キーワード:再稼働
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政府・GX実行会議が原子力政策の進め方示す、再稼働の加速など
「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、経済社会の変革に係る施策について検討する政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」(議長=岸田文雄首相)が8月24日、2回目の会合を開催。その中で、西村康稔経済産業相(GX実行推進担当相)は、「日本のエネルギーの安定供給の再構築」として、エネルギーを巡る世界情勢や日本におけるエネルギー政策の遅滞に係る課題を整理した上で、原子力政策については、2030年までを見据え官民で再稼働の加速を図るべく今秋にも対応策を取りまとめるとした。〈配布資料は こちら〉前回、7月27日に行われた初回会合で、岸田首相は、電力・ガスの安定供給に向けて、「政治の決断が求められる項目」を明確に示すよう指示。これに対し、今回の会合で西村経産相は、原子力政策について、再稼働への関係者の総力結集安全第一での運転期間延長次世代革新炉の開発・建設の検討再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化――などの検討課題を提示した。国内原子力発電所の立地と再稼働に向けた現状(来夏・来冬に向けて破線囲みの7基の再稼働を目指す、資源エネルギー庁発表資料より引用)再稼働の加速化については、今冬、既に再稼働している計10基のうち、最大9基の稼働確保に向けて、工事期間短縮の努力や定期検査スケジュールの調整などを通じ設備利用率の向上を図るとともに、来夏・来冬に向けては、それ以外の新規制基準適合性審査をクリアした計7基に係る安全工事の円滑実施(高浜1・2号機、女川2号機、島根2号機)や地元の理解確保(柏崎刈羽、東海第二)が進むよう国が前面に立って対応していく。さらに、再稼働の先の展開を見据え、次世代革新炉の開発・建設、運転期間延長のあり方などに関し、年末までに具体論を取りまとめる。同日の議論を踏まえ、岸田首相は、「電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えてあらゆる施策を総動員し不測の事態にも備えて万全を期していく」と強調。さらに、再生可能エネルギーや原子力に関しては「GXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギー」との認識を改めて示し、今後の制度設計や国民理解に係る方策の検討を加速化するとした。原子力政策に係わる政治の動きとしては、自由民主党の「原子力規制に関する特別委員会」(委員長=鈴木淳司衆議院議員)が5月に提言をまとめており、その中で、審査に伴うプラント停止期間の長期化に鑑み、審査の効率化とともに40年運転制のあり方について検討すべきなどと述べられている。今回、GX実行会議で「政治の決断が求められる項目」が示されたことに関し、翌25日に行われた総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=山口彰・原子力安全研究協会理事)で、杉本達治委員(福井県知事)は「立地地域の立場から評価したい」と述べ、今後、国が責任を持って原子力の将来像を明確にすべきと要望した。山下ゆかり委員(日本エネルギー経済研究所常務理事)は、再稼働の加速化に関して「短期的な電力供給の確保と2030年に向けたエネルギー政策の立て直しにとって重要」と評価するとともに、次世代革新炉の開発についても、「石油危機後、原子力技術はわが国のエネルギー安定供給の多様化を支えてきた」と期待。一方で、バックエンド対策や核燃料サイクルについて、「国が前面に立ち、長期的な整合性を念頭に方針を再確認すべき」と指摘した。同委員会では、前回9日の会合に続き、「原子力の開発・利用に当たっての『基本原則』の再確認」など、5項目からなる中間論点整理案が示された。専門委員として出席した原産協会の新井史朗理事長は、「原子力の価値を再確認しておくことは政策の安定性を図る意味で重要」と強調。さらに、ものづくり基盤やサプライチェーンを維持する上で未稼働プラントの長期停止が続く現状に懸念を示し、産業競争力確保の観点から、停止プラントの早期再稼働や新規プラントの早期建設開始の必要性を訴えた。〈発言内容は こちら〉
- 25 Aug 2022
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西村経産相、「危機を乗り越え、強靭で柔軟な日本の経済・社会を」と抱負
第2次岸田改造内閣発足に伴い就任した西村康稔経済産業相が8月12日、エネルギー、自動車、鉄鋼、繊維などの産業専門紙の記者団によるインタビューに応じた。1985年に「日本の将来を担う中心的な官庁」との思いから通商産業省(当時)に入省し、1999年の退官後、「より大きな視点で仕事をしたい」との決意から国政入りを目指した(2003年に衆議院議員に初当選)という西村大臣は、まず「この2つの初心をもう一度思い起こす」と強調。その上で、「コロナ禍とロシアのウクライナ侵略という2つの危機を乗り越え、強靭で柔軟な日本の経済・社会を作っていくため、今は非常に大事な局面にある。そのためのイノベーションを起こし、制度改革を行っていく。この先の5年は正に勝負だ。これまでの経験を活かし全力で取り組んでいきたい」と抱負を述べた。エネルギー需給を巡る課題に関し、西村大臣は、「燃料の着実な調達、再生可能エネルギー、原子力、火力を含め、あらゆる手を尽くしてしっかりと安定供給に努めていかねばならない」と、その重要性を改めて強調。加えて、現在、総合資源エネルギー調査会で検討が進められている電力・ガス小売全面自由化にも言及し、「総合的に取り組んでいく必要がある」とした。原子力については、「この冬に向けて、安全性の確保を大前提に、安全対策工事の加速、定期検査期間の調整などを進めながら、岸田首相の指示した『最大9基の稼働』を確保できるよう、事業者とも連携しながら着実に取り組んでいく」と明言。三井物産・三菱商事による新ロシア法人への参画に係る判断が注目されている「サハリン2プロジェクト」(日本のLNG需要量の約9%、総発電量の3%に相当)については、「権益を維持する方針は今後も変わりはない」とした上で、ロシア政府による決定の詳細を確認し意思疎通を図りながら具体的対応を検討していく考えを示した。この他、西村大臣は、「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた電気自動車普及や水素還元製鉄の実用化、環境に配慮した繊維製品の社会実装を通じた日本の魅力「クールジャパン」発信などに言及。通産省勤務時代の石川県商工課長在任を契機とした地元とのつながりが今でも活きていることに触れ、地域産業の技術力支援やブランド化にも意気込みを示した。西村大臣は、内閣府経済財政政策担当相在任中(2019年9月~21年10月)、2020年3月からは安倍晋三首相(当時)の指示によりコロナ対策に係る政府対応をリードした。
- 16 Aug 2022
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総合エネ調原子力小委、革新炉WGより報告受け議論
総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=山口彰・原子力安全研究協会理事)は8月9日、同委員会下に置かれる革新炉ワーキンググループが7月29日に取りまとめた中間整理案について報告を受け意見交換。同WGは、「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発に係る道筋を示す」ことを目的とし、4月より議論してきた。〈配布資料は こちら〉冒頭、挨拶に立った経済産業省の細田健一副大臣は、革新炉開発に関し、「今後のわが国の原子力技術の発展のため必要不可欠」と述べ、活発な議論を期待。同WG座長の黒﨑健氏(京都大学複合原子力科学研究所教授)が中間整理案「カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ」(骨子案)について説明した。2050年以降を見据えた革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合炉の導入に向けた技術ロードマップ、これらの技術に係る原子力サプライチェーンによる市場獲得戦略などを整理したもの。これを受け委員から、杉本達治氏(福井県知事)は、「将来の原子力規模と道筋」の明確化を要望するとともに、折しも8月9日に美浜発電所3号機事故から18年を迎えたことに際し、当時の状況を、「西川一誠知事のもと、大変緊張して対策に取り組んだ」と振り返りながら、立地地域として改めて「原子力発電は安全確保が最優先」と強く訴えた。メディアの立場から、伊藤聡子氏(フリーキャスター)も、福島第一原子力発電所事故を経験した日本として、「安全性の確保のためにも革新炉を開発するということをしっかり発信していくべき」と主張。また、技術的視点から、原子力小委員会委員長代理の竹下健二氏(東京工業大学科学技術創成研究員特任教授)は、革新炉WGによる中間整理案に関し、「色々な評価軸から俯瞰的にものを見る大変貴重な成果だ」と評価。その上で、既存炉の廃炉ラッシュも見据え、「新型炉の導入は現実的な政策」と述べるとともに、MOX燃料再処理や天然ウランの必要量など、核燃料サイクルにおける定量的評価にも言及し、「技術開発課題をパッケージ化した長期的に整合性ある原子力政策」が策定されるよう求めた。同WGの中間整理案と合わせ、今回の原子力小委員会では、資源エネルギー庁が同委の中間論点整理案として、原子力の開発・利用に当たっての「基本原則」の確認将来を見据えた研究開発態勢の再構築産業界の能動的な取組に向けた予見性の向上原子力ものづくり基盤の強化と戦略的な市場獲得立地地域との共生および国民各層とのコミュニケーションの深化――の各項目について整理。専門委員として出席した原産協会の新井史朗理事長は、原子力の持続的活用・長期的な利用に関する国からの明確なメッセージ発出建設中を含めまだ再稼働していないプラントの早期稼働の実現と新増設・リプレースの検討開始原子力発電への国民理解・信頼獲得に関係者が一丸となって取り組むこと――を要望。〈発言内容は こちら〉同じく全国電力関連産業労働組合総連合の坂田幸治会長は、「既設炉の再稼働と長期安定運転の実現なくして、革新炉開発の道筋を切り拓くことは困難」と指摘。原子力事業による地域経済の活性化や雇用創出にも言及し、「人材・技術やサプライチェーンの維持・強化、そのための事業環境整備の必要性を強く打ち出すことが重要」と強調した。
- 09 Aug 2022
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岸田首相の「9基稼働」 幸運が招いたサウンドバイト?
二〇二二年八月五日 岸田首相が七月十四日の記者会見で「今冬の電力供給を確保するため、最大9基の原子力発電所の稼働を指示した」と発言した。これを受けて、翌日の主要新聞は一斉に「原発 最大9基稼働」の大見出しが躍った。この見出しから、新たな原発再稼働に向けて、岸田首相がいよいよ動き出したと思った人もいたに違いない。実際はそうではないのだが、これは意図せざる「サウンドバイト」の奏功例と言えよう。ただし、記者側の裏事情が招いた幸運なサウンドバイトだった。どの新聞も一斉に「9基稼働」 七月十五日の早朝。毎日新聞(七月十五日付)を見て、眠気が吹っ飛んだ。一面トップの見出しに「首相、原発9基稼働指示」が飛び込んできたからだ。当時、私の頭の中には、原発は現在四基か五基が稼働しているという程度の知識しかなかった。このため、見出しを見て、「岸田首相の力強い主導で、ようやく九基が稼働することになるのか」と感慨深く思ったのだ。そして、国民から抵抗感の強い原発再稼働に向け、「岸田首相がいよいよリーダーシップを発揮するのか!」といくぶん頼もしさも感じたのだ。 他紙の報道が気になり、職場で他紙を見た。読売新聞も一面で「原発 最大9基稼働 首相、経産相に指示」と首相の主導ぶりをうかがわせる見出しだった。日本経済新聞も一面トップで「原発 冬に最大9基稼働 首相表明 消費電力の1割」だった。日経新聞の見出しからは、9基稼働すれば、消費電力の一割をまかなえるという強力なメッセージも伝わってきた。朝日新聞も扱いは小さいながらも、一面の見出しは「今冬 最大9基の原発稼働」だった。見出しを見る限り、肯定的な内容である。産経新聞は二面で「首相『原発最大9基稼働』」だった。 原発に批判的な東京新聞でさえも、「今冬 原発9基稼働 首相、危険性には触れず」との見出しで9基の稼働を伝えた。さすがに「危険性には触れず」と言う小見出しを入れるところは東京新聞らしいが、電力供給の不足が予想される今冬に向けて、なんとしても9基の原発を稼働させるという政府のメッセージは伝わったようだ。六紙の共通の見出しは「サウンドバイト術」の成功例 主要六紙が一斉に「原発9基 稼働」との見出しをうたった意義は大きい。岸田首相は記者会見でコロナ対策や物価高対策なども語っており、原発再稼働にしぼった会見ではなかった。それでも、記者たちが9基の稼働に着目したのは、9基という数字がインパクトのある数字に見えたのだろう。私が毎日新聞を朝一番に読んだときの気持ちは、おそらく会見に居合わせた記者たちの新鮮な気持ちに近いものだったと思う。 これまでのコラムでも述べてきたように、短い言葉で強力なメッセージを伝えるのが「サウンドバイト術」の基本である。その観点に立つと、今回の岸田首相の会見は、首相が意図したかどうかはともかく、結果的に「9基の稼働」を国民に広く伝えたサウンドバイトの成功例といえるだろう。翌日の新聞で各紙一斉に「稼働 織り込み済み」を強調 ところが、である。翌日になって、形勢がやや微妙に変化した。毎日新聞は十六日付朝刊で「明らかなのは、岸田氏はあくまで再稼働済みの原発を最大9基運転させようとしていることだ。(中略)決して新たな原発を追加で再稼働させようとしているわけではない」と報じ、首相が指示せずとも9基の原発は稼働する計画だったことを強調した。 朝日新聞も十六日付朝刊で「冬の電力不足 首相『原発9基稼働』電事連会長『織り込み済み』」との見出しで、もともと「電力会社の計画では、来年一月には9基が稼働する見通しだ」と報じた。産経新聞も「9基は原子力規制委員会の新規制基準での審査を通過して、再稼働済みの原発だが…」と報じた。西日本新聞(十六日付)も「今冬はもともと計9基が動いている予定となっており、新規の再稼働は含まれない」と分かりやすく伝えた。 原発の再稼働に関する状況を熟知していなかった私は、十五日の初報の時点では、これまで動いていなかった原発が新たに再稼働するのかと思ったのだが、翌日の新聞を読んで初めて「9基の稼働はどれも計画されていたものだった」と分かった。 それなら、なぜ各紙は十五日の初報で、わざわざ一面トップの大見出しで「9基稼働」と報じたのだろうか。そんな疑問がわいた。 そこで、改めて読売新聞の初報(十五日付)をよく読むと、新たに稼働する5基に関して「定期検査などで稼働していない5基が冬には再稼働できるため、原発稼働は最大で9基に達する見込みだ」と書かれていた。東京新聞(十五日付)も「再稼働を見込むのは、定期検査などで停止している関西電力や九州電力の5基…」と報じていた。 そうした事情があったにせよ、どの新聞も「9基稼働」を1面で大きく報じたのは、今冬の電力供給に向けた岸田首相の並々ならぬ決意を肌で感じたからだろう。たとえ予定通りとはいえ、不測の事態が生じる可能性はあり、やはり「9基の稼働」はインパクトを感じさせたのだろう。これは、記者会見での熱情あふれる発言は、大きな見出し(強力なメッセージ)にもつながるという教訓でもある。初報で大事なメッセージを届けるのが会見のキモ そして、冒頭で述べた記者側の裏事情とは、最初の会見にいた記者と翌日の新聞で解説記事を書いた記者は別の記者だということだ。 たとえば、毎日新聞(十六日付)は「最大9基動く前提があったにもかかわらず、岸田氏はなぜ改めて会見で強調したのか」と問い、電力業界の声を載せている。もし、最初の会見で記者たちが「9基の稼働は計画通りのことで、何ら新鮮味がない」ことを熟知していたなら、十五日の第一報で「首相は9基の稼働を指示したが、全く新鮮味なし。そんなことは織り込み済みだ」と否定的に報じることもできたはずなのに、それをしなかった。つまり、最初の会見にいた記者たち(おそらく政治部の記者だろう)にとっては、9基の稼働が大きなインパクトをもつと映ったわけだ。ゆえにこの時点では、とりあえずサウンドバイトは成功したといえるわけだ。 これは私の推測だが、原子力問題に詳しい記者ばかりが最初の会見にいたならば、9基の稼働は織り込み済みで大きなインパクトを与えなかったかもしれない。これは、同じニュースでも、どの部署の記者が記事を書くかで内容も扱いも変わるという問題と似ている。 各紙の記事を読むと、どの新聞も翌十六日の解説的記事のほうが内容は濃い。原子力関係に詳しい記者が、翌日の記事で初報のイメージを軌道修正した形跡がうかがえる。翌十六日の新聞の多くは、9基が稼働しても電力需給の改善効果は限定的と報じた。 しかし、いくらあとで再稼働の意味と限界を報じても、初報の威力ほどではなかったと思う。たとえ織り込み済みの9基でも、首相の主導で確実に稼働させるのだという強い決意は国民に伝わったように思う。記者会見を巧みに使って初戦(初報)を制す。これもサウンドバイト術のなせる技(わざ)のひとつといえるだろう。
- 05 Aug 2022
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原産協会、サプライチェーンの維持・強化に向け提言
原産協会の新井史朗理事長は7月22日、記者会見を行い、同日発表の「サプライチェーンの維持・強化に向けた提言」について説明し質疑に応じた。新井理事長はまず、先般の岸田首相による「この冬に向けて最大9基の原子力発電所の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保する」との発言に言及。同発言は「(岸田首相の)原子力に対する強い期待が述べられたもの」と指摘した。その上で、今回の提言に至った経緯について、「昨年10月に策定された第6次エネルギー基本計画に明記された原子力の持続的活用を可能にするためにはサプライチェーンの維持が極めて重要」との問題意識から、会員企業へのアンケート調査や分析を実施したと説明した。提言は、原子力発電所早期再稼働のためのあらゆる取組の実施新増設・リプレースを明記したエネルギー計画の明示原子力発電所の新増設・リプレースに投資が可能な事業環境整備大型軽水炉を含む革新炉の技術開発や実証事業への支援拡大機器や部品の輸出振興に関する包括的支援策の検討──の5項目からなる。新井理事長は、同提言に先立ち原産協会が2021年9~11月に実施し会員企業154社から回答を得たアンケート調査の結果について紹介した。それによると、2010年度と比較した売上高は22%が増加傾向と回答している一方で、48%が減少傾向と回答。また、減少傾向と回答した企業はその理由を「発電所の停止」と回答していることなどから、新規制基準対応のための安全対策工事に従事する企業は売上高が増加しているものの、運転・保守に従事する企業では売上高が減少していると分析した。原子力発電所の運転停止に伴う影響として、「技術力の維持・継承」をあげた企業は56%に上っており、これに関し、新井理事長は「新設経験のない国はもとより、欧米でも10年間建設が途絶えると予算・工程通りに進まない状況にある」などと、空白期間が長くなるほど技術力の回復に時間を要することを懸念。また、足下の課題となる再稼働に向けた効率的な審査に関しては、電気事業連合会による「再稼働加速タスクフォース」を通じた業界横断的な取組の他、原子力規制委員会で随時行われる事業者の原子力部門責任者との意見交換(CNO会議)や原子力エネルギー協議会(ATENA)の活動に期待を寄せた。革新炉の技術開発や国際展開に関しては、技術力の維持・向上や学生への関心喚起に向け「魅力的なプロジェクト」となるよう切望した。
- 22 Jul 2022
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大飯4号機が明日原子炉起動、特重施設も運用開始
関西電力は7月13日、定期検査中の大飯発電所4号機(PWR、118万kW)について、15日に原子炉を起動し17日に調整運転を開始する予定と発表した。原子力規制委員会による最終検査を経て8月12日に営業運転に復帰する運び。〈関西電力発表資料は こちら〉同機は、新規制基準で要求されるテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の運用を8月10日に開始する予定で、調整運転中に同施設が運用を開始する初のケースとなりそうだ。特重施設の設置は、プラント本体の設計・工事計画認可から5年間の猶予期間が設けられており、大飯4号機は8月24日が期限となっている。 特重施設の設置については現在、13基で原子炉設置変更許可に、5基が運用開始に至っている。最近では、7月13日に東京電力柏崎刈羽6・7号機について、規制委員会が審査書案を了承している。
- 14 Jul 2022
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原産協会、島根2号機の再稼働に期待
会見を行う原産協会・新井理事長原産協会の新井史朗理事長は6月24日、記者会見を実施。中国電力島根原子力発電所2号機(BWR、82万kW)の再稼働に向けた期待を改めて述べた。新井理事長はまず、6月2日に島根2号機の再稼働に係る島根県・丸山達也知事の同意を受けて発表した理事長メッセージを紹介。「PWRに比べて再稼働が遅れているBWRに関し、地元自治体から了解をいただいたことは大きな意義を持つ」と強調した。また、昨今のエネルギーを巡る世界情勢に関し、「ロシアによるウクライナ侵攻開始から丁度4か月となった」とした上で、化石燃料のロシア依存度低減に向けた動き、国際的な資源・エネルギー価格の高騰や円安の進行によるエネルギーコストの負担増を踏まえ、エネルギー自給率の低い日本にとって「各国による資源争奪戦の影響は小さくない」と懸念。日本の国富流出への強い危機感を示すとともに、今夏の、特に東京エリアにおける厳しい電力需給見通しを見据え、「エネルギーの安定供給は、国民生活とあらゆる経済活動の土台であり、エネルギー安全保障なしには脱炭素の取組もなしえない」との考えを改めて述べ、「S+3E」(安全、安定供給、経済効率性、環境への適合)の観点から「原子力の活用が不可欠」と訴えかけた。また、新井理事長は、G7サミット(6月26~28日、ドイツ・エルマウ)に向け、原産協会がカナダ原子力協会、欧州原子力産業協会、米国原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、世界原子力協会とともに発出する共同声明を紹介。共同声明は会見終了後に公表されており、「原子力はエネルギー安全保障を強化し環境目標に貢献できる」と強調している。新規制基準の施行から間もなく9年を迎えるが、記者から事業者側の再稼働に係る姿勢に関して問われたのに対し、新井理事長は、「27基の審査申請がなされたうち、10基が再稼働したが、ややスローペースではないか」と振り返った上で、原子炉設置変更許可に続く設計・工事計画認可や地元了解に要する時間、審査の効率化に向けた動きにも言及しながら、審査において迅速にレスポンスを図る努力に期待を示した。
- 27 Jun 2022
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処理水の風評対策に いよいよ岸田総理の出番か!?
二〇二二年六月十五日 原子力規制委員会は五月十八日の定例会合で、福島第一原子力発電所のALPS(アルプス)処理水の海洋放出に、事実上のゴーサインを出した。そこで最近の一連の新聞を読み比べてみたところ、半分の新聞メディアは風評の解消どころか、その拡大に加担していることがあらためてわかった。では、どうすればよいのだろうか?読売新聞は「安全」を強調 五月十九日付の主要六紙(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経)を見ると、これまでの流れの通り、朝日、毎日、東京は海洋放出に批判的だ。この三陣営と読売、産経の二陣営が対立する「分断の構図」は間違いなく定着したといってもよいだろう。 読売新聞は二面と三面で扱った。社説横の三面ではほぼ全面を費やし、「海へ処理水『安全』 福島第一原発 規制委『合格』 地元の理解が焦点」と海洋放出の安全と審査合格をアピールした。冒頭の文章では、更田豊志・規制委員会委員長の「健康や海産物への影響は到底考えられないが、非常に多くの人の関心も懸念もあるので丁寧に審査した」とのコメントを載せ、安全性を強調した。 見出しで「安全」という大きな文字が目に飛び込むのは読売だけであった。これは明らかに風評が生じないように意図された記事に思える。産経は一面の二段見出しで「処理水放出計画を了承」とあっさりした内容だった。朝日新聞はあえて「木材への風評」を持ち出した 興味深いのは朝日新聞だ。 五月十九日付に限れば、社会面の四段見出しで「処理水放出 規制委が了承、着工 地元の了解が焦点」と事実関係を中心に報じ、意外に地味だった。しかしこれは、すでに四月十四日付けの新聞で二頁(四面と八面)にわたり大特集を組み、批判的に報じたからに他ならない。 驚いたのはこの四月十四日付総合面(四面)。福島県森林組合連合会の代表理事会長の「反対だ」の声を載せ、「処理水が放出されれば、福島産木材のイメージ低下につながるとの懸念」と、海とは関係ない木材の風評まで持ち出した。 海への放出が、なぜ木材の風評にまで拡大するのか、私は想像したこともない。危険な方向に対して想像力がたくましく働く朝日新聞の記者はあえて木材関係者の声を拾い、「木材への風評が生じるのでは」と小火に火種を放り込むような記事に仕立てた。本人は善意と警告の意図から書いているのだろうが、結果的にはこういう記事が風評を起こすのだというお手本のような記事である。 いったい記者は何を目的に記事を書いているのだろうか。私自身は海洋放出が滞りなく進むことを願っているが、朝日の記者は木材への風評が生じるのをまるで期待しているかのような書きっぷりである。朝日新聞は一月三十一日付でも、一面と二面を割いて特集を組んだ。一面の大見出しは「処理水『来春放出不信なお』で不信を強調していた。これでは風評に火と油を注ぐようなものだ。威勢がよい東京新聞 反原発路線を貫く東京新聞は依然として威勢がよい。一面の見出しは「抗議の声向き合わず 処理水放出計画了承 住民らが批判」。原発被災者訴訟の原告団長の「反対や不安の声が出ているのに、何があっても流そうという強硬な姿勢を感じる」とのコメントを載せ、海洋放出が反対の動きを押し切る形で強行される事態を強調した。毎日新聞の社説はまるで他人事の論調 毎日新聞は五月十九日付の一面では「処理水放出『計画』了承」と事実関係をあっさりと報じたが、風評に向き合う傍観者的姿勢がより鮮明に分かったのは五月二十九日付社説だった。 同社説はいきなり「政府や東電には地元や国内外に対して説明を尽くそうという姿勢が見えない」と書いた。私から見れば、国民にわかりやすい説明を尽くそうとしないのは新聞の方に思える。 この社説はさらに「政府は三〇〇億円の基金を新設し、風評で海産物の価格が下がった場合に買い取ったり、販路の拡大を支援したりする方針を示している。被害対策を講じるだけでは、関係者の不安は解消されまい。風評そのものが生じないように努めることが欠かせない」と書く。そして「何よりも重要なのは、正確な情報の発信に力を入れることだ」と強調するが、一体誰に向けて言っているのだろうか。重ねて言うが、風評そのものが生じないように正確な情報の発信に力を入れるべきなのは新聞の方である。 なぜそう言えるのか、説明しよう。五〇〇回説明してもまだ足りないのか? その証拠のような記事が朝日新聞の一月三十一日付朝刊だった。「政府は昨年四月から約五〇〇回の説明会や意見交換会を開いてきた」と書いている。しかし、五〇〇回開いても、「対象者は農林漁業者、観光業者、自治体職員と限られ、学校など若い世代への説明は少ない」と批判した。 政府が学校にチラシを配ろうとすると、それを阻もうとしたのは自治体やメディアである((『処理水のチラシ配布に見る国の「ひ弱さ」とメディアの傍観主義の行く末は?』))。 政府が五〇〇回もの説明会を開いても、なお説明が行き届かず、なおかつ風評が収まらないというのであれば、それを補う形でメディアがしっかりと正確な記事を書けばよいはずだと思うが、朝日新聞にはそうした問題解決を指向する情報発信に努める意識は低いようだ。 仮に政府が一〇〇〇回の説明会を開いても、それと同時並行して、新聞が反対や不安をもつ人たちの異議ばかりを報じれば、説明会の努力は無に帰すだろう。 そこに見られるのは、風評を鎮めるのは政府の役目であり、われわれメディアは高みの見物(よく言えば客観的な観察者)といこうとの構図だ。このようなメディアの姿勢で風評が収まるわけがない。高みの見物だけならまだしも、その高みから世間の諍いに向けて火の玉を投げているのが実情である。記者は国の報告書をもっと分かりやすく解説を 原子力規制庁は五月十八日にALPS処理水の海洋放出関連に係る「審査書案の取りまとめ」(全一一〇頁)と題した詳細な報告書を公表している。そこには海や海の生物、人などへの影響が細かく解説されている。風評を抑えたいと思うなら、記者はそれをじっくりと読み込んだ上で、その内容を国民に伝えればよい。こうした解説記事を書くなら、 風評の軽減に少しは貢献できるはずだ。 ところが、朝日、毎日、東京の記事のパターンは、政府の決定に対して、異を唱える人達のコメントをメインに掲げ、「計画通りに放出できるかは不透明だ」「地元との調整が難航しそうだ」「風評対策の基金をつくっても、地元の理解の醸成につながるかは未知数だ」といったワンパターン記事を繰り返す。政府の対策への言及は五~六行で終わりだ。岸田総理は記者会見で直接、国民に語ろう ではどうすればよいか。岸田総理が風評対策に絞った記者会見を何度か開き、一回の会見で少なくとも三〇分間にわたり、処理水に関する科学的な説明を行えばよい。ジャーナリストの池上彰氏のような感覚で解説するのだ。こうすれば、記者も書かざるを得ないだろう。 その会見で威力を発揮するのが前回のコラム((『原子力の再稼働に向け、岸田首相が名サウンドバイトを放つ!』))で書いた「サウンドバイト術」である。 「トリチウムを含む処理水は世界中で放出されている」「海産物に蓄積することはない」「トリチウムは川や飲み水など自然界にも存在する」などの基本的な事実を総理がしっかりと伝えれば、一定の伝達効果はあるはずだ。 イラストや図をふんだんに使って、岸田総理が肉声で解説を行えば、テレビは「総理自らの異例の解説とメッセージ」と生放送で流してくれるだろう。新聞も会見内容を無視することは難しいだろう。サウンドバイト術を駆使した会見をぜひ見たいものだ。
- 15 Jun 2022
- COLUMN
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島根県・丸山知事、島根2号機の再稼働容認を表明
県議会に臨む島根県・丸山知事(インターネット中継)島根県の丸山達也知事は、6月2日の県議会本会議で中国電力島根原子力発電所2号機(BWR、82万kW)の再稼働を容認する考えを表明した。近く同社に対する正式回答とともに、国、立地・周辺市町村、隣接する鳥取県への伝達がなされる運び。BWRの再稼働に係る地元理解表明がそろうのは、2020年11月の東北電力女川原子力発電所2号機に続き2基目となる。同機の再稼働に向けては、新規制基準への適合性に係る審査で2021年9月に原子炉設置変更許可に至った後、現在、設計・工事計画認可の審査が進められているところだ。島根2号機再稼働に向け、知事は国・電力に対し要請を行うことを表明本会議で、丸山知事は、これまでの県内における住民説明会などであがった意見に対する考えを述べた。安全性に関する不安については、「中国電力には安全に対する意識改革の徹底を求め、国には検査等を通じその安全に対する姿勢や取組の確認を求めるとともに、必要に応じ安全協定に基づき立入り調査を行う」として、周辺住民の安全確保に万全を期す姿勢を改めて強調。防災対策については、避難に必要な道路・輸送手段、要支援者の避難先、感染症流行下における防護措置など、国・関係機関・電力と連携した対応策を述べた上で、「訓練や避難方法の周知などを通じ、避難計画の実効性を高めるための取組を継続していく」と説明。また、エネルギー政策における原子力の位置付けに関しては、国による「再生可能エネルギーと省エネルギーだけで電力を安定的に賄うことは、現状では困難。原子力発電が一定の役割を果たしている」との説明を理解したと明言。さらに、中国電力が示した「中海・宍道湖・大山圏域では、年間220億円に上る経済効果があり、発電所に従事する人の半数程度が居住している」とする地域経済・雇用に及ぼす効果を踏まえ、島根2号機の再稼働を容認する姿勢を示した。丸山知事は、福島第一原子力発電所事故による被災地を自ら訪れた経験を振り返り、「失われたものを取り戻すことの大変さを痛感した」と述べた上で、島根県民の原子力発電に対する不安に鑑み「苦渋の判断だった」と強調。本会議の場で、知事は、島根2号機の再稼働に向けて、中国電力および国に対する要請事項案を発表した。
- 02 Jun 2022
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原子力の再稼働に向け、岸田首相が名サウンドバイトを放つ!
二〇二二年五月二十四日 エネルギー価格の高騰で原子力の再稼働に注目が集まる中、その再稼働に向けて、岸田文雄首相が短い言葉で的確なメッセージを伝える「サウンドバイト術」のお手本ともいえる大ヒットを放った。来年に予想される福島第一でのALPS処理水の海洋放出についても同様に、ホームラン級のサウンドバイトを期待したい。テレビ番組「ZERO」で明言 五月十三日夜に放映された日本テレビのニュース番組「ZERO」に出演した岸田総理(=写真)は有働由美子アナウンサーのインタビューに答えて「原発一基の再稼働で 一〇〇万トンの新たなLNG(液化天然ガス)を供給する効果がある」と自信に満ちた表情で述べた。たまたまテレビを見ていて、「この言い方は、事の本質をズバリと伝えるサウンドバイトのお手本だ」と思い、心の中で喝采を送った。 サウンドバイト(sound bite)とは、政治家や識者などの発言や映像が放送などで短く切り取られて伝えられることを指す。簡単に言えば、発言のカケラ(biteは「ひとかじり」の意)のことだ。多くの人が経験する通り、テレビのインタビューを受けて、三十分間とうとうと話しても、実際に放送されるのは、発言の一部だけで、たいていは10~20秒程度の長さの発言が視聴者に届くだけだ。 ならば、最初からテレビのインタビューを受けるときは、10~20秒に収まるような発言を用意しておいて、そのフレーズを何度も強調することが「サウンドバイト術」となる。政治家やテレビのコメンテーターは、たとえどんなテーマであっても、常にこのサウンドバイト術を身に着け、事の本質をとことん考え抜いた上で、視聴者の心に響く短い言葉を編み出しておく必要がある。「一〇〇万トン」の数字にインパクト だれもが知る通り、ロシアのウクライナ侵攻で天然ガスをはじめ、さまざまな原料の価格が高騰している。電力を生み出すエネルギー価格、そして電気代も上昇中だ。この悲惨な現状を見れば、電気代の抑制につながる原子力の再稼働が当然議論されるべきであり、原子力の再稼働に向けた強力なメッセージが必要になる。識者でも政治家でもよいから、原子力の再稼働をプッシュする的確な言葉を、このタイミングでズバッと言ってくれないものかと個人的に思っていた。 私なら、どういう言い方をするのだろうかと思案していた矢先に、岸田総理の発言を聞いた。原子力の再稼働は「LNG一〇〇万トンの経済価値」という数字を聞いたとき、「なるほど」と感心した。 日本は海外から石炭、石油、天然ガスを大量に輸入している。その価格が跳ね上がれば、巨額の国富が海外に消えていく。この国富の流失は、言ってみれば、海外の資源国に巨額の税金を払っているようなものだ。その国民負担を抑えてくれるのが原子力の再稼働である。 この窮状を打破する言葉が岸田総理の「一〇〇万トン」だった。原子力発電所一基の再稼働でLNGが一〇〇万トンも節約されると聞けば、相当な量だというイメージが誰にでも伝わる。それこそが、私が大ヒットと形容した理由である。 翌日の毎日新聞はこの発言をニュースにした。 朝日は「一〇〇万トン」という言葉を入れずにニュースにした。一〇〇万トンという数字を入れると、いかにも原子力の再稼働に有利な数字に見えるので、あえてインパクトのある数字を外したとしたら、さすが朝日新聞らしいなぁと感心する。サウンドバイトは繰り返しが重要 実は、岸田総理の同様の発言は四月二十六日に放送されたテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」でも見られた。このときも「一〇〇万トン」という数字を出していた。東京電力の株価が一時急騰したくらいだから、世間に対する影響力はあったといえる。 サウンドバイト術の大事な点は、一回言ったら終わりというわけではないことだ。良いフレーズは、どの媒体でも、何度でも繰り返す。これが肝要である。テレビでも、ラジオでも、新聞でも、視聴者や読者はいつも同じ層が見たり、読んだりしているわけではない。一回言ったところで全国民に伝わることはない。その観点からも、岸田総理の複数回にわたる「一〇〇万トン」発言はサウンドバイト術にぴったりとかなっている。金額を示せば、ホームラン ただし、一〇〇点とは言えない。一〇〇万トンの節約に相当する金額がどれくらいかが分からないからだ。 LNGの輸入価格は相場の変動で上下するが、一トン当たりおよそ十万円となっているようだ。とすると一〇〇万トン×十万円で一千億円となる。つまり、原発一基の再稼働でおよそ一千億円の国富を食い止めることができる。コロナ禍で経済的に苦しむ人たちへの給付金に換算するならば、十万円を一〇〇万人に配れる額である。 こういう身近な例を挙げて、一千億円という金額も同時に示せば、サウンドバイト評価ではホームランだった。一千億円という言葉を追加するだけなら、二秒もあれば十分だ。次に発言するときには、ぜひとも金額を加えてほしい。 来年はいよいよ福島第一のALPS処理水の海洋放出が始まる。処理水のリスクの大きさをしっかりと伝え、なおかつ風評被害を抑えるために、政府関係者は20秒以内で伝える言葉と映像を今から考えておく必要があるだろう。
- 24 May 2022
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2021年度の原子力発電設備利用率は24.4%
原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2021年度の国内原子力発電の設備利用率は24.4%、総発電電力量は708億510万kWhとなり、いずれも新規制基準が施行された2015年度以降で最も高い水準となった。これまでに再稼働したプラントは、2021年6月に国内初の40年超運転として発電を再開した関西電力美浜3号機が加わり計10基(総出力995.6万kW)となっている。12月には司法判断などにより停止していた四国電力伊方3号機が2年ぶりに運転を再開した。一方、美浜3号機は、テロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」が設置期限(プラント本体の設計・工事計画認可から5年間)までに整備されず、10月に定期検査入り。同機は2022年11月中旬に本格運転に復帰予定。*各原子力発電プラントの2021年度運転実績(2022年3月分を併記)は こちら をご覧下さい。
- 12 Apr 2022
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原子力文化財団、2021年度世論調査結果を発表
日本原子力文化財団は、2021年度の「原子力に関する世論調査」結果を3月18日までに取りまとめ発表した。2006年度から継続的に実施しているもので15回目となる。今回、2021年10月に全国15~79歳の男女1,200人を対象に調査を行った。それによると、「今後日本は原子力発電をどのように利用していけばよいと思うか」との質問に対し、最も多かった回答は「しばらく利用するが、徐々に廃止していくべき」(52.8%)で、「わからない」(23.8%)、「東日本大震災以前の状況を維持していくべき」(9.1%)、「即時廃止すべき」(7.5%)、「増やしていくべき」(2.2%)がこれに次いだ。これに関し、同財団では「原子力発電は、しばらく使わざるをえない技術と認識されている」などと分析している。「即時廃止」の回答割合は2016年度から継続して減少。「維持していく」と「増やしていく」の回答割合は近年であまり変化はないものの、年代別にみると若年層ほど高く24歳以下では合わせて21.0%となった。また、原子力発電所を再稼働することに関しては、11の項目から肯定的な回答(複数回答可)と否定的な回答(同)を対比し、2017年度以降の推移を分析したところ、否定側の回答割合は全項目とも減少傾向。特に、電力の安定供給、経済への影響、新規制基準適合への信頼に係る項目で、肯定側の回答割合が否定側を最大16.4ポイント引き離し逆転していた。「地球温暖化対策を考えると、原子力発電の再稼働は必要」との見方に関しては、肯定側・否定側の回答が15.8%で拮抗。一方で、「再稼働を進めることについて、国民の理解は得られていない」(46.3%)、「放射性廃棄物処分の見通しも立っていない状況では、再稼働するべきではない」(36.4%)が引き続き上位に上がっている。これらの調査結果を受け、同財団では「直近5年間で、原子力利用の『即時廃止』、再稼働に対する否定的な意見は減少傾向にある」と分析。また、高レベル放射性廃棄物に関しては、「聞いたことがない」が約5割で推移しており、「国民全体で考えねばならない問題であるため、情報をいかに全国に届けるかが最重要課題」としている。今後日本が利用・活用すべきエネルギーについて尋ねたところ(複数回答可)、太陽光発電(76.5%)、風力発電(62.8%)、水力発電(56.8%)、地熱発電(39.5%)の順に回答割合が多く、2011年度以降、上位項目に変化はなかった。原子力発電は18.4%で前回2020年度調査の14.4%よりやや上昇。今回の調査で初めて天然ガス火力発電を上回った。また、「原子力発電は発電の際にCO2を出さないので、地球温暖化防止に有効か」、「核燃料サイクルは、プルサーマルは役に立つか」に関し、「そう思う」または「どちらかといえばそう思う」との回答割合は、いずれも2015年度以降の調査で最高のそれぞれ41.8%、22.2%となったほか、性別では男性が女性を上回り、年代別では24歳以下で最も多かった。さらに、原子力に関する情報保有量別(多、中、少、無)に分析すると、「多」の層では肯定的回答の割合が顕著に高くなっていた。今回の調査で、原子力に対するイメージとして、「危険」、「不安」、「信頼できない」は2年連続で減少。出来事やニュースで伝えられる情報量もこうした変動に影響しているものと推測される。自由記述の意見では、「事故やトラブルが起きたときにしか話題にならない。普段からの取組を国民に知らせることが大事なのではないか」(60代・男性)、「良いことと悪いことは『表と裏』である。良いことばかりを言うのではなく、悪い面はどんなことかも伝えた上で判断すべき」(70代・女性)といった指摘もある。さらに、「原子力やエネルギー、放射線に関する情報提供の中で、参加・利用したことがあるもの(したいもの)」について、施設見学会、実験教室、動画配信、オンライン講演会など、選択肢を設け尋ねたところ、「当てはまるものはない」との回答が引き続き大多数に上っていた。同財団では今後の広聴・広報に向け、「原子力に関する知識の普及活動における大きな課題だ」ととらえている。
- 18 Mar 2022
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電事連・池辺会長が日本記者クラブで会見
電気事業連合会の池辺和弘会長は2月16日、日本記者クラブで記者会見(オンライン)を行った。同クラブが「脱炭素社会」をテーマに昨秋より有識者を順次招き行っている会見シリーズの4回目で、同氏は、「2050年カーボンニュートラル」に向けた電気事業者の取組として、供給側の「電源の脱炭素化」、需要側の最大限の「電化の推進」について説明。エネルギー需給における「S+3E」(安全、安定供給、経済効率性、環境への適合)の同時達成の重要性を改めて強調した。〈電事連発表資料は こちら〉冒頭、九州電力社長でもある池辺会長は、同社から東京まで約1,000kmの往復移動に要するエネルギーおよび発生するCO2に言及し、「このような形がスタンダードになるべき」と、オンラインを通じた会見を歓迎する意を表明した上で、エネルギー事業者として取り組む「電源の脱炭素化」と「電化の推進」との需給両面を2本柱とするカーボンニュートラル実現に向けた全体像を図示。再生可能エネルギーについては、「主力電源化に向け最大限の導入を図る」と述べ、電力各社の開発・サービス事例を紹介する一方、「遠浅の海が少ない」、「平地面積が少ない」、「他国と系統がつながっておらず、安定性を維持するための系統コストが高くつく」といった大量導入に係る日本特有の地理的課題をあげた。実際、同氏が示した海外との比較データによると、洋上風力発電が設置可能な面積は英国の8分の1に過ぎず、また、太陽光設備では平地単位面積当たりの設置容量がドイツの約2倍、フランスの約16倍と、世界最高水準の過密となっている。こうした課題を踏まえ、「カーボンニュートラルを達成するためには、再エネと合わせて実用段階にある脱炭素電源の原子力を引き続き活用していくことが必要不可欠」なことを示唆した。再稼働/審査の状況(電事連発表資料より引用)原子力については、足下の課題である再稼働に向けた新規制基準適合性審査の状況を図示。電事連内に2021年に設置した「再稼働加速タスクフォース」による業界挙げての(1)人的支援の拡大、(2)審査情報の共有、(3)技術支援――に取り組んでおり、これから再稼働を目指す電力に対し審査資料DVDの作成、発電所長クラス他総勢約500名が参加する説明会の開催などを実施しているという。将来に向けては、既設炉の安全性向上、原子燃料サイクルの推進、設備利用率の向上や長期サイクル運転とともに、「技術力・人材を国内で確保し続ける」観点から、新増設・リプレースが必要となるとした。最近の建設経験をみても、北海道電力泊3号機(2009年運転開始)、中国電力島根3号機(建設中、2009年に原子炉圧力容器据付け完了)から既に10年を経過しており、新規プラント建設までの空白期間が長期化することで、原子力産業基盤の維持が困難になりつつある状況だ。火力については、「発電電力量の7割以上を占め、安定供給上、大変重要な役割を担っており、必要な規模を維持しながら脱炭素化を目指す」考えから、水素・アンモニア混焼、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)など、イノベーションの創造・実装に取り組んでいくとした。また、需要側の脱炭素化のカギとして、ヒートポンプ技術導入によるCO2排出削減効果を披露。2050年度までに現状の国内CO2年間排出量の約1割に匹敵する約1.4億トンの削減が可能だと説明した。記者から、原子力の関連で、新増設・リプレースの具体化や小型モジュール炉(SMR)導入の可能性について問われたの対し、池辺会長は、「まずは安全・安定運転の確保を通じた信頼獲得が一番の務め」と強調するなど、早期再稼働の実現が目下の課題であることを繰り返し述べた。この他、昨今の電力需給ひっ迫やウクライナ情勢の緊迫に鑑み、再生可能エネルギーへの急激な転換に伴うリスクやLNG調達の投資計画に関する質問も出され、池辺会長は、日本のエネルギー需給構造の脆弱さや価格高騰への危惧を示した上で、「選ばれるエネルギー源」となるよう電気事業者として努めていく考えを述べた。
- 18 Feb 2022
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規制委が中国電力清水社長らと意見交換
原子力規制委員会は12月15日、臨時会議を行い、中国電力の清水希茂社長らと意見交換を行った。同委員会が事業者の経営陣を順次招き安全性向上の取組について聴き取りを行っているもの。同社の島根原子力発電所2号機は9月に新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可を取得したところだが、清水社長は、「グループ会社やプラントメーカーにも参画してもらい、再稼働に向けて必要な事項が一つ一つ着実に進むよう取り組んでいる」と強調。原子力発電プラントは、同機が2012年1月に定期検査入りして以来、約10年運転されておらず、運転経験を有しない発電所員の割合も約4割に達していることから、「再稼働というより本当に新しいものを運転する状況にある」と、初心に立ち返った上で、ベテランOBの助言、メーカーとの議論なども踏まえ、「現場力」の向上に努めているという。清水社長は、「特に若手は現場の音、熱、臭いなどを体験していないことから、火力発電所にも派遣し、技術力の維持、モチベーション向上を図っているが、なかなか全員にまで行き渡らない」と、さらなる改善の余地があることを示唆した。中国電力の審査対応に関し、プラント審査を担当する山中伸介委員が「若い人たちは真面目で実直な人が多い」としたのに対し、原子力界の人材育成に危機感を示す伴信彦委員は「受け身の印象もある」などと述べ、社風を踏まえた安全文化醸成活動が図られることを要望。安全性向上に関し、同社では、小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組「CAP」の登録件数が、対象を協力会社の委託業務や教育訓練時の気付きにも拡大したことにより、2021年度上期は2020年度下期の約5倍に急増したとしている。豪雨体験訓練の模様(中国電力発表資料より引用)中国電力管内で2018年夏の西日本豪雨では甚大な土砂災害が発生しライフラインに被害が及んだが、同社では、自然災害への感受性を高めるべく、発電所構内各所に教訓を示すポスターを掲示し啓発に努めているほか、1時間に最大120ミリの豪雨を体験させるシミュレーション訓練を2020年から実施。今後も強風を付加するなど、さらに厳しい気象状況を想定した訓練を検討しているという。これに対し、自然災害対策に関する審査を担当する石渡明委員は、地球温暖化が要因とみられる昨今の気象災害の激甚化に鑑み、「改善しながら進めてもらいたい」と、継続実施を促した。建設中の島根3号機は現在新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可に向け審査途上にあり、同2号機は設計・工事計画認可などの審査が続く。更田豊志委員長が今後の審査に対する考えを尋ねたのに対し、清水社長は、「まずは2号機の再稼働に向け全努力を傾注していきたい」と述べた。
- 16 Dec 2021
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8月の原子力発電設備利用率は27.9%、新規制基準施行後で最高水準
原子力産業新聞が9月3日までに電力各社より入手したデータによると、2021年8月の国内原子力発電所の設備利用率(審査中および未申請のプラントも含む)は27.9%と、原子力規制委員会による新規制基準が施行された2013年7月以降で最も高い水準に達したことがわかった。これまで最高だった2021年7月の27.4%を更新したもの。2021年8月は、国内初の40年超運転として6月に発電を再開し7月に本格運転復帰となった関西電力の美浜3号機を含め、2社9基のプラントがフル稼働し盛夏の電力需要を支えた。国内の原子力発電プラントは、2018年6月の九州電力玄海4号機以降、再稼働が進まず、東京電力福島第二1~4号機が廃止となった2019年10月以降は、計33基・総出力3,308.3万kWとなり、設備利用率は20%台で推移したが、同年12月に定期検査入りした四国電力伊方3号機の司法判断による停止や、2020年3月以降はテロ対策となる「特定重大事故等対処施設」の設置期限満了などに伴い、昨秋には一桁台までの落ち込みを見せていた。なお、新規制基準施行後、月間の総発電電力量が最大となったのは、2019年1月の70億7,881万kWh(設備利用率25.0%、計38基・総出力3,804.2万kW)で、2021年8月は68億7,083万kWhだった。
- 03 Sep 2021
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関西電力が40年超運転含む5基の特重施設運用開始時期を発表
関西電力は8月2日、運転開始から40年を超える美浜3号機、高浜1、2号機の運転計画を決定した。テロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の運用開始時期に見通しが立ったことによるもの。〈関西電力発表資料は こちら〉新規制基準で要求される特重施設設置については、プラント本体の設計・工事計画認可から5年間の猶予期間が与えられているが、先般7月27日に本格運転に復帰した美浜3号機は、同施設が未整備のため設置期限となる2021年10月25日までに一旦停止する。関西電力が発表した運転計画によると、同機では、2022年9月頃に特重施設の整備を完了し運用を開始。プラントは停止から1年後となる同10月20日に運転を再開する予定。2011年以降停止している高浜1、2号機とも、同様に特重施設の設置期限を2021年6月9日に迎えているが、それぞれ同施設の運用開始時期を2023年5、6月頃、プラントの運転再開時期を同6月20日、7月20日と計画。2021年4月末時点で検査時期が未定となっていた高浜2号機の安全性向上対策工事は、2021年12月頃に完了予定としている。また、既に再稼働している大飯3、4号機の特重施設の運用開始時期について、それぞれ2022年12、8月頃と発表。いずれも同施設の設置期限を同8月24日に迎える。関西電力の原子力発電プラントでは、高浜3、4号機で既に特重施設が運用を開始している。他プラントでも同施設の整備が完了し、2023年夏には既存7基による再稼働が確立することとなりそうだ。
- 03 Aug 2021
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2020年度の国内原子力発電所設備利用率は13.4%
原子力産業新聞が電力各社より入手したデータによると、2020年度の国内原子力発電所の設備利用率は13.4%で、対前年度比7.2ポイント減少。総発電電力量は同約4割減の387億5,169万kWhだった。2018年6月に発電を再開した九州電力玄海4号機を最後に新たな再稼働プラントはなく、2020年度は引き続き、関西電力高浜3、4号機、同大飯3、4号機、四国電力伊方3号機、九州電力玄海3、4号機、同川内1、2号機の、いずれもPWR、計9基での運転。川内1、2号機では、新規制基準で求められるテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が初の事例として運用を開始し、それぞれ11、12月に発電を再開した。また、関西電力高浜3、4号機では、それぞれ8、10月に特重施設の設置期限を満了。そのうち、3号機で12月に同施設の運用が開始され、3月10日に発電再開となった。4号機も3月25日に特重施設に係る原子力規制委員会の使用前確認が終了しており、5月中旬にも本格運転に復帰する見通し。7月に定期検査入りし停止中の関西電力大飯3号機では、傷の確認された配管の取替を行うこととしており運転再開時期は未定。年度内を通じ停止した四国電力伊方3号機については、3月18日に広島高裁で運転差止仮処分命令を取り消す決定がなされた。*各原子力発電プラントの2020年度運転実績(2021年3月分を併記)は こちら をご覧下さい。
- 07 Apr 2021
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2020年の原子力発電設備利用率は15.5%
原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2020年の国内原子力発電所の運転状況は、総発電電力量449億7,520万kWh、設備利用率15.5%となった。総設備容量3,308.3万kWのところ、新規制基準をクリアし再稼働したプラントは9基・913万kWで、前年に続き新たな再稼働はなかった。2020年は、2019年12月に定期検査入りした四国電力伊方3号機が司法判断により年間を通して停止。関西電力高浜3、4号機はそれぞれ、8、10月に新規制基準で要求されるテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置期限を満了しており、いずれも停止中。また、7月に定期検査入りした同大飯3号機では、超音波探傷検査で確認された配管溶接部の傷の補修が行われている。一方、再稼働の先陣を切った九州電力川内1、2号機では、いずれも特重施設の設置工事が完了し、それぞれ11月19日、12月24日に発電を再開。これらにより、設備利用率は前年より5.9ポイント下降する結果となった。*各原子力発電プラントの2020年運転実績(同年12月分を併記)は こちら をご覧下さい。
- 08 Jan 2021
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宮城県が女川原子力発電所に関する住民説明会を8月に開催
宮城県は8月に東北電力女川原子力発電所に関する住民説明会を開催する。発電所から30km圏内の在住・在勤者が主な対象で、1日の女川町を皮切りに、石巻市、東松島市、南三陸町と、19日までに計7会場で行われる予定。同発電所では2号機について、2月に原子力規制委員会より新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可が発出されたのを受け、梶山弘志経済産業相が村井嘉浩知事他、立地地域首長に対し同機の「再稼働を進めていく」政府の方針を伝えた。また、6月22日には、内閣府(原子力防災)で半島・周辺離島部の住民避難や避難車両・避難所における感染症拡大防止対策などを盛り込んだ「女川地域の緊急時対応」が了承されたところだ。住民説明会には、内閣府、資源エネルギー庁、原子力規制庁、東北電力が出席。県は今後、説明会開催を踏まえ県議会の意見も聴取した上で、再稼働に対する同意の是非に関し経済産業相に回答する。村井知事は22日の記者会見で、女川2号機について、説明会開催の考えとともに、東北電力との安全協定、防災対策と、3つの並行して進める手続きを整理した。安全協定については、県が設置する安全性検討会からの報告を受け、立地自治体である女川町と石巻市と協議の上、東北電力に回答。防災対策については、今回の「女川地域の緊急時対応」了承を大きな節目ととらえ、今後も引き続き避難計画の実効性向上に努めていくとしている。
- 29 Jun 2020
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2018年度エネ需給、原子力再稼働で非化石電源シェアが拡大しCO2排出量の大幅減に
資源エネルギー庁は4月14日、2018年度のエネルギー需給実績を取りまとめ発表。最終エネルギー消費は前年度比2.7%減の13,124PJ(ペタジュール)となり、特に家庭部門では暖冬の影響により同7.8%の大幅な減少を見せた。2018年度の一次エネルギー国内供給は、前年度比1.8%減の19,728PJとなった。その中で、原子力発電の再稼働と再生可能エネルギーの普及が進んでおり、全体に占める割合がそれぞれ前年度比1.4ポイント、同0.5ポイント増加し、これらを含む非化石燃料の占める割合は6年連続で増加。一方、化石燃料の占める割合は85.5%で6年連続の減少となった。総発電電力量は、同0.8%減の1兆512億kWhで、電源構成別には火力が77.0%(同3.9ポイント減)、再生可能エネルギーが16.9%(同0.9ポイント増)、原子力が6.2%(同3.1ポイント増)となり、非化石電源の占める割合は23.0%と、同3.9ポイントの増加を見せた。年度内には、関西電力大飯4号機(PWR、118.0万kW)と九州電力玄海4号機(PWR、118.0万kW)の2基の原子力発電プラントが再稼働している。また、エネルギー起源のCO2排出量は、前年度比4.6%減の10.6億トンとなった。5年連続で減少し続けているが、下げ幅は近年で最大。東日本大震災後、原子力発電プラントが順次停止し化石燃料によるエネルギー供給がピークとなった2013年度との比較では、14.2%の減少となっている。環境省の同日発表によると、2018年度の国内温室効果ガス総排出量は12.4億トン(CO2換算)で、前年度比3.9%減、2013年度比で12.0%減となった。日本は、パリ協定に基づく国際公約として「温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%削減」との目標を掲げている。
- 15 Apr 2020
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