
政府は10月23日、2025年度の「エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2026)を閣議決定した。 エネルギー政策基本法に基づく法定白書で、今回が23回目。 2026年2月末に始まった中東危機への対応を第1部の柱に据え、「石油危機以来積み上げてきた対策だけでは対応しきれない事態が起こる時代に入った」と総括した。 対応策として、化石燃料の調達安定化を図り、原子力の活用などGX(グリーン・トランスフォーメーション)の取組みを加速・強化する「パワーGX」も紹介した。同白書によると、日本の原油輸入の中東依存度は1987年度に67.9%まで下がった後、2024年度には95.9%まで再び上昇した。 一方、一次エネルギー供給に占める石油の割合自体は、1970年代の約70%から2024年度には約35%まで低下している。 政府は2026年3月11日、世界に先駆けて石油備蓄の放出方針を決定。 4月の原油輸入量は前年同月比で60%以上減ったが、原油処理量の減少は同14%にとどまった。 米国などからの代替調達も拡大し、原油処理量は5月以降、前年同月並みとなった。 同白書は、エネルギー源の多角化や省エネルギー、石油備蓄などの政策により、今回は石油危機時のような全国的な節電要請や営業制限といった大規模な需要抑制措置を講じるには至っていないとしている。一方、同白書によると、日本全体として必要な量は確保できていたものの、ナフサなどの石油製品では流通の目詰まりや供給の偏りが生じた。 同白書はこれにより「日本のエネルギー需給構造の脆弱性が改めて明らかとなった」と指摘した。パワーGXは、政府が8月に取りまとめた「エネルギー需給構造の強靱化総合パッケージ」の通称。 同白書の概要資料によると、安全性を大前提とした原子力の最大限活用を掲げている。 2040年代に2~5基、2050年代に11~14基という建て替え見通しを踏まえ、次世代革新炉の社会実装に向けた措置を具体化するとしている(既報)。第1部のもう一つの柱である福島復興では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について、2026年1月の1号機の大型カバー設置完了や、3月の3号機の格納容器内調査などを紹介した。 4月に始まった第3期復興・創生期間の5年間は「福島復興の実現に向けた正念場」と位置づけた。第2部の原子力政策の章では、2026年2月に東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kW)が発電を開始し、3月時点で全国の計15基が再稼働していることを記した。 政府が4月に「次世代革新炉開発ロードマップ」を策定・公表したことも盛り込んだ。 一方、中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案については、「安全性に対する国民の信頼を大きく損なうものであり、あってはならないもの」とし、原子力規制委員会による審査停止などの対応に触れた。
23 Oct 2026
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鳥取県の平井伸治知事は10月22日、経済産業省で赤澤亮正経済産業大臣と会談し、中国電力が島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kW)で計画するプルサーマル発電について、原子燃料サイクルの確立や原子力防災対策の充実などを要望した。赤澤大臣は、青森県六ヶ所村の再処理工場の竣工に向け、国として責任を持って取り組む方針を示した。 平井知事は、鳥取県と米子市、境港市の連名による要望書を提出。島根原子力発電所からおおむね30km圏内のUPZ(緊急防護措置を準備する区域)には、境港市全域と米子市の一部が含まれる。要望書では、発電所の安全確保と事故時の対応、原子燃料サイクルの確立、特定重大事故等対処施設の早期整備、避難道路を含む原子力防災対策の充実、立地自治体と周辺自治体の財源格差への対応の5項目を求めた。 これに対し赤澤大臣は、六ヶ所再処理工場の竣工を「必ず成し遂げるべき重要課題」と位置づけ、工程全体の進捗管理や必要な人材の確保に取り組む考えを示した。また、使用済みMOX燃料については、日仏共同の実証研究を含め、2030年代後半をめどに再処理技術の確立をめざすと説明した。 鳥取県と米子市、境港市は、10月14日に中国電力に対し、プルサーマル計画に関する10項目の意見を提出している。平井知事は、中国電力が次の規制審査に進むことを了承したと説明。プルサーマル発電の実施については、審査結果や国の対応をふまえ、改めて判断する考えを示した。なお、平井知事は会談前日の21日、来春の知事選への不出馬を表明している。
23 Oct 2026
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環境省が手掛ける、放射線の健康影響に関する情報発信事業「ぐぐるプロジェクト」の一環として活動する「ふくしまメッセンジャーズ」は10月17日、2026年度初となる全国イベントを東京で開催した。「ぐぐるプロジェクト」は、放射線の健康影響に関する正しい情報の発信を目的に2021年に開始された。「ふくしまメッセンジャーズ」は2024年に始まった活動で、福島県在住・在勤等の10~30代のメンバーが、フィールドワークやワークショップなどを通じて、福島県に関する正しい情報の発信や交流を行っている。今回は東京のイオンモールむさし村山で、パネル展示や記念品の贈呈を行ったほか、「ふくしまメッセンジャーズ」のメンバー5名が、訪れた買い物客に「福島の今」を伝え、交流した。さらに、福島県出身の俳優・タレントのなすび氏もトークセッションに登壇し、東日本大震災直後から福島県の農作物の販売を応援してきた立場から、当時の風評被害の状況などについて語った。「ふくしまメッセンジャーズ」のメンバーからは、「福島県では、目に見えないところでも復興に向けたさまざまな取組みが進んでいる状況を、どうすれば身近な話題として受け止めてもらえるのかを考えるきっかけになった」などのコメントがあった。「ふくしまメッセンジャーズ」は今後、11月に行われる埼玉大学の学園祭に出展を予定しており、詳細は後日発表される。
22 Oct 2026
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原子燃料の性能や安全性などを議論する国際会議「TopFuel2026」が10月12~15日、品川インターシティホール(東京都)で開催された。日本での開催は2014年の仙台以来12年ぶり。欧米やアジアなどから研究者や技術者らが参加し、軽水炉燃料の性能向上や事故耐性燃料、次世代炉向け燃料の研究開発などについて議論した。参加登録者は400人を超え、過去最多となった。 TopFuelは、欧州原子力学会(ENS)、米国原子力学会(ANS)、日本原子力学会(AESJ)などが連携して毎年開催。従来は軽水炉燃料が中心だったが、2025年から高速炉や高温ガス炉などの次世代炉向け燃料にも対象を広げている。 次世代炉燃料に関するセッションでは、米アイダホ国立研究所(INL)が、人工知能(AI)を活用した燃料研究データの管理・分析手法を紹介した。過去25年以上にわたる超ウラン元素(TRU)を含む燃料の研究データをAIで整理し、効率的に検索できるデータベースを構築。また、米エネルギー省(DOE)の「ジェネシス・ミッション」に関連し、AIと解析ツールを組み合わせて燃料開発や原子炉設計を支援する技術の開発も進めていると報告した。こうした技術により、燃料開発や適格性評価に要する期間の短縮を目指している。 実行委員長を務めた電力中央研究所の尾形孝成シニアエキスパートは、本紙の取材に対し、日本からの研究発表について、2014年の日本開催では福島第一原子力発電所の燃料デブリに関するものが目立った一方、今回は事故耐性燃料に関する発表が多かったと振り返った。事故耐性燃料については、福島第一原発事故を契機に各国で開発が進み、実用化に向けて研究が成熟してきたとの認識を示した。 会場では企業展示やポスターセッションも行われ、国内外の燃料メーカーや重工メーカー、研究機関などが出展した。
22 Oct 2026
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企業の採用活動と学生の就職活動を支援し、原子力産業界への理解向上を図る2026年度「原子力産業セミナー」福岡会場(主催=日本原子力産業協会/協力=九州エネルギー問題懇話会)が10月17日、TKPエルガーラホール(福岡市)で開催された。28の企業・機関が出展し、84名の学生らが訪れた。地元企業の九州電力の担当者は、数年前まで原子力や化石燃料分野に対して批判的な見方をする学生も少なくなかったが、データセンター需要や環境・エネルギーへの関心の高まりを背景に「最先端でかっこいい」と前向きに評価する学生が増えてきた印象だと語った。近年新卒採用した社員からは、AIを活用した業務自動化など、デジタルネイティブ世代ならではのアイディアが出ることもあり、業界全体を牽引できるリーダーシップのある人材やDX推進など新しい取組みを積極的に切り拓くチャレンジ精神のある人材との出会いに期待を寄せた。九電産業では、近年理系学生の獲得競争が激化しているのを実感しているとして、インスタグラムなどのSNSも活用しながら学生からの認知度向上を図っている。基本的な業務内容に加えて「人を大切にする」という企業理念に基づいた福利厚生・働き方を前面に打ち出しており、実際にも入社理由として「会社の温かい雰囲気」「人の良さ」を挙げる新入社員が多いことから、理念が体現されていると自負している。同社の担当者は、若い世代に対しては、「原子力産業に携わる人材は電力供給を担うエッセンシャルワーカーとして重要な役割を果たしているとの認識のもと、責任感とやりがいを持って働いてほしい」との思いを述べた。熊本高専で機械知能システム工学を学ぶ4年生の学生は、ブース訪問で業務内容や福利厚生などについての説明を受け、「働きやすそう」と感じたという。まだ進学するか就職するか迷っているものの、企業の話を聞いてみたいと思って来場したところ、訪問した企業では高専卒と大学卒で業務内容はあまり変わらず、女性社員も多くいることが分かって好印象だったと笑顔を見せた。今年度の原子力産業セミナーは今回の福岡会場を含め全4会場で開催され、のべ157の企業・機関がブースを出展し、計584名の学生らが参加した。
20 Oct 2026
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政府は10月16日、首相官邸で開いた「戦略分野・社会インフラ関連分野の人材育成・確保を推進するための関係府省庁連絡会議(第2回)」で、今後の原子力発電所の建て替えの見通し((2040年代までに大型炉約2~5基分(約220万~550万kW)、2050年代までに同約11~14基分(約1,270万~1,600万kW)))をふまえ、必要な人材の規模を今年度中に公表する計画を示した。同会議では、日本成長戦略における「戦略17分野」のうち、次世代革新炉を含む検討が先行している10分野について、必要な人材育成に向けた課題や今後の施策を検討した。政府は、日本原子力産業協会の「原子力発電に係る産業動向調査2025」で示された原子力関係従事者数の約5.1万人を現在の就業者数と仮定し、今後育成が必要な人材の規模について検討・試算を進めている。政府は、原子力業界全体の課題として、東日本大震災後の業界の停滞・空白期間の影響に加え、人材を確保・育成するための産官学の協調体制が不十分であったと指摘した。10月7日に発足した産官学横断の司令塔組織「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」を中心に、今後原子力人材育成のロードマップの策定や、業界が協調した人材確保・育成の取組みを推進する。今後の施策の方向性として、①培われた技能、技術の継承・進化、②世界最先端の研究・技術基盤構築、③将来世代を呼び込む仕組みの強化、④産官学横断的な司令塔機能の創出、需給ギャップ分析に基づく中長期ロードマップの策定――の4点が挙げられた。
19 Oct 2026
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三菱重工業は10月15日、フランス電力(EDF)から受注した取替用蒸気発生器(SG)3基の納入を完了したと発表した。3基の製造は2024年1月に完了し、2026年2月末にフランス原子力規制当局(ASNR)の規格認証を取得していた。三菱重工によるEDFへのSG納入は2017年5月以来約9年ぶり。SGは、原子炉で発生させた熱を一次冷却系((原子炉の炉心で核分裂によって生じる熱を冷却材で除去するための閉じた回路))から二次冷却系((蒸気発生器からタービン、復水器を経て再び蒸気発生器へ戻る、水と蒸気が循環する閉じた回路))に伝え、水蒸気でタービンを駆動させる、PWRにおける重要機器の一つ。低合金鋼製の耐圧容器の内部に、耐食性の高いTT690合金((特殊な熱処理により耐腐食性を高めたニッケル・クロム・鉄合金))製の伝熱管約4,500本が挿入されており、高さ約21m、総重量約330トンに達する。三菱重工業はEDFから計9基の取替用SGを受注しており、残る6基についても、順次製造を進め、2028年以降に納入予定。今回製造した取替用SGは、出力約90万kWのPWR用で、クリュアス2号機(PWR、95.6万kW)に使用される。2019年に国際入札が行われ、三菱重工と仏Onet Technologies社が共同受注した。フランス国内で多数のPWRを運転するEDFは、1980年代に稼働開始したプラントについて、40年超運転を見据え、順次SGの取替を進めている。三菱重工は2005年から今回を含め累計18基の取替用SGを納入している。
16 Oct 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は10月14日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分や文献調査に関連して、第三者の専門家による説明や意見交換を行う「説明・議論の場」を父島で初めて開催した。専門性やテーマごとに第三者の専門家を招き、「説明・議論の場」を開催することは、国からの南鳥島での文献調査の申し入れに対し、2026年4月に小笠原村の渋谷正昭村長が要請した5つの事項のうちのひとつ。「説明・議論の場」は10月14日の午後と夜に計2回行われ、日本大学文理学部地球科学科の竹内真司教授が「日本列島の成り立ちと地層処分」をテーマにオンラインで講演し、参加者からの質疑を受けた。NUMOのwebサイトで当日の資料が公開されている。同日、取材に応じた渋谷村長は「地層処分や原子力発電に関する全体像への理解をさらに深めていきたい」と語った。また、北海道寿都町など他の文献調査実施地域では「対話の場」や「対話を行う場」といった名称が使われているのに対し、今回は「説明・議論の場」とした理由について、村民が誰でもいつでも参加できる場という点が他と異なるため、「対話」という名称を使用しなかったと説明した。さらに、8月からNUMOの職員約5名が常駐して、村民への理解活動を行っているが、それに関して「村民が訪れるのを待つのではなく、積極的に外に出て理解活動を行って欲しい」とNUMOに要請しているという。「説明・議論の場」は、10月16日に母島でも開催される。なお次回の開催日は未定だが、1月頃の開催に向けて調整しているとした。
16 Oct 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は10月15日、茨城県常陸大宮市における高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定に向けた文献調査を開始したと発表した。同日、経済産業大臣から2026事業年度事業計画の変更認可を得た。NUMOの山口彰理事長は「文献調査を実施させていただくにあたり、特定放射性廃棄物の最終処分という重要な課題に真摯に向き合っていただいた鈴木定幸市長をはじめ、常陸大宮市の皆さまには、心より感謝申し上げます」とコメントを発表した。文献調査は、地質図や学術論文などの文献・データをもとにした机上調査で、ボーリングなどの現地調査は行わず、放射性廃棄物は一切持ち込まれない。約2年かけて、地層の著しい変動の記録や、地震などの自然現象による地層の著しい変動が将来的に生じる可能性、経済的に価値が高い鉱物資源の存在、未固結堆積物((堆積した礫、砂、泥などが固結していない状態にあるもの))の存在などを調査する。文献調査の対象となっているのは常陸大宮市のほかに、北海道寿都町、北海道神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村南鳥島の4町村。このうち、寿都町と神恵内村では文献調査が完了し、それぞれ報告書が公開されている。
15 Oct 2026
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企業と学生の採用・就職活動支援と原子力産業界への理解向上を図る2026年度「原子力産業セミナー」仙台会場(主催=日本原子力産業協会、後援=東北エネルギー懇談会)が10月10日、TKPガーデンシティ仙台(宮城県・仙台市)で開催された。仙台で初開催となる同セミナーは、32の企業・機関が出展し、106名の学生らが訪れた。先月開催された東京会場にもブース出展していた東北電力は、原子力分野の人材確保は厳しい状況が続いてきたとしながらも、「実際に稼働している発電所を有する会社として、当社に関心を持っていただける機会も増えたのではないか」と明るい兆しも感じているという。学生一人ひとりと丁寧に向き合いながら、原子力業界の仕事の面白さや社会に役立つ仕事であることを伝える機会を増やし、将来にわたって原子力の安全と安定運転を支える人材の確保・育成に取り組んでいきたいと語った。日本原燃は、この10月に2027年度卒の内定を出したところで、売り手市場の影響を懸念していたものの、採用計画人数を確保できたという。インターンシップでは、再処理工場の中央制御室や執務室などを見学してもらっている。また、低レベル放射性廃棄物の埋設事業では、6月から国内初の覆土工事を進めている。同社は再処理工場を中核事業としながらも、埋設やウラン濃縮などの各事業が原子燃料サイクルを支えていることを伝えるため、学生に実際の現場を見てもらうことに力を入れている。若い人には「安全を最優先とし、使命感を持って仕事に取り組んでいただければ」と期待を寄せた。今回初出展の東北発電工業では、企業ロゴを近年リニューアルしたほか、地元のスポーツ会場や駅などで広告を出すなど同社の知名度アップに力を入れている。発電所のメンテナンスを行っている同社では、入社後の1年間は研修専門施設に入り、実際に発電所で使用していたタービン設備やバルブなどを使って実践的に学べるほか、さまざまな資格が取得できる職場だとアピールした。同じく初出展の東北緑化環境保全では、やる気さえあれば文系学生にも技術者への道が拓けることも説明しながら、門戸を広げて採用活動を行っている。原子力を取り巻く状況に関しては、震災直後に比べ、この数年学生にも前向きな姿勢が見られ、理解が深まって冷静に受け止められるようになったという。担当者は、自身が成長できる職場を求める学生が多いことに驚きと喜びを感じており、「自身の仕事がどのようなことにつながっていくのかという広い視点を持ち、胸を張って働いてもらえれば」と希望を語った。今年度の原子力産業セミナーは全国4会場で開催され、4会場目として10月17日に福岡会場で行われる。
13 Oct 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)はこのほど、若年層をターゲットとして高レベル放射性廃棄物の地層処分について考える新たなプロジェクト「#Think!地層処分~これからのミライのために知って、学んで、考えよう!~」を発表した。東京で11月に開催するイベントと、SNSでの動画配信を連動させるプロジェクトで、SNSを通して寄せられた疑問や意見を実際のイベントでの学びや交流に反映し、一方的な情報伝達ではなく、動画視聴者・参加者とともにセミナーをつくり上げていく。SNSでの情報発信とイベントを連動させるのはNUMO初の取組み。発表と同日に、TikTokのフォロワー数約460万人のインフルエンサーでタレントのおじゃす氏と、ミス東大2024グランプリのタレントで俳優の松藤百香氏が出演するショート動画が公開された。Youtube、Instagram、Xで公開している。今後、日常の出来事と地層処分をリンクさせたショート動画と、それぞれの解説動画を合わせた全14本を週に2本ずつ順次配信予定。11月21日には東京・ベルサール渋谷ファーストで、NUMOの山口彰理事長やお笑い芸人のぺこぱ氏、俳優・モデルの矢吹奈子氏らが参加するイベントを開催する。200人が観覧可能で、参加費は無料。リアルタイム投票やワークショップも開催する。観覧の応募開始は10月23日から。
13 Oct 2026
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革新炉の研究開発に取り組むスタートアップ企業、ブロッサムエナジー(東京都台東区)は9月30日、米国船級協会(ABS)と海外の海運会社と共同で、高温ガス炉(HTGR)を搭載した原子力推進LNG船の技術・経済性を評価したと発表した。成果は9月にタイ・バンコクで開かれた「Gastech 2026」で発表。温室効果ガス(GHG)規制に伴う負担を複数のシナリオで想定して経済性を評価した結果、従来のLNG燃料船と比べ、総所有コスト(Total Cost of Ownership=TCO)を最大15%低減できるとの試算を示した。 評価対象は、積載容量17万4,000立方メートル級のLNG船。同社が開発する出力2万~2万5,000kWe級のHTGRの搭載を想定し、原子炉の寸法や燃料交換周期などを検討した。2040年の就航、25年間の船舶寿命、5%の割引率などを前提に、ライフサイクル全体のTCOを評価した。 原子力推進船の初期投資額は従来のLNG船の約2.5倍となる一方、燃料費やGHG排出に伴う費用を抑えられる。GHG規制に伴う負担を考慮したシナリオでは、TCOは従来船比で最大15%低減した。一方、GHG関連の課金を考慮しない場合には、現状想定する初号機(FOAK)の原子炉コストでは、従来船に対するTCO上の競争力を確保することは難しいとした。原子炉の量産化や設計の標準化、原子炉搭載を前提とした船舶設計によるコスト低減が課題となる。 研究では、原子炉を船舶の一部ではなく、長期間利用する「エネルギー資産」として扱う事業モデルも検討された。船舶が寿命を迎えた後、原子炉を別の船舶に再搭載して利用することを想定し、その可能性を残存価値の評価に織り込んだ。 国際海運ではGHG排出規制への対応が課題となっている。国際海事機関(IMO)は2023年7月、2050年ごろまでに国際海運からのGHG排出をネットゼロとする新たな削減戦略を採択した。ブロッサムエナジーは今後、研究で得られた知見を踏まえ、HTGRの経済性向上に向けた技術・規制面の検討を進めるとしている。
09 Oct 2026
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原子力分野の人材確保・育成を産学官で進める「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」が10月7日、発足した。政府が原子力の最大限活用を掲げ、将来的な原子力発電所の建て替えを見据える中、人材の確保・育成が課題となっている。コンソーシアムでは今後、将来の原子力人材の需給ギャップを分析し、今年度内に今後の取り組みに向けたロードマップの策定をめざす。 同日、経済産業省内で設立会合が開かれ、電力会社、メーカー、大学・研究機関、関係省庁などの代表者が出席した。冒頭、日本原子力産業協会の増井理事長がコンソーシアムの設立趣旨や運営体制を説明した。 コンソーシアムは、2010年に発足した「原子力人材育成ネットワーク」を発展的に改組したもので、従来の情報共有中心の連携から、具体的な課題解決に向けた実行体制へと機能を強化する。従来の84機関が引き続き参画する予定で、日本原子力産業協会や電力会社、メーカー、経済産業省、文部科学省、原子力規制庁など13の発起組織が運営を担う。意思決定機関や実務統括組織を設けるほか、発起組織から人員を派遣して常設の事務局を置く。 当面の重点課題は、将来必要となる原子力人材の需給ギャップの把握と、ロードマップの策定だ。電気工事、溶接、建設、据え付けなど、職種や専門分野ごとに必要な人材の規模をできる限り詳細に分析する方針。ロードマップには、人材の必要数や課題解決に向けた取り組み、関係機関の役割などを盛り込み、2026年度内の取りまとめを目指す。 会合に出席した資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は、原子力が設計、建設、運転、保守、研究開発から原子燃料サイクル、廃炉まで幅広い専門人材に支えられていることを指摘し、「原子力政策の鍵となるのは人材」と強調。コンソーシアムに対し、個々の組織では解決が難しい課題に産学官が連携して取り組む「司令塔」としての役割に期待を示した。
08 Oct 2026
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千葉大学ハドロン宇宙国際研究センターが参加する国際共同研究「IceCube(アイスキューブ)実験」を率いてきた米ウィスコンシン大マディソン校のフランシス・ハルゼン教授に、2026年のノーベル物理学賞が贈られることが決まった。スウェーデン王立科学アカデミーが10月6日に発表した。日本からは千葉大が同実験に唯一参加している。IceCube実験は、南極点の地下1,450~2,450mの氷の中に5,160個の高精度光検出器を埋め込んだ、世界最大規模のニュートリノ((素粒子(それ以上分けられない最小単位の粒子)の一つ。電荷を持たないため他の物質とほとんど反応せず、質量も極めて小さい。「幽霊粒子」とも呼ばれ、太陽や原子炉、宇宙線などあらゆる場所で生まれている。))望遠鏡で、宇宙から飛来する高エネルギーニュートリノ((通常のニュートリノの100万倍以上のエネルギーを持ち、ブラックホール周辺など宇宙の極端な現象でしか生まれない。電荷がなく進路が曲がらないため、発生源の天体を特定する手がかりになる。))を観測する国際共同プロジェクト。千葉大のグループは2002年の国際共同チーム発足当初から参加し、ハドロン宇宙国際研究センターのニュートリノ天文学部門が研究を担ってきた。2011年の本格観測開始後、2012年に千葉大グループ主導の解析で超高エネルギーニュートリノを世界で初めて検出し、2013年にはそれが宇宙起源であることを確立、2018年には発生源天体を世界で初めて同定した。授賞理由は「IceCubeニュートリノ観測所への決定的な貢献および天体物理学的起源をもつ高エネルギーニュートリノの発見」。ハルゼン教授はIceCube実験の発案者で、構想から建設・運用まで一貫してプロジェクトを率いてきた。千葉大の横手幸太郎学長は「今回、この国際研究プロジェクトの功績が世界で最も権威ある賞の受賞につながったことは、我々にとっても大変名誉なこと」とコメントを発表し、千葉大グループを率いる理学研究院の吉田滋教授は、2002年の発足当初に参加した際には、有用な成果は難しいだろうという意見が圧倒的多数であったことを振り返り、「最初の宇宙ニュートリノ信号が日本グループの解析で同定されたことを思い返すと、全力を出し切った者にのみ、たまに幸運の女神が微笑むこともある、という古くからの格言の言わんとすることを身にしみて感じる」と語った。
07 Oct 2026
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電力中央研究所の原子力リスク研究センター(NRRC)は9月30日、東京都内の大手町三井ホールで「NRRCシンポジウム2026」を開催した。「PRA技術水準の到達点」をテーマに、確率論的リスク評価(PRA-Probabilistic Risk Assessment)の技術開発や原子力発電所の安全性向上に向けたリスク情報活用の成果、今後の課題を報告した。 NRRCは、原子力事業者の自主的な安全性向上を支える研究開発拠点として、2014年に設立された。シンポジウムの開催は2018年以来8年ぶり、3回目。 PRAは、原子炉を「止める・冷やす・閉じ込める」といった安全機能が失われ、事故に至るさまざまなシナリオを洗い出し、その発生頻度や影響を定量的に評価する手法。得られたリスク情報を、従来の安全性評価や運転経験などと組み合わせ、安全対策の優先順位の検討などに役立てる。国内では、福島第一原子力発電所事故の教訓をふまえ、規制や事業者による自主的な安全性向上活動への活用が進められてきた。 基調報告でジョージ・アポストラキス同センター所長は、過去の国内PRAでは何を評価しても炉心損傷頻度(CDF)((炉心損傷頻度(CDF):機器の故障データなどから、炉心損傷に至る各事故シナリオの発生頻度を算出・合計した推定値で、実際の事故件数ではない。原子炉1基・1年当たりで表し、10⁻⁶/炉年は100万炉年当たり1回に相当する。))が10⁻⁶と報告されてきた状況を「10⁻⁶の文化」と表現し、PRAへの信頼性の低下を招いたと指摘した。そのうえで、海外専門家によるレビューなどを通じた品質向上の取組みを紹介し、現実的にリスクを把握し、安全性向上に生かす重要性を強調した。米国では、内的事象((内的事象:機器の故障や運転員の操作ミスなど、発電所内部で生じる事故のきっかけとなる事象。地震・津波などの外部事象とは区別して評価される。 ))によるCDFの業界平均が1992年比で2023年ごろには約20分の1に低下したと説明。保全規則や設備対策などの要因もあるとしつつ、主にリスク情報の活用の成果との見方を示した。 また、原子力規制庁の古金谷敏之・核物質・放射線総括審議官は、事前収録の基調講演で、運転中保全(オンラインメンテナンス)の現場実証など、リスク情報を活用した規制の取組みを紹介した。 NRRC担当者による報告では、「現状の到達点」として、発電所の実態をより正確に反映する評価手法の開発成果が紹介された。地震PRAでは、従来、地盤が損傷すればただちに炉心損傷に至るものとして評価していた。これを改良し、地盤の変形が建屋や機器にどう影響するかまで評価することで、重要な事故シナリオをより的確に把握できることを確認した。津波PRAでは、実際の発電所の設備配置などを基に建屋内への浸水経路を詳しく分析し、浸水防護対策の効果を反映した評価が可能になったと報告した。 「今後の開発」では、評価対象をさらに広げる取組みを紹介。竜巻PRAでは、風速や飛来物の衝突、防護設備の性能を評価する技術が整い、今後は実機情報に基づく試評価を進める段階にある。また、地震と津波が重なる場合や、複数号機で同時に事故が起きる場合など、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた評価手法の開発にも取組んでいる。 閉会にあたり、同センターの朝岡善幸所長代理は、PRAで得られるリスク情報を安全性向上のための意思決定に活用できる段階に到達したとの認識を示した。今後は評価対象の範囲をさらに広げて手法開発を進めるとともに、得られたリスク情報を実際の安全性向上にどう生かすかが、一層重要になると締めくくった。
07 Oct 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は10月2日の定例記者会見で、120万kW規模の原子力発電プラント1基の工事・運転・廃炉のライフサイクルを通じた経済波及効果を約4.3兆円と試算したことを明らかにした。原産協会がこうした試算を公表するのは今回が初。増井理事長は会見冒頭で、原産協会が公表した資料「安全性を大前提とした、数字で示す!原子力発電プラント1基のさまざまな価値」を説明。政府が発表した今後の原子力政策の方向性と行動指針の中で、2040年代までに最大5基、2050年代までに最大14基の原子力発電所の建て替えが必要とされる中、原子力発電プラント1基の価値を3E((安定供給(Energy Security), 経済効果(Economic Efficiency), 環境への適合(Environment)))の観点から整理したという。今回、初めての取組みとして公表した、経済波及効果は政府の2025年発電コスト検証ワーキングで用いられたデータや総務省の2020年版産業連関表((国内経済において一定期間(通常1年間)に行われた財・サービスの産業間取引を一つの行列(マトリックス)に示した統計表))を用いて、直接効果と一次効果までを試算の対象とした。1基建て替えによるプラントライフサイクル全体の国内経済全体の波及効果の合計は4.3兆円、建設中には年間1.4万人の雇用が誘発されると示した。このほか、安定供給の観点から、機器類の国産化率90%以上、国内で保有する原子燃料で発電を維持できる期間を表す燃料備蓄効果が2.9年分、環境の観点から発電時のCO2排出量ゼロなどを説明した。また最も伝えたいメッセージとして、「原子力の利点は単なる経済波及効果だけでなく、安定的な供給と優れた環境適合性の上にさらに経済波及効果があるということ」を挙げた。また、茨城県常陸大宮市での高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定に向けた文献調査受け入れ表明について言及。科学的に適した処分地を選定するためには全国の複数地点での調査が不可欠であり、今回の受け入れ表明によって調査地域が広がることは極めて意義が大きいとした。記者からの質疑応答では、今回発表した原子力の経済波及効果に関する質問が相次いだ。資料で年間510~725億円としている化石燃料の削減コストについて、ホルムズ海峡をめぐる情勢の影響で足元のLNG価格が今回の算定根拠より上昇しているとの指摘に対し、増井理事長は、現在の価格を反映すると削減効果はさらに大きくなるとしつつ、今回は公的なデータを用い、効果を過大に見せることなく、化石燃料コストの削減という観点から原子力発電の価値をニュートラルに示すことを意図したと説明。さらに新設炉の経済効果試算について問われた際には、政府の発電コスト検証ワーキングで革新軽水炉の評価が行われた場合、改めて価値を試算する可能性があるものの、革新軽水炉は現時点で国内での建設実績がなく、検証が難しいと述べるにとどまった。
06 Oct 2026
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世界原子力発電事業者協会(WANO)の第18回隔年総会が9月29日~30日、東京で開催され、「継続的改善文化の醸成(Fostering a Continuous Improvement Culture)」をテーマに、38の国と地域から400名以上の原子力関係者が参集。業界動向、AIが効率性・生産性に与える影響、グローバルサプライチェーン、SMR(小型モジュール炉)がもたらす機会についてのパネルディスカッションなどが行われた。WANOの千種直樹CEOは、原子力業界は引き続き高い安全実績を維持しているが、その卓越性を持続するためには継続的な改善が不可欠とし、「WANOと会員は、高度なデータ分析、デジタル技術、そしてAIの活用を進めることで、パフォーマンスの把握、監視、改善のあり方を大きく変革している」と述べ、「今後の重点は、継続的改善を単なる施策ではなく、世界の原子力業界のあらゆるレベルにおける意思決定を支える、深く根付いた考え方として定着させることにある」と強調した。総会では、国際原子力機関(IAEA)のR.グロッシー事務局長からビデオメッセージが寄せられたほか、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)のW.マグウッド事務局長や世界原子力協会(WNA)のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長が講演やパネルディスカッションに参加した。WANOの総裁を務める東京電力ホールディングス(東京電力HD)の小早川智明社長は「原子力は安全を最優先としつつ、低炭素で安定した電源として重要な役割を果たすことがこれまで以上に期待されている」とし、新技術や新しい原子力事業者の参入の波の中で、技術や国が異なっていても、互いに過去の教訓をしっかり学び、活かす必要があると述べた。次回、2028年の総会は中国・上海で開催され、中国核工業集団(CNNC)がホストを務める予定。
05 Oct 2026
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東京電力ホールディングス(東京電力HD)は10月1日、福島第一原子力発電所2号機で、ロボットアームを用いた内部調査や燃料デブリの試験的取り出しに、本日10月2日に着手すると発表した。ロボットアームの現場での使用は今回が初。3、4か月かけてアクセスルートの構築や原子炉格納容器の内部調査を行い、原子炉格納容器の三次元形状データの取得を実施する予定。その後の燃料デブリ採取や分析を含めて全体で約6か月の作業期間を見込むが、安全を最優先に作業を進めることから、予定より作業期間が延びる可能性もあるという。実際に燃料デブリの試験的な取り出しを実施するのは2027年以降。ロボットアームは全長約22メートル(ワンド((さまざまな先端ツールを取り付ける部位))を除くと約18メートル)、重さは約4.6トン。英国企業とともに開発を進めてきたもので、途中新型コロナウイルスの影響や装置の不具合などで延期が重なりながらも、今回の使用に至った。発表と同日に開かれた記者会見で、東京電力HDの福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント兼廃炉・汚染水対策最高責任者の小野明氏は、「ようやくここまで来たな」という思いであるとしつつ、今回の取組みでロボットアームがどのように使えるか、次回以降の燃料デブリ採取に繋げていきたいと話した。今回取得した三次元形状データをから、原子炉格納容器内部の状況を詳しく分析し、今後の燃料デブリの取り出し作業の進め方や機材の使用方法などを検討するという。
02 Oct 2026
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マッキンゼー・アンド・カンパニーは、日本経済や企業の成長戦略を分析した最新レポート「新時代の日本へ:躍動と成長に向けた競争力の再構築」の日本語版を9月30日に公開。日本の原子力発電産業を、決定的な規模を確立し、バリューチェーン全体で競争することで、グローバルで主導的なポジションを築くことが重要とする「戦略投資(Shape)」の領域に分類した。「戦略投資(Shape)」に分類されるのは、世界のGDP成長の最大1/3をけん引すると見込まれる18の産業領域のうち、日本が強みを持ち、重要度も高い産業で、原子力発電以外に、半導体、蓄エネルギーシステム、ロボティクスが選ばれている。マッキンゼーは日本の原子力発電産業を、「世界でも数少ないサプライチェーンを一気通貫で供給可能な基盤を有する国」と表現し、「世界で電力需要が急増し原子力発電が注目されるなかで、次世代型の開発・設計・保守運用の領域において構造的な優位性を有している」と評価。さらに、AIの急速な普及を支えるデータセンターの急増により日本の電力需要は増加傾向にあり、電力の慢性的な不足が見込まれる中で、エネルギー安定供給の重要な柱として原子力や大型の火力電源のリプレース・新増設が重要と指摘した。一方、日本では多くの原子炉が再稼働しておらず、新設も進まないなかで、原子力技術者や機器製造などのサプライチェーンが失われつつあり、日本の国際的な競争力が低下していることを課題として挙げた。こうした「待ったなしの状況」が打開できれば、日本が持つ貴重な技術・エンジニアリング人材をさらなる成長の原動力として生かすとともに、小型モジュール炉(SMR)開発などの次世代技術でも競争力を確立するための基盤を築くことができると分析した。なお、マッキンゼーは今後、各分野に日本企業がどのように注力し、競争力を築くべきかを掘り下げる追加のレポートを作成予定。
01 Oct 2026
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茨城県常陸大宮市の鈴木定幸市長は9月30日、国が申し入れていた、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定に向けた文献調査を受け入れると表明した。同日、常陸大宮市役所で開いた記者会見で、鈴木市長は受け入れを決めた理由として、①高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた取組みは国策であり、その国策に一自治体として貢献できるという大きな意義、②消滅可能性自治体((2024年に民間組織「人口戦略会議」が発表した、2050年までの30年間で、20~39歳の女性の人口が半数以下に減少する自治体))である常陸大宮市にとって、地層処分への貢献が市の存立基盤の強化につながる可能性があり、市民を含めた議論を通じて、その可能性を未来へ繋げること、③文献調査によって常陸大宮市の地下環境を科学的かつ集中的に分析することは、減災・防災の面からも地域の財産になること――などを挙げた。鈴木市長は、これまで前向きに検討を行ってきたと語り、文献調査は「スタートラインに立つ前段階」という認識を示した。今後、文献調査について説明し、市民の懸念や疑問に答えるため、広報紙の号外を作成する予定。さらに、住民への説明に対応する専門職員も配置するという。原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長はコメントを発表し、「特定放射性廃棄物の最終処分と文献調査に関心を持ち、議論していただいたことに敬意を表しますとともに、このたびの鈴木市長のご判断に心から感謝申し上げます」としたうえで、最終処分や文献調査に関する常陸大宮市民の関心や疑問、不安に応え、理解と議論を深められるよう尽力するとした。なお常陸大宮市には、放射線を利用した品種改良研究を行う放射線育種場(ガンマーフィールド)が長年置かれていたが、2025年9月末に廃止された。
01 Oct 2026
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東京都小笠原村は9月25日の村議会で、南鳥島で進む高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に向けた文献調査に伴う交付金について、交付される全額を受領し、公共施設整備などに充てる基金として積み立てる意向を示した。2027年度当初予算案に盛り込む方針。 村によると、9月8日に国から交付金事業の方向性について確認があり、公共施設整備などに要する基金の造成を目的に、全額を2027年度に予算措置する方針を報告した。文献調査の実施に伴う交付金は、国から2年間で最大20億円が交付される。 質疑では、平野悠介総務委員会副委員長が、村民から寄せられた使途に関する声を紹介。島外で医療を受ける際の滞在費助成や島内での人工透析、出産支援、老人ホームの拡充、学校給食、体育館の冷房、住宅不足対策、停電対策などが挙げられた。 渋谷正昭村長は、村民からさまざまな提案が寄せられているとした一方、交付金には使途の制約があり、すべての事業に充てられるわけではないと説明。「しっかりと目的を明確にした上で使わせていただきたい」と述べた。今後、具体的な使途を盛り込んだ事業計画を作成し、12月の村議会で示す考えだ。 南鳥島を対象とした文献調査は、最終処分地選定に向けた第1段階にあたる。今年5月に南鳥島での文献調査実施に伴う原子力発電環境整備機構(NUMO)の事業計画変更を経済産業省が認可し、調査が正式に始まった。村はNUMOや経産省と連携し、地層処分や原子燃料サイクルなどをテーマに、住民向けの説明や意見交換、勉強会を進める方針を示している。
29 Sep 2026
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日立製作所、米GEベルノバ社、ポーランドの小型モジュール炉(SMR)開発・投資会社であるシントス・グリーン・エナジー(SGE)社、韓国の建設大手サムスンC&T社(サムスン物産)は、このほど、中・東欧および英国における、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMR「BWRX‐300」(BWR, 30万kWe)の導入拡大に向け、市場開拓および事業機会の検討に関する協力の枠組みを定めた覚書(MOU)を締結した。今回のMOUは、国連総会にあわせてニューヨークで開催されたアトランティック・カウンシル主催のNuclear Energy Policy Summit(原子力エネルギー政策サミット)で、署名が行われた。今年7月に行われた日米韓外相会合で締結されたSMRに関する日米韓協力覚書(MOC)につながるものとしている。4社は今後、原子力技術、エンジニアリングおよびプロジェクト遂行に関する各社の知見と、地域開発に関する専門性を結集し、BWRX-300の導入に向けた市場機会の評価や、導入戦略のさらなる検討を進めるとともに事業機会の創出に向けて協力するという。GE ベルノバ社と日立製作所の合弁会社であるGVH社が、BWRX‐300の設計や技術提供を担い、日立製作所の子会社である日立GEベルノバニュークリアエナジー社は、原子力技術および同業界における幅広い知見を提供し、サムスン物産は、国際的なエンジニアリングおよび建設能力を活かす。SGEは、既に欧州においてBWRX-300の複数基展開を進めており、当該地域のBWRX-300の導入を取りまとめる役割だ。日立製作所の稲田康徳執行役常務(原子力ビジネスユニットCEO)は、「今回の協力において、各社が有する強みと専門性を結集する中で、日立は、原子力事業で培った技術力と実績ある日本のサプライヤーとの連携を通じて、欧州におけるBWRX-300導入に向けた検討を加速させる」と語った。BWRX-300は既にカナダのダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトで建設が進められており、2026年3月に運転認可の申請が行われたほか、米国ではTVAのクリンチリバー・サイトで建設が計画、検討されている。
29 Sep 2026
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中国電力は9月25日、脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)の金融支援を活用し、脱炭素に向けた取組みを対象とする「トランジションローン」により、総額1,490億円を調達すると発表した。調達資金は島根原子力発電所3号機(BWR=ABWR, 137.3万kW)の安全対策工事などに充当する。 GX推進機構の債務保証制度を活用し、みずほ銀行、日本政策投資銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、SBI新生銀行、信金中央金庫の8金融機関から融資を受ける。島根3号機の安全対策工事のほか、明塚水力発電所(島根県)の水車・発電機を更新し、発電効率を向上させる工事などに充てる。契約締結は28日、融資実行は30日。 中国電力がGX推進機構の金融支援を活用して資金を調達するのは、今年3月に続き2回目。初回は5金融機関から融資を受け、島根3号機の安全対策工事と豊川水力発電所(島根県)のリパワリング工事に充当した。同社は、脱炭素電源への中長期的な投資に向け、今後も同スキームの継続的な活用を検討する方針を示している。
28 Sep 2026
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中部電力は9月25日、浜岡3、4号機(BWR、3号機:110.0万kW、4号機:113.7万kW)の新規制基準に係る原子炉設置変更許可申請および4号機の新規制基準に係る工事計画認可申請および保安規定変更認可申請についての申請取り下げを原子力規制委員会(規制委)に提出した。取り下げ自体は、基準地震動評価における不適切事案に関する、外部専門家による調査委員会の調査報告書の内容を踏まえ、従前の申請を維持することは適切でないとの判断から、9月14日の臨時取締役会で決定していた。中部電力は今回、改めて謝罪を表明。二度と同様の事案を発生させないために、ガバナンスおよび組織風土を解体的に再構築することを目指し、「意識・行動の変革」「組織風土の改革」「ガバナンス・牽制機能の変革・強化」を柱とする経営改革に取り組むとした。
28 Sep 2026
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