増井理事長 定例会見で原子力政策の課題を示す
07 Apr 2026
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は4月3日の定例記者会見で、自身が参加した原子力小委員会(経済産業省)や原子力科学技術委員会(文部科学省)での発言内容や、協会の取組みについて説明した。
増井理事長は冒頭、3月31日の第48回原子力小委員会において専門委員の立場から、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べたことに言及した。
人材育成の司令塔機能の創出について増井理事長は、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。
次に、次世代革新炉の建て替えに関する手続きについて、増井理事長は原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の取り扱いについて合理的な制度の整備を求めた。
また、高レベル放射性廃棄物処分については、国が東京都小笠原村に文献調査を申し入れたことについて、「国が主体的に関与した画期的な動き」と高く評価した。
続いて増井理事長は、3月30日に開催された文部科学省の原子力科学技術委員会での自身の発言を取り上げ、原子力損害賠償制度の見直しについて改めて言及。現行の無過失無限責任の制度では、投資判断の障害となるとした上で、過去の議論にとらわれず、十分な時間をかけて事前検討を進める必要性を強調した。
また、東京都内で3月に開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラムを契機に、日本原子力産業協会が米国の原子力エネルギー協会(NEI)と協力覚書(MOU)締結したことを報告。NEIとともに、インド太平洋地域における原子力開発支援を筆頭に、今後の連携強化を図ると述べた。
昨今の中東情勢の緊迫化を受けて、原子力発電が持つ意義について問われた増井理事長は、「電力会社のウラン調達先は多様であること」「国内に一定量の燃料備蓄が存在すること」を挙げ、「原子力はエネルギー安全保障の観点から一定の耐性を有する電源」との認識を示した。さらに、イラン国内の原子力施設への攻撃リスクについては、「国際条約上許されない行為であり、強く懸念している」とした上で、国際法の遵守が揺らぎつつある現状への危機感を露わにした。
このほか、日本原燃の再処理工場の竣工目途や、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた動き、フランスとの高速炉分野での協力について、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の進捗など、多岐にわたる質疑があり、それぞれ見解を示した。





