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日本原子力学会 SMRに関する記者向け勉強会を開催
日本原子力学会は1月9日、報道関係者を対象とした交流会を開催した。交流会は、同学会の社会・環境部会が毎年実施しているもので、今年は、近年注目が高まる小型モジュール炉(SMR)をテーマに設定。エネルギー総合工学研究所・原子力技術センター原子力チームの都筑和泰氏を講師に招き、世界のSMRの開発動向や技術的特徴、導入を巡る課題に関する解説が行われた。SMRについて都築氏はまず、現地で一から組み立てるのではなく、工場で製造し、現地で据え付ける方式を採ることで、建設コストの低減や工期短縮が期待できる点を強調した。モジュール化の程度は設計によって異なるものの、近年では原子炉本体も工場で製造する設計が登場していることや、ロシアの浮体式原子炉のように、船舶に搭載して運用する方式などが紹介された。また、軽水炉の小型化自体に特段の技術的な革新性はないとしつつも、安全性と経済性を両立させる工夫がSMR普及の鍵になると指摘。「既存技術の活用や設計改善、量産効果などを通じたコスト低減が重要になる」とコメントした。さらに、開発の方向性については、「安全性を前面に打ち出す設計」と「構造を簡素化してコスト低減を狙う設計」という2つの流れがあると説明した。SMRの開発計画は2025年時点で100件超に増加しているものの、現在、多くは初期検討段階にとどまっていることを踏まえ、新たな産業としてはまだ立ち上がり段階にあるとも指摘する一方、中国やロシアでは実証段階に近い案件が多く、米国では設計の検討が活発化しているなど、各国の開発状況に違いがある現状を説明した。将来展望については、日本のように既に送電網が整備された国の大型原子力サイトにおいては、SMRの優位性が限定的になる可能性があるとも指摘した。その一方で、大型炉では電力供給が過剰となる地域や途上国、工場における熱・電力・水素の複合利用、データセンター用途などではSMRの適性が高いと述べた。特にAI向けデータセンターについては、都市近郊に立地する必要がなく、送電制約も踏まえれば、SMRを設置して直接電力を供給する形は合理的だとの見方を示した。その一方で、原子力安全に対する社会的な懸念や核セキュリティ対策が大きな課題であるとも指摘。そのうえで、成功事例が生まれれば、そこから普及が広がる可能性は十分にあるとの見通しを示した。さらに、SMRや原子力への社会的理解を広げるためには、「安全性の強調だけでは不十分だ」と述べ、エネルギー安全保障や脱炭素、コストといった観点を総合的に示し、日本にとって原子力が果たす役割を丁寧に説明する必要があるとした。原子力によって一定の電力供給を確保できれば、エネルギー自給率の低さに起因する非常時においても、医療や決済インフラなど社会の基盤機能を維持できる可能性があるとして、こうした現実的な視点に基づく議論の重要性を強調した。
- 20 Jan 2026
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中国電力 島根2号機でのMOX利用計画を関係自治体に説明
中国電力は1月15日、「第40回自治体説明会」を開催し、島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kWe)でのMOX利用計画について、島根県や松江市、出雲市、安来市、雲南市、鳥取県、米子市、境港市など関係自治体の執行部に対し、計画内容を説明した。MOX燃料の利用は、限られた資源を有効活用する手段の一つであるだけでなく、「使用目的のない余剰プルトニウムを保有しない」とする国際公約を履行する上でも重要である。これまでに国内外でのべ7,000体以上での使用実績があり、運用経験が蓄積されている点も導入を後押しする要因となっている。中国電力は島根2号機において、定期的な燃料交換時に使用済みとなったウラン燃料の一部をMOX燃料に置き換え、ウラン燃料と併用して運転する計画を進めている。装荷するMOX燃料は、同号機の全燃料560体のうち最大228体以下とする。MOX燃料は、日本国内向けに製造・管理されていたものを調達する方針で、新規製造に比べ早期の確保が可能となるほか、国内に保有するプルトニウムの有効利用にもつながるとしている。対象燃料はフランスのオラノ社で製造され、当初は中部電力浜岡原子力発電所向けに準備されていたものを転用するという。同社はすでに2008年に原子炉設置変更許可を取得しており、今後は設計・工事計画認可や保安規定変更認可の申請を行い、国の審査を受ける予定だ。なお同日の説明会では、稼働を目指す島根原子力発電所3号機(ABWR、137.3万kWe)の新規制基準適合性(設置変更許可申請)に係る審査状況についても、併せて説明が行われた。
- 16 Jan 2026
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関西電力 樹脂処理設備設置と高燃焼度燃料使用へ前進
関西電力は1月9日、大飯発電所3、4号機(PWR、118万kWe×2基)における樹脂処理設備の設置と、高浜発電所3、4号機(PWR、87万kWe×2基)での高燃焼度燃料の使用計画について、原子力規制委員会に原子炉設置変更の許可申請を行ったと発表した。本計画をめぐり同社は2025年11月18日、福井県、おおい町および高浜町に対し、「原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書」に基づく事前了解願いを提出。その後、原子炉設置変更許可申請の手続きについて、関係自治体から了承を得ていた。樹脂処理設備は、一次冷却材などの浄化に使用されたイオン交換樹脂を処理する装置で、樹脂に吸着した放射性物質を適切に処理・管理することを目的としている。一次冷却材系統などの脱塩塔で使用されるイオン交換樹脂は、使用に伴い性能が低下するため定期的に取り替えられ、取り替え後は使用済み樹脂貯蔵タンクで保管されている。今回の計画では、タンク内に保管されている使用済み樹脂を計画的に処理することで、発電所構内に保管する放射性廃棄物の量を低減し、管理の安定化を図る。設備は3、4号機共用とし、放水口付近に樹脂処理建屋を新設し、その内部に処理設備を設置する。建屋は鉄筋コンクリート造で、主要寸法は縦約33メートル、横約34メートル、高さ約19メートル。設置工事は2027年度から2035年度にかけて実施し、2036年度の運用開始を予定している。設備構成は、美浜発電所や高浜発電所、大飯1、2号機に設置済みの廃樹脂処理設備と同様の方式とする。一方、同社は高浜発電所3、4号機において、燃料利用の高度化を目的に高燃焼度燃料の使用を計画している。高燃焼度燃料は、核分裂を起こしやすいウランの割合を高めることで、燃料をより長期間使用できるようにした燃料で、燃料の使用期間が延びることで燃料交換頻度が低下し、使用済み燃料の発生量抑制が期待される(事業者および申請書上の表記は「使用済燃料」)。具体的には、これまで使用してきた最高燃焼度4万8,000MWd/tの燃料(高燃焼度化ステップ1)から、最高燃焼度5万5,000MWd/tまで使用可能な高燃焼度燃料(高燃焼度化ステップ2)へと切り替える。高浜発電所では、現行燃料を1990年から使用してきた。同社によると、高燃焼度燃料の装荷時期は、3号機が2030年度ごろの定期検査以降、4号機が2031年度ごろの定期検査以降を予定しており、取替燃料として順次使用を開始する。
- 15 Jan 2026
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新潟県 柏崎刈羽再稼働を見据え 避難路の整備状況を伝えるページを開設
柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に向けた議論が進む中、新潟県は12月24日、原子力災害時の避難路整備の進捗状況を紹介する専用ページを新たに開設した。この避難路は、原子力災害時の住民避難の実効性を高めるため、原子力発電所の周辺からUPZ(緊急防護措置準備区域)圏外へ円滑に避難することを目的としている。原子力発電所を中心として6方向へ放射状に延びる経路の整備を進める予定だ。県が主導して行う整備は、地震や豪雨、豪雪などが同時に起こる複合災害を想定し、未改良区間の道路改良や橋梁の耐震補強、土砂災害警戒区域における法面対策などを進め、自然災害時でも通行可能な状態を維持する。加えて、冬期の避難を想定し、拡幅用除雪車両の増強や消融雪施設、監視カメラの設置などを通じて除雪体制を強化する。未改良区間の道路改良について県は、平常時の交通に大きな支障はないものの、6方向へ放射状に延びる幹線道路には、路肩の狭さや線形不良、山間部を中心とした2車線未確保区間など、避難時の大量通行を想定した場合に課題となる区間が存在するため、道路改良を進めるという。また、橋梁の耐震基準についても基本的な対策は完了しているが、さらなる大規模地震に備えた高度な耐震補強を行う予定だ。そして、豪雪時のスタック(自動車のタイヤが雪道にはまり動けなくなる状況)発生による渋滞を防ぐため、発生リスクの高い区間に消融雪施設を設置し、路面や通行状況を把握する監視カメラを導入する。また、国道252号、291号、352号、353号では、拡幅区間に対応した除雪車両の増強など除雪体制を強化し、冬期の安定した道路交通の確保を進める。あわせて、避難時間の短縮と円滑な移動を図るため、高速道路の活用も重視し、新たにインターチェンジや緊急進入路の整備を検討し、広域避難に対応できる交通ネットワークの構築を目指す。これらは柏崎市が実施する。さらに、柏崎市街地における避難時の交通集中を緩和する観点から、国が主導し国道8号バイパスの整備を進め、市街地を通過せずに避難できるルートの確保を図るという。新潟県では、こうした整備を着実に進めるため2025年12月24日現在、内閣府の「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」を活用し、現地踏査や各種調査を通じて対策内容を検討する業務を、県内69か所で実施している。
- 14 Jan 2026
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三菱総研 地方創生の観点から原子力立地地域のワット・ビット連携に言及 コラムを公開
三菱総合研究所は12月8日、「原子力立地地域へのデータセンター誘致で新たな地方創生を ワット・ビット連携が切り拓く原子力と地域の未来」と題したコラムを公表した。執筆者は同研究所政策・経済センターの吉永 恭平氏と、防災・レジリエンス政策本部の角田浩太氏。これまで三菱総合研究所では、4回にわたる連載でワット・ビット連携の可能性を論じ、前回は、原子力事業者とデータセンター(DC)事業者の協業による両者への効果と、社会的な価値について言及した。<過去記事はこちら>第5回となる本稿では、地方創生の観点から原子力立地地域でのワット・ビット連携の可能性に焦点を当てている。同コラムは冒頭、原子力事業者とその立地地域がそれぞれ異なる課題を抱えていることについて言及し、これまで原子力事業者と立地地域の関係は、国のエネルギー政策や社会経済情勢の変化を背景に、時代とともに変化してきたことに触れた。具体的には、国や事業者は地域住民に原子力への理解を求める一方、地域経済の発展に協力し、事業者と地域が共存する「地域共生」の考え方を打ち出してきたという点だ。原子力が有する技術や人材といった資源を地域振興に活用することで、相互の持続的発展を目指す関係構築が図られてきたとしている。しかし近年、立地地域では人口減少や少子高齢化が進み、生活サービスの縮小や地域活動の担い手不足などが顕在化。原子力事業が一定の役割を果たしてきた地域においても、地域基盤の脆弱化は避けられない状況となりつつあると同コラムは指摘している。また、電力自由化の進展により、総括原価方式に支えられてきた電力事業の収益構造は大きく変化し、原子力事業を取り巻く経営環境の不透明感が増している。その結果、事業者が従来のように地域経済を支えることが難しくなりつつあると分析した。こうした中で、電力インフラとデータセンター(DC)などの情報基盤を一体的に活用する「ワット・ビット連携」は、原子力事業者と立地地域が直面する課題の解決につながる可能性を秘めていると指摘。同コラムでは、原子力事業者、立地地域、DC事業者の連携がもたらす相乗効果と、その実現に向けた課題について考察がなされ、その上で、事業者と地域が単なる補完関係にとどまらず、双方が自立しながら成長できる、新たな地方創生の取り組みへ転換する必要性を訴えている。一方で、DC事業者にとって原子力立地地域が必ずしも有利とは限らない点も指摘。DCは通信網や需要が集積し、障害対応もしやすい大都市志向が強く、動画配信や生成AIなどでは一定の通信遅延が許容されることから、東京や大阪への集約が合理的とされる点を挙げた。また、原子力発電所周辺に適用される土地利用規制が、立地上の制約となる可能性もあるという。こうした制約がある一方で、香川県では県内に立地したDCを核にIT関連企業を集積させ、地域雇用の創出を促進。AIやビッグデータを、製造業、農業、観光業などと結びつけることで、高付加価値なサービスや製品の創出を目指しているという。立地地域、原子力事業者、DC事業者がそれぞれの強みを持ち寄り、共創の関係を築くことができれば、地方から日本全体の産業競争力を底上げするモデルへと発展する可能性を秘めていると指摘し、原子力立地地域のワット・ビット連携が日本社会や経済を再興する新しいモデルとなる可能性に言及した。
- 09 Jan 2026
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原子力新年の集い 三村会長が3重点示す 赤澤経産相 安全最優先強調
日本原子力産業協会は1月7日、「原子力新年の集い」を都内で開催。会員企業・組織、国会議員、駐日大使館関係者ら759名が参加し、親睦を深めた。冒頭あいさつに立った三村明夫会長は、年末年始の電力の安定供給に尽力した全国の関係者に謝意を示した上で、昨今、エネルギー安全保障と脱炭素の両立に向け、世界的に原子力活用の機運が高まっているとの認識を示した。<年頭挨拶はこちら>昨年11月のCOP30では「原子力三倍化宣言」への支持が拡大し、金融機関やIT企業など幅広い分野で原子力活用を後押しする動きが広がっていると指摘。国際金融機関の姿勢変化により、原子力プロジェクトへの資金調達環境も改善しつつあると強調した。国内では、原子力を巡る動きにも具体的な前進が見られたと指摘した。昨年、関西電力が美浜発電所の後継機に向けた自主的な現地調査の再開を発表したほか、北海道電力の泊3号機や東京電力柏崎刈羽6・7号機の再稼働を巡っては、知事の理解が示されるなど、再稼働や新設に向けた環境整備が着実に進みつつあるとの認識を示した。一方で、こうした取り組みを実現に結び付けるためには、安全確保を大前提に、地域の理解を得るための丁寧な説明と対話を重ねていくことが引き続き不可欠だと強調した。また、高市政権が昨年11月に発表した「強い経済」を実現する総合経済対策で、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉の実現が国家の成長戦略の中核に位置付けられたことを踏まえ、原子力がわが国の産業競争力や技術開発に果たす役割はかつてなく大きくなっていると指摘した。続いて三村会長は、原子力の最大限活用に向け、今後特に重要になる取組みとして次の3点を挙げた。1点目に、新規建設の早期実現に向けた事業環境整備を挙げ、資金調達や投資回収の確保、サプライチェーンの維持・強化が不可欠だとした。2点目には原子力産業の持続的発展を支える人材の確保・育成を挙げ、国際的な視点も踏まえた議論を通じて、将来を担う人材基盤の強化を図る考えを示した。3点目は、国際連携の推進を掲げ、国際機関や海外産業団体との協力を通じて、世界的な原子力活用の機運を維持するとともに、日本の原子力産業の海外展開を後押ししていく方針を示した。来賓挨拶に立った赤澤亮正経済産業大臣は、冒頭、浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案に言及し、国民の信頼を揺るがしかねない重大な問題として、厳正な対応と再発防止を求める考えを示した。その上で、世界的に原子力の重要性が高まっているとの認識を示し、第7次エネルギー基本計画に基づき、安全性と地域理解を最優先に、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉の導入を進める方針を改めて強調した。また、原子力産業の持続的発展に向け、サプライチェーンの維持・強化や人材育成への支援に政府として全力で取り組む姿勢を示し、東日本大震災から15年目の節目を迎える今年、着任前後に福島を訪れた経験に触れ、現場主義のもと、復興と安全な廃炉に最後まで責任を持って取り組む決意を表明した。続いて登壇した電気事業連合会の安藤康志副会長は、浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案について、原子力事業への信頼を損なう重大な事案として深刻に受け止めていると述べ、電力会社を代表して謝罪した。その上で、昨年は国際的に原子力回帰が進み、第7次エネルギー基本計画で原子力の価値が改めて確認された重要な年だったと振り返った。そして、泊発電所や柏崎刈羽原子力発電所で再稼働に向けた進展が見られたことを評価し、今後もさらなる安全性の向上を追求するとともに、地域住民からの理解と信頼を得るため、丁寧な取り組みを着実に続けていく考えを示した。
- 08 Jan 2026
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タイ高専が最優秀賞 第10回廃炉創造ロボコン
日本原子力研究開発機構(JAEA)と廃止措置人材育成高専等連携協議会は12月20日、福島県の楢葉遠隔技術開発センターで第10回廃炉創造ロボコンを開催した。今大会は、日本国内から10校16チームと、マレーシア工科大、タイ高専(KOSEN-KMITL)の計18チームが出場。初出場のタイ高専が最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞した。大会の様子はYouTubeで配信され、アーカイブを視聴することができる。廃炉創造ロボコンは2016年に初開催され、今大会で10回目の節目を迎えた。ロボット製作を通じて、若い世代が廃炉作業に関心を持つと同時に、創造性・課題発見・解決能力を養うことが目的だ。優れたロボットやアイデアについては、将来的に現場への適用や関係企業との共同研究につながる可能性を視野に入れているという。開会に先立ちJAEAの小口正範理事長はあいさつに立ち、廃炉が長期にわたる事業であることを踏まえ、次世代人材の育成が原子力産業界にとって極めて重要な課題であると強調した。その上で同大会について、遠隔操作やAIなど、実際の廃炉現場を見据えた技術に触れる実践の場であり、単なる競技にとどまらず、廃炉を支える技術と人材を育む「希望の場」だと位置づけた。今大会の競技課題は、「廃炉ミッション!原子炉格納容器内部を調査せよ」。福島第一原子力発電所2号機の原子炉格納容器(PCV)内部の調査を想定し、X-1ペネトレーションからPCV内部へ進入し、底部に存在する対象物を回収して帰還するまでの一連の作業に挑んだ。最優秀賞を受賞したタイ高専は、参加チームのうち唯一、すべての課題をクリアした。同校は、「日本型高等専門学校の教育制度(KOSEN)」を本格的に導入したタイ初の高専として知られる。日本の国立高等専門学校機構から教員が派遣され、現地教員への指導や研修が行われているほか、日本国内の高専でのタイ人学生の受け入れなども進められている。
- 07 Jan 2026
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柏崎刈羽6号機 来月にも再稼働
東京電力は12月24日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子炉起動予定日を2026年1月20日、営業運転開始予定日を2026年2月26日とした使用前確認変更申請書を原子力規制委員会へ提出した。あわせて、6号機の運転開始に伴い共用設備を使用する必要があるため、7号機(ABWR、135.6万kWe)も使用前確認変更申請を提出したことを公表した。同社では、両機について、原子力規制委員会による使用前確認を受けるため、2024年9月に使用前確認申請書を提出し、同年11月には燃料装荷までの工事工程を反映した変更申請を行った。その後、2025年6月21日に燃料装荷を実施し、燃料装荷後の健全性確認(水とガスの漏洩・制御棒の動作・非常用冷却設備の動作確認)および使用前事業者検査(国の定めた安全基準等を満たしているかを事業者自身が確認する検査)を同年10月28日までに完了。起動に向けた技術的な準備は整っていた。その後12月22日に、新潟県議会が柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の再稼働容認を表明した花角英世知事を信任する決議案を可決。翌23日、花角知事が赤澤経済産業大臣に再稼働の地元同意を正式に伝達し、再稼働に向けた議論は最終段階に入った。今後、原子力規制委員会から試験使用の承認が得られ次第、同社では、原子炉起動後の使用前事業者検査を含む設備の健全性確認を進めるという。原子炉起動から営業運転開始までの主な工程は以下の通り。まず、2026年1月20日を予定日として原子炉を起動。制御棒を引き抜き、原子炉内で核分裂反応を開始した後、原子炉の出力を徐々に上昇させる。この過程で、原子炉冷却系や制御系などが設計どおり機能しているかを確認する。次に、原子炉で発生した熱を用いてタービンを起動し、その後、発電機出力をおよそ50%まで段階的に引き上げる。この時点で一度中間停止を行い、主要機器の設備状態を詳細に点検する。中間停止後は、再び原子炉を起動し、同様に出力を上昇させ、タービンを再起動したうえで発電機出力を高め、最終的に原子炉の定格熱出力を約100%まで到達させる。定格出力に達した後は、総合負荷性能検査を実施。これらの工程を経て、2026年2月26日に営業運転を開始する予定としている。同社は、「引き続き安全を最優先に、原子力規制委員会の検査に真摯に対応しながら、各工程を着実に進めていく」とコメントしている。
- 24 Dec 2025
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東京電力 「原子力災害対策充実に向けた考え方」に基づく取り組みを公表
東京電力は12月19日、「原子力災害対策充実に向けた考え方」に係る同社の取り組みについて、最新の進捗を反映した内容を公表した。これは、2016年に経済産業大臣から要請を受けた「原子力安全対策および原子力災害対策に関する取り組み」を整理したもので、前回公表(2024年12月20日)以降の進捗を反映し、現在の状況を取りまとめたものである。今回は、福島第一原子力発電所の廃炉や福島第二原子力発電所の廃止措置の進展、柏崎刈羽地域における緊急時対応の見直し、福島県内のヘリポート設定の追加など、原子力災害対策の実効性の向上に向けた内容が盛り込まれた。第1章では、事故収束活動の体制や各原子力発電所の現状、安全対策の状況を整理し、第2章では、原子力災害発生時における事業者の役割や支援体制に加え、福島第一原子力発電所事故の責任を踏まえた賠償、復興推進に関する取り組みを示した。主な変更点は以下の通り(一部抜粋)①福島県内ヘリポートの設定を追加②福島第一の廃炉作業の進捗を踏まえ更新③福島第二の廃止措置計画の進捗を踏まえ更新④協力企業と連携した輸送訓練を追加⑤柏崎刈羽地域の緊急時対応取りまとめを踏まえ更新⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化を追加⑦2025年度新潟県および福島県の原子力防災訓練の反映変更点の概要は以下の通り①福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の2か所をヘリポートの拠点として設定。さらに、協力企業と連携し、楢葉ヘリポートおよび平ヘリポートの計2か所の運用を始めている。②2024年度には、汚染水対策で発生量を1日約80~90㎥まで抑制し、2025年目標を前倒しで達成。燃料デブリについては、2024年の9月に2号機で試験的取り出しを開始し、11月には採取に成功した。今回公表された資料には、改訂のポイントとして、これら2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業の内容の反映のほか、原子炉格納容器内部の調査作業の具体的化が盛り込まれた。③44年にわたる廃止措置計画のうち、現在は第1段階(解体工事準備期間)にあり、管理区域外設備の解体や管理区域内の調査を進めている。今後は、これらの成果を踏まえ、第2段階への移行を目指す。④協力企業と連携し、事故収束活動に必要な資機材の輸送訓練を継続的に実施。従来のトラックによる陸上輸送に加え、資機材をより迅速に現地へ搬送するため、ヘリコプターを活用した航空輸送訓練も実施し、対応力の強化を図る。⑤柏崎刈羽地域では、要配慮者の避難を支援するため、同社から福祉車両や要員を提供する。具体的には、要配慮者を搬送可能な福祉車両31台を配備するとともに、各車両に運転手と補助員を配置し、計62名を派遣する体制を整備。また、空間放射線量率が高い区域から住民が避難する際には、検査・除染要員を派遣し、車両や住民への放射性物質の付着の有無を確認する。付着が認められた場合には除染を実施し、その際に発生する汚染水や汚染付着物についても、同社が責任を持って処理する。⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化に向けて、同社が除排雪体制の強化や屋内退避施設の環境整備に協力。具体的には、除雪車両の増強、消融雪施設の設置、監視カメラの設置、指定避難所の空調設置や断熱性向上を図るという。⑦2025年10月・11月に、新潟県にて災害対策本部の運営訓練をはじめ、福祉車両を用いた要配慮者の搬送、PAZ内住民の避難訓練やUPZ内住民の一時移転訓練などを実施した。また、柏崎市、燕市、見附市では、放射線に関する講座や避難退域時検査のデモンストレーション体験など、自治体ごとの個別訓練にも参加。2025年11月、福島県にて災害対策本部運営訓練や避難退域時検査訓練に加え、医療中継拠点の設置・運営訓練、甲状腺被ばく線量モニタリング、安定ヨウ素剤の配布訓練などに参加したことが追記された。
- 24 Dec 2025
- NEWS
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放射線教育とリスクコミュニケーションの現在地
- 23 Dec 2025
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IAEA 海洋放出開始後5回目の安全に関する報告書を公表
国際原子力機関(IAEA)によるALPS処理水海洋放出の安全性を検証するレビューミッションが、12月15日から19日にかけて実施された。今回のレビューミッションは、海洋放出開始後5回目。IAEAのグスタヴォ・カルーソ原子力安全・核セキュリティ局調整官ら6名のスタッフと、専門家9名(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、米国、ベトナム、ロシア:以下IAEAタスクフォース)が来日。IAEAによると、これまで公表してきた過去4回の報告書と同様に、一連の対応は国際的な安全基準に沿っており、問題は見つからなかったと結論付けた。なお、同レビューミッションは、2021年7月に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いに関する安全面のレビュー付託事項(TOR)」に基づき行われている。12月17日にはIAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所訪問し、東京電力から最新の状況について説明を受けた。現地では、ALPS処理水移送建屋や放水立坑をはじめとする海洋放出関連設備のほか、2025年度中に解体開始が予定されるJ8エリアのタンクや、すでに解体が完了しているJ9エリアの確認が行われた。さらに、IAEAタスクフォースは、ALPS処理水の測定や分析を担う化学分析棟およびIAEA福島ALPSラボラトリーを訪れ、分析体制や運用状況を確認したという。12月18日および19日には、経済産業省と東京電力がIAEAタスクフォースに対し、ここ1年のALPS処理水の放出実績や、海洋放出開始以降に実施してきた海域モニタリングの結果を説明。また、あわせて、IAEAの国際安全基準に基づく放出開始後の取組み状況に関する報告がなされ、これらを踏まえた議論が行われた。日本政府(経済産業省)はHPにて、IAEAによるレビューを通じて国際安全基準に沿った取組みを継続し、ALPS処理水の海洋放出の安全確保に万全を期す考えを示した。また、IAEAと連携しつつ、国際社会に対する透明性の高い情報発信を続け、国内外の理解促進に努めるとしている。
- 22 Dec 2025
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泊3号機再稼働へ 北海道知事 経産大臣へ同意を伝達
北海道の鈴木直道知事は、12月10日の第4回北海道議会定例会予算特別委員会総括質疑において、泊3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働同意を表明した。12月18日には、経済産業省の赤澤亮正大臣と会談し、同機の再稼働同意を正式に伝達。安全対策や電気料金の値下げ、インフラ整備の支援策等を要望した。赤澤大臣は「要望を受け止め、地域の実情を踏まえたエネルギー政策を進めていく」と表明している。判断の理由として鈴木知事は、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえた新規制基準に適合していると認められたこと、また、北海道およびUPZ(緊急防護措置を準備する区域)内13町村の防災・避難計画を一体化した「泊地域の緊急時対応」が国の原子力防災会議で了承された点を挙げた。また、再稼働によって電気料金の引き下げが見込まれること、安定した電力供給が確保されること、脱炭素電源の確保に伴う道内経済の成長や温室効果ガス削減につながることも判断材料になったという。さらに、北海道経済連合会からも同3号機の早期再稼働実現を要望するコメントが寄せられたことや、これまで開催してきた道内各地で開かれた説明会を通じて寄せられた道民の意見、岩宇4町村長の判断、後志管内16市町村からの意見、道議会での議論などを踏まえ、総合的に熟慮を重ねた結果、今回の判断に繋がったという。鈴木知事は、現時点で再稼働の方向性を示すことで、企業の投資判断における予見性が高まり、道内への投資促進や雇用拡大に繋がる可能性にも期待を寄せた。今後、国や北海道電力に対し、必要なインフラ整備を含め、北海道への産業集積に向けた積極的な取り組みを求めていく方針だ。一方で鈴木知事は、「原子力発電所の安全追求に終わりはない」との認識を強調。発電所の安全対策や防災対策に関する道民の不安や懸念については、同意後も継続して対応するとしている。道としても原子力防災対策を一層強化していく考えを示している。また、最終処分を巡る議論について「文献調査の議論が原子力発電所の立地地域などに限られている現状には強い問題意識がある」と述べた。その上で、電力の恩恵は都市部を含む広範な地域が受けているにもかかわらず、そうした地域では十分な議論が行われていないとして、「これは北海道だけの問題ではない」との認識を示した。一方で、現時点で文献調査から概要調査へ移行する場合には、引き続き反対する考えに変わりはないことも強調した。
- 19 Dec 2025
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青森県 原子力立地交付金を観光・医療・防災に活用
原子力関連施設が多く立地している青森県は12月12日、「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金」を活用した地域振興の具体的な事業内容を公表した。交付金総額40億円のうち、約6.6億円の充当先の内訳が公開され、防災関連設備の整備や観光施設の整備、看護学科に特化した大学の運営費等に充てられる。残る約33.4億円については、今後策定される予定だ。同交付金は、原子力発電施設等の稼働状況が相当程度変化した県を対象に、地域振興を目的として国から交付金が交付される制度。各都道府県が策定した地域振興計画に基づき交付される仕組みで、制度の根拠は「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金交付規則」(経済産業省告示第222号)に定められている。青森県には、建設中も含め、東北電力および東京電力の東通原子力発電所、大間原子力発電所(電源開発)、六ヶ所再処理工場(日本原燃)、使用済み燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵)などが立地し、これら施設が今回の交付金の対象施設となっている。同県は、これらの施設の再稼働等に向けた動きが進む一方で、稼働延期や停止の長期化といった状況に伴い、立地地域が将来像を描きにくい状況が続いてきた。こうした状況を踏まえ、国、青森県、立地市町村、事業者が一体となり、地域と原子力施設が共生する将来像を描く場として、2023年11月に「青森県・立地地域等と原子力施設共生の将来像に関する共創会議」が設置(資源エネルギー庁が主催)された。2024年10月の第3回会議では、20~30年後を見据えた地域の将来像や基本方針、具体的な取組を示す工程表がとりまとめられ、これに基づき、交付金の配分の前提となる地域振興計画が策定、2025年11月に経済産業省から承認を受けた。計画によると、六ヶ所村で、津波発生時の住民避難を円滑に進めるための誘導標識や目標地点標識の整備等に4,000万円が充てられる。さらに、原子力災害への対応可能な医療体制の構築・強化を目的に、総事業費約14億円で弘前大学が整備を進める「放射線安全総合支援センター」に対し、1億円を支援する。むつ市では、看護師不足の解消を目的に、看護学科に特化した「八戸学院大学むつ下北キャンパス」の運営支援に、約1.9億円を充てる。その他、農林畜産業の高度化を目指す「しもきたハイテクフードバレー推進事業」に3,000万円。むつ市役所本庁舎の未整備エリアを改修し、関係機関との連携の強化、情報収集・分析・発信機能の向上等、迅速かつ効果的な災害対応のための体制を確立することを目的とした「むつ市デジタル防災センター」の整備に200万円が充てられる。その他、東通村では、名所である尻屋埼灯台周辺に、観光施設や駐車場を整備する計画があり、総事業費約7億円のうち3億円が交付金で賄われるという。交付金の総額は40億円で、1会計年度あたりの交付上限は10億円。地域振興計画が認められた会計年度から最長10年間交付される仕組みで、青森県では2025年度から2034年度までの活用を見込んでいる。
- 18 Dec 2025
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「今年は原子力産業界にとって大変良い年」増井理事長 定例会見で1年を総括
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は12月12日の定例記者会見で、同協会が手掛ける業界動向調査である「原子力発電に係る産業動向調査2025」の報告や、先月ブラジルで開催された「COP30」、フランスで開催の「WNE2025(世界原子力展示会)」への参加報告等を行った。はじめに増井理事長は、「原子力産業動向調査2025」の結果について、景況感を示すグラフは全体として右肩上がりで推移しており、「原子力産業がやや元気を取り戻してきている状況が読み取れる」と指摘した。実際、景況感は年々改善しており、1年後の見通しについても多くの企業が「さらに良くなる」と回答するなど、産業界として今後の回復基調を見込んでいることが明らかになった。一方で、課題として人材不足を挙げ、同調査によると「人手不足を感じているか」との問いに約8割が「感じている」と回答。「当該年度に十分な人材を採用できたか」という設問でも、「課題が残った」とする企業の割合が年々増加しているとし、「人材確保が難しくなっている実態が浮かび上がった」と述べた。但し、今後の人材採用や配置について「拡大する」と回答した企業も増えており、「人材の需要は引き続き高い水準にある」との見方を示した。続いて、11月にブラジルのベレンで開催されたCOP30への参加を報告。大会全体を通して、原子力がCOPの場で重要な地位を担うようになってきたことを強く感じたという。また、フランスのパリで開催されたWNE2025への参加報告では、日本として初めて「日本パビリオン」を設置し、9社が参加したことを紹介。日本企業が一体となって存在感を示す場となり、会期中は企業間交流や製品紹介が活発に行われ、各社のビジネス機会の拡大にもつながったとの認識を示した。今年最後の定例会見にあたり、増井理事長はこの1年を振り返り、「原子力産業界にとって大変良い年だった」と総括した。とりわけ、2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で「原子力の最大限活用」が明記され、「原子力依存度低減」という文言が削除された点について、「業界全体に前向きな勢いをもたらした」と評価した。
- 16 Dec 2025
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エネ庁 人材確保に向けた司令塔機能の創設へ 原子力委員会で報告
原子力委員会は12月2日、今年9月に経済産業省で開催された「第1回原子力人材育成・強化に係る協議会」での議論を踏まえ、資源エネルギー庁・原子力政策課と、原子力産業界の人材育成の現状と課題について意見交換を行った。今後、資源エネルギー庁では海外事例に倣い、原子力人材育成を統括する「司令塔機能」を担う組織の立ち上げを目指すという。「原子力人材育成・強化に係る協議会」は、原子力人材の確保・育成が難化している現状を踏まえ、課題解決に向けた取り組みを具体化していくため、経済産業省らが今年9月に設置した。同協議会では、産業界の現状把握や各国事例の共有、政策立案に向けた議論を定期的に実施する。同日の原子力委員会では、先般の第1回同協議会で「原子力人材」は産業の裾野の広さゆえに、必要となる人材の分野や階層が多岐にわたる点が共有されたこと。また、電力事業者やプラントメーカーは、人材状況の把握や育成・確保の取り組みが一定程度進んでいる一方、より現場に近い領域である機器・部素材のサプライヤー、建設・工事を担う企業では、人材の現状把握や育成・確保が十分とは言えず、課題が残るとの認識が示された。また、人口減少が進む中、すべての領域で人材確保を実現することは現実的ではないとの意見もあり、企業単独では十分に育成・確保が難しい専門性の高い人材など、今後優先的に育成すべき領域を見極める必要があると指摘された。さらに、企業単独で人材育成・確保の具体的な施策を進めるのではなく、省庁や関係機関、企業らが横断的に連携して効率化・高度化を図るべきだという考えが示され、フランスの先行事例が紹介された。同国では、政府、産業界、労働組合の三者から成る原⼦⼒産業戦略委員会(CSFN)が原⼦⼒産業全体を俯瞰し、仏原子力産業協会(GIFEN)やフランス電力(EDF)らが、全体戦略に基づき個別の施策を実⾏する構図が確立されている。GIFENでは人材需給ギャップ分析の実施、CSFNでは産官学労の主要関係者の意⾒集約や利害調整を⾏われているという。なお、同協議会では今後、海外事例を参考に、原子力人材育成を統括する「司令塔機能」の具体像について議論を深めていく。司令塔組織が備えるべき役割としては、産官学それぞれの現状把握を行う機能、業界動向を踏まえた中期的な育成計画の策定、さらにその計画の実行状況を継続的にフォローアップする仕組みが挙げられている。産業界の現状把握の確認方法については、⽇本原⼦⼒産業協会が手掛ける「原⼦⼒発電に係る産業動向調査」などが紹介されている。
- 09 Dec 2025
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伊方発電所 地域住民の6割超が原子力に「一定の理解」
四国電力は12月3日、今年8月から10月にかけて実施した「伊方発電所周辺地域対象の訪問対話活動」の実施結果を公表。6割超の住民が原子力に「一定の理解」を示していることが明らかになった。同活動では、同社の社員が伊方発電所周辺の各世帯を直接訪問し、住民が同発電所に対して抱く疑問や不安、気になる点に耳を傾け、その場で丁寧に応対している。単なる情報提供ではなく、双方向のコミュニケーションを通じて原子力発電所への理解と同社への信頼の醸成を図ることが最大の目的だ。対象となったのは、愛媛県伊方町および八幡浜市の全世帯と、大洲市・西予市のうち伊方発電所から半径20km圏内に居住する世帯だ。のべ1,143人の同社社員が2人1組となり、23,987戸を訪問(在宅率は約50%)。南海トラフ地震など大規模災害に備えた安全対策や、発電所における安全文化の醸成、技術力の維持・向上、高経年化対策など、同社の取組みをまとめたリーフレットを用いて、住民に説明した。さらに、今年7月に開始した乾式貯蔵施設や、廃止措置作業に着手している1・2号機の進捗なども説明した。訪問者の印象をもとにまとめた住民の原子力発電に対する評価では、「一定の理解」と回答した割合が6割を超え、昨年度とほぼ同じ傾向が確認された。地域ごとに多少の違いはあるものの、全体としては「一定の理解」や「厳しい」との評価がわずかに減少し、「どちらでもない」とする回答がやや増える結果となった。また、住民から寄せられた意見を分類すると、原子力の安全性や必要性に関する意見、同社の取組みに対する激励や理解・信頼を示す声が全体の8割以上を占めた。また、昨年度に比べ、地震や津波への不安、避難に対する懸念といった意見が減少した。同社はこれらの背景として、3号機が安定的に運転を継続しそれを住民が高く評価していること、また、地震対策について同活動等を通じて丁寧に説明してきたことが理解の広がりにつながったと分析している。
- 08 Dec 2025
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柏崎刈羽再稼働への大手新聞報道 相変わらずの「バイアス報道」 地方紙の独善ぶりも気になる
二〇二五年十二月二日 新潟県の花角英世知事が11月21日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6~7号機(出力各135万kW)の再稼働を容認する考えを表明した。この判断に対して、大手新聞社はどう報じたのだろうか。やはりリベラル系新聞(朝日、毎日、東京新聞)と保守系新聞(読売、産経新聞)ではかなりの「差」が見られた。いつものことだが、地元紙がネガティブニュースで不安を増長させていることも分かった。産経新聞はAI需要を強調 新聞記事の中身を判断するのに一番適しているのは見出しだ。見出しを見れば、新聞社の姿勢がよく分かる。再稼働を最も肯定的にとらえていたのは産経新聞(11月22日付)だ。1面で「柏崎刈羽再稼働容認 AI需要 脱炭素の安定電源」とうたい、3面で「東電 経営再建へ前進 1基1000億円の収支改善」の文字が躍った。 日本は今後、人工知能(AI)向けデータセンターの増加で電力需要の拡大が見込まれる。その観点から原発の再稼働は安定電源となり、国から見ても悲願だったと見出しに「AI需要 脱炭素の安定電源」を入れたのが特色だ。3面で不祥事が続く東電に対する県民の不信があることにも触れたが、見出しに取るほどの内容にはなっていない。 一方、読売新聞(11月22日付)は記事全体では肯定的だが、「東電綱渡りの経営 再稼働でも改善厳しく」と産経に比べると厳しい眼差しを向ける。再稼働で1基1000億円の収益改善が見込めるが、福島第一原発事故の賠償や廃炉費用が巨額なため、再建は厳しいと断じた。ただ、社会面ではほぼ一面を費やし「地元 経済安定に期待」との見出しで、東電への透明性のある運営を求めつつも、地元経済の活性化に期待する声をひろった。20日付記事でも「再稼働で首都圏の電力需給が緩和する」と報じ、根強い東電不信に対しても、「知事、時間かけ判断」との見出しで徹底した安全対策と経済振興策が再稼働を後押ししたと書いた。 この二紙は、東電の問題点にも触れつつ、原発のメリットも伝え、バランスよく報じたと言えるだろう。毎日新聞は東電への不信を強調 これに対し、毎日新聞(11月22日付)は1面の見出しは「柏崎刈羽再稼働へ 新潟知事容認表明」と通常の見出しだが、3面では一転「原発回帰 国に同調」「政府再三要請に知事決断 東電問われる適格性」と批判的になり、社会面では「東電が信じられぬ 不祥事山積 県民忘れず 福島避難者あきれた」と東電への不信に満ちた内容をくどいほど並べ、県民感情を置き去りにしたと厳しい。同日付の社説でも「解消されぬ東電への疑念」と題し、「東電の安全軽視の体質が改まっていない。新潟県民の不信を置き去りすることは許されない」ときっぱり。「再稼働に反対だ」と社自体が明確に主張しているわけではないが、県民の不安を楯に、再稼働は暴挙だというニュアンスがひしひしと伝わってくる。朝日は5ページにわたり批判を展開 朝日新聞(11月22日付)は5ページにわたり、批判的なトーンを展開した。2面で「再稼働 県民の信待たず 議決狙う国、県議に働きかけ 福島への責任・東電適格性は」と不祥事続きの東電に「原発を動かす資格はあるのか」と相当に手厳しい。解説欄でも「東電が原発を運転することに県民の69%が心配だと答えている。電力は首都圏に送られ、新潟県民にはメリットがないとの見方も根強い」と地元にもメリットがないことを強調した。社説でも「疑念ぬぐえないままの容認。原発回帰に向けた重い判断を立地自治体に押しつけ、地元同意の手続きの不条理がまたも繰り返された」と地元同意が不条理だと一喝した。 国が主体的に再稼働を決めれば、「地元の同意を無視した暴政だ」と批判し、地元の同意を重視すれば、今度は「地元に判断を押しつける不条理だ」と批判する。どちらにせよ、朝日新聞は批判したいのだというトーンが強く伝わってくる。 東電の経営に関しても、「不祥事相次ぎ負債膨張、事故の責任重く いばらの道」と再建は極めて困難と断じた。社会面では福島の被災者を取り上げ、「福島を知るから複雑 『同じ経験してほしくない』 私たちの犠牲、なかったことにされるのか」と、柏崎刈羽原発が近くまた事故を起こすかのような書きぶりだ。 朝日、毎日とも東電の「適格性」を大きく取り上げ、事故を起こした当事者が再稼働させる資格はあるのかと問う。二紙とも、反原発路線に沿った論調なのが改めて分かる。東京新聞はさらに過激 朝日新聞以上に過激なのは、毎度のことながら、東京新聞(11月22日付)だ。1面の見出しに「県民の『東電不信』耳かさず」を入れ、2面で「『再稼働ありき』のシナリオ、柏崎刈羽『信問う』知事選択せず」とし、社会面では「被災者怒り『事故究明が先』 都民は賛否『電力安定』『安全不安』」とネガティブ情報が圧倒する。電力の需給面でも「原発の必要性は薄れている」と書き、23日付からは「見切り発車柏崎刈羽 東電再稼働を問う」と題した計三回の連載記事を載せた。どういうわけか再稼働に怒りをぶつける市民の名前は実名で登場するが、電力が安定すると肯定的な意見を述べる弁護士や講師の名前は匿名だ。 再稼働の経済効果については「柏崎刈羽原発の6、7号機が再稼働したときの経済波及効果は10年で4396億円と試算されているが、単年度では440億円に過ぎず、新潟県の総生産額の8兆9000億円の0・5%ほどでしかない」と経済効果にも疑義を示す。東京新聞を読むと、再稼働のメリットは全く感じられない。原発の拡大とリベラル系新聞の拮抗 こうして見ると、やはり新聞はバイアス(偏り)に満ちている。注意深く読まないと洗脳されてしまう。原発への批判度を順番に並べてみると、一番過激な東京新聞を筆頭に、朝日、毎日となる。逆に肯定度の順番は、産経が強く、次に読売が来る。 いま世界を見れば、原発は拡大傾向にあり、AIや半導体の需要拡大で、原発の必要性が高くなることは間違いない。そうなると、リベラル系新聞が原発批判だけで購読者を維持していくことが、どこまで可能なのかが気になるところだ。地方紙も批判勢力として健在 一方、地元の新潟日報はいつものことながら批判的だ。これまでにも原発に批判的な報道を繰り返してきただけに、批判自体は予想の範囲内だが、独自に延べ7142人(なぜ、延べ人数なのか。重複しているとしたら正確といえるのか疑問だが)を対象にアンケート調査を行い、その結果を報じた(11月28日オンライン)のには、ただならぬ執念を感じた。東電が運転することに対し、「83%が不安を感じる」と報じ、「知事の判断を支持しない」が78%に上ったと報じた。まるで市民活動家並みのアクションだ。 そして11月28日には、鈴木直道・北海道知事が、北海道電力・泊原子力発電所3号機(91・2万kW)の再稼働を容認する考えを表明した。待ってましたとばかり、北海道新聞の社説(29日)は「知事の表明は拙速であり、到底受け入れられない。容認ありきでは道民の命と暮らしを守るリーダーとしての責務は果たせない」と反対論をぶちまけた。北海道新聞も新潟日報と似て、原発批判の双璧をなす印象をもつ。 そう言えば、23年8月に福島第一原発の処理水が海洋放出されたときに、地方紙(福島県を除き)の社説の大半は「反対」だった。大手新聞の偏りだけでなく、地方紙の独善ぶりも要注意だと改めて感じる。
- 02 Dec 2025
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新潟県 柏崎刈羽の再稼働に関する補正予算案を提出へ
新潟県の花角英世知事は11月26日の記者会見で、来月開会する県議会の定例会に総額約73億円の補正予算案を提出すると発表した。これらは原子力複合災害時の避難道路整備費や鳥獣被害対策など幅広い分野で使われる予定だ。そのうち約3,100万円は、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に関する広報費等に充てられる。これら広報費について花角知事は、県議会で議論がしやすくなるよう、通常の補正予算案と議案を分けることにしたという。国の再稼働交付金を活用し、原子力発電所の安全・防災対策を県民に周知する冊子等を作成し、理解促進を図る。また、安全協定に基づき、これまでも実施してきた自治体職員による原子力発電所のチェック体制をさらに強化し、外部の専門家を交えたチームを新たに創設する。記者団から、これら理解促進事業にどのような効果を期待するかと問われた花角知事は、「定量的な数値目標は定めていないが、県民公聴会や意識調査では、安全対策に関する認知が十分に浸透していない現状が明らかになった」と述べ、「県や各市町村が長年にわたり取り組んできた防災対策を県民に正しく伝えることは我々の責務だ」と語った。これまでの意識調査では、安全・防災対策の認知度が高いほど再稼働に肯定的であること、また、20~30代の若年層は再稼働に賛成している傾向が強いことが明らかとなっている。また、発電された電力の多くが首都圏に送られている点について問われた花角知事は、「生産地と消費地の非対称性は、電力に関わらず多くの場面で存在する。ただ新潟県民がどういった思いで原子力に関する諸問題に向き合ってきたのか、電力を使う側に知ってもらいたいとも思う」と語った。赤沢亮正経済産業大臣は11月21日の記者会見で、花角知事のこれまでの取り組みに敬意を表した上で、「国として原子力防災の充実・強化、東京電力のガバナンス強化、地域振興策の具体化を進め、丁寧な情報発信に努める」と強調。さらに、UPZ(緊急防護措置準備区域)が30km圏に拡大したにもかかわらず、電源立地対策交付金制度が見直されていない点を問題視し、公平な制度運用のため早期の見直しを要請した花角知事の発言に触れ、「地域の持続的発展に向け、見直しに向けた議論を深めていく」と述べた。また、赤沢大臣は「まだ再稼働が決まったわけではないが、柏崎刈羽原子力発電所6号機が定格出力で稼働したと仮定すれば、2%程度、東京エリアの需給を改善する効果がある」と電力供給面での再稼働の重要性を示した。
- 26 Nov 2025
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伊方1号機の廃炉作業に進展 廃止措置計画が第2段階へ移行
四国電力は11月20日、伊方発電所1号機(PWR、56.6万kWe)の廃止措置計画について、第2段階の実施に向けた計画変更認可申請書を原子力規制委員会に提出し、愛媛県および伊方町に対して安全協定に基づく事前協議の申し入れを行った。使用済み燃料の搬出や管理区域内設備の解体計画の作成など、第1段階の作業が計画通り完了したことを受け、廃止措置作業は次の工程へ進む。第2段階では、管理区域内設備のうち、原子炉領域周辺のポンプ・タンクなど放射能レベルが比較的低い設備の解体撤去に着手する。作業にあたっては、作業員の被ばく低減と放射性物質の飛散防止を重視し、密閉型の囲いや局所排風機を活用するほか、粉じん抑制のための適切な工法が採用されるという。また、解体撤去物のうちクリアランス制度の対象となり得るものは一時保管し、国の認可を得て一般廃棄物として再利用または処分する。クリアランス処理できない撤去物は固体廃棄物貯蔵庫で適切に管理される。伊方発電所は現在、3号機(PWR、89.0万kWe)が運転中で、1・2号機はそれぞれ2017年、2021年より廃止措置作業に着手している。廃止措置の全体工程は、第1段階「準備作業(約10年)」、第2段階「1次系設備の解体撤去(約15年)」、第3段階「原子炉容器や蒸気発生器等の原子炉領域設備の解体撤去(約8年)」、第4段階「建屋等の解体撤去(約7年)」の順で進められ、約40年をかけて実施される。同1号機の廃止措置完了は2050年代半ばを見込む。また四国電力は、同発電所の事故を想定した原子力総合防災訓練を11月28日~30日にかけて実施する予定だ。複合災害時の対応等、半島で孤立地域が発生したというシナリオで、自衛隊、警察、消防らと連携し、住民の避難経路を確保する手順などを検証する。原子力総合防災訓練は、原子力防災体制や緊急事態における連携確認、住民理解の促進等を目的として、国が主催し毎年度実施しているもの。
- 21 Nov 2025
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規制委 住民避難基準の見直しに向け活発な議論
原子力規制委員会は11月19日、第14回「緊急時活動レベル(EAL)の見直し等への対応に係る会合」を開催した。EALは、原子力災害時に、原子力事業者が原子力施設の状況に応じて緊急事態レベルを判断するための基準で、2011年の福島事故を受け、国際基準を踏まえて2013年に導入された。その後、段階的な見直しを経て現在の体系に至っている。具体的には、放射線の線量変化・設備機能の喪失・格納容器の状態に応じて、「警戒事態」、「施設敷地緊急事態」、「全面緊急事態」の3区分に分類される。緊急時にはこのレベルに応じて、周辺住民の被ばく低減のための避難、屋内退避、ヨウ素剤の服用等の防護措置が実施される。今回の会合では、日本と米国およびIAEAにおけるEALの考え方を比較検証した結果が示された。その中で、日本の基準では設備機能が喪失した段階で全面緊急事態へ移行するケースが多く、実際のプラントの状態と緊急事態区分の深刻度が一致しない可能性が指摘された。結果として、避難の早期化や、緊急度の低い避難指示の発出を招くおそれがあると懸念された。いわゆる、日本のEALは設備の機能喪失に起因する発出条件が多く、今後はプラントの状態そのものに応じた実際のリスクの大きさに基づき判断する手法(放射性物質放出のリスク状態に応じる必要性)に切り替えるべきだとの意見が挙がった。EALの見直しの必要性は以前から議論され、必要な知見の蓄積が規制委の重要な研究課題となってきた。次回会合(12月中旬予定)では、屋内退避解除の判断基準を取り上げ、議論を深める予定だ。
- 20 Nov 2025
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