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IHI 中長期計画で原子力事業の強化を発表
IHIは5月8日の決算説明会で、2026年度からの中長期経営計画を公表した。エネルギー分野では原子力事業を成長分野の一つに位置づけ、生産体制や人材の強化、次世代炉分野への投資を進める方針を示した。同社はエネルギー分野における2040年に向けた成長シナリオとして、原子力事業に関し、国内原子力分野での基盤強化を打ち出した。その実現に向け、原子力発電所の再稼働に備えた生産体制および人員の強化、六ケ所再処理工場の竣工対応と運転・技術支援、再処理から廃棄物処理・最終処分までを含む事業体制の構築を目指す。同社は原子力事業を、投資を加速することで売上高を伸ばす「成長事業」の一つに位置付け、国内のみならず海外市場も視野に入れた上で、生産力を強化する。同日に発表された同社の2025年度決算説明資料においても、今後2026年度から2028年度にかけて、原子力事業を含む成長・育成事業に優先的に資金を配分すると説明。原子力事業の具体的な投資テーマとして、圧力容器や鋼製モジュールの製造技術力・生産性向上や小型モジュール炉(SMR)などの次世代原子炉の開発を挙げた。同社は今年3月、米国のX-energy社と高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結。昨年は、ルーマニアのSMR計画向けにでの鋼製モジュールのモックアップ製作を受注するなど、同社は近年、SMR関連や高温ガス炉分野で海外案件への関与を進めている。
- 12 May 2026
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カナダ 国産技術とウラン資源を軸に輸出拡大へ
カナダのT. ホジソン・エネルギー・天然資源相は4月29日、カナダ原子力協会(CNA)年次総会において、カナダ天然資源省が「カナダ新原子力戦略」を策定中であることを明らかにした。同戦略は、2026年末までに公表予定である。同戦略では、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)技術などの国産技術革新、豊富なウラン資源、世界レベルの労働力と安全規制体制といった独自の強みを基盤としている。国内産業の成長を促進するとともに、国内の電力安定供給とエネルギー安全保障を強化するとともに、2030年までに年間最大2,000億加ドル(約23兆円)規模の成長が見込まれる世界市場への参画を目指すとしている。なお同戦略は、以下の4本の柱で構成されている。カナダ全土で新規原子炉建設を推進世界市場向け主要供給国・輸出国としての地位を確立ウラン生産および燃料ビジネスの機会を拡大カナダ発の原子力イノベーション(核分裂・核融合を含む)の開発その一環として、北部・遠隔地の防衛関連施設を対象に、熱と電力を供給できるカナダ管理下のマイクロ炉導入可能性を調査する。国防省を通じ、2026~2027年にかけて、4,000万加ドル(約46億円)を投じる。さらに、連邦政府は、カナダ原子力研究所(CNL)のチョークリバー研究所(オンタリオ州)に対し、今後10年間で22億加ドル(約2,525億円)の設備投資を行うことを決定。新たな先端材料研究センターに加え、CANDU炉の技術支援、原子力安全・セキュリティ研究、小型モジュール炉(SMR)や燃料の開発、電力会社の既存炉の寿命延長と信頼性向上支援など、同国の原子力分野におけるリーダーシップの維持強化を支えるため、カナダ原子力公社(AECL)の施設や研究設備の刷新を目的としている。カナダでは現在、オンタリオ州とニューブランズウィック州のCANDU炉17基が同国電力の約13%を供給している。原子力産業の経済貢献は年間220億加ドル(約2.5兆円)に上る。また同国は2024年時点で、世界第2位のウラン生産国で、世界生産量の約24%を占めた。政府は、国内技術と資源を組み合わせ、原子力をエネルギー安全保障と産業競争力の柱に位置づける考えだ。
- 11 May 2026
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カザフスタン SMRや第4サイトも検討へ
カザフスタンのK.-J. トカーエフ大統領は4月15日、2050年までの原子力産業の国家戦略を承認した。エネルギー安全保障の強化、持続可能な経済成長、脱炭素対応、技術力向上を目的とする同戦略では、具体的な建設計画として、2050年までに少なくとも3サイトで原子力発電所の稼働を想定。小型モジュール炉(SMR)の導入に加え、第4サイトの検討も行っていくとしている。同国では電力需要の増加と供給不足が顕在化しており、統一電力システムによる見通しでは、2026~2032年に追加で最大約266万kWの設備容量が必要となる可能性がある。特に南部および西部で不足が顕著とされ、安定供給には地域特性を踏まえた複数の原子力発電所の段階的整備が不可欠と位置づけている。戦略では、①原子力発電の拡大、②ウラン資源の活用、③研究開発、④廃棄物・使用済み燃料管理、⑤核セキュリティ強化、⑥人材育成・産業育成、⑦デジタル化――を柱に掲げる。建設計画としては、第1、第2サイトは、同国の南部エリアに計画。第1サイトでは、ロシア国営原子力企業ロスアトムとの協力により、アルマティ州のジャンブール地区にて、ロシア製VVER-1200×2基の建設が決定しており、2025年8月にエンジニアリング調査が開始されている。第2サイトでは、最大出力240万kWeの導入を計画しており、第1サイトと同じ、ジャンブール地区がすでに候補として特定されており、中国との協力が有望視されている。第3サイトでは、最大合計出力120万kWeの小型モジュール炉(SMR)の導入を計画。さらに、電力消費量の増加が予測される中、有望な地域に4番目の原子力発電所の建設プロジェクトを実施する計画を示している。SMR導入については、地域的な特性、プロジェクトの技術的・経済的な妥当性を考慮し、SMRの適用可能性に関する技術経済分析を行い、SMRの設置優先地域の特定(エネルギー不足地域や電力網インフラが未整備な地域を含む)、および老朽化した石炭火力発電所の代替可能性を検討していくとしている。安全面では、福島第一原子力発電所事故の教訓を反映し、外部電源なしでも機能する受動的安全システムを採用、国際基準に基づく廃棄物管理を実施すると強調した。この戦略の推進により、建設段階(1つの原子力発電所の建設ピーク時には最大1万人)だけでなく、エンジニアリング、科学、教育、サービス分野においても、数千の雇用の創出が想定されている。送電線などのインフラ整備、教育・人材育成の強化によるスキル向上、原子力クラスター形成で国内産業を活性化させて国際競争力を高め、エネルギー安全保障と経済・技術の自立性を長期的に向上させる考えだ。
- 28 Apr 2026
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nucleareuropeが行動計画 EUに制度見直し求める
欧州各国の原子力協会17団体などで構成される欧州原子力産業協会(nucleareurope)は3月24日、EU域内での原子力導入拡大に向けた行動計画を発表し、EUに対し資金調達や規制のあり方を含む政策枠組みの見直しを求めた。EUが原子力をめぐる制度設計を進める中、業界側から具体的な見直しを求める踏み込んだ提言が示された。今年3月に最終版が公表された欧州委員会(EC)の原子力実証プログラム(PINC)によると、加盟国が計画する原子炉の運転期間延長および新規大型炉の建設には、2050年までに約2,410億ユーロ(約38兆円)の投資が必要と試算されている。なお、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)には追加的な投資が必要とされる。原子力発電設備容量は2025年の9,800万kWから2050年には1億900万kWへ増加する見通しだ。このような巨額の投資需要を背景に、同行動計画では導入加速に向けた課題として、長期的な政策ビジョン、投資促進のための財政枠組み、規制手続きの迅速化、燃料サイクル、サプライチェーン―の5分野を提示した。財政面では、原子力が他電源と同等に資金調達できる環境の整備を求め、EUの中長期財政枠組み(MFF)において、再生可能エネルギーと同等の扱いとする必要があるとした。また、長期契約への保証などによるリスク低減を通じ、民間投資の呼び込みを図る必要性を強調した。規制面では、許認可手続きの長期化が新規建設の制約要因となっていると指摘。審査期間の短縮や手続きの合理化、加盟国間の制度の統一を求めた。さらに、供給安定性の観点から燃料サイクル全体への投資や、域内のサプライチェーンと人材基盤の維持・強化の必要性も示した。nucleareuropeのE. ブルティン事務局長は「原子力プロジェクトを加速するには、今後20年にわたる多額の投資が欠かせない」と強調。EUの政策が投資を後押しするカギを握ると訴えた。
- 28 Apr 2026
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スウェーデンのSMRプロジェクト 競合2社が現地企業とタイアップ
スウェーデンで計画されている小型モジュール炉(SMR)プロジェクトをめぐり、最終供給候補に残る米 GE ベルノバ日立 ニュークリアエナジー(GVH)社と英 ロールス・ロイス SMR 社が、相次いで現地企業との連携を強化している。2026年のサプライヤー選定を前に、両社はスウェーデンを拠点としたサプライチェーン構築を進め、欧州展開も視野に入れる。スウェーデン国営電力会社バッテンフォールは、リングハルス原子力発電所隣接地でのSMR建設に向け、GVH社とロールス・ロイスSMR社の2社を最終候補として選定している。計画では、採用炉型に応じて3~5基、合計出力約150万kWe規模の導入が想定されている。GVH社は4月7日、同社製SMR「BWRX-300」の導入に向けて、スウェーデンのエンジニアリング、プロジェクトマネジメント企業であるAFRY社と非独占的な主要サービス契約( Main Services Agreement: MSA)を締結したと発表した。AFRY社はエンジニアリングおよびコンサルティングサービスを提供。GVH社の実績ある技術とグローバルなプロジェクト経験を組み合わせ、欧州での複数プロジェクトで効率的かつ再現性・拡張性のある導入支援が想定されている。AFRY社は、エンジニアリング業務に加え、スウェーデン放射線安全局(SSM)へのBWRX-300の許認可申請も支援するという。一方、ロールス・ロイスSMR社は3月25日、スウェーデンの原子力関連技術サービス企業であるスタズビック(Studsvik)と、SMRプログラム支援に向け、幅広いサービス全体にわたる協力を検討する覚書を締結した。両社は、スタズビック社の技術力や保有施設を評価し、ロールス・ロイス SMR 社の工場製造型原子炉の導入において、同社がどのような役割を担えるかを検討していく。MOUでは、燃料の認証および試験、プラント寿命管理、ホットセル技術、炉心設計および運転モデリング、規制当局向け許認可支援などでの協力を検討していくこととしている。
- 24 Apr 2026
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フィンランド原子力法改正 許認可手続き簡素化へ
フィンランド政府は3月12日、新原子力法案を議会に提出した。原子力施設の安全性を確保しつつ、より柔軟な規制体系を構築して許認可プロセスを簡素化。プロジェクトのリスクを管理し、小型モジュール炉(SMR)などの新技術の利用促進を目的とする。現行の原子力法は廃止され、放射線法や刑法を含む14の法律が改正予定である。経済・雇用省は法改正により、原子力発電への投資を促進したい考えだ。また、より柔軟な許認可手続きを導入し、これにより、エネルギー消費地に近接したSMR発電所が実現可能になるという。新規発電所プロジェクトにおいて、社会全体の公益への適合性に関する最初の包括的な評価は、現行のものよりもより一般的な性質を持つ「原則決定」により内閣が行う。但し、最大熱出力5万kWt以下の原子力発電所プロジェクトについては、経済・雇用省が評価するという。ムルタラ気候・環境相は、「フィンランドには、原子力発電のような炭素排出ゼロで、低廉かつ安定供給が確実なエネルギーが常に必要。今回の法改正により、様々な技術の選択肢や技術の進歩への適応が可能になる。同時に、多様な原子力施設プロジェクトについて、開発者のリスク管理や原子力施設への投資の予見性を向上させ、資金調達の環境を改善を図っていく」と述べ、不必要に詳細な技術的規制を緩和する一方で、安全性、供給の確実性、核物質の管理面では、当局による監督を強化するとしている。新法は2027年1月1日に施行予定。現行の政権期間中に、改正された規則に基づき原則決定の申請を行うことが可能。
- 10 Apr 2026
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韓国 米船級協会とSMR推進船舶の共同開発で提携
韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は3月9日、次世代のカーボンフリー船舶を開発するため、米国船級協会(ABS)と、大型コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(Joint Development Agreement: JDA)を締結した。本契約により、16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級のコンテナ船に特化した、原子力電気推進システムの技術的実現可能性を評価。海運業界の脱炭素化基準を満たすため、コンテナ船向けに最適化された原子力電気推進システムの基本設計、電子製品仕様の選定、動力設備のレイアウト設計などで協力する。特に、最大10万kWe級の安定供給が可能な小型モジュール炉(SMR)を船舶動力源として利用したい考えだ。加えて、衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保できるよう強化された安全基準を設計に反映。国際海事機関(IMO)の規定および国際原子力機関(IAEA)の安全基準に適合する船内電力システムを適用することで、国際規制への適合性と運航の信頼性を確保する方針である。またHD現代は、長時間の航海および高速運航が求められる大型コンテナ船向けに、ツインスクリュー(Twin Screw)プロペラ推進システムを適用し、推進力と機動性の向上を図る。また、エンジンモーターをプロペラに直接連結する直結推進方式を採用し、動力伝達過程で発生するエネルギー損失を最小限に抑え、運転効率を高める計画だ。電力消費の大きい冷凍・冷蔵貨物輸送用のリーファーコンテナの積載拡大も可能となり、荷主の輸送需要に柔軟に対応するという。ABSのM. ミューラー北太平洋事業開発担当副社長は「本協業は、大型コンテナ船向けの原子力電気推進システムの可能性を検証する極めて重要なプロジェクト。HD現代の造船技術とABSの海事安全分野におけるエンジニアリングのノウハウを組合わせ、次世代推進ソリューションの安全性、効率性、環境性能を総合的に検証する」と語った。一方、KSOEのB. クォン電動化センター長は、「環境に優しい船舶の需要増加に応え、原子力電気推進システムの研究開発を拡大し、技術競争力を強化していく」と意欲を示した。HD現代は2025年2月、米ヒューストンで開催された「New Nuclear for Maritime Houston Summit」で、15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船の設計モデルを初公開した。今回、共同開発するコンテナ船はそれを上回る規模となる。同年9月に伊ミラノで開催された「Gastech 2025」において、KSOEとHD現代重工業(HD HHI)は、電気推進システムを搭載した16,000 TEUコンテナ船の概念設計について、ABSから基本設計承認(AiP)を取得し、開発の第1フェーズを完了している。
- 09 Apr 2026
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フィリピン SMR導入へ米国が資金支援
米通商開発庁(USTDA)は2月16日、フィリピンの電力会社メラルコ・パワージェン(MGEN)社に対し、フィリピン初の小型モジュール炉(SMR)導入に関するフィージビリティ・スタディ(FS)を支援するため、280万ドル(約4億2000万円)規模の資金の提供を発表した。同月には、フィリピン政府も原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートの策定を発表しており、同国における原子力導入に向けた動きが具体化している。MGEN社は、フィリピン最大の配電会社であるマニラ電力(Meralco)の発電子会社。USTDAの支援は米国製SMRの評価および導入ロードマップの策定に充てられる。同事業は、USTDAの支援のもと、米国企業から技術支援の提案を募る形で実施される。FSは年内に開始し、立地や送電網との接続、許認可、資金調達などを含めた導入計画を整理する。一方、フィリピン政府も制度面の整備を進めている。フィリピンのエネルギー省(DOE)は2月24日、原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートを策定した。2032年までに原子力発電所の運転開始を目指すという。フィリピンは1970年代の石油危機を受け、バターン原子力発電所(BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)を建設したが、財政問題や安全性への懸念から運転には至らなかった。その後、原子力導入は停滞したものの、2022年に導入方針が示され近年再び検討が本格化。SMRを含む多様な炉型の活用が模索されている。政府は2032年までに初の原子力発電所の運転開始(120万kW)を目指し、2035年に240万kW、2050年に480万kWへ拡大する計画としている。
- 02 Apr 2026
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ノルウェー政府 SMR計画の環境影響評価へ
ノルウェー政府は2月11日、同国西部のアウレとハイムで計画されている小型モジュール炉(SMR)を用いた原子力発電所の建設プロジェクトについて、環境影響評価(EIA)を実施することを決定した。これにより、同国における原子力発電導入に向けた検討が、制度的なプロセスに入りつつある。計画では、アウレ自治体とハイム自治体の境界に位置するタフトイ(Taftøy)工業団地に複数のSMRを設置する。最大出力150万kW、年間最大125億kWhの発電を想定している。2023年、ノルウェーの新興エネルギー企業ノルスク・シェルネクラフト社が、エネルギー省に対しSMR発電所建設に向けたEIAの実施を提案した。同国政府はこれを受け、2025年4月に水資源・エネルギー局(NVE)、放射線・原子力安全局(DSA)、国民保護局(DSB)の3機関に対し調査プログラム策定を要請。3機関は同年9月、ノルスク社の提案を踏まえた評価プログラム案を作成した。同案は越境環境影響評価を定めたエスポー条約に基づく国際協議を経て正式決定された。EIAはこのプログラムに基づいて実施される。T. アースランド・エネルギー大臣は、「今回の評価プログラムの確定はEIAの最低要件を定めるもので、原子力発電の導入を決定したことを意味するものではない」と述べた。ノルスク社のJ. ヘスタマー会長は、「今後はEIAの実施計画を策定し、原子力発電所のメリットと課題を明確にするとともに、地域住民や関係者がどのように関与できるかを示していく。EIAの一部作業はすでに開始されており、周辺住民や自治体などとの建設的な対話を期待している」と説明している。ノルウェーでは電力の大半が水力と風力でまかなわれており、これまで発電用原子炉は保有せず、OECD共同研究プロジェクトとして有名な「ハルデン炉」など研究炉のみを運転してきた。2019年までにそれらもすべて閉鎖されている。しかし近年は電力需要の増加を背景に、国内では原子力導入に向けた議論が進められている。ノルスク社は複数の候補地でSMR導入の可能性調査を進めており、国内各地を対象とした10件のプロジェクトについて報告書を提出している。今回の計画はその第1号プロジェクトとなる。
- 25 Mar 2026
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IHIと米Xエナジー 高温ガス炉分野で協業へ MOU締結
IHIは3月13日、同社の横浜工場にて、米国のX-energy社(以下:Xエナジー社)と、高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結した。同MOUは、翌3月14日~15日にかけて東京都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)にあわせた動き。今回のMOU締結は、Xエナジー社が開発を進める小型モジュール炉(SMR)の高温ガス炉「Xe-100」等のグローバル展開を見据え、原子炉系機器の設計、エンジニアリング、製造、サプライチェーン構築など、幅広く協業の可能性を検討する枠組みの構築が目的だ。IHIはXエナジー社との協業を通じて、先進原子力分野における技術開発とサプライチェーンの強靭化を進め、米国およびグローバル市場における先進原子力技術の商業化の推進に貢献していく考えだ。MOUの協業範囲の対象は、原子炉圧力容器や原子炉内構造物、蒸気発生器の圧力容器および内部構造物、クロスベッセルなどの主要機器。Xエナジー社はプレスリリースで、IHIは、現在の米国では商業規模での確保が難しい高度な原子力製造能力を有していると評価。同社のExecutive Vice PresidentのD. バティア氏は、「原子力の大規模展開には、単一のサプライヤーだけでは対応しきれない生産能力と専門性が求められ、これを前進させるには志を同じくする国際的なパートナーによる連携が不可欠だ」とコメント。そのうえで、「IHIとの協業機会を模索できること、そして日本の優れた製造技術と米国のイノベーションを組み合わせ、共通の目標の実現を目指せることを期待している」と意欲を示した。
- 18 Mar 2026
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EC 初のSMR戦略 2030年代初頭に初号機運開めざす
欧州委員会(EC)は3月10日、小型モジュール炉(SMR)((軽水炉型SMRのほか、液体金属炉や熔融塩炉、高温ガス炉などの先進モジュール炉(AMR)およびマイクロ炉を含む。))の開発・導入を加速する初の戦略文書「欧州におけるSMRの開発および導入に向けた戦略(Strategy for the development and deployment of Small Modular Reactors (SMRs) in Europe)」を発表した。ECは、SMRを欧州の主要な産業開発プロジェクトの一つと位置づけ、2030年代初頭までに欧州で初のSMRの運転開始をめざす。SMRを、脱炭素化やエネルギー安全保障の強化に加え、欧州の産業競争力の強化にも寄与する技術としている。同戦略では、研究、サプライチェーン、許認可、人材育成、資金調達などの分野でEU加盟国や産業界、規制当局、投資家の協力強化を図る方針を示すとともに、SMR導入を促進するための9つの行動を提示。具体的には、技術開発やサプライチェーン、規制面などでの取組みとして、産業向け高温熱供給や海上利用などを想定した先進モジュール炉(AMR)の開発加速、燃料サイクルを含む欧州域内のサプライチェーン強化、同一設計の炉を複数導入するフリート・アプローチの推進と、それに伴う産業標準化の策定や許認可に関する規制協力などを打ち出した。これらの取組みは、EU加盟国間の協力強化や志を同じくする国との国際協力のほか、2024年2月に設立された欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)とも連携して進める。さらに、SMR導入を後押しするため、資金支援の枠組みも提示。EUの投資支援制度であるInvestEUやイノベーション基金などを活用し、初号機(FOAK)プロジェクトのリスク低減を図り、民間投資の呼び込みを進めるとしている。そのほか、革新的原子力技術に関するIPCEI(Important Project of Common European Interest)の枠組みを通じて、投資促進の方針も示した。また、SMRの製造拠点や関連産業を集積するSMRバレー(SMR Valley)の形成や、SMR導入に関心を持つEU加盟国が選定された炉型について規制や政策、経済面などで協力する枠組みのSMR連合(SMR Coalition)を設立する提案も示されている。ECはまた同日、原子力実証プログラム(PINC)を発表。同プログラムによると、EUにおけるSMRの設備容量は、2050年までに1,700万kWから5,300万kWに達する可能性があるとの見通しを示している。
- 18 Mar 2026
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インド太平洋地域での今後の原子力展開にむけ日米産業界が専門的議論
3月14、15日に都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)の会期中、2つの原子力関連セッションが開かれ、今後の同地域での原子力の展開をめぐり日米産業界関係者による活発な議論が行われた。「インド太平洋地域のエネルギー安全保障と経済成長を支える原子力」と題する14日のパネルには、増井原産協会理事長、M.コースニック米原子力エネルギー協会(NEI)理事長、ウルバヌス米エネルギー省(DOE)次官補代理、Radiant Nuclear社のバランワルCEO、GEベルノバの田中ディレクターが登壇した。パネルの中で増井理事長は、日本の原子力には設計から運用に至る原子力バリューチェーン全体にわたる統合的な能力、約8万人の従事者に加え政府関係者や研究者を含む豊富な人的資源、100年にわたる原子力ビジネスサイクルに長期的にコミットできる能力の3つの優位性が備わっているとした上で、異なるステークホルダーが長期にわたり協力し合うことで、新規導入国に対して技術と専門知識の両面から包括的な支援を提供できる点を強調。インド太平洋地域で原子力の展開が成功するためには、地元産業をサプライチェーンに早期に取り込み、日米を始めとした同志国が支援することが重要としたほか、導入国が技術選択する際には、設計の成熟度、実際のプロジェクトの有無、サプライチェーンの準備状況の指標からなる「展開可能性」に基づき判断すべきと指摘した。コースニック氏は、世界的に原子力が特別な転換期にあるとした上で、データセンターやAI利用など、急速に増加する電力需要を満たせると述べ、インド太平洋地域の様々な市場規模に対応可能な原子力技術の拡張性について、「Nuclear for You(あなた方に適した原子力)」を提供できることが強みだと強調した。バランワル氏は、同社がTRISO燃料を使用した1,000kW出力の可搬型マイクロ炉をテネシー州の施設で年間50基製造可能だとしたほか、2029年までにインド太平洋地域に同炉を展開する見通しを示した。GEベルノバの田中氏は、原子力が単なる興味の対象から不可欠なものへと変わってきていると指摘。カナダOPG社がBWRX-300のSMRプロジェクトを進めていることで、インド太平洋地域の関心が大きく高まったと強調した。翌15日には、前日のパネルにおける議論の内容を深掘りし、出された意見をIPEM参加閣僚に報告することを目的した「ディープダイブ・セッション」が行われた。コースニックNEI理事長、増井原産協会理事長、日米のメーカー、エンジニアリング企業、燃料企業から関係者が参加した。セッションでは3つの質問が用意され、出席者がそれぞれ自社の経験をもとに回答する形で行われた。インド太平洋地域における原子力発電開発を加速させ、初期段階で成功したプロジェクトが継続するために、政府と産業界にはどのような役割がありどのように協力できるかとの質問に対しては、政府には適正な規制の実施、財政支援、人材育成、リスク軽減における役割が期待されるとの意見のほか、新規導入国への展開にあたっては、ステークホルダー間での建設リスク共有や規制のハーモナイゼーションが重要との意見も出された。続いて、原子力導入の急速な拡大を支援し地政学的リスクを軽減するため、同志国間でのサプライチェーン協力を加速させるには、どのような措置が必要かをめぐり意見が交わされた。日本には技術力のある中小企業サプライヤーが多く存在するため、将来のインド太平洋地域への小型モジュール炉(SMR)展開での日本のサプライヤーの貢献を期待しているとの発言のほか、インド太平洋地域における原子力サプライチェーンの発展を加速させるためには、段階的なアプローチが必要とした上で、初号機の納入を確実に成功させることが不可欠であり、資金調達やサプライチェーン開発など、あらゆる段階において最初からすべてを現地化するのではなく、初期段階ではリスク低減が不可欠との意見も出された。インド太平洋地域全体で原子力発電導入を成功させるために、政府、産業界、規制当局において必要となる最も重要な変化や対応は何かとの質問に対しては、各国政府が異なる種類の原子炉に関心があるとしても、標準化し同じアプローチで原子力発電所を建設することが重要との指摘がなされたほか、インド太平洋地域で高品質重視のサプライヤーパートナーを見つけられるかが地域全体の原子力展開の成功の鍵とする意見も出された。
- 17 Mar 2026
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原産協会と米NEI インド太平洋地域の原子力協力で覚書締結
インド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)に出席した日本原子力産業協会(原産協会)と米原子力エネルギー協会(NEI)は14日、インド太平洋地域における原子力発電の展開に向けた産業界の連携強化を目的とする協力覚書(MOU)を締結した。原産協会は1994年のNEI発足以来、長年にわたり交流・協力関係を築いてきた。2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、両団体が原子力関連サイドイベントを共催するなど実績を重ねている。近年、特に小型モジュール炉(SMR)技術を中心にインド太平洋地域で原子力発電への関心が高まっていることを背景に、今回、両組織間で正式な覚書を締結することとなった。覚書では、インド太平洋地域の協力に資する政策対話や情報交換の促進のほか、政府や国際機関などと連携し、同地域における原子力の開発・利用を支援することなどを盛り込んでいる。原産協会の増井理事長は「両者の協力は30年以上にわたり実りある関係を築いてきた。これまで正式なMOUがなくても協力関係がごく自然に発展してきたことの表れでもあるのだと思う」と述べたうえで、「今回、インド太平洋地域での協力を盛り込んだMOUの締結により、将来に向けてさらに緊密に連携していきたい」と語った。またNEIのM.コースニック理事長は「両者の正式な協力枠組みが整い、米国にとって戦略的に重要なインド太平洋地域に重点が置かれたことは、今後の活動にとって非常に有益なものになる」と述べた。
- 16 Mar 2026
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日米企業がSMRの東南アジア展開で協力 東京でエネルギー安全保障フォーラム
インド太平洋エネルギー安全保障閣僚ビジネスフォーラムが3月14、15の両日、東京都内で開催され、インド太平洋地域16か国のエネルギー担当閣僚や政府・企業関係者が参加した。日本と米国が共同で主催し、米国からはD.バーガム内務長官、L.ゼルディン環境保護庁長官、日本からは赤澤経済産業相が出席した。開会セッションでは、米通商開発庁(USTDA)のT.ハーディ副長官兼最高執行責任者(COO)が冒頭挨拶を行った。開会セッション後には覚書の署名式が行われ、企業間の協力覚書(MOU)が相次いで締結された。まず、三菱電機、米ホルテック・インターナショナル、韓国ヒュンダイE&Cの3社が、小型モジュール炉(SMR)の東南アジア展開に関する協力覚書を締結した。続いて、GEベルノバと日立製作所が、東南アジアにおけるSMR「BWRX-300」の導入に向けた市場開発や商業機会の検討で協力する覚書を締結した。両社はそれぞれの合弁会社を通じて協力し、同地域でのSMR導入の可能性を分析するとともに、日本企業を含むサプライチェーン構築を検討する。エネルギー需要の拡大が見込まれる東南アジアで、脱炭素電源としての原子力活用を後押しする狙いがある。日立製作所の稲田康徳常務執行役(原子力ビジネスユニットCEO)は「日立は長年にわたりGEベルノバとのパートナーシップを通じて培ってきた知見を生かし、原子力産業に貢献してきた。東南アジアにおけるBWRX-300の導入検討を進めることで、こうした取り組みをさらに発展させていきたい」と語った。
- 16 Mar 2026
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リトアニア BWRX-300導入可能性を評価へ
リトアニアのイグナリナ原子力発電所を運営しているアルトラ(Altra)社は2月25日、米国の首都ワシントンで、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社、ポーランドのSGE社とリトアニアにおけるGVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の導入可能性を評価するため、三者間覚書を締結した。「BWRX-300」導入に係る技術面および経済面での実現可能性を詳細に評価し、技術ソリューション、安全性および許認可要件、さらに経済的および市場的な側面を分析する。覚書署名式には、リトアニアのZ. ヴァイチウナス・エネルギー相、米エネルギー省のR. バーラン原子炉担当次官補代理らも出席。ヴァイチウナス大臣は、「リトアニアの原子力発電の経験、アルトラ社の専門知見、先進SMRを開発する米国パートナーの最新知識を結集し、リトアニアにおける次世代SMRの立地可能性を体系的に評価。エネルギー・セキュリティー、持続可能性、気候中立なエネルギー・経済目標にどのように貢献し得るかを判断する。再生可能エネルギーは現在も将来もリトアニアの明確な選択肢であるが、2050年までに完全な気候中立を達成するためには、SMRの可能性も評価しなければならない」と語った。アルトラ社のL. バウジスCEOは、「リトアニアには、原子力発電の実績があり、国家のエネルギー・セキュリティと長期的なシステムの安定性を強化する次世代ソリューションの議論にあたり有利な立場にある。BWRX-300は現在開発中の最も先進的なSMRの一つであり、将来のエネルギーソリューションとして分析評価するのは当然」と強調した。GVH社の先進原子力担当のS. セクストン上級副社長は、加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)と共に西側諸国初となる商用規模のSMRを建設する過程で得られる経験や、SGE社との協力が、リトアニアや他の欧州諸国でBWRX-300を展開配備する強力な基盤となっている」と述べた。欧州のSMR開発プラットフォームであり、BWRX-300の標準設計にも共同出資しているSGE社のR. カスプロウCEOは、「リトアニアのエネルギー移行には、電力システムの安全性を高め、長期的な経済発展を支える安定したゼロエミッション電源が必要。BWRX-300は、これらニーズに応えるために設計されており、数十年にわたる原子力発電の運用経験を踏まえ、安全性と信頼性を確保しつつ、クリーンでコスト競争力のある拡張可能な設計となっている」とし、今回の覚書締結の意義を強調した。SMRの導入検討は、2050年までにエネルギー自立と気候中立の達成を目指す同国の国家エネルギー戦略とも合致する。エネルギー省は2025年、アルトラ社などが参加する作業部会を設置し、先進原子力技術の役割について評価を進めている。なお、2025年のユーロバロメーター調査(欧州委員会が実施するEU公式の世論調査)では、リトアニア国民の57%が今後20年間の原子力の将来を肯定的に見ている。リトアニアでは、イグナリナ原子力発電所(軽水冷却黒鉛減速炉:RBMK-1500×2基、各150万kWe)が1980年代から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMK炉の安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。アルトラ社は現在、同発電所の廃止措置作業を実施中だ。閉鎖後、イグナリナ原子力発電所近傍のヴィサギナスに日立製作所が主導する新規原子力発電所プロジェクトも浮上したが、福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電に対する国民の支持は低下。2012年の原子力発電所の新規建設への支持を問う国民投票では否定的な意見が優勢となり、2016年10月の総選挙による政権交代を経て、翌11月にヴィサギナス・プロジェクトは凍結された。その後、リトアニアでは電力不足を補うため、電力供給源の多様化を図り、再生可能エネルギーの導入を促進。現在、総発電電力量の約8割を再生可能エネルギーで賄うものの、近隣諸国(スウェーデン、ラトビア)からの電力輸入量も多い。
- 13 Mar 2026
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緊迫する中東情勢 原子力の再評価が高まる-パリで原子力エネルギー・サミットが開催
フランス・パリで3月10日、フランス政府と国際原子力機関(IAEA)共催による第2回「原子力エネルギー・サミット」が開催された。原子力エネルギー利用に対する世界的な関心が高まる中、国家元首や政府首脳、国際機関や金融機関のリーダー、業界の専門家が一堂に会し、主要なエネルギーおよび気候課題に対処する上での民生用原子力エネルギーの役割について議論した。原子力は現在、世界の総発電電力量の約10%を占めており、多くの国で低炭素かつ安定した電源として、再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担っている。2025年9月、IAEAは5年連続で原子力拡大の予測を上方修正し、世界の原子力発電設備容量が2050年までに倍増する可能性があるとの見通しを発表。電力需要の増加、脱炭素化の必要性、エネルギー・セキュリティを背景に、同サミットは国際協力を強化し、民生用原子力の安全かつ持続可能な発展にむけた具体的な解決策を模索する重要な機会と位置付けられた。2024年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された前回のサミットをふまえ、本サミットでは原子力発電国と、原子力導入を検討している新興国との間で国際協力を推進するとともに、国家、国際機関、金融界、産業界間のパートナーシップを促進させて、気候目標に沿った、安全で経済的に実現可能な民生用原子力エネルギーの開発の基盤を築くことを目的としている。さらに、2026年春に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、最高レベルの安全、安全性、核不拡散の確保という国際的な公約に沿った原子力エネルギーの平和利用を強調している。サミット冒頭、フランスのE. マクロン大統領は、民生用原子力発電がエネルギー・セキュリティの確保に寄与しており、「フランスの2025年の原子力発電電力量は約3,700億kWhを記録し、900億kWh以上のカーボンフリー電力を輸出した。原子炉の国内における新規建設プログラムも前進している。より不安定で、断片化し、不確実な世界において、それは主権の選択であり、競争力の選択であり、未来への保証でもある。フランスはこの選択をした」と強調した。続けて、IAEAのR. グロッシー事務局長は、「原子力は、低炭素で天候や燃料供給の混乱の影響を受けにくい安定した電源として、エネルギー・セキュリティと電力システムの安定に寄与する。再生可能エネルギーの導入を支えるベースロード電源として、AIの普及などによる電力需要の増加にも対応可能。現在、約60か国が導入を検討しており、原子力の拡大には予測可能な政策、強固なサプライチェーン、資金調達、標準化の推進が重要となる。IAEAは国際金融機関と連携し、各国の原子力導入を支援している」と語った。欧州委員会のU. フォンデアライエン委員長は、欧州は、化石燃料を高価で不安定な輸入に完全に依存し、現在の中東危機はその脆弱性を痛烈に思い知らせたと言及。「1990年は欧州の電力の3分の1が原子力由来だったが、現在は15%程度に過ぎない。欧州が、信頼性が高く廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった」と述べた。「欧州には自国産の低炭素エネルギー源が必要だ。原子力と再生可能エネルギーの組み合わせが重要であり、原子力は24時間、年間を通じて電力供給が可能である」と原子力の優位性を強調。そのうえで、「欧州には主導権を握るための全てが揃っている。原子力分野には50万人の高度な技能を持つ労働者がいる。欧州が次世代原子力エネルギーの世界的拠点となるために、我々は迅速かつ大規模に前進する意欲がある」とし、「2030年代初頭までにSMRの欧州における実用化を支援するため、革新的原子力技術への民間投資を後押しする2億ユーロの保証枠を創設する」と新たなSMR戦略を明らかにした。その後、各国首相および政府首脳の声明が行われ、午後には、パネルおよび円卓会議で、エネルギー転換およびカーボンフリー電力へのアクセスにおける原子力の役割、特に新規導入を検討する諸国の原子力プロジェクトを支える資金調達、SMRを含む先進炉技術とイノベーション、産業利用の可能性のほか、燃料供給保証、使用済み燃料や廃棄物の管理、施設の建設・運営に必要なスキルやサプライチェーンの開発などについて議論された。なお、同サミットにおいて、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28、於UAE・ドバイ)で署名された、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にするという「原子力の三倍化宣言」にあらたに、ブラジル、ベルギー、中国、イタリアが署名した。今年3月初めに署名した南アフリカと併せ、署名国は38か国((アルメニア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、日本、カザフスタン、ケニア、韓国、コソボ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ナイジェリア、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、セネガル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国 (以上38か国)))に拡大した。
- 11 Mar 2026
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サプライチェーン強化へ官民議論
経済産業省資源エネルギー庁と日本原子力産業協会は3月9日、東京都内で「第4回原子力サプライチェーンシンポジウム」を開催した。政府、電力会社、プラントメーカー、エンジニアリング企業、IT企業などから約500名が参加し、次世代炉開発やサプライチェーン強化、人材育成など原子力産業基盤の維持・強化に向けた取り組みについて議論した。開会挨拶で小森卓郎経済産業大臣政務官は、「原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用していくことが不可欠」と述べ、安全と地域の理解を大前提に既設炉の再稼働や次世代革新炉の開発・建設を進める政府の方針を改めて示した。基調講演を行った資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏も、データセンターや半導体産業の拡大により電力需要が増加するなか、総発電電力量に占める原子力シェアについては2040年度に2割程度とする見通しを示し、その実現には既設炉の再稼働に加えて次世代炉の導入が必要になるとの認識を示した。日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員長の木藤俊一氏(出光興産会長)は、AIやデジタル化の進展に伴い電力需要が増加する中、安価で安定したエネルギー供給が経済成長に不可欠として原子力の役割が一層重要になるとの認識を示した。また、2050年に原子力シェア2割を維持するには、約40基の設備が必要になるとの試算を紹介し、既設炉の再稼働に加えて次世代炉によるリプレースや新設を進める必要があると指摘した。Amazon Web Services(AWS)のクゥィント・サイモン公共政策統括責任者も登壇し、今後、24時間安定して電力を供給できる電源が不可欠になると述べ、原子力の役割を示唆した。AWSは2040年までにネットゼロを達成する目標で、日本での32プロジェクトを含め、世界28か国で700以上のカーボンフリー電源プロジェクトに投資、総発電設備容量は4000万kW以上に達している。原子力では、米ワシントン州で、2030年代初頭の運開を目指し、4基、約32万kWのSMRプロジェクトに参加しており、高品質な日本の精密加工技術は世界の原子力建設において重要な役割を担うとの見解を示した。次世代炉開発に関するセッションでは、国内メーカー各社の取り組みが紹介された。三菱重工業は次世代革新軽水炉「SRZ-1200」の開発状況を説明し、基本設計が概ね完了したことを報告した。日立GEベルノバニュークリアエナジーはSMR「BWRX-300」の開発状況を紹介し、カナダなど海外でのプロジェクトが進んでいることを説明した。東芝エネルギーシステムズは革新型ABWR「iBR」の安全設計を紹介したほか、IHIと日揮グローバルは米NuScale PowerのSMRプロジェクトへの参画状況を説明した。三菱電機も計装制御システムなど原子力プラントを支える技術を紹介した。サプライチェーン強化に関するパネルセッションでは、原子力産業基盤の維持に向けた課題が共有された。電気事業連合会は、将来的に原子力設備容量が減少する可能性を指摘し、2040年代にはリプレースが必要になるとの見通しを示した。原子力エネルギー協議会(ATENA)は製造中止品への対応やオンラインメンテナンスの導入などの取り組みを紹介した。日立GEベルノバは一般産業用部品を原子力用途に適用する「汎用品グレード格上げ(CGD=Commercial Grade Dedication)」の取り組みを説明し、供給途絶対策の一つとして普及を進めていく方針を示した。エンジニアリング企業からは人材不足の課題も指摘された。太平電業は原子力プラント建設経験者が減少している現状を説明し、技術伝承の重要性を強調した。また三菱総合研究所はAIなどデジタル技術を活用した発電所入構手続きの効率化に関する研究を紹介し、作業環境改善の可能性を示した。人材育成に関するセッションでは、産学官の連携による人材確保の取り組みが紹介された。経済産業省は原子力人材育成協議会を設置し、産学官連携による人材育成政策を進めていることを説明。文部科学省は大学連携による教育プログラム「ANEC」を紹介し、今後産業界との協力が重要となると指摘した。原子力規制庁も規制分野における人材確保の課題を説明し、産官学連携の必要性を強調した。閉会挨拶で日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、第7次エネルギー基本計画の閣議決定から1年で、次世代炉の開発・設置に向けた政策議論が具体化していると指摘。投資判断を可能にする事業環境整備の議論や規制当局との意見交換、さらに電力会社によるリプレース検討の動きなど、原子力をめぐる取り組みが着実に進展しているとの認識を示した。また今回のシンポジウムにおいて、経済界やIT企業からも原子力への期待が示されたことに触れ、次世代炉開発の進展や海外プロジェクトへの参画が国内サプライチェーンの維持にも重要であるとの理解が共有されたと述べた。その上で、原子力サプライチェーンを維持強化するためには、将来の原子力発電規模や建設計画の見通しを示すことが重要であると指摘。加えて、人材確保と育成は原子力の最大限活用を支える基盤であり、産業界と教育機関、政府が連携して取り組む必要があると述べ、シンポジウムを締めくくった。今回の議論を通じて浮かび上がったのは、原子力の将来を左右するのは炉型技術だけではなく、それを支える産業基盤であるという点である。日本の精密加工技術や品質管理は、世界の原子力サプライチェーンの中核を担う潜在力を持つ。次世代炉の実装が視野に入りつつある今、政策の方向性と産業界の挑戦が噛み合えば、日本の原子力産業は再び新たな発展の段階に入る可能性を秘めている。
- 10 Mar 2026
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次世代革新炉ロードマップ案 フュージョンエネルギーの早期実現に向け活発議論
総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(座長=斉藤拓巳・東京大学大学院工学系研究科教授)が2月26日に開催され、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況および次世代革新炉開発ロードマップ(案)を中心に議論が進められた。今年度最後の開催となった同WGでは冒頭、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況について、内閣府から説明があった。政府は、昨年5月に改定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」で、世界に先駆けた2030年代のフュージョンエネルギーによる発電実現を目標に掲げている。同戦略では、バックキャスト(理想の将来像から逆算し、今、行うべき活動やその優先順位を決める思考法)によるロードマップを策定するとともに、量子科学技術研究開発機構(QST)等のイノベーション拠点化の推進、そして、フュージョン産業のエコシステムの構築を進めている。WGでは、内閣府が進めるタスクフォースによる「フュージョンエネルギーの社会実装に向けたロードマップ案」の取りまとめの進捗が示され、民間企業が商用プラントを建設・運営し、発電収益が得られている姿を描けるような体制作りの重要性が指摘された。そして、当面はBA活動(幅広いアプローチ:Broader Approach)やQSTによる基盤整備を加速するとともに、米国型のマイルストーン方式によるスタートアップ支援を導入する方針が示された。コスト面では、発電実証プラントの建設費を合理的水準に抑えることが課題とされ、米国の水準(50MW規模で総建設費60億ドル未満)を参考にしながら、日本側も国際競争力のある水準を目指すという。次に同WGでは、「次世代革新炉開発ロードマップ(案)」の抜粋版をもとに議論が行われ、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉それぞれの社会実装に向けた課題と今後の対応が議題に上がり、各炉型に共通する課題として、サプライチェーン、人材、国民理解の3点について改めて言及された。その後、自由討論と質疑応答が行われ、各委員からさまざまな意見が寄せられた。産業界の立場から参加している大野薫専門委員(日本原子力産業協会)は、提示されたロードマップ案について「産業界の声をしっかり受け止めていただいたものと歓迎している」と評価した上で、制度面や事業環境整備の重要性について4点を指摘した。まず大野委員は、革新軽水炉の事業環境整備について、政府の信用力を活用した融資制度に加え、投資回収の予見性を確保する仕組みや、他律的要因によるリスクを合理的に吸収するルールの設定が、事業者の投資決定に先立ち必要との認識を示した。小型軽水炉についても、フリートで導入される場合など原子力特有の事業リスクは革新軽水炉と同様であるとして、同様の融資・投資回収制度の導入を求めた。また、多様な資金調達を可能とする観点から、原賠制度の総合的な検討も必要と指摘し、これらの制度整備はプラント導入時期から逆算して適切な時期に完了すべきだと強調した。次に、小型軽水炉の規制の在り方について、海外では社会実装段階にある一方、国内ではPAZ(予防的防護措置を準備する区域)やUPZ(緊急防護措置を準備する区域)を含む規制の予見性が十分とは言えない指摘。社会実装を推進するために、事業主体が明確でない段階からでも規制の在り方を検討する枠組みが必要との考えを示した。さらに、フュージョンエネルギーについて、新技術による事業には極めて大きなビジネスリスクを伴うため、自由化された電力市場の下では、まず「産業政策」の観点からの政策措置の検討が先行すべきとの見解を述べた。最後に大野委員は、サプライチェーンと人材の課題にも触れ、昨年10月の原子力小委員会で約7割の企業が人材確保に苦戦しているとの指摘があったことを紹介。中小企業の多いサプライチェーンにおける人材確保の問題について、改めて対応の必要性を訴えた。
- 27 Feb 2026
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米イリノイ州 州知事令で新規原子力200万kW導入目標を明示
米イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は2月18日、新規原子力発電の導入加速に向けた州知事令(Executive Order 2026-01)を発出。イリノイ州電力庁(IPA)およびイリノイ州商務委員会(ICC)に対し、60日以内に新規原子力発電所の建設を検討する事業者を対象とした照会通知(NOI, Notice of Inquiry)を行うよう指示した。照会項目には、設備容量および小型モジュール炉(SMR)を含む炉型、資金調達の枠組み、候補サイト、系統接続の可否、建設コストおよび運転開始時期、労働力需要、廃棄物処分を含む燃料管理計画などが含まれる。既設サイトの拡張や出力増強も対象としており、最終的に新設または既設炉の出力増強により合計出力200万kW超の原子力設備を導入することを目標とし、2033年までに着工する方針だ。また、ICCは新規原子力施設の立地受入れに関心を示す地域社会を対象とする第2のNOIを発出し、有望な候補地を少なくとも1か所選定する方針。土地や水資源の確保状況、地元コミュニティの支持、経済開発上の特性、既存送電インフラ(閉鎖あるいは閉鎖予定の発電所を含む)の活用可能性などに関する情報提供を要請する。さらに、IPA、ICC、商務経済機会局(DCEO)など関係機関およびイリノイ大学を含む省庁横断ワーキンググループを設置し、新設または出力増強を想定した制度・規制面の課題を検討、NOI公表から120日以内に州知事室へ報告する。必要に応じて、立法措置を検討する。その他、DCEOは新規原子力発電所の建設・運転に必要な人材需要を洗い出し、トレーニング計画を策定するほか、2027会計年度(26年10月~27年9月)に原子力関連の訓練アカデミー設立への予算措置を検討する。州内サプライチェーンの強化に向けた報告書も2026年9月までに作成する。イリノイ州では現在、6サイトで11基の原子炉が運転中で、全米最大の原子力発電電力量を誇る。今回の州知事令により、約40年ぶりとなる新規導入に向けた具体的検討が本格化する。同州では2021年制定の「Climate and Equitable Jobs Act(CEJA)」に基づき、2050年までに100%クリーンエネルギーを実現する目標を掲げている。2023年にはSMRに限り建設禁止を解除したが、大型炉については需要家負担増への懸念から州知事が拒否権を行使していた。しかし今年1月、「Clean and Reliable Grid Affordability Act(CRGA)」に知事が署名し、新規原子炉建設に関する州内モラトリアムを全面的に解除された。2月の施政方針演説では、州内の原子力発電の優位性を強調し、需要増および電力価格抑制の観点から、追加的な原子力導入の必要性を表明した。
- 27 Feb 2026
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韓国 SMR特別法が国会で可決
韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は2月12日、「小型モジュール炉(SMR)の開発促進および支援に関する特別法」制定案が同日、国会本会議で可決されたことを発表した。政府が5年単位のSMR研究開発の基本計画を策定し、財源調達やサプライチェーンの構築などを後押しする。人工知能やデータセンターの電力需要の急増、カーボンニュートラル目標の達成に向け、無炭素電源としてSMRが世界的に注目されている。一方、韓国の原子力法体系は大型原子力発電所を中心に構成されており、SMRを集中的に支援する法的基盤は存在せず、韓国の原子力産業界はSMR政策の一貫性を確保し、研究開発にスピード感を与える特別法の制定を継続的に要求していた。特別法の制定により、SMRに対する明確な法的支援根拠を整備し、SMRの技術開発の全過程を体系的に支援することで、エネルギー安全保障の強化およびグローバル市場での競争力の向上をめざす。今回可決された特別法は、科学技術情報通信・国防委員会に提出されたSMR関連法案3件を、国会審査過程において与野党合意により一つの法案に統合して整備したもの。MSITは今回の特別法について、SMRの研究開発と実証が加速化され、韓国がグローバル市場において主導権を握るための基盤になるとしている。特別法で定める政府による支援施策は以下のとおり。―MSITはSMR開発の政策目標、研究開発推進戦略、財源調達、サプライチェーン構築に係る基本計画を5年ごとに策定、その実効性を高める施行計画は1年ごとに策定(第5条~第7条)―MSIT長官が委員長を務め、省庁横断的なSMR研究開発政策の司令塔となるSMRシステム開発促進委員会の設置・運営(第8条)―SMR関連法令および制度改善の根拠を明文化(第9条)―民間企業と研究機関によるSMR研究開発と迅速な技術実証に向けたサイトと財源確保の支援(第10条~第11条)―民間企業、公共機関などによる共同出資会社設立への支援。民間主体によるSMR関連研究組合の設立・運営支援(第12条)―大学・研究所・企業が密集した地域を開発特区に指定し集積効果を最大化するSMRシステム研究開発特区の指定(第13条)―専門人材育成機関の指定、教育および訓練に要する費用支援などを通じた専門人材の育成(第14条)―国際協力促進による民間の標準化事業の推進を支援(第15条)―広報および教育コンテンツなどの開発・普及を通じた社会的受容性確保施策の推進(第16条)などがある。本特別法は、国務会議および大統領の裁可を経て公布され、公布後6か月に施行される予定。MSITは法施行までに下位法令を整備し、施行後1年以内に「第1次SMR開発基本計画」を策定する。また、民間企業とともにSMRの技術開発と設計を完了させ、商用化への移行を加速するため、新規大型プロジェクトも早期に推進する方針だ。韓国原子力産業協会(KAIF)は本特別法成立への歓迎を表明。原子力産業界がSMRを将来の重要な成長エンジンと認識し、韓国が世界市場をリードする取組みに積極的に参加・協力していく意向を示している。原子力安全委員会は2030年までにSMR規制体系構築へ原子力安全委員会(NSSC)は同12日、2030年までにSMR規制体系を整備する「SMR規制体系構築ロードマップ」を発表した。既存の大型軽水炉中心の現行規制を見直し、船舶搭載や熱供給、水素生産など多様な用途に対応する設計特性をふまえた安全審査制度を構築する。NSSCは「原子力規制の独立性と安全最優先の原則を前提に、世界的なSMR開発競争で遅れを取らないよう、先制的に安全規制体系を整えていく」としている。NSSCは2023年に「SMRの安全性規制の方向性」を発表後、詳細な規制体系の改善に着手。関係省庁、開発者、専門機関、産官学の専門家などの意見を取入れ、ロードマップを策定した。NSSCは2030年までの今後5年間で、既存の大型炉ベースの安全規制体系を段階的に改編する。まず、発電用・研究用・教育用の原子炉と規定された既存の認可体系を、船舶用、熱供給用、水素生産用など多様な目的と設計を包括できるよう大幅に改編。併せて、SMRごとに設計が異なり、新規かつ革新的な技術を適用する特性を考慮し、これに適合した安全性を検証する方式を導入する。このため、許認可技術基準はコア機能・要件を中心に規定し、事業者が当該原子炉に適した方法論の設定や基準を提示して安全性を立証できるように「(仮称)SMR技術基準に関する規則」の制定も推進することとしている。そのうえで、2027年までに原子力安全規制体系の詳細な改編案を策定、2028年から利害関係者の多角的かつ広範な意見聴取を経て、関連法令と基準を順次改正していく計画だ。なお、新たな設計・技術に対する許認可の予見性を高めるため、事業者(開発者)とのコミュニケーションを一層強化、認可申請前であっても規制機関の審査を受けられる事前審査制度の今年中の導入をめざし、法制度化の準備中である。規制者、開発者、研究者などが共に安全課題を議論する炉型別の規制研究グループも今年前半に運営を開始する予定であるという。NSSCはさらに、2026年に予定されている韓国製SMR「i-SMR」(電気出力17万kWの一体型PWR)の標準設計承認(SDA)申請に向けて、審査指針を年内に作成するとしている。i-SMRの設計前審査は2022年から継続実施しており、SDA審査の効率性向上を図っている。NSSCは、2030年頃に見込まれる「i-SMR」の国内建設と非水冷却型SMRの認可に備え、規制システムの合理化を図り、中長期的に原子力安全規制の全領域を段階的にカバーしたい考え。このため、規制専門機関の人員・組織体制を補強し、国際機関やSMR開発国との規制経験の共有の協力を拡大する方針だ。
- 25 Feb 2026
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