キーワード:再稼働
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原産協会 理系向け業界研究セミナーで認知拡大を図る Career Design Forumにてブース出展
理系学生を対象とした業界研究セミナー「理系Career Design Forum」が4月19日、新宿NSビルにて開催された(主催:学情)。当日は、理系学生を積極採用する企業約60社が出展し、来場者数は600名を超えるなど、会場は賑わいを見せた。会場内には「エネルギー・インフラ業界エリア」が設けられ、日本原子力産業協会が同エリア全体を企画・運営。同協会の会員企業へ参加を呼びかけ、14社が出展した。日本原子力産業協会では例年、秋ごろに就職活動イベント「原子力産業セミナー」を開催している。一方で近年、会員企業から「より早い時期に学生と接点を持ちたい」との声が多く寄せられ、特に、夏のインターンシップが本格化する前に業界認知を進めたいというニーズが高まっていたことから、今回のブース出展につながったという。エネルギー・インフラ業界エリアに出展した日本原燃の金原裕己氏(人事部人財開発グループ課長)は、同イベントについて「原子燃料サイクルを初めて知ったという学生も多く、原子力産業界の魅力を知ってもらう良い機会になった」と振り返った。金原氏は、原子力産業界へ関心の薄い学生に対して、「国内で当社だけが担っている仕事があること」を伝えていると話し、同社が日本のエネルギー安定供給やバックエンド事業といった社会的課題に向き合っている点を強調。「使命感を持って取り組んでいる仕事だということを知ってほしい」と力強く語った。また、「当社はさまざまな専攻が活躍できる」としたうえ上で、「勤務地が青森県であるため、仕事面だけでなく、地域の魅力も含めて伝えていきたい」と話した。そして、採用活動では、「『事業への共感』を最も重視している」とし、「社会的意義をやりがいとして感じてくれる学生に来てほしい」と語り、今後、さらに学生との接点を増やしていきたいとの考えを示した。また、会場内の別ブースでは企業講演や就活支援講座が開かれ、中でも、アイリスオーヤマ、東日本旅客鉄道、日立製作所の3社による【3社が語る仕事のホンネセミナー】が注目を集めた。異業種の人事担当が、仕事内容や働き方、就職活動時の考え方などについて率直に語り合う形式で進行し、日立製作所の担当者は、原子力産業の魅力や社会的意義について語った。同企画に登壇した日立製作所の宮武明穂氏(人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部)は、今回の【3社が語る仕事のホンネセミナー】について、「原子力業界を知らない学生層に、興味を持ってもらう入口として非常に意義がある」と語った。特に「普段出会えない学生層と接点を持つことができ、学生が共通して抱えている不安や疑問を再確認できた」と振り返った。そして宮武氏は、原子力産業界の人材確保に向けて、早い段階から接点を持つ必要があるとし、「大学1、2年生の段階から知ってもらうための活動をしていくことが重要だ」と強調。同社では現在、中高生向けの取組みも行っているという。また、「どの専攻でも活躍できるフィールドがあること、原子力事業における最新の取組みをお伝えすること、を重視して情報発信を行っている」と語った。具体的には、脱炭素化社会の実現やエネルギー安全保障の観点から世界的に原子力活用の機運が高まっている現状をデータとともに示し、社会に必要とされる仕事であり、大規模な社会貢献につながる産業であることを伝えているという。さらに、原子力分野では原子力専攻学生の減少や労働人口の縮小も課題になっているとし、「業界全体として継続的な情報発信と裾野拡大が必要」と強調。日本原子力産業協会等の業界団体とも連携しながら、原子力産業の理解促進と人材確保に取り組んでいく考えを示した。また日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、【3社が語る仕事のホンネセミナー】について、「限られた時間の中でも、各社が自分たちの特長を出そうとしていた点が印象的だった」と振り返った。各登壇者が、用意された回答を読み上げるのではなく、自らの言葉で学生に語りかけていた点に触れ、「企業ごとの個性や、担当者自身の人柄、物事の捉え方まで伝わる内容になっていた」と評価した。特に、匿名で質問できるオープンチャット形式が採られたことにも言及し、「学生が手を挙げづらい中で、本音を引き出しやすい仕組みだった」と評価した。また、今回のようなエネルギー・インフラ業界全体を対象にしたブースについて、「当協会が主催している原子力産業セミナーとは異なる役割を持っている」と分析。「こうした場を入り口に、原子力分野へ関心を持った学生が、さらに同セミナーなどの専門性の高い場へ流れてくる可能性もある」との認識を示した。そのうえで、原子力業界の人材確保に向けて、幅広い層との接点を増やしていくことが重要だとの考えを示し、「こうした業界横断型イベントとの連携や補完関係は、今後さらに重要になっていく」との見方を示した。
- 22 May 2026
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IAEA ALPS処理水放出の安全性を改めて確認 6回目の安全性レビュー
国際原子力機関(IAEA)は16日、ALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に沿って実施されていることを確認したと発表した。安全性レビューは5月11日から15日にかけて実施され、今回で6回目。過去5回の報告と同様、今回も問題は指摘されなかった。レビュー期間中、日本政府や福島県、東京電力は、発電所構内および周辺海域で実施しているモニタリングの概要や実績について説明した。IAEAタスクフォースは、これらが国際安全基準と整合しているかを中心に議論を行った。また、5月13日には、IAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所を訪問し、発電所構内の「ブルーデッキ」から廃炉作業の進捗状況を確認したほか、ALPS処理水移送建屋や放水立坑など、ALPS処理水の海洋放出に関連するモニタリング設備を視察。さらに、タンク解体が進むエリアの現場確認も行ったという。安全性レビューは、2021年に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOR)」に基づき実施されている。IAEAは、自ら定める「IAEA安全基準」に則り、人と環境の保護の観点から、ALPS処理水の放出計画やモニタリング体制などについて確認・評価を実施している。こうしたレビューを通じ、IAEAタスクフォースは、海洋放出の安全性や透明性に関する国際社会の理解醸成に向けた役割を担っている。日本政府は、ALPS処理水の海洋放出について国際社会の理解を得る上で、IAEAによる独立したレビューが重要との認識を改めて示した。その上で、今後も中立性を重視するIAEAと緊密に連携しながら、ALPS処理水の海洋放出に関する理解醸成に取り組んでいく考えを強調した。
- 20 May 2026
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敦賀2号機 原電が追加調査の進捗説明
原子力委員会は5月13日、日本原電執行役員の神谷昌伸氏より、「敦賀発電所2号機の再稼働審査に係るこれまでの経緯と追加調査について」の報告を受けた。同2号機は、1987年2月に営業運転を開始し、2011年5月まで約24年間稼働していたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて運転を停止している。同機は2024年11月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査において、敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の後期更新世以降の活動性を否定できない(約12~13万年前)こと、また、K断層が原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性を否定できないことが指摘され、「新規制基準に適合しない」との判断がなされた。しかし日本原電は、安全性を確認した上で同機の再稼働を目指す意向を示している。神谷氏によると、同社では社外専門家の意見も参考にしながら、昨年10月より「K断層の分布と性状」、「K断層の活動性と連続性」、「その他破砕帯等の地質データ取得」に関する調査を実施している。そのために、発電所敷地内でのボーリング調査、立坑・横坑の掘削によって岩盤を直接観察する調査等を進めており、すでに立坑工事は工期終盤に入り、来月には横坑掘削が始まる予定だという。同社では、調査を通じてK断層等の性状をより詳細に調査し、再稼働に向けた再申請のためのデータを収集する方針だ。同委員会の後半、審査における当該断層の評価や追加調査の在り方について意見が交わされた。原子力委員らから、K断層の活動性や連続性をめぐる評価について、「どの範囲まで調査し、どのようなデータを示せば、当該断層の活動性や連続性を否定できるのか」「どういったデータを示せば再稼働に向けて必要なデータを揃えることが達成できたと言えるのか」との指摘があった。これに対し神谷氏は、追加調査やデータを着実に積み重ねながら、総合的に評価していく考えを示した。また、調査地点についても、「限られた調査地点から総合的に評価する必要があり、どこの地点を選定するのかが重要になる」と述べた。また、2年程度を見込んでいる追加調査の進捗について神谷氏は、「おおむね順調に進んでいる」とコメントした。さらに、長期の運転停止が続く原子力発電所の再稼働をめぐる地元の反応について、神谷氏は日本原電と地元自治体が築いてきた関係性に言及し、「当該地域にはさまざまな意見がある」と述べた。これに対し原子力委員からは、「規制側・事業者側の双方が、透明性をもって再稼働に向けたプロセスを進めていくことが重要」との意見があり、地域住民の理解醸成と信頼確保を進めていくことの重要性が共有された。また他の委員は、福島第一原子力発電所事故以降、原子力を巡るリスク評価が多角的に進められているとの認識を示したうえで、原子力発電所の再稼働を実現するためには、社会的なコンセンサス形成に向けた不断の努力が重要であり、引き続き丁寧な対話の継続を日本原電に求めた。
- 18 May 2026
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柏崎刈羽6号機が営業運転開始 14年ぶり
東京電力は4月16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午前7時から、営業運転直前の工程にあたる総合負荷性能検査を実施。午後4時過ぎに使用前確認証等を交付され、営業運転を開始した。同機が営業運転に入るのは14年ぶり。総合負荷性能検査は、原子炉が定格熱出力に到達し、運転状態が安定した段階で、使用前事業者検査の最終段階として実施される。原子炉圧力や蒸気の流量、熱出力などのデータを記録し、プラント全体が正常に機能しているかを総合的に確認する。あわせて、原子力規制委員会が使用前確認を行い、事業者による検査が適切に実施されているかを確認。これらの結果、問題がないと判断され、規制委から使用前確認証が交付され、営業運転へと移行。赤沢亮正経済産業大臣は4月14日の会見で、同6号機の再稼働について、「東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、さらには脱炭素電源の確保の観点から極めて重要だ」と述べ、「大きな節目であり重要な一歩」との認識を改めて示していた。また、中東情勢の緊迫化を受け、「原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源」と位置付け、再稼働の意義を改めて強調した。大臣は、6号機の再稼働によって、ホルムズ海峡経由で輸入しているLNGの年間約3割を節約する効果があると指摘。今後の電力需要の増加を見据え、「原子力と再生可能エネルギーの双方を活用していく」とする第7次エネルギー基本計画の方針に変化はないと述べた。
- 16 Apr 2026
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放射線を「特別なもの」にしないために|“知”のボーダーレスへ
- 14 Apr 2026
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福井県立地自治体 経産省へ要望
福井県原子力発電所所在市町協議会は4月10日、経済産業省の井野俊郎副大臣に、原子力政策等に関する要請書を手渡した。同協議会の西嶋久勝会長(高浜町長)は、井野副大臣に対し、「立地地域として今後も国のエネルギー政策に協力し、国民経済を支える役割を果たしていきたい」との考えを示した上で、燃料サイクルの停滞や高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する具体的な道筋が十分に示されていない現状に言及し、「将来に対する不安を感じている」と懸念を表明した。さらに、原子力発電所の立地地域にとって、将来にわたる確かな安心の確保が原子力との共生に繋がると強調。エネルギー政策を持続可能な形で進めていく観点から、要請書を提出するとともに、国の見解を求めた。同要請書ではまず、政府が掲げる「原子力の最大限活用」について、国民理解の醸成と安全確保の徹底を求めた。また、原子力人材の確保及び育成について、発電所の運転員のみならず、原子力研究に関わる人材の確保と育成を喫緊の課題と位置づけ、運転員に加え研究分野を含めた人材基盤の強化を要請した。さらに、燃料サイクル政策の着実な推進とともに、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの確実な履行を求め、国と事業者が一体となった対応の必要性を強調した。原子力防災については、避難時に不可欠な道路・橋梁の整備と強靱化を要請。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生したことを踏まえ、補助制度の拡充や別枠予算の確保など、実効性ある財政措置を求めた。財政面では、電源三法交付金の見直しをはじめ、各種交付金・補助制度の充実を要請。廃炉に伴う交付金の緩和措置の延長や、固定資産税の見直しにも言及した。そして、廃炉の進展に伴う地域経済への影響を踏まえ、中長期的な支援の必要性も強調。企業誘致や産業振興に加え、医療・福祉を含めた総合的な地域支援の充実を求めた。これに対し井野副大臣は、エネルギー安全保障の重要性が高まる中で、原子力を「準国産エネルギーとして安定供給に資する重要な電源」と位置付けた。一方で、燃料サイクルや最終処分の進展の遅れについては「立地地域に心配をかけている」と認め、課題の前進と対話の強化に取り組む方針を示した。
- 13 Apr 2026
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増井理事長 定例会見で原子力政策の課題を示す
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は4月3日の定例記者会見で、自身が参加した原子力小委員会(経済産業省)や原子力科学技術委員会(文部科学省)での発言内容や、協会の取組みについて説明した。増井理事長は冒頭、3月31日の第48回原子力小委員会において専門委員の立場から、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べたことに言及した。人材育成の司令塔機能の創出について増井理事長は、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。次に、次世代革新炉の建て替えに関する手続きについて、増井理事長は原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の取り扱いについて合理的な制度の整備を求めた。また、高レベル放射性廃棄物処分については、国が東京都小笠原村に文献調査を申し入れたことについて、「国が主体的に関与した画期的な動き」と高く評価した。続いて増井理事長は、3月30日に開催された文部科学省の原子力科学技術委員会での自身の発言を取り上げ、原子力損害賠償制度の見直しについて改めて言及。現行の無過失無限責任の制度では、投資判断の障害となるとした上で、過去の議論にとらわれず、十分な時間をかけて事前検討を進める必要性を強調した。また、東京都内で3月に開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラムを契機に、日本原子力産業協会が米国の原子力エネルギー協会(NEI)と協力覚書(MOU)締結したことを報告。NEIとともに、インド太平洋地域における原子力開発支援を筆頭に、今後の連携強化を図ると述べた。昨今の中東情勢の緊迫化を受けて、原子力発電が持つ意義について問われた増井理事長は、「電力会社のウラン調達先は多様であること」「国内に一定量の燃料備蓄が存在すること」を挙げ、「原子力はエネルギー安全保障の観点から一定の耐性を有する電源」との認識を示した。さらに、イラン国内の原子力施設への攻撃リスクについては、「国際条約上許されない行為であり、強く懸念している」とした上で、国際法の遵守が揺らぎつつある現状への危機感を露わにした。このほか、日本原燃の再処理工場の竣工目途や、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた動き、フランスとの高速炉分野での協力について、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の進捗など、多岐にわたる質疑があり、それぞれ見解を示した。
- 07 Apr 2026
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エネ庁 スマートエネルギーWEEK で原子力活用を強調
RX Japanが主催する国際エネルギー総合展示会「第25回スマートエネルギー WEEK春」が、3月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催された。洋上風力や水素エネルギー、CCUS(CO2回収・利用・貯留)など、脱炭素社会の実現に向けた最新技術が一堂に会し、3日間で6万人超が来場した(主催者発表)。また、会期中にはエネルギー政策やカーボンニュートラルをテーマとしたセミナーが多数開催され、最終日の3月19日には、資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長・多田克行氏が登壇。日本のエネルギー情勢と原子力政策の現状・展望について講演した。会場には多くの来場者が集まり、原子力に対する関心の高さがうかがえた。多田氏は、日本のエネルギー安全保障を取り巻く現状を踏まえ、既存の原子力発電所の最大限活用、次世代革新炉へのリプレース、事業環境整備、バックエンドプロセスの加速化の4点を軸に、日本の原子力政策の方向性について語った。多田氏はまず、日本のエネルギー自給率が低水準にとどまり、化石燃料への依存度が諸外国と比べて高いことについて言及。日本では、化石燃料の輸入額が年々増加しており、2024年度は約24兆円に達していることから、「高付加価値品で稼いだ外貨(2024年/28兆円)の大半が化石燃料の輸入費で消えている」と指摘し、警鐘を鳴らした。そして、エネルギー安定供給と脱炭素化を両立するうえで、原子力の活用が重要と強調した。また、生成AIの普及などを背景に、データセンターや半導体工場などにおける電力需要が急増していることから、安定的に供給できる脱炭素電源の確保が急務だと指摘。一方で産業界からは、脱炭素化の実現にはクリーン電力の安定供給と予見可能性が不可欠との指摘があることに言及。電力供給の不安定化は、生産拠点の海外移転を招き、国内産業基盤を揺るがしかねないとの見解を示した。多田氏は原子力政策の柱として、①既存発電所の最大限活用、②次世代革新炉へのリプレース――の2点が重要であると述べ、柏崎刈羽6号機(ABWR、135.6万kWe)や泊3号機(PWR、91.2万kWe)などの動向に言及しつつ、再稼働を進める重要性を強調。一方、次世代革新炉への建て替えも不可欠とし、革新軽水炉、小型モジュール炉(SMR)、高速炉などを挙げ、将来を見据えた開発・導入を進める考えを明らかにした。また、原子力を支える産業基盤(サプライチェーン)を維持し、人材を確保するために、経済産業省では、次世代革新炉の技術開発支援や安全性・信頼性向上に資する研究開発支援、プロセスのデジタル化支援などを進めていると説明。北米など海外プロジェクトへの参画支援を通じて、日本企業の技術力の維持・強化を図る方針だという。多田氏はバックエンド政策についても言及。六ヶ所再処理工場の2026年度中、MOX燃料工場の2027年度竣工を目標に、政府として事業者と一体となって支援する方針を示した。また、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、処分地選定は国家的課題だと強調。寿都町、神恵内村、玄海町で進む文献調査に触れつつ、全国的な理解醸成を通じて調査地域の拡大を図る方針を示した。そして、「原子力政策は発電所の建設・運転にとどまらず、原子燃料サイクルやHLWの最終処分等、バックエンドを含めた一体的な取り組みが不可欠」と述べ、講演を締めくくった。
- 03 Apr 2026
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原子力小委 増井理事長が人材・革新炉・最終処分の課題を提起
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は3月31日、第48回原子力小委員会に専門委員として出席し、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べた。人材育成については、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。「原子力の最大限活用に向けて、人材確保・育成は最大の課題の一つ」との認識を示した。現在は産官学に加え規制当局も参画するコアチームを組成し、制度設計の具体化に向けた議論を進めていると説明した。また、人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。次世代革新炉の建て替え手続きについては、原子力規制委員会と原子力エネルギー協議会(ATENA)との意見交換が進展している点を評価する一方、原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の扱いについても明確化が必要との認識を示した。また、プロセス全体の透明性向上と、過去の検討成果を合理的に活用できる制度整備を求めた。高レベル放射性廃棄物の最終処分については、国が3月に小笠原村に対し文献調査の実施を申し入れたことを「画期的」と評価。自治体の自発的応募に依存してきた従来の枠組みから一歩踏み出し、国が主体的に関与する姿勢を示した点に意義があるとした。そして今後、最終処分問題が「国民全体の課題」として全国的な議論が広がることに期待を示すとともに、原子力産業協会としても情報提供や出前講座を通じた理解促進に取り組む考えを示した。
- 02 Apr 2026
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NUMO HLWの地層処分に関する村民説明会を父島 母島で開催
高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、経済産業省が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、原子力発電環境整備機構(NUMO)では3月14日に同村の父島、21日に母島にて説明会を開催した。父島では237人、母島では71人が同説明会に参加。両会場とも多くの住民が出席し、関心の高さがうかがえる結果となった。両日ともに、小笠原村の渋谷正昭村長、経済産業省資源エネルギー庁とNUMOの関係者らによる調査概要の説明の後、質疑応答を通じて村民から多くの意見や質問が寄せられた。村民からは、風評被害への懸念や処分地選定方法の疑問等が寄せられ、最終処分場の受け入れに慎重な姿勢を示す意見が複数挙がった一方で、同事業の受け入れに理解を示す声もあったという。南鳥島は、国が公表している科学的特性マップにおいて、地層処分にとって「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされている。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。なお、NUMOはWebサイトを更新し、同村民説明会の開催結果および村民から寄せられたアンケートへの回答を一般公開している。父島・母島とも、処分地選定のあり方に対する疑問が寄せられた。「科学的特性マップの数ある候補地の中から、なぜ南鳥島が国の申し入れ第1号となったのか」など、同地域への負担の偏りを懸念する意見や、南鳥島周辺で検討が進むレアアース開発との関係性や、同島の安全保障上の位置づけとの関連など、地域の将来像全体に関わる問いが寄せられた。これに対し資源エネルギー庁とNUMOは、「南鳥島が地質的条件や土地利用の観点からHLWの最終処分地としての適性の可能性があることを踏まえ、渋谷村長と意見交換を重ねた。これに対し、村長から住民向け説明会の開催要請があり今回の申し入れに至った」と説明。処分地の数や規模については、「国として、ガラス固化体換算4万本以上のHLWを埋設できる施設を、まず全国で1か所整備する想定だ」と説明。現状のHLW量に対して最終処分地は1か所で対応可能としつつも、原子力発電の長期的な利用に伴う将来的なHLWの増加、今後の調査による地質条件の見通しを踏まえ、処分地の数や規模は、総合的に検討していく必要があると回答した。そして、南鳥島周辺で進むレアアース等の開発・国防上の安全保障面との両立については、「文献調査段階では現地調査を伴わないため、直ちに影響が生じるものではない」と説明。今後、調査が進む場合には、資源開発、防衛・港湾整備などの諸活動との両立可能性を段階的に評価していく考えを示した。その他、文献調査段階で交付金が支払われる仕組みに対し、「一度受け入れると後戻りしにくくなるのではないか」といった懸念や、「金額の問題ではなく、将来世代への影響をどう考えるかが重要」との指摘があった。これに対し資源エネルギー庁とNUMOは「文献調査段階の交付金は、過去の関連施設立地の実績を踏まえて設定されている」とし、「交付金を受け入れたからといって最終処分地に決定するものではない」と理解を求めた。また、交付金は国の課題に向き合う地域への謝意と社会全体への利益還元という位置づけであるとした。同説明会では、こうした多様な意見が示され、単なる賛否にとどまらず、村民の間で慎重かつ多角的に同事業について考えようとする姿勢が示された。主催者側(小笠原村・資源エネルギー庁・NUMO)は、こうした意見を真摯に受け止め、引き続き丁寧な説明と対話を重ねていくとしている。
- 30 Mar 2026
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日本原燃が30億円拠出 六ヶ所村 電事連と新法人を共同で設立
青森県六ヶ所村と日本原燃、そして電気事業連合会(電事連)は3月17日、地域共創と原子燃料サイクル施設との共生に寄与することを目的に、「一般社団法人六ヶ所みらい共創プロジェクト」を共同で設立すると発表した。同新法人は、六ヶ所村内の企業の人材確保と育成、産業・経済基盤の整備、防災対策の強化、生活基盤の整備など、地域課題の解決に資する事業を担う。活動資金は六ヶ所村と日本原燃が拠出するが、当面6年間は日本原燃が総額30億円を負担するという。六ヶ所みらい共創プロジェクトは2026年4月中の設立を予定し、同月の事業開始を目指す。法人の所在地は六ヶ所村。設立時の会員は六ヶ所村、日本原燃、電事連の3者で、代表理事は日本原燃の代表者が務める。理事には3者に加え外部有識者が参画する予定となっている。3者(六ケ所村・日本原燃・電事連)はこれまで、再処理工場の竣工・操業を見据え、地域と原子燃料サイクル施設が共生する将来像の実現に向けた協議を重ねてきた。その中で、長期にわたる安全・安定操業を支えるためには、地元企業の人材確保・育成や防災機能の強化など、地域産業やまちづくりを含めた中長期的な取り組みが不可欠との認識を共有している。同法人を通じ、同地域と原子燃料サイクル事業の共生・原子燃料サイクル事業を支える産業の基盤づくりや街づくりに向けた取り組みを一体的に進める狙いだ。
- 27 Mar 2026
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原文財団「原子力に関する世論調査」2025年度版を公表
日本原子力文化財団(原文財団)は3月23日、2025年10月に実施した「原子力に関する世論調査」の結果を公表。原子力に対する肯定的評価は2018年度以降おおむね横ばいで推移している一方で、否定的イメージは2017年度以降、低下傾向が続いていることが分かった。また「信頼できない」との回答も減少し、福島第一原子力発電所事故前と同水準(12.0%)まで回復した。同調査は、全国の15〜79歳の男女1200人を対象に実施。2006年度から同一手法で継続している全国規模の調査で、今回で19回目。世論調査を経年的・定点的に実施し、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握し、原子力に関する知識普及活動のあり方などを検討するのが目的だ。エネルギー政策や社会動向の変化に対応するため、適宜新たな設問の追加や内容の見直しを行い、継続性と時勢の変化への対応の両立を図っている。なお、原文財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。例年通り同調査は、原子力や放射線に対するイメージ、関心、情報保有量、信頼、再稼働や利用に対する考え方など多岐にわたる項目で構成されているが、今年度はいくつかの新設項目が追加された。具体的には、「今後の原子力発電の利用に対する考え」といった将来のエネルギー選択に関する設問や、「核燃料サイクル・バックエンドに関する情報保有量」など、より専門的な領域に踏み込んだ設問がその例で、最新の世論動向を的確に把握できる設計となった。同調査によると2025年度に、最も関心が高かった原子力/エネルギー関連ニュースは「地球温暖化」で、70.3%に上った。これに「電気料金の値上げ」(56.4%)、「自然災害による停電」(53.9%)、「電力不足」(48.3%)が続いた。さらに「巨大地震・津波と原子力」(37.8%)、「ロシア情勢などとエネルギー安定供給」(33.8%)、「再生可能エネルギー拡大の影響」(33.1%)といった項目が上位に並び、「暮らしに直接的に影響する可能性」が高いテーマとなった。一方、原子力業界に関する個別テーマへの関心は相対的に低く、「女川原子力発電所の再稼働」が13.9%、「AI普及に伴う電力需要増加」が11.4%、「原子力発電所のリプレース」が10.8%、「第7次エネルギー基本計画」が4.5%にとどまった。経年で見た場合、「暮らしに影響を与える身近なニュース」に対する関心は低下傾向にあるものの、生活に密接に関わるテーマへの関心の高さと、業界個別テーマとの間に乖離がある実態が浮き彫りとなった。また、今後の原子力発電の利用に関する意識では、「使っていく」「どちらかといえば使っていく」を合わせた肯定的意見が42.0%、「やめていく」「どちらかといえばやめていく」を合わせた否定的意見が35.0%となり、肯定的意見がやや上回った。また、「わからない」は22.6%だった。属性別では、男性で肯定的意見が多く、女性では否定的意見が多い傾向が見られた。年齢別では25〜44歳で肯定的意見が比較的高い一方、24歳以下では「わからない」とする回答が目立った。また、原子力に関する情報保有量が多い層ほど肯定的意見が多く、保有量が少ない層では「わからない」とする割合が高い傾向が確認されるなど、情報量の差が意識形成に影響を与えている実態が浮き彫りとなった。また、経年変化では、再稼働に対する不安を背景とした否定的選択肢は減少傾向にあり、必要性や規制基準への適合といった観点から再稼働を評価する動きが増加しているが、「原子力発電をやめていく」とする層ほど、「災害対策」や「防災体制」、「大事故への不安」、「高レベル放射性廃棄物」、「福島第一原子力発電所の廃炉」といった項目に強い関心を示している。特に、高レベル放射性廃棄物への懸念が顕著となっていることがわかった。これらの結果から、再稼働に対する理解を得るためには、不安や否定的認識に関わる項目に対する情報提供の充実が重要であることが示唆された。原文財団では継続的な調査を通じて原子力を巡る社会認識の変化を把握し、今後の情報発信の在り方の検討に生かす考えだ。
- 25 Mar 2026
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日米の若手原子力人材が交流 WPAサンタフェプログラムの一環
日本原子力学会若手連絡会とWashington Policy and Analysis(WPA)は2月20日、日米の若手原子力人材による交流イベント「NEXTGEN NUCLEAR TALKS」を開催した。同イベントは、WPAが実施する「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」の一環として企画されたもの。WPAは、米国ワシントンDCに拠点を置くエネルギー分野のコンサルティング会社で、1988年に設立された。創設者兼会長は、米国エネルギー省(DOE)の元副長官であるウィリアム・マーティン氏。同氏は幅広いネットワークを活用し、米国政府や原子力業界、日本政府・電力業界などの関係機関と広く関係を持ち、日米間の原子力分野における政策や産業の橋渡し役として連携や支援を行ってきた。こうした日米間協力活動の一環として、WPAが実施しているのが「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」だ。米国の若手原子力リーダー(20代~40代)らが日本を訪問し、原子力関連施設や政府機関などを視察するとともに、日本の同年代の若手人材との交流を通じて相互理解を深め、日米間の長期的な信頼と協力関係の構築に繋げる狙いがある。同プログラムは2016年に開始され、今年で10回目を迎えた。今年も、さまざまな分野から選ばれた米国の次世代リーダーを日本に招き、原子力関連施設の視察や関係機関との意見交換を行い、日本の原子力政策や原子力産業の現状について理解を深めた。イベント当日は、プログラムの概要説明の後、マーティン氏が開会挨拶を行い、続いて日米の原子力分野が直面する主な課題について、日本原子力学会若手連絡会長の川合康太氏とWPAのレア・ブース(Lea Booth)氏が、双方の視点から講演を行った。川合氏はまず、日本では、脱炭素とエネルギー安全保障を実現する柱として原子力が再評価されている一方で、福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電所の長期停止によって産業基盤が弱体化し、若手人材の不足や熟練技術者の減少、サプライチェーンの縮小などさまざまな課題に直面していると指摘。一方のブース氏は、米国でもボーグル3、4号機 (PWR=AP1000、125.0万kWe×2基)の建設において、建設期間の長期化やそれに伴う建設コストの増加により、大型炉の建設への慎重姿勢が強まっていることや、電力市場の自由化と資金調達、また燃料調達における課題を挙げた。その後、参加者は3グループに分かれ、「日本の原子力開発が直面する最大の課題は何か」「日米の原子力協力で最も有望な分野は何か」などのテーマに沿った意見交換が実施され、課題解決、そして日米協力の可能性について議論した。同イベントの終了後、川合氏は、「日米の若手人材が同じ立場で率直に議論できる点に意義があった」と述べ、こうした地道な交流や情報共有の積み重ねが、日米の信頼関係を支える基盤になると語り、今回のような若手人材の交流の場を今後も増やしていくことの重要性を強調した。
- 04 Mar 2026
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規制委 特重設置の経過措置期間の見直しへ
原子力規制委員会の山中伸介委員長は2月18日の定例会見で、特定重大事故等対処施設(特重施設)の現行の経過措置の在り方を見直す方向で検討していると明らかにした。特重施設は、意図的な航空機衝突などの状況に備えて、重大事故等への対策として用意している可搬型設備などに加え、信頼性を更に向上させるためのバックアップ対策として設置することが求められている施設を指す。経過措置期間は、2013年の新規制基準施行時に5年と設定され、2016年の規定改正以後、起算点を新規制基準施行日から各プラントの設計及び工事計画の認可(設工認)日に変更したが、期間自体は引き続き5年であった。規制委は、同制度の運用開始から約10年が経過したが実際に5年以内に完成した例がほとんどないため、規制委は経過措置そのものの考え方を議論する必要があるとの認識を示した。山中委員長は、特重施設が完成している12基の実績を検証した結果「5年では完成しないことが多いと明らかになった」と指摘。これまで、「運用上のルールであるため遵守すべきだ」との立場を取ってきたが、これまでの実績が積み重なった以上を鑑み、「何らかの変更を行う必要があるだろうというのが規制委としての結論だ」との見解を示した。ただし、具体的な延長や制度変更を決定した事実はないと強調。あくまで検討段階であるとした。記者からは「特重施設なしで運転する期間が延びるのではないか」「規制緩和に当たるのではないか」との指摘があった。これに対し山中委員長は、特重施設は「完成の有無によってリスクが著しく上下する性質の施設ではない」と説明。その上で、守れないルールを形式的に押し通すことが規制として適切かどうかは検討すべきだと述べ、今回の議論は「規制緩和ではなく、継続的な規制の改善である」との認識を示した。一方で昨年、事業者側から建設業界の労働環境の変化等を理由に、特重施設の3年間の設置期限延長要望があったが、これについては「働き方改革の影響は他律的要因には当たらない」との認識を示した。規制委は今後、必要に応じて事業者側に事実確認を行った上で、経過措置期間、起点の変更や期間の扱い、適用範囲などについて議論する。
- 03 Mar 2026
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規制委 山中委員長が川内原子力発電所を視察 地元首長らと意見交換
原子力規制委員会の山中伸介委員長は2月14日、九州電力川内原子力発電所を視察。その後、同発電所の近隣9市町村の首長や九州電力関係者との意見交換会に臨んだ。山中委員長は冒頭、同日午前中に同発電所の特定重大事故等対処施設や緊急時対策棟、および乾式貯蔵施設の建設予定地を視察したと説明。そして、現場での実際の運用状況や職員の業務の様子を確認したとし、「重大事故への対策が整ったことを改めて確認できた」と述べ、堅牢な施設の完成により「安全性が向上した」との受け止めを示した。さらに、川内原子力発電所の立地について、「非常にフラットでゆったりとした敷地に建設されており、自然ハザードに対する備えも行き届いている」との認識を示した。また、同行した規制委の神田玲子委員は、「特定重大事故等対処施設についてこれまで議論を重ね、学んできたが、実物を目の当たりにすることで、その大きさや堅牢さ、各種設備の状況を実感することができた」と語った。一方、鹿児島県の塩田康一知事は、山中委員長らに対し同発電所1号機(PWR、89.0万kWe)が2024年7月4日から、2号機(同上)が2025年11月28日から運転開始後40年を超える期間に入っていることに言及。県としては常に事故の発生を念頭に置き、「県民の生命と暮らしを守る観点から、安全対策・防災対策の充実強化に取り組んでいく」と述べた。そのうえで塩田知事は、規制委員会に対し以下の6項目を要請した。 ①乾式貯蔵施設昨年10月、九州電力が川内原子力発電所の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置に係る原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、規制委による厳格な審査を求めたほか、県民に分かりやすい情報発信を行うよう要請した。②六ヶ所再処理工場川内原子力発電所の乾式貯蔵施設は、青森県六ケ所村の再処理工場へ搬出するまでの間の一時貯蔵施設の役割を担っているが、六ヶ所再処理工場の稼働延期が続き、現在も規制委の審査が行われていることから、着実な審査と分かりやすい状況説明を求めるとともに、今後の見通しについても説明を求めた。③運転期間延長2023年7月に鹿児島県が規制委に提出した10項目の要請について、県の原子力専門委員会で規制庁から対応状況の説明を受けているが、継続的な取り組みや将来の知見拡充に関する事項が多いとして、今後も対応を継続し、その内容を県民に分かりやすく説明するよう求めた。④屋内退避の運用昨年、一部改正された原子力災害対策指針において、屋内退避中でも生活維持に必要な範囲での一時外出や、民間事業者の活動が可能とされた点に言及し、引き続き分かりやすい情報発信と説明を求めた。⑤次世代革新炉設計段階から新たな安全メカニズムを組み込む次世代型の革新軽水炉について、今後の規制上の取り扱いに関する見通しを問い合わせた。⑥中部電力の不正行為への対応中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動策定に関する不正行為について「安全・安心の観点から大変遺憾」と述べたうえで、原子力施設の安全確保に一義的責任を負うのは事業者であるとしながらも。規制委に対しても安全規制に万全を期すよう求めた。 要請を受けて山中委員長は、乾式貯蔵施設については、既に他の発電所で実績のある堅牢な方式であり、リスクの小さい施設と説明。規制側の審査実績も多く、「特段大きな懸念はない」としつつ、住民への丁寧な説明に応じる考えを示した。六ヶ所再処理工場の審査状況について、現在は設工認審査(分割二回目)の最終段階に来ており、今後、保安規定の審査や事業者・規制側それぞれの使用前検査などを経て稼働に至ると説明。なお、同工場の稼働の正式な時期は明確にしていない。同発電所1・2号機の40年超運転については、10年ごとに劣化状況を確認する長期施設管理計画制度の下で、40年運転から50年運転までの基準適合性を確認済みと説明した。そして、屋内退避の運用については、継続判断を「概ね3日目」に行う方針を示し、原子力災害対策指針は改定済みだが、より具体的な運用方策を示す関連文書について、近く発行する予定だという。また、次世代革新炉(規制側は建替原子炉と表現)については、ATENA(原子力エネルギー協議会)と規制上の取り扱いや課題整理を進めており、建替原子炉の申請があれば迅速に審査できる体制を整えるとコメント。また、中部電力のデータ不正については「極めて深刻」と指摘し、再発防止策の強化に取り組む考えを示した。また、同発電所が立地する薩摩川内市の田中良二市長は、原子力発電所の立地自治体として規制委と直接、意見交換できることは「市民の安全・安心の醸成において極めて重要」と評価。そのうえで、両機の40年超運転、そして昨年10月、九州電力が使用済み燃料の乾式貯蔵施設設置に関する原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、「市民の関心は非常に高い」と述べた。特に乾式貯蔵施設については、安全性や審査状況に関する丁寧で分かりやすい説明を求めるとともに、審査体制の強化と高い独立性・透明性の確保を要望した。さらに、2月7日に実施された県の原子力防災訓練にも言及し、防災体制の不断の見直しと改善が不可欠だと強調。事故やトラブル時の迅速な情報共有を含め、継続的な助言を求めた。また、いちき串木野市の中屋謙治市長からは、川内原子力発電所のすぐ南に同市が位置するため、冬場の季節風が強い時期に発電所で事故があった際、立地する薩摩川内市よりも被害が大きいのではないかと懸念する住民が一定数いることを明かし、規制委による専門的・科学的見地に基づく厳格な審査が何より重要だとコメントした。その他、電源三法交付金制度について「立地自治体に極めて偏った制度ではないか」との認識を示し、市民が納得していない状況が見受けられると述べた。その他、阿久根市の西平良将市長からも、地域の防災拠点や避難経路の整備、また、電源三法交付金の増額など財政的な支援が要望され、いちき串木野市の中屋市長同様、同件すべてが規制委の所管でないことを理解しながらも、立地自治体が置かれている現状や課題について理解を深めてほしい旨が伝えられた。
- 02 Mar 2026
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次世代革新炉ロードマップ案 フュージョンエネルギーの早期実現に向け活発議論
総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(座長=斉藤拓巳・東京大学大学院工学系研究科教授)が2月26日に開催され、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況および次世代革新炉開発ロードマップ(案)を中心に議論が進められた。今年度最後の開催となった同WGでは冒頭、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況について、内閣府から説明があった。政府は、昨年5月に改定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」で、世界に先駆けた2030年代のフュージョンエネルギーによる発電実現を目標に掲げている。同戦略では、バックキャスト(理想の将来像から逆算し、今、行うべき活動やその優先順位を決める思考法)によるロードマップを策定するとともに、量子科学技術研究開発機構(QST)等のイノベーション拠点化の推進、そして、フュージョン産業のエコシステムの構築を進めている。WGでは、内閣府が進めるタスクフォースによる「フュージョンエネルギーの社会実装に向けたロードマップ案」の取りまとめの進捗が示され、民間企業が商用プラントを建設・運営し、発電収益が得られている姿を描けるような体制作りの重要性が指摘された。そして、当面はBA活動(幅広いアプローチ:Broader Approach)やQSTによる基盤整備を加速するとともに、米国型のマイルストーン方式によるスタートアップ支援を導入する方針が示された。コスト面では、発電実証プラントの建設費を合理的水準に抑えることが課題とされ、米国の水準(50MW規模で総建設費60億ドル未満)を参考にしながら、日本側も国際競争力のある水準を目指すという。次に同WGでは、「次世代革新炉開発ロードマップ(案)」の抜粋版をもとに議論が行われ、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉それぞれの社会実装に向けた課題と今後の対応が議題に上がり、各炉型に共通する課題として、サプライチェーン、人材、国民理解の3点について改めて言及された。その後、自由討論と質疑応答が行われ、各委員からさまざまな意見が寄せられた。産業界の立場から参加している大野薫専門委員(日本原子力産業協会)は、提示されたロードマップ案について「産業界の声をしっかり受け止めていただいたものと歓迎している」と評価した上で、制度面や事業環境整備の重要性について4点を指摘した。まず大野委員は、革新軽水炉の事業環境整備について、政府の信用力を活用した融資制度に加え、投資回収の予見性を確保する仕組みや、他律的要因によるリスクを合理的に吸収するルールの設定が、事業者の投資決定に先立ち必要との認識を示した。小型軽水炉についても、フリートで導入される場合など原子力特有の事業リスクは革新軽水炉と同様であるとして、同様の融資・投資回収制度の導入を求めた。また、多様な資金調達を可能とする観点から、原賠制度の総合的な検討も必要と指摘し、これらの制度整備はプラント導入時期から逆算して適切な時期に完了すべきだと強調した。次に、小型軽水炉の規制の在り方について、海外では社会実装段階にある一方、国内ではPAZ(予防的防護措置を準備する区域)やUPZ(緊急防護措置を準備する区域)を含む規制の予見性が十分とは言えない指摘。社会実装を推進するために、事業主体が明確でない段階からでも規制の在り方を検討する枠組みが必要との考えを示した。さらに、フュージョンエネルギーについて、新技術による事業には極めて大きなビジネスリスクを伴うため、自由化された電力市場の下では、まず「産業政策」の観点からの政策措置の検討が先行すべきとの見解を述べた。最後に大野委員は、サプライチェーンと人材の課題にも触れ、昨年10月の原子力小委員会で約7割の企業が人材確保に苦戦しているとの指摘があったことを紹介。中小企業の多いサプライチェーンにおける人材確保の問題について、改めて対応の必要性を訴えた。
- 27 Feb 2026
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六ヶ所村観光協会が都内で物産展を開催 魚ジャパンフェス in 代々木公園にも出展
一般社団法人六ヶ所村観光協会は2月21、22日の両日、武蔵小山商店街パルム会館(東京都品川区)で「北の恵み 青森六ヶ所村マルシェ」を開催する。村内生産者によるりんごや長芋、にんにく、しじみ貝などの特産品を販売する。同村の担当者によれば、今回の出展は、観光協会が指定管理を担う特産品販売施設「六旬館」の商品PRの一環。県外への出展は年間数回(都内3~4回、東北1回、九州1回、関西1回程度)行っているが、武蔵小山商店街への出店は今回が初めてとなる。住宅街に隣接する商店街での展開も初の試みで、今後も継続的な展開を目指す方針だ。開催時間は21日が10時~18時、22日が10時~17時。2,000円以上の購入者には、六ヶ所村産長芋を原料とした長芋焼酎「六趣」のミニボトルを数量限定で進呈する。また、同村からは同時期に開催される「SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 (魚ジャパンフェス)in 代々木公園」にも出展(一般社団法人あおもりウォーズ)。青森県内で鮮魚販売や魚食普及、担い手育成などに取り組む「あおもりウォーズ」の橋本翔代表理事は、青森県は日本海と太平洋の両方に面する地理的特性を持ち、ホタテやサケ、サバ、イカ、ヒラメなど、多様な水産資源に恵まれている点が強みだと強調。「青森の魅力を東京、そして世界に発信したい」と意気込みを語った。同フェスでは、鯖のゴマ味噌ラーメンや六ヶ所村の地酒などを提供している。
- 20 Feb 2026
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石原環境大臣 復興再生土の新たな再利用先 今秋までに決定
石原宏高環境大臣は2月10日の記者会見で、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で貯蔵されている除染土のうち、放射能濃度が比較的低く再利用が可能とされる「復興再生土」について、新たな再利用先を今秋までに決定する方針を明らかにした。除染土は、福島第一原子力発電所事故後の除染活動で発生した土壌で、法律により2045年3月までに福島県外で最終処分することが定められている。最終処分の量を可能な限り減らすため、一定の基準を満たす土壌を公共事業などで活用する「復興再生利用」が進められている。環境省は昨年9月、再利用対象となる低濃度土壌を「復興再生土」と位置付ける方針を正式決定。政府は昨年8月に策定した県外最終処分に向けたロードマップに沿って、再利用実績の積み重ねと国民理解の拡大を図るとしている。2025年7月には、復興再生土が首相官邸の前庭で芝生の基盤材として使用されたほか、霞が関の省庁敷地内の花壇などでも再利用され社会的な関心を集めた。政府中枢での使用は、安全性への理解を広げる象徴的な取り組みと位置付けられている。石原大臣は「秋までには再利用する場所を必ず見つけられるよう、全力を尽くしたい」と述べた一方、地域住民の理解を得ながら慎重かつ着実に進めていくことの重要性も示唆し、関係各位に理解を求めた。
- 19 Feb 2026
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双葉町と富岡町 特定帰還居住区域で立入規制を一部緩和
福島県双葉町と富岡町では2月13日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制緩和区域が追加設定されたと発表した。福島県双葉町では約160ヘクタールが、富岡町では、約55ヘクタールの地域が新たに追加設定され、2月13日付で内閣総理大臣から計画変更の認定を受けた。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。東日本大震災と福島第一原子力発電所事故に起因する影響で、現在も避難指示が継続している帰還困難区域に該当する各市町村では、「特定帰還居住区域復興再生計画」を作成し、内閣総理大臣の認定を受け、特定帰還居住区域内の除染やインフラ整備等を一体的に進めてきた。現在、双葉町と富岡町どちらも、対象区域の一部で年間20mSvを上回る地点もあるものの、空間線量は概ね20mSv/年以下まで低下しているという。双葉町、富岡町双方とも、2020年代までに帰還意向のある住民全員が特定帰還居住区域に戻れるような環境整備を進め、復興と再生を進め、この度、追加認定された区域でも、線量低減や家屋解体、上下水道などのインフラ復旧を進め、1日も早い避難指示解除を目指すとしている。
- 18 Feb 2026
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柏崎刈羽6号機が発電開始 三村会長「心より歓迎」
東京電力は2月16日の午後10時、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の発電機を送電系統へ接続(本並列)したと発表した。同日未明(午前3時頃)、同機は試験的に送電系統へ接続する「仮並列」を行い、発電機出力を定格電気出力の約20%(約27万kW)まで上昇させ、発電機の運転状態を確認していた。その後、一度送電系統から切り離して発電機出力を0%に下げた後、タービン保護装置の健全性確認として、タービンの回転を定格回転数以上に上昇させ、自動でタービンが緊急停止することを確認。そして、再度、発電機を送電系統へ接続(本並列)し、発電機出力を定格電気出力の約50%(約68万kW)まで徐々に上昇させた。同社は今後、2月20日から下旬にかけて一度「中間停止」を実施し、その後、原子炉の起動・昇圧工程を再開する予定だ。この中間停止では、前半の出力上昇試験(20〜50%)で取得した各種データやプラントの挙動を詳細に評価・確認する。主にタービン系統を対象に、起動過程における温度や圧力の変化、設備運転に伴う振動などを点検し、機器や配管などに異常がないかを確認するという。こうした評価を通じて安全性を確かめたうえで、プラントの再起動工程へ移行する計画だ。再起動後は、原子炉出力を段階的に引き上げながら、安定した連続運転が可能であることを確認していくとしている。同社は総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。同6号機が発電開始したことを受け日本原子力産業協会の三村明夫会長は、「心より歓迎したい」とのコメントを公表。再稼働に至るまで約14年にわたり尽力してきた関係者の取り組みに敬意を表した上で、新潟県や柏崎市、刈羽村をはじめとする地元自治体・住民の理解と判断に対し、深い感謝の意を表明した。続けて三村会長は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は電力供給の安定性を高め、化石燃料の調達リスクや価格変動リスクの抑制を通じて、日本のエネルギー供給の強靭化に大きく貢献すると指摘。とりわけ、供給予備力の確保が課題となっている首都圏を含む東日本において、その意義は極めて大きいとの認識を示した。さらに中長期的には、電力需要の増加が見込まれる中で、経済性の高い脱炭素電源による安定供給が実現することは、日本経済の成長と国際競争力を支える基盤になると強調した。そのうえで、原子力の活用において最も重要なのは安全の確保と立地地域からの信頼だとし、東京電力に対し、ガバナンス強化や地域経済への貢献などの取り組みを着実に進め、立地地域との対話を重ねながら安全・安心の確保と地域活性化に努めることに期待を示した。また、原子力産業界として、低廉な脱炭素電力の安定供給という社会的要請に応えるため、高い安全性と品質の確保に不断の努力を重ねていく考えを示した。
- 17 Feb 2026
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