
関西電力は7月9日、日本初の原子力の電力を活用したオフサイト型フィジカルPPA(電力購入契約)実現に向け、需要家や小売電気事業者などの法人を対象とした問い合わせ窓口の設置を発表した。オフサイト型フィジカルPPAとは、発電事業者が電力購入者の敷地外で発電した電力を、一般の電力系統を通じて電力購入者に届ける仕組み。使用電力の脱炭素化に加え、個々の契約にもとづき、価格が固定されるため、市場価格の変動を受けにくく、コストを見通しやすくなる。関西電力はこれまでも同様のPPA事業を行ってきたが、太陽光を中心とするものだった。今回は原子力・水力由来の電力を対象としている。関西電力で現在稼働している原子力発電所は美浜3号機、高浜1~4号機、大飯3-4号機の計7基。関西電力は原子力・水力を活用することで、季節や天候、時間帯に左右されにくい脱炭素電源を調達できることをメリットとしている。問い合わせは専用webフォームで受け付けている。海外では先日、米国の大手電力会社コンステレーション社と小売大手ウォルマート社が、ドレスデン原子力発電所から電力を供給する長期のPPAを締結するなど、PPAをめぐる動きが活発化している。
13 Jul 2026
433
原子力規制庁(規制庁)は7月7日、公益財団法人原子力安全技術センター及びKDDI株式会社(KDDI)とともに、高耐久スマートフォンを活用した放射線測定データ伝送システムの実証実験を実施すると発表した。原子力災害時のモニタリング体制強靭化を目的に、第1回の耐熱実証を8月に東大阪で、第2回の耐寒実証を12月に泊オフサイトセンター(北海道共和町)で行い、将来的に従来の可搬型モニタリングポストの代替となり得るかを見極める。2024年1月の能登半島地震で、放射線測定自体は行われていたにもかかわらず、通信障害で一部のデータを送信できず欠測が生じたことから、通信の多重化や容易に設置できる代替システムの配備が検討されている。現行の可搬型モニタリングポストは1台約45kgと重く、道路寸断時の迅速な設置を妨げる一因ともなっている。今回のシステムは、小型のサーベイメータ(RadEye PRD ER4J)とKDDIの高耐久スマートフォン「TORQUE(トルク)」をBluetoothで接続する構成をとる。通常はLTE回線で通信し、圏外になると自動的に衛星通信「au Starlink Direct」へ切り替わり、回線復帰時には元に戻る。取得した線量・時刻・位置情報はSMSで送信され、収集サーバを経由して規制庁の「放射線モニタリングプラットフォーム(RAMP)」用に変換・暗号化されたうえで、測定値を公表する「放射線モニタリング情報共有・公表システム(RAMIS)」上でリアルタイムに確認できる。低軌道衛星通信の採用で送信電力を抑えたことで、小型バッテリーでも給電なしに7日間の連続運用が可能。システム重量は従来の約45kgに対し約4kgとおよそ10分の1に軽量化され、通信コストも約4分の1に低減する見込みで、規制庁は「緊急時に最も必要な空間線量を、衛星通信でも確実に送れるよう設計した」と説明。実証実験ではシステム全体として過酷環境で安定的に機能するかを確認し、寒冷地専用バッテリーへの交換や断熱などについても検証する。規制庁は本システムを、モニタリング体制強靭化に向けた複数の対応策の一つと位置付けている。低消費電力で相互に通信するLPWA(省電力広域無線通信)なども並行して検討している。昨年、福井県のLTE圏外地域で衛星通信への自動切替と災害時の通信確保を検証しており、今年度の結果を踏まえ、来年度からの実用化を目指す方針だ。
13 Jul 2026
573
島根県の丸山達也知事と鳥取県の平井伸治知事は7月7日、経済産業省の赤澤亮正大臣に「原子力発電施設等立地地域への財政措置に関する要請書」を提出した。要請書では「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法(原子力立地地域特措法)の指定対象地域拡大に伴う予算の確保」と「原子力災害時の避難路整備等に対する特別な措置」を求めている。原子力立地地域特措法に関しては、2025年に同法の対象地域が原子力発電所の半径10キロ圏から30キロ圏に拡大されたが、それに伴って必要となる予算を既存の予算に上乗せすることを要求した。島根原子力発電所30キロ圏には鳥取県境港市と米子市も含まれている。避難路整備については、新潟県に対して行われた柏崎刈羽原子力発電所の避難路整備に対する国の支援と同等の措置を、島根地域を含む他の原子力発電所立地地域にも講じることを要請した。赤澤大臣は柏崎刈羽発電所について、福島第一原子力発電所事故後初めて再稼働した東京電力管轄の原子力発電所であり、特別な状況であったと説明しつつも、要請に対して検討を進めることを知事らに伝えた。
10 Jul 2026
362
NATO首脳会合の関連行事に参加するためトルコを訪問した茂木敏充外務大臣は7月7日、マルコ・ルビオ米国国務長官、趙顕(チョ・ヒョン)韓国外交部長官と日米韓外相会合を実施し、小型モジュール炉(SMR)協力に関する日米韓協力覚書(MOC)に署名した。同覚書は、インド太平洋地域を当面の重点地域として、第三国のSMR導入を支援することが目的。SMR導入・展開における原子力産業分野で相互補完的な強みを持つ3か国が、協力や連携を促進するための枠組みを構築し、同一設計の炉を連続的に建設・運用するアプローチ(fleet deployment models)の推進をめざす。これにより、プロジェクトのリスク低減や規模の経済の実現、民間投資促進、許認可プロセスの合理化、サプライチェーンの最適化につながるとしている。米国はこの枠組み支援のため、米国務省が主導する「SMRの責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」に1,000万ドル超(約16億円超)を新たに拠出する。インド太平洋地域のSMRプロジェクト支援や人材育成のためのSMR地域トレーニングハブの設立に充てられる予定。さらに同日の米国務省の発表によると、米GEベルノバ社、日立製作所、韓サムソンC&T社(サムスン物産) 、およびポーランド・シントス・グリーン・エナジー(SGE)社の4社が、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe) の欧州展開を進めるための協力枠組みで合意した。同省はこの枠組みが、今回の日米韓協力覚書の目標達成に貢献し、官民の連携強化やエネルギー安全保障につながるとしている。
10 Jul 2026
454
ムロオシステムズはこのほど、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・F/S事業)」に、カザフスタンにおける放射性廃棄物管理インフラの高度化に向けた実行可能性調査(F/S)が採択されたと発表した。同社の完全子会社で放射性廃棄物管理などを手がけるNUKEM社が技術実施を担う。同事業は、グローバルサウス諸国での事業化に向け、実行可能性や採算性などを調査する取組みを支援するもの。今回のF/Sでは、カザフスタンにおいて低・中レベル放射性廃棄物を対象に、処理・中間貯蔵・デジタル管理を一体化した統合型インフラの実行可能性を調査する。年間数千トン規模の処理能力を想定した設備構成などについて検討するほか、移動式の汚染土壌修復技術「FREMES」の現地適用可能性についても検証する。デジタル管理では、廃棄物の発生から処理、中間貯蔵までを一元的に追跡・記録する情報基盤を中核に、SCADA(監視制御システム)やAIを活用した異常兆候検知などを組み合わせ、安全性や運用効率の向上、IAEAの保障措置や規制報告への対応強化を図る考えだ。ムロオシステムズは、日本で培ったAIなどのデジタル技術と、NUKEMが持つ放射性廃棄物管理技術の融合をめざす。ムロオシステムズは2025年12月、カザフスタン国立原子力センター(NNC)と使用済み燃料・放射性廃棄物管理分野での協力覚書(MOU)を締結している。今回のF/S採択は、こうした協力関係を具体的な事業化検討へ発展させる取組みとなる。カザフスタンでは電力需要の増加と供給不足が顕在化しており、K.-J.トカエフ大統領は4月15日、2050年までの原子力産業の国家戦略を承認した。同戦略では、2050年までに少なくとも3サイトでの原子力発電所稼働を想定している。同社によると、現地では発電所新設と並行して、放射性廃棄物の処理・中間貯蔵などバックエンド分野のインフラ整備に対するニーズも高まっているという。同社は、原子炉建設ではなく、放射性廃棄物管理分野で同国の原子力導入を支える考えだ。
09 Jul 2026
470
原子力規制委員会(規制委)は6月26日開催の検査制度に関する意見交換会合で、発電所などで規制検査を行う検査官の振る舞いに関する相談窓口を設置するとともに、検査官に求められる振る舞いをガイドラインに明文化する方針を示した。規制委は今年2月に川内原子力発電所所長らとの面談を行った際に、過去の検査官の恫喝ともとれる言い方や、技術的な根拠を示さない振る舞いなどを認め、謝罪していた。相談窓口は原子力規制庁検査監督総括課内に設置予定で、メールで相談を受け付ける。相談を受けた後、検査官や事業者に対する情報収集が行われ、事業者が相談を行ったことに対して報復と受け取られかねない対応を行わないよう、当該検査官にも指導が行われるという。その後、特定された事実に基づいて検査官に対して指導が行われ、改善が見られない場合は配置換えや職務転換などの措置も行われる見込み。さらに、検査官に求められる振る舞いが規制委の検査運用ガイドに記載される。「検査官に求められる振る舞い」という事項が新設され、「事実に基づく独立した技術的判断」と「相互尊重」を全体の方針とし、①事実に基づく独立した技術的判断、②客観性を疑われる可能性のある行為の禁止、③事業者の保安活動への配慮、④事業者との対等なコミュニケーション――の4項目を記載予定。具体的には、検査官の業務は確認した事実関係に基づく法令等への適合の可否であり、法令等への適合の方法を考えるのは検査官の仕事ではないことや、発電所内中央制御室での運転員の業務を妨げないような行動を心掛けること、「最低な」などの極端な形容詞を使って事業者のパフォーマンスを述べないこと、明示的にも暗示的にも事業者に高圧的に接しないことなどが盛り込まれている。同会合では規制委の対応を歓迎する声が多く上がった一方、「良い取組みだが、検査官を委縮させることは避けるべき」といった意見や、米原子力規制委員会(NRC)が発行した、NRC職員の振る舞いや意思疎通に関する資料である「OEDO(Office of Executive Director for Operations) Procedure-0235」を引き合いに出して、「今回の案では検査官の振る舞いについて否定的な表現をしているが、肯定的な表現とすべきではないか」との意見も出た。
08 Jul 2026
739
福島県富岡町は7月6日、富岡海水浴場を25年ぶりに開設すると発表した。同海水浴場は、富岡漁港の整備や東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により長らく休止していた。海水浴場の開設期間は7月18日(土)から8月9日(日)までの23日間で、富岡漁港の南側に開設される。監視員の配置や救護所の設置、緊急対応体制の構築などの安全対策も実施。開設の前日である7月17日(金)には安全を祈願する「海開き神事」を行うとともに、富岡町立にこにここども園に通う園児を対象としたイベントも開催予定。富岡町の山本育男町長は四半世紀ぶりの海水浴場開設を「富岡町にとって誠に感慨深く、大きな喜び」と表現。「町民の皆様はもちろん、町外からも多くの皆様にお越しいただき、富岡の新しい夏を楽しんでいただければ幸い」とコメントした。
08 Jul 2026
568
福島県双葉町とウクライナ北部スラブチッチ市が6月26日、協力・パートナーシップ意向協定を締結した。双葉町とウクライナとの交流は、独立行政法人国際協力機構(JICA)によるウクライナ復興・復旧プロジェクトの一環として始まり、2024年以降、双葉町にはウクライナ政府および自治体の視察団が3回訪れている。今回の協定は、こうした交流をふまえ、スラブチッチ市側から2026年3月頃に締結の打診があったことを受けて実現した。スラブチッチ市は、ウクライナのキーウ州にある、チョルノービリ原子力発電所事故後、避難者らの居住先として建設された計画都市。同発電所から約50km東に位置する。協定締結はオンラインで行われ、双葉町の伊澤史朗町長とスラブチッチ市のユーリー・フォミチェフ市長が、①教育および文化(教育機関および組織間での経験交換等を通した文化交流)、②持続可能な開発に向けた共同プログラムおよびプロジェクトの実施、③環境保全、④エネルギー効率の向上、⑤グリーンエネルギーの促進、⑥保健医療の充実――の6分野で協力する協定書に署名した。具体的な協力内容については、今後協議・検討していく。今回締結した意向協定書は覚書のような位置づけとなっており、各分野での具体的な協力内容の検討が進んだ段階で、正式な協定を結ぶ予定。時期は未定。また今後、ウクライナ情勢が落ち着けば、双葉町側がスラブチッチ市を訪れる可能性もあるという。
07 Jul 2026
479
日本維新の会は7月2日、経済産業省の赤澤亮正大臣に「エネルギー安全保障に関する提言」をとりまとめ、提出した。提言は大きく6項目で構成され、このうち原子力関連では、「原子力発電と核燃料サイクル」と「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」を掲げている。「原子力発電と核燃料サイクル」の中では、「安全を高めながら、利活用を進めていく」と題して、規制当局と事業者との対話の促進や、審査の見通しの早期共有、運転中保全活動(オンラインメンテナンス)の実施、規制当局の人材育成強化などを進言した。さらに、IAEA・総合規制評価サービス(IRRS)ミッションで指摘されたノーリターンルールなどの規制人材の流動性の問題については、規制の独立性の確保のために、規制庁の幹部職員が規制側と推進側を行き来することは現状通り認めるべきでないとする一方、若手および中堅については視野と経験の獲得のためにルールを緩めるべきとの立場を示した。そのほか、電気事業法による原子力発電所の60年の運転期間制限の廃止や長期サイクル運転の実現なども求めている。「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」の中では、電力需要の増加から原子力発電所の新増設の検討が必要と明記。原子力発電所の新設に向けた資金調達について、公的融資や長期脱炭素電源オークションの改善など、あらゆる制度・支援措置を検討すべきとしている。また、小型モジュール炉(SMR)などの次世代革新炉の規制基準の整備にあたっては、規制当局、事業者、メーカーの技術的な意見交換を必要に応じて開催すべきと提言した。今回の提言では、エネルギー価格高騰への対応に向け、経済効率性を重視する姿勢を打ち出しており、「やれることは全てやる」という基本姿勢が強調されている。
06 Jul 2026
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電気事業連合会(電事連)が制作した中学生向け教材「探究!どうする日本のエネルギー」が、(公財)消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2026」の企業・業界団体部門で優秀賞を受賞した。6月30日、都内で表彰式を兼ねたシンポジウムが開かれた。 コンテストは、学校などの教育現場で活用できる消費者教育教材を発掘・普及することを目的に1997年から実施されている。行政部門、企業・業界団体部門、消費者団体・NPO部門の3部門があり、企業・業界団体部門では応募15点の中から5点が優秀賞に選ばれた。 今回受賞した教材は、今年3月に公開した「探究!どうする日本のエネルギー」の動画、教師用手引書、生徒用ワークシートで構成される。電事連の教育支援サイト「ENE-LEARNING(エネラーニング)」から無料でダウンロードできる。 教材は中学校の地理の授業での活用を想定し、第7次エネルギー基本計画を踏まえて制作された。資源に乏しい日本における電気の安定供給とCO2排出削減の両立をテーマに、生徒自身がエネルギーミックスのあり方を考える内容。ワークシートを通じて、生徒が自ら考え、その内容を言語化しながら議論できる構成となっている。受賞教材では金融教育や情報リテラシーに関するテーマが目立つ中、唯一、エネルギー問題を扱う教材として選ばれた。 電事連は昨年も「エネルギーアカデミー 探究編」で同部門の優秀賞を受賞しており、2年連続の受賞となった。教材の制作を担当した電事連広報部の手塚宏樹氏は「中東情勢などの影響もあり、エネルギー問題への関心が高まっている」と話した。 今回の優秀賞は最終審査に向けた選考を兼ねたもので、全部門で優秀賞を受賞した20教材を対象に、全国から募集した評価教員が約半年間、実際の授業で活用した上で評価を行う。その結果を踏まえ、来年5月に内閣府特命担当大臣賞など各賞が決定される予定だ。 手塚氏は「まずは教材の存在をより多くの方に知っていただきたい。今後、新たなエネルギー基本計画などの動きがあれば、内容の更新をはじめ、最新の情報を分かりやすく提供していきたい」と今後の展望を語った。
03 Jul 2026
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九州電力は7月2日、来年7月に運転開始から30年を迎える玄海原子力発電所4号機(PWR, 118.0万kW)について、長期施設管理計画を策定し、原子力規制委員会(規制委)へ提出した。原子炉等規制法に基づき、原子力発電所が運転開始から30年を超えて運転を継続する場合に、事業者は原子炉施設の経年劣化などを管理するための点検方法やその結果、劣化の予測・評価方法などを記載した長期施設管理計画を策定し、規制委の認可を受ける必要がある。また、長期施設管理計画は30年経過後も、10年を超えない期間ごとに規制委の認可を受けなければならない。玄海発電所では既に3号機(PWR, 118.0万kW)が、昨年3月に長期施設管理計画の認可を受け、30年を超えて運転を継続している。
03 Jul 2026
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自民党の資源・エネルギー戦略調査会は6月25日、「自律的で強靭なエネルギー供給構造の構築に向けた提言」をとりまとめ、高市首相に提出した。提言は大きく3つの視点で構成されており、2番目に「原子力の活用やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギー導入加速化を通じたエネルギー自給率の向上」が挙げられている。提言の中で特に原子力に対して、①中長期的な原子力発電の見通し・将来像の提示、②脱炭素電源が安定して発電収入を確保できる環境整備、③廃炉段階の事業環境、④核燃料サイクルの確立や最終処分場建設に向けた取組みの促進、⑤再稼働や次世代革新炉の開発・設置に向けた審査の合理化、検査の効率化による設備稼働率の向上、⑥次世代革新炉・フュージョンエネルギーの早期社会実装に向けた、公的な支援体制の抜本的な強化――の6項目で言及。原子力を含めた発電事業収入の予見性確保に向け、長期脱炭素電源オークションの着実な実施や、需要家と発電事業者によるコーポレートPPA(電力購入契約)等の推進を主張した。廃炉に関しては、先進技術導入による円滑化の推進や廃棄物の処理・処分の加速に向けた国から電気事業者への支援などのほか、クリアランス物のリサイクル利用拡大も訴えた。再稼働および次世代革新炉の開発・設置に対して、安全性の確保を大前提に、審査プロセスの合理化に取組むことを求め、具体的にはハザード審査(地盤・地震・津波等)を先行実施する仕組み作りを挙げた。提言では、日本の原子力の強みは自国のサプライチェーンで建設・運転する技術を有している点とした上で、今後について、「『国策民営』の形で推進されてきたが、現下のエネルギー情勢を踏まえ、さらに国が一歩前に出てこの強みを生かす政策を打っていかなければならない」と指摘している。
02 Jul 2026
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東京電力と新潟県は6月26日、東京電力から新潟県への資金拠出に関する確認書を締結したと発表した。昨年10月16日の新潟県議会連合委員会で東京電力が、新潟県内での地域経済の活性化や安全・安心な暮らしのための基盤整備を進めるため、約10年間で1,000億円規模の資金拠出を表明していた。資金拠出は、柏崎刈羽原子力発電所の発電電力量の実績に応じた寄附として行われる。前年度における同発電所の発電電力量(送電端)の実績値が100億kWh以上の場合、寄附額は115億円、90億kWh以上100億kWh未満の場合は100億円、80億kWh以上90億kWh未満の場合は85億円、80億kWh未満の場合は70億円となる。これを受け、新潟県は拠出された資金の活用案を策定。柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う安全・防災対策の実施に約400億円、原子力災害対策重点区域かつ電源立地地域対策交付金の対象外地域への支援に約300億円、地域・産業の振興に約300億円としている。今後、県議会6月定例会(会期は7月21日まで)で同案が審議される予定。
01 Jul 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は6月26日、理事長会見を行い、記者団からの質疑に応じた。増井理事長は会見冒頭、6月5日に開催された原子力小委員会での自身の発言を紹介した。「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案に、中期目標(2040年代までに約220万~550万kW)と長期目標(2050年代までに約1,270万~1,600万kW)が基数とともに明記されたことについて、「産業界としても、未来への希望と長期的展望を持つことができ、大変意義深い」と評価した。また対米投資に関する協議では、数百億ドルから1,000億ドル規模の原子力案件が複数取り上げられていることに触れ、我が国の原子力産業の技術・製品・サービスが活用される大きな機会になるとの期待を示す一方、コストオーバーランなどの事業リスクや米国の制度・政策リスクへの懸念を表明。日本企業に過度な負担が生じないよう、日米双方で十分に協議が行われることを期待した。続いて、nucleareurope2026(欧州原子力産業協会 年次大会)への参加を報告。欧州では、原子力は安定供給と脱炭素に加え、欧州の産業基盤の競争力を支える電源と位置づけられており、欧州全体で課題解決に取り組む姿勢を強く感じたと述べた。また、欧州全体で原子力分野の技術や人材、サプライチェーンを支える体制を強化する「Nuclear Airbus」構想を紹介し、利用可能なクリーンエネルギーを総動員しなければ、欧州は経済的な競争力を維持できないという強い危機感が共有されていると説明。さらに、オランダやポーランドなど、欧州各国における原子力新設の最新動向についても紹介した。会見後半では、欧州で導入されている差金決済取引(CfD)モデル((事前に定めた基準価格と市場価格の差額を精算する仕組み))について、記者から「コスト超過となった場合にCfDモデルがリスクを吸収できるのか」との質問があった。これに対し増井理事長は、「リスク要因を過度に織り込むと基準価格が高くなり、国民の理解を得ることが難しくなる」と述べ、制度設計に当たっては十分な試算を行う必要性を指摘した。加えて、ルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所の改修工事でCfDモデルが活用される事例も紹介。運転実績や機器交換の経験を通じて、より精度の高い基準価格の設定に繋がるとの見方を示した。また、記者から、行動指針改定案で示された長期目標に対し、現在の日本の電気事業者の状況を鑑み、リスク補償の仕組みについて問われた増井理事長は、現在検討されている電力広域的運営推進機関(OCCTO)を通じた融資制度について、30%とされている融資上限や金利の高さが課題との認識を示した。そのうえで、融資上限を過半以上にすることに加え、民間金融機関の融資決定後にOCCTOが融資を決定する仕組みではなく、OCCTOが先に融資の枠組みを示し、それに民間金融機関が参加する協調融資の仕組みが重要との考えを示した。
30 Jun 2026
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政府は6月24日の経済財政諮問会議で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の骨子案を示し、次世代革新炉を成長産業と位置付けた。2040年度までに官民合わせて5兆円を投資し、約11兆円の経済波及効果を想定。研究開発やサプライチェーン強化、人材育成を投資対象とした。資料の中で次世代革新炉は、2050年には年間1,000億ドル規模の世界市場に成長すると見込まれる。次世代革新炉への建て替えを進めることが、我が国のエネルギー安全保障や安定・脱炭素電源の確保に寄与するとした。また、達成すべき戦略的な目標として、サプライチェーンの維持・強化、国内での次世代革新炉へのリプレースを効率的かつ迅速に進められる持続可能な産業構造が挙げられた。そして官民投資促進に向けた課題として、①サプライチェーンや人材など産業基盤の劣化、②投資環境・事業の予見性向上、③研究開発基盤の劣化――を指摘。対応策として、サプライチェーンの製造能力強化や、産官学による原子力人材育成の司令塔整備、長期脱炭素電源オークション制度の活用・改善、グレーデッドアプローチに基づいた予見性の高い規制・審査制度の構築、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を念頭に置いた資金供給機能の強化などを盛り込んだ。あわせて政府は、核融合についても2040年度までに3.1兆円の官民投資を見込んでいる。
29 Jun 2026
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原子力委員会は6月23日、令和7年度版の「原子力白書」を公表した。白書冒頭の「特集」では「次世代に向けた核燃料サイクルの展望」をテーマとし、核燃料サイクルの意義や技術、国内外の動向等が記された。テーマの選定理由について原子力委員会は、エネルギー安全保障への関心の高まりを挙げ、核燃料サイクルの実現は①海外資源への依存度を低減、②高レベル放射性廃棄物の減容化と有害度低減の2つの効果があると強調。原子力委員会は「国民に正しく理解していただくことが重要」と説明した。また、核燃料サイクルに対する国民理解について、「仕組みが複雑で分かりにくい側面がある」と説明。全体像や各工程の役割を理解するには一定の知識が必要であり、今回の白書ではできるだけ平易な表現で情報を整理することを心掛けたという。原子力委員会は、核燃料サイクルの確立はエネルギー安全保障の強化や将来世代の負担軽減につながる重要な取組みであると強調。その上で、安全確保と平和利用を大前提に、国際原子力機関(IAEA)の保障措置や透明性の高い情報発信を通じて国際社会への説明責任を果たしながら、国際協力の下で取組みを着実に進める必要があるとした。また、核燃料サイクルの将来像を見据えた長期的な戦略のもとで研究開発を推進するとともに、人材育成や技術継承を通じてサプライチェーンを含む技術基盤を維持・発展させることの重要性も指摘した。なお、白書の本文は9章立てとなっており、令和7年度の原子力利用を巡る幅広い分野の最新動向を取り上げている。また、15本のコラムを収録し、AI活用、放射線の宇宙利用、STEAM教育など、多様なテーマを紹介。本紙も多く引用されている。
26 Jun 2026
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福島県大熊町で6月22日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制が緩和された。規制緩和の対象は、野上2区、下野上1区のほぼ全域と熊2区、熊3区、町区の一部で、面積は約200ヘクタール(約2平方キロメートル)、世帯数は179。大熊町での規制緩和は初めて。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。立入規制が緩和されたエリアではバリケードがなくなり、自由に通行することが可能になった。大熊町の吉田淳町長は「今回の規制緩和は、当該地域の方々の利便性向上のみならず、町の復興に向けた大きな前進と受け止めている」とコメントした。また、今回の立入規制の緩和にあたり、インフラの復旧など一定の要件を満たす場合、生活を再開するために自宅の清掃等の帰還準備が必要な住民などが宿泊を行うことが出来る準備宿泊の受付も始まった。準備宿泊には事前申請が必要で、大熊町と内閣府原子力災害現地対策本部が確認を行った上で宿泊が可能になる。1回の準備宿泊で認められる期間は約3週間。
26 Jun 2026
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日本エネルギー経済研究所(IEEJ)と東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)は6月23日、都内で「ASEAN原子力市場のポテンシャルと日本の貢献可能性」と題するセミナーを開催した。脱炭素化、エネルギー安全保障、電力需要の増大を背景に、ASEAN諸国では原子力発電への関心が高まっている。今回の議論で浮かび上がったのは、その関心が単なる将来構想にとどまらず、制度整備、人材育成、立地、資金調達、現地産業の参画といった実装段階の課題へ移りつつあることだ。日本側からは、SMRに加え、人材育成、規制・安全文化の共有など伴走型支援の可能性が示された。セッション1では、世界原子力協会(WNA)と米原子力エネルギー協会(NEI)が、世界および米国における原子力利用の動向を紹介した。WNAのサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は、エネルギー安全保障と気候変動対策を背景に、原子力の役割が世界的に再評価されていると説明。アジア地域では経済成長と産業化に伴い電力需要が増加しており、化石燃料依存の低減や安定電源確保の観点から、原子力の重要性が増しているとした。一方、NEIのマーカス・ニコル副理事長は、米国で既設炉の長期運転、出力向上、停止炉の再稼働、新型炉・SMR開発が同時に進んでいる状況を紹介した。特に、米国ではデータセンターやAI関連企業が原子力発電の大口需要家、いわゆるアンカーカスタマーとなる動きが出ていると説明した。これを受け本紙は、ASEANでもデータセンター需要が伸びるなか、こうした大口需要家が原子力新規導入国における初期プロジェクトの事業リスク低減に寄与し得るかを質問。ニコル氏は「Yes」と明確に答え、米国ではデータセンターがアンカーカスタマーとなる動きが進んでいるとした上で、製造業なども同様の役割を果たし得ると指摘。その理由として、製造業では、信頼性の高い、手頃なクリーン電源を強く必要としていることを挙げた。原子力はそのニーズに応える有力な選択肢であり、同様の動きは他国でも起こり得るとの見方を示した。セッション2では、IEEJの遠藤聖也主任研究員が、ASEAN地域の電力需要見通しを報告した。遠藤氏は、ASEANでは産業化や所得向上に伴う電力需要の増大に加え、国によってはデータセンター需要も新たな押し上げ要因となると説明。一方、太陽光や風力などの変動性再生可能エネルギーは有望であるものの、日内・季節変動への対応が課題となるため、原子力や火力、水力なども含めた電源の組み合わせが必要になると指摘した。続いて、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの代表が、それぞれの原子力導入に向けた取り組みを紹介した。インドネシアは、2032年に初の原子力発電所を運転開始し、2060年までに原子力を段階的に拡大する計画を示した。一方で、島嶼国としての送電網整備、地震・津波などの自然災害リスク、規制・法制度、国民理解、資金調達を課題に挙げた。マレーシアは、過去に原子力発電導入を検討したものの一度計画を停止し、現在は再び選択肢として慎重に検討している状況を説明した。同国ではMyPOWERが原子力発電導入に関する調整機関として位置付けられており、政策・法規制、技術評価、ステークホルダー対応、人材育成などの基盤整備を進めている。ただし、現時点では原子力発電導入に関する最終的な政府決定には至っていない。フィリピンは、エネルギー計画に原子力を組み込み、2032年に120万kWe、2035年に240万kWe、2050年に480万kWeの導入目標を掲げている。バターン原子力発電所の再活用、新規サイトでの大型炉建設、新規サイトでのSMR導入の3つの選択肢を検討しており、米国、韓国、フランス、日本などとの協力も進めている。フィリピン・マニラ電力傘下MGen社のフェリノ・ベルナルドCEO は、政府目標は「非常に野心的」としつつも、民間企業として制度整備や技術評価、人材育成を進めていると説明した。ベトナムは、凍結したニントゥアン原子力発電所計画を再開する方針へ転換した。発表では、急速な経済成長に伴い電力需要が年率約10%で伸びていること、2050年カーボンニュートラル目標の達成、石炭依存の低減、安定的なベースロード電源の確保が原子力再開の背景として示された。2027~2035年に初号機の建設・運転開始を目指し、合計設備容量は400万kWe~640万kWeを想定。2050年には原子力シェアを少なくとも8%とする構想を掲げた。各国の進捗には差があるものの、共通していたのは、原子力を「いつかの選択肢」としてではなく、電力需要増と脱炭素を同時に満たすための現実的な政策課題として捉え始めている点だ。質疑では、原子力発電分野が若手人材にとって魅力ある進路であるかも論点となった。ASEAN地域では核医学など放射線利用分野が学生に比較的身近である一方、発電分野の原子力が、エネルギー安全保障、脱炭素化、SMRなどを背景に学生や若手技術者を引きつけているのかが問われた。マレーシアで原子力プロジェクトを担当するMyPower社CEOのアスディライム・ビン・アブドゥル・ラシブ氏は、学生の関心は政府が原子力を長期的な国家戦略として位置付けるかどうかに左右されると説明した。過去に政府が原子力導入を検討していた時期には、国内大学で原子力工学課程が設けられていたが、計画停止後には関連プログラムも縮小したという。一方、フェリノ・ベルナルド氏は、かつてのバターン原子力発電所建設当時、原子力発電所で働くことは優秀な学生が目指す進路だったと振り返った。その上で、現在についても「nuclear is becoming sexy」と表現。原子力が新技術やデータセンターと結びつくことで、若者の関心を集めつつあると述べた。セッション3では、日本企業・機関が、SMRなど原子力輸出、人材育成・国際協力の取り組みを紹介した。日立GEベルノバニュークリアエナジーの木藤和明氏は、GEベルノバ日立ニュークリアエナジーと共同開発するBWRX-300について説明した。同炉は300MWe級の小型軽水炉で、既存BWR技術をベースにシステムを簡素化し、受動安全性や建設期間短縮、コスト低減を目指す。カナダ・オンタリオ州のダーリントン新設サイトでは、BWRX-300初号機の建設が進んでおり、2030年の運転開始を予定している。木藤氏は、ASEANのような新規導入国では、系統規模、初期投資、ファイナンスの観点から、SMRには大型炉とは異なるメリットがあると説明した。日揮グローバルの谷宜憲氏とIHIの鮎澤康正氏は、米NuScale Powerとの協力によるSMR事業を紹介した。NuScale SMRは1モジュールあたり7.7万kWeで、4基、6基、12基など需要に応じた構成が可能。原子炉圧力容器、蒸気発生器、格納容器を一体化したNuScale Power Module(NPM)を原子炉プール内に設置し、事故時には外部電源や運転員操作に依存せず冷却できることを特徴とする。JGCは、米国の支援を受けたインドネシアでのフィージビリティスタディに参画し、西カリマンタン州の候補地点を対象に、立地選定、プロジェクト計画、投資コスト、リスク分析などを担当した。IHIは、NuScale SMR向けの大型機器製造技術や高耐震化に向けた取り組みを紹介した。特に、東南アジアでも地震リスクが課題となることを踏まえ、米国標準設計をベースに、東南アジアや日本での展開を見据えた高耐震コンセプトの検討を進めているという。原子力国際協力センター(JICC)の原貴センター長は、日本が新規導入国・拡大国に対し、人材育成や基盤整備支援を行ってきた実績を説明した。JICCは経済産業省の支援のもと、日本原子力産業協会(JAIF)、日本電機工業会(JEMA)、電気事業連合会(FEPC)、日本原子力研究開発機構(JAEA)などの関係機関と連携し、原子力導入国のニーズに応じた研修やセミナーを実施している。国際原子力機関(IAEA)との協力による研修に加え、米国のFIRSTプログラムとも連携し、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどを対象に、人材育成、規制、立地評価、ステークホルダー対応に関する協力を進めている。セッション3の質疑で本紙は、ASEAN展開における現地企業の参画、いわゆるローカリゼーションの可能性について質問した。新規導入国側から現地化への期待が示される一方、原子力では品質保証や安全基準への適合が不可欠となる。これに対し、谷氏は、ローカリゼーションは段階的に進むものだと説明。高い品質保証が求められる範囲と、一般産業レベルで対応可能な範囲を分けることで、SMRでは比較的早い段階から一定の現地化が可能になるとの見方を示した。木藤氏は、メンテナンス分野では相当程度の現地化が進む可能性がある一方、中核部品の製造は国際的な市場からの調達になると指摘した。セミナー全体を通じて浮かび上がったのは、ASEAN諸国の原子力導入検討が、もはや抽象的な関心段階にとどまらず、電力計画、制度整備、立地、人材育成、国際協力を含む具体的な準備段階に入りつつあるという点である。一方、日本側の貢献可能性も、炉型や機器供給に限られない。日本が蓄積してきた耐震対応、製造・施工技術、人材育成、規制・安全文化の共有を組み合わせ、各国の事情に応じた伴走型支援を提供できるかが問われている。
26 Jun 2026
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経済産業省は6月23日、国際原子力機関(IAEA)との間で、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力エネルギー開発およびキャパシティビルディング(能力構築)に関する協力覚書(MoC)に署名した。署名式には赤沢亮正経済産業大臣とラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長が出席し、原子力分野における協力強化を確認した。両者は今後、SMRなど原子力導入を検討する国々に対するインフラ整備や人材育成などで連携を進める。会談の冒頭、赤沢大臣は、昨年のグロッシー事務局長による柏崎刈羽原子力発電所の視察について言及し、今年4月の同発電所の再稼働が東日本の電力需給の安定化や供給力の強化につながっていると強調。安全性を最優先に既設炉の最大限活用や次世代革新炉の開発、バックエンド対策を進めていく方針をIAEAに説明した。そして、福島第一原子力発電所の廃炉については、ALPS処理水の海洋放出を含め、安全性の確保と丁寧な情報発信を継続していく重要性を強調し、IAEAによる継続的な支援と協力を要請。また、グロッシー事務局長が2023年7月の福島訪問時にALPS処理水について、「最後の一滴まで安全に放出されるまでIAEAは現地にとどまる」と述べたことに触れ、「非常に心強く、印象深い言葉だった」と振り返り、改めて謝意を表した。さらに、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取組みに言及し、国際的な信頼確保に向けて、保障措置体制の強化等、IAEAとの連携を引き続き進めていく考えを表明した。これに対しグロッシー事務局長は、日本との原子力分野における協力関係について「極めて重要で戦略的な意義を持つ」と評価。今回の協力覚書についても、原子力分野の将来に関する共通のビジョンと相互の信頼を反映したものであり、日本だけでなく世界の原子力産業の発展にも資する、との認識を示した。また、福島第一原子力発電所をめぐっては、廃炉作業やALPS処理水の海洋放出に関する日本とIAEAの協力体制を高く評価。「日本政府、経済産業省、東京電力による透明性確保の取組みは国際的な模範となるものだ」とコメントした。
24 Jun 2026
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量子科学技術研究開発機構(QST)は6月16日、英国原子力公社(UKAEA)との核融合分野の協力強化を目的とした協力覚書(MOU)を締結した。今回のMOUは核融合のプラント技術や燃料サイクルと安全性、人材育成、経済性など幅広い範囲を網羅しており、両者はこれに基づいて共同プロジェクトや共同研究の立ち上げ、施設の共同利用、専門的な知識の共有が可能になる。QSTの小安重夫理事長は「今回のUKAEAとの連携は、日本と英国が築いてきた長年のフュージョンエネルギー開発に関わる連携を一層深化させるとともに、発電実証に向けた重要課題に挑むために双方の知見を結集する新たな機会」とコメントした。QSTは先日、国際核融合プロジェクトITERでも技術的な実績を評価され、仮設プラグ用溶接・切断ツールの開発及び調達に関する新規タスク取決め((一般的な企業間における契約にあたる))を締結するなど、国際的な存在感を強めている。
23 Jun 2026
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電気事業連合会の森望会長は6月19日の定例会見で、政府の「今後の原子力政策の方向性と行動指針改正案」について、「国として、将来にわたり原子力を活用していくという力強いメッセージ」と評価し、「極めて重要な一歩」との認識を示した。同改正案は6月5日の原子力小委員会でも議論され、現在はパブリックコメントを募集している。2040年代までに大型炉約2~5基分、2050年代までに同約11~14基分の建て替え需要を見込み、原子力の長期利用や次世代革新炉の開発・設置や、バックエンドプロセスの加速化、サプライチェーン・人材基盤の維持強化を明記している。森会長は事業者として繰り返し求めてきた「原子力の将来の開発規模・見通し」が、今回初めて盛り込まれたことに言及。今回示された建て替えに対する方針に向かって、産官学が一体となって取組みを進めることが重要であると述べた。また改正案に示されている原子力の長期利用に向けて、事業者として現在進めているものとしてオンラインメンテナンスの実施や、運転期間の柔軟化に向けた取組みに加え、定期検査中の作業の輻輳の回避や作業負荷を平準化することで、熟練作業員の適正な配置に繋げていると説明した。原子力発電所の建て替えについては、電力業界の設備投資額の拡大傾向や、電気事業者各社のフリーキャッシュフローが低水準であることに触れ、新規投資促進のための迅速な制度構築を国に求めた。会見の最後に森会長は、原子力を持続的に活用していくためには将来的な新増設が必要になるとの認識を示し、次期エネルギー基本計画の策定に向けた議論の中で、新増設の検討を求めた。
23 Jun 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は6月29日と30日に父島で、7月1日と3日に母島で、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分や文献調査に関する説明会を開催する。今年3月に続く開催で、今回は専門家との質疑応答の時間も設ける。今回は、前半2時間に地層処分や文献調査の基本的な内容を中心にした説明会を行い、その後2時間、京都大学複合原子力科学研究所の黒﨑健所長・教授がリモートで講演を行い、参加者からの質問に答える。NUMOは今年5月20日、東京都小笠原村の南鳥島で文献調査を開始した。調査期間は約2年を見込んでいる。NUMOは今後、最終処分事業への関心を高め、理解を深めるために「対話型全国説明会」の実施に取り組むとしている。説明会への参加は事前申込不要。また、父島では6月27・28・30日に、母島では7月1日~3日に少人数での意見交換会も開催する。こちらは、各役場への事前申し込みが必要。
23 Jun 2026
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株式会社クフウシヤはこのほど、高線量環境下での調査・作業支援を目的としたフィジカルAIロボット技術((センサーで現実空間の状況を捉え、AIが自ら判断して動くロボットの技術))の開発に着手すると発表した。同社の6月18日の発表によると、今回のプロジェクトは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)、東京大学工学系研究科 趙研究室、株式会社EQUES、株式会社デジラボホールディングス、株式会社アイプランツ・システムズとの共同開発。福島第一原子力発電所の廃炉作業で調査や作業を安全かつ効率的に進めるために、フィジカルAIを活用したロボット技術の開発を目指し、まずは実現可能性の検証に取り組むという。各社はロボットシステム統合、データ基盤、シミュレーション環境構築などを分担する。
22 Jun 2026
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日本原子力研究開発機構(JAEA)、英国国立原子力研究所(UKNNL)が進めてきた高温ガス炉開発協力に、ロールス・ロイス社が加わることになった。3者は6月14日、高温ガス炉技術及び高温ガス炉燃料技術に係る協力覚書(MOU)を締結した。正式な調印は高市首相の英国訪問に合わせて、英国首相官邸で行われた。<JAEAによる発表はこちら ロールスロイス社による発表はこちら>今回のMOUは英国における高温ガス冷却型先進モジュールの早期社会実装、および被覆燃料粒子の許認可・製造の本格化に向け、研究開発を加速させることが目的。JAEAの小口正範理事長は「我々の高温ガス炉(HTGR)技術に関する専門知識を通じて、この協力が同技術の早期導入につながり、ネットゼロに向けた重要な一歩となることを期待しています」とのコメントを発表した。JAEAは高温工学試験研究炉「HTTR」(熱出力30MW、2021年7月に再稼働)の開発実績があり、英国では脱炭素化に向けた先進モジュール炉(AMR)の開発を進めており、その一つに高温ガス炉が挙げられてる。JAEAとUKNNLはこれまで英国政府の高温ガス炉実証プログラムや燃料開発プログラムに共同で参画してきた。今回のMOU締結で、JAEAは英国での高温ガス炉技術及び高温ガス炉燃料技術の確立・実用化を目指す一方、英国を日本の高温ガス炉実証炉の燃料調達オプションのひとつにし、英国における許認可対応の経験や社会実装の過程で得られる社会科学的知見を日本における高温ガス炉実証炉計画に活かす狙いがある。
19 Jun 2026
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