエナジー・ノースウェスト社と協働。同社が運転するコロンビア原子力発電所(BWR、121.1万kWe)の傍に「カスケード先進エネルギー施設」と称するSMRの施設を建設する。その第1フェーズでXe-100を4基(合計32万kWe)設置し、続く第2、第3フェーズと併せて、最大12基(合計出力96万kWe)を設置するオプションを有する。2020年代末までに建設を開始し、2030年代に運転を開始したい考えだ。今年8月にはAmazon社とともに、米国内でのXe-100展開の加速を目的に、韓国水力・原子力(KHNP)および斗山エナビリティ社と協力合意を交わし、翌9月には、英国のセントリカ社とイングランド北東部のハートルプールにXe-100を最大12基建設することで合意している。燃料部門では、自社開発のTRISO-X燃料の製造施設TX-1をテネシー州オークリッジに建設するプロジェクトを進めており、米原子力規制委員会が許認可の審査中である。