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千葉大学でHLWに関するディベート授業 NUMOら支援
千葉大学教育学部で開講されている「ディベート教育論」の講義が1月15日、マスメディア向けに公開された。同講義では、高レベル放射性廃棄物の処分という社会的に難度の高いテーマを題材に、学生による本格的なディベートが行われた。同講義を担当するのは、教育学部長の藤川大祐教授。ディベート教育論は、現代的な課題を扱ったディベート実践の経験を通じて、生徒らの論理的思考力等の育成を図ることを目的とし、2012年度から継続して実施されている。今回は「日本は高レベル放射性廃棄物の地層処分計画を撤廃し、地上で管理を義務づけるべきである。是か非か。」を論題に、学生約50人を、1チーム4〜5人の12チームに分け、計6試合(ディベート)を実施。当日はその5試合目が公開された。公平性確保のため、試合順や賛否の立場はくじ引きなどで決定。学生らは事前に、原子力発電環境整備機構(NUMO)や日本原子力産業協会(JAIF)、日本原子力研究開発機構(JAEA)らによる講義を受け、バックエンド事業や高レベル放射性廃棄物に関する基礎知識を習得した上で議論に臨んだ。当日のディベートは、「HLWの地上管理」を主張する肯定側の立論からスタート。その後、否定側の質疑、立論、それに対する肯定側の質疑を経て、それぞれ否定側と肯定側が2回ずつ反駁の機会が設けられた。肯定側からは、地上管理方法の技術改善が進むことで、将来世代が廃棄物の管理・処分方法を選択できる可能性に言及。また、地上管理施設の保守作業等を通じ、地域雇用の創出や産業形成、関連企業の集積につながり、地方創生にも寄与するのではないかと訴えた。それに対し否定側は、地上管理における安全性への懸念や、有事の際の責任の所在について言及。地層処分による管理面や費用面での優位性を主張した。ディベート終了後、聴講していた学生らによる投票が行われ、議論がより優れていたサイドが選定された。同日は肯定・否定側それぞれ18対18の同数となり、藤川教授は「均衡した結果となり、非常に優れた議論であったことの証左となった」とコメントした。また、全体講評として「チームとして十分な準備を感じられ、初めて本格的にディベートに取り組む参加者が多い中でも、難しいテーマに真剣に向き合った点は評価できる」と述べ、両チームの健闘をねぎらった。藤川教授はディベートを振り返り、「肯定側の、将来世代の選択肢の増加や地域の発展の可能性という立案自体は悪くなかったが、最終的に問題になると予想される安全性を上回るほどのメリットを主張できていなかったと感じた。ここが勝敗を分けた要因になった」と総括し、総合的には否定側が優勢だったとの見解を示した。一方で否定側の課題として、将来世代の負担に関するコスト比較については、十分な数値が示されなかった点を挙げた。その上で立論について、「見出しが長く、何の話をしているのか分かりづらい場面があった」と指摘。後の反駁や引用を見据え論点を明確に示すためにも、見出しは簡潔に整理すべきだと強調。特に肯定側のメリットとして掲げていた「地域の発展」という論点が途中で曖昧になった点を課題として挙げ、「相手の議論がずれた場合でも、自ら軌道修正し、一貫した主張を続けることが重要だ」と述べ、論点整理と一貫性の重要性を強調した。藤川教授によると、近年、同授業において生成AIを活用するようになったことで、大きな変化がもたらされたという。以前は準備が不十分なグループも見られたが、現在はAIを活用することで、調査やディベートの構成まで、初期段階から完成度の高い原稿を準備するチームが増えたと指摘し、授業全体の底上げが進んでいると語った。
- 26 Jan 2026
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柏崎刈羽6号機が再稼働 制御棒の引き抜き作業が慎重に進む
東京電力は1月21日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子力規制委員会から原子炉起動後に実施する設備健全性確認(使用前事業者検査を含む)に向けた原子炉の試験使用承認を受けたと発表。これを受けて同社は、同日午後7時ごろ制御棒の引き抜き操作を開始し原子炉を起動した。福島第一原子力発電所の事故以来、東京電力の原子力発電所が稼働するのは初。原子炉起動後、制御棒を順に引き抜き、同日午後8時半ごろに臨界を達成した。同社は、同6号機の再稼働を当初1月20日に予定していたが、1月17日の制御棒の引き抜き試験の際、警報が発報されない不具合が確認され、起動作業を一時延期していた。同社によると、本来、制御棒を1本引き抜いた状態で別の制御棒を選択すると、誤操作防止のための引き抜き防止機能が作動し警報が発報する仕組みとなっているが、17日の試験時には警報が発報しなかったため、試験を中断し、引き抜いていた制御棒を全て元の位置に戻したほか、制御棒の操作ができないよう電源を遮断していた。そして翌18日、全ての制御棒に対し同様な不具合がないか、警報の確認試験を実施。当該制御棒に設定されていたペアロッド設定に誤りがあることが判明したため、その後設定を正しく修正した上で、引き抜き防止機能が正常に作動し警報が発報することを確認し、運転上の制限から復帰していた。そして1月21日、全ての制御棒で警報が正常に作動することを確認したため、同件を同日午後、原子力規制庁に説明。原子力規制委員会から6号機の原子炉を起動することを認める「試験使用承認書」を受け取っている。同社は、約14年振りの運転となる同機の運転に際し、設備の健全性確認を慎重に進めている。1月22日には、再び制御棒を引き抜く作業を一時中断。制御棒の引抜操作時に、1本の制御棒の操作監視系の警報が発生したことが理由だと公表している。なお、プラント状態は安定しており、外部影響はない。
- 22 Jan 2026
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日本原子力学会 SMRに関する記者向け勉強会を開催
日本原子力学会は1月9日、報道関係者を対象とした交流会を開催した。交流会は、同学会の社会・環境部会が毎年実施しているもので、今年は、近年注目が高まる小型モジュール炉(SMR)をテーマに設定。エネルギー総合工学研究所・原子力技術センター原子力チームの都筑和泰氏を講師に招き、世界のSMRの開発動向や技術的特徴、導入を巡る課題に関する解説が行われた。SMRについて都築氏はまず、現地で一から組み立てるのではなく、工場で製造し、現地で据え付ける方式を採ることで、建設コストの低減や工期短縮が期待できる点を強調した。モジュール化の程度は設計によって異なるものの、近年では原子炉本体も工場で製造する設計が登場していることや、ロシアの浮体式原子炉のように、船舶に搭載して運用する方式などが紹介された。また、軽水炉の小型化自体に特段の技術的な革新性はないとしつつも、安全性と経済性を両立させる工夫がSMR普及の鍵になると指摘。「既存技術の活用や設計改善、量産効果などを通じたコスト低減が重要になる」とコメントした。さらに、開発の方向性については、「安全性を前面に打ち出す設計」と「構造を簡素化してコスト低減を狙う設計」という2つの流れがあると説明した。SMRの開発計画は2025年時点で100件超に増加しているものの、現在、多くは初期検討段階にとどまっていることを踏まえ、新たな産業としてはまだ立ち上がり段階にあるとも指摘する一方、中国やロシアでは実証段階に近い案件が多く、米国では設計の検討が活発化しているなど、各国の開発状況に違いがある現状を説明した。将来展望については、日本のように既に送電網が整備された国の大型原子力サイトにおいては、SMRの優位性が限定的になる可能性があるとも指摘した。その一方で、大型炉では電力供給が過剰となる地域や途上国、工場における熱・電力・水素の複合利用、データセンター用途などではSMRの適性が高いと述べた。特にAI向けデータセンターについては、都市近郊に立地する必要がなく、送電制約も踏まえれば、SMRを設置して直接電力を供給する形は合理的だとの見方を示した。その一方で、原子力安全に対する社会的な懸念や核セキュリティ対策が大きな課題であるとも指摘。そのうえで、成功事例が生まれれば、そこから普及が広がる可能性は十分にあるとの見通しを示した。さらに、SMRや原子力への社会的理解を広げるためには、「安全性の強調だけでは不十分だ」と述べ、エネルギー安全保障や脱炭素、コストといった観点を総合的に示し、日本にとって原子力が果たす役割を丁寧に説明する必要があるとした。原子力によって一定の電力供給を確保できれば、エネルギー自給率の低さに起因する非常時においても、医療や決済インフラなど社会の基盤機能を維持できる可能性があるとして、こうした現実的な視点に基づく議論の重要性を強調した。
- 20 Jan 2026
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関西電力 樹脂処理設備設置と高燃焼度燃料使用へ前進
関西電力は1月9日、大飯発電所3、4号機(PWR、118万kWe×2基)における樹脂処理設備の設置と、高浜発電所3、4号機(PWR、87万kWe×2基)での高燃焼度燃料の使用計画について、原子力規制委員会に原子炉設置変更の許可申請を行ったと発表した。本計画をめぐり同社は2025年11月18日、福井県、おおい町および高浜町に対し、「原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書」に基づく事前了解願いを提出。その後、原子炉設置変更許可申請の手続きについて、関係自治体から了承を得ていた。樹脂処理設備は、一次冷却材などの浄化に使用されたイオン交換樹脂を処理する装置で、樹脂に吸着した放射性物質を適切に処理・管理することを目的としている。一次冷却材系統などの脱塩塔で使用されるイオン交換樹脂は、使用に伴い性能が低下するため定期的に取り替えられ、取り替え後は使用済み樹脂貯蔵タンクで保管されている。今回の計画では、タンク内に保管されている使用済み樹脂を計画的に処理することで、発電所構内に保管する放射性廃棄物の量を低減し、管理の安定化を図る。設備は3、4号機共用とし、放水口付近に樹脂処理建屋を新設し、その内部に処理設備を設置する。建屋は鉄筋コンクリート造で、主要寸法は縦約33メートル、横約34メートル、高さ約19メートル。設置工事は2027年度から2035年度にかけて実施し、2036年度の運用開始を予定している。設備構成は、美浜発電所や高浜発電所、大飯1、2号機に設置済みの廃樹脂処理設備と同様の方式とする。一方、同社は高浜発電所3、4号機において、燃料利用の高度化を目的に高燃焼度燃料の使用を計画している。高燃焼度燃料は、核分裂を起こしやすいウランの割合を高めることで、燃料をより長期間使用できるようにした燃料で、燃料の使用期間が延びることで燃料交換頻度が低下し、使用済み燃料の発生量抑制が期待される(事業者および申請書上の表記は「使用済燃料」)。具体的には、これまで使用してきた最高燃焼度4万8,000MWd/tの燃料(高燃焼度化ステップ1)から、最高燃焼度5万5,000MWd/tまで使用可能な高燃焼度燃料(高燃焼度化ステップ2)へと切り替える。高浜発電所では、現行燃料を1990年から使用してきた。同社によると、高燃焼度燃料の装荷時期は、3号機が2030年度ごろの定期検査以降、4号機が2031年度ごろの定期検査以降を予定しており、取替燃料として順次使用を開始する。
- 15 Jan 2026
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規制庁 プラントシミュレータの更新に10.9億円
原子力規制委員会は11月26日の定例委員会で、「原子力規制庁職員に係る研修の現状及び今後の取組」について、原子力安全人材育成センターの竹本亮副所長より説明があり、今後の展望を含め意見交換を実施した。原子力安全人材育成センターとは、審査官や検査官らを育成するために創設された人材育成の専任機関のこと。2014年の開設以来、昨年度末までに累計1,405コース、2,366回の研修が実施されてきた。同センターは常勤職員が44名、非常勤職員が23名の計67名体制(2025年11月現在)で運営されており、行政基礎研修、国際性向上研修、eラーニング、基本知識習得研修、専門性向上研修の5つのカテゴリーに分け、計183コースを提供している。竹本副所長によると、新規採用職員には、「職員間のコミュニケーションの土台となる共通の言語が必要」という規制委の人材育成方針に基づき、法令、放射線、原子力技術などの体系的な教育を入庁初期から実施しているという。2年目以降は、規制対象施設に係る原子力規制事務所での業務経験を通じて実践力を養い、3年目以降は、階層別の研修プログラムを通して、継続的な人材成長を支える仕組みを整えている。また、語学研修にも重点を置き、国際会議の参加レベルとされる英語力を目指す体系的教育を実施していると説明した。さらに同センターでは、原子力発電所の中央制御室を模したプラントシミュレータ(PWR・BWRどちらにも対応)が導入されている。昨年度、このシミュレータを活用した研修を、延べ246名が受講したという。座学に加え、通常運転から設計基準事故、過酷事故までの挙動を体系的に学ぶ仕組みが整備されている。なお、規制委では11月28日に閣議決定された2025年度の補正予算案にて、これら人材育成のためのプラントシミュレータ更新に向け、10.9億円が新たに計上された。竹本副所長は今後の取組として、検査や審査など規制能力の向上のために、「引き続き、総合的かつ実践的な研修プログラムを行う」と語った。そのために、外部の専門的・多角的な視点を積極に取り入れた研修、シミュレータや模型を用いた実践教育の継続、基本・中級・上級の資格制度に基づく段階的スキル向上を進める考えを示し、「原子力に対する確かな規制を通じて人と環境を守る」という使命を実践できる職員の育成に全力で取り組むと結んだ。その後の質疑応答では、自然ハザード、とりわけ地震・津波に関する研修の位置付けに関した質問があり、竹本副所長は「耐震・津波審査部門の協力により、原子力規制庁全職員向けの基礎研修と、審査官向けの高度な専門研修を体系的に実施している」と述べ、大学教授による応用研修などを含め手厚い教育体制が整っていることを示した。
- 03 Dec 2025
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規制委 住民避難基準の見直しに向け活発な議論
原子力規制委員会は11月19日、第14回「緊急時活動レベル(EAL)の見直し等への対応に係る会合」を開催した。EALは、原子力災害時に、原子力事業者が原子力施設の状況に応じて緊急事態レベルを判断するための基準で、2011年の福島事故を受け、国際基準を踏まえて2013年に導入された。その後、段階的な見直しを経て現在の体系に至っている。具体的には、放射線の線量変化・設備機能の喪失・格納容器の状態に応じて、「警戒事態」、「施設敷地緊急事態」、「全面緊急事態」の3区分に分類される。緊急時にはこのレベルに応じて、周辺住民の被ばく低減のための避難、屋内退避、ヨウ素剤の服用等の防護措置が実施される。今回の会合では、日本と米国およびIAEAにおけるEALの考え方を比較検証した結果が示された。その中で、日本の基準では設備機能が喪失した段階で全面緊急事態へ移行するケースが多く、実際のプラントの状態と緊急事態区分の深刻度が一致しない可能性が指摘された。結果として、避難の早期化や、緊急度の低い避難指示の発出を招くおそれがあると懸念された。いわゆる、日本のEALは設備の機能喪失に起因する発出条件が多く、今後はプラントの状態そのものに応じた実際のリスクの大きさに基づき判断する手法(放射性物質放出のリスク状態に応じる必要性)に切り替えるべきだとの意見が挙がった。EALの見直しの必要性は以前から議論され、必要な知見の蓄積が規制委の重要な研究課題となってきた。次回会合(12月中旬予定)では、屋内退避解除の判断基準を取り上げ、議論を深める予定だ。
- 20 Nov 2025
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放射線の安全管理・環境放射能対策に貢献 14名を表彰
ラジオアイソトープの安全管理や環境放射能対策の向上に尽力し、優れた成果をあげた人物を称える「令和7年度放射性安全管理功労・環境放射能対策功労表彰」の表彰式が11月10日、原子力規制庁にて執り行われた。同表彰は、原子力安全技術センター、日本アイソトープ協会、日本分析センター、放射線障害防止中央協議会ら4団体が原子力規制委員会の後援を受けて共同主催。放射線の安全利用に関わる関係者の意欲向上と、放射線に対する国民理解促進を目的に、今年度から新設されたもの。今回は、放射線安全管理功労者11名、環境放射能対策功労者3名の合計14名に、原子力規制委員会委員長賞が授与された。表彰式の冒頭、原子力安全技術センターの石田寛人会長は、「本表彰制度は、文部科学省の後援のもと平成22年度まで実施していたが、翌年の東日本大震災を契機に中断されていた。しかし多くの要望を受け、原子力規制委員会の後援のもと再開する運びとなり、大変嬉しく思う」と述べた。そして、「原子力の安全確保は、現場の不断の努力、関係者の支援、そして規制当局との真摯な連携によって成り立つもの。長年にわたり専門性と努力を積み重ね、偉大な功績を挙げられた皆様に敬意を表したい」と受賞者を称えた。続いて挨拶に立った原子力規制委員会の山中伸介委員長は、「放射線利用は、がん治療・画像診断、産業利用など社会基盤を支える重要な技術であり、環境放射能対策は地域の不安解消、正確な情報提供、リスクコミュニケーションの要である」と述べ、「皆さんの活動は社会の信頼を支える柱であり、規制当局にとっても大変心強い存在だ」と受賞者のこれまでの貢献に謝意を述べた。放射線安全管理功労者を代表して、製薬放射線コンファレンス世話人代表の大河原賢一氏が登壇。同氏は、製薬業界における放射線安全管理の在り方の検討や協力体制の構築、人材育成に貢献してきた自身のキャリアを振り返り、「今後も放射線・放射性同位元素の安全利用が社会に幅広く受け入れられるよう、努力を続けていきたい」と語った。環境放射能対策功労者を代表して挨拶したのは、弘前大学被ばく医療総合研究所の木村秀樹客員研究員。長年にわたり環境放射線モニタリング業務に従事してきた経験を踏まえ、「モニタリング担当者は、平常時は計画調査を淡々と進め、異常なデータが得られれば原因を徹底して究明し、有事には即時緊急体制へ移行しなければならない。今回の表彰は、そのような現場の地道な努力に光を当てていただき、大変感慨深く受け止めている」と語った。さらに、「環境放射能対策は、住民の安全と安心、そして回復のために行うものであり、出発点は常に住民のために何ができるかという問いである。その志を若い世代へ確実に引き継いでいきたい」と次世代への継承に向けて意気込みを示した。
- 17 Nov 2025
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フュージョンエネルギーの実現に向けた白書を今年度公表へ
フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)は11月6日と7日の2日間、フュージョンエネルギーの早期社会実装に向けた政策提言の詳細を検討するワークショップを開催。会員企業らを中心に20法人29名が参加し、産業界主導での戦略策定に向け活発な議論が交わされた。今年6月、政府は「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を改定し、タスクフォースによる取りまとめを進める方針を明記。これを受けてJ-Fusionは、発電実証、商取引・規格の策定、人材育成などを中心に具体的な方向性を整理し、これら白書を今年度中にとりまとめ、政策提言へと繋げる考えだ。ワークショップの冒頭、J-Fusionの小西哲之会長は「日本にはすでに強力なフュージョンサプライチェーンが整っている。今後は単なる情報交換だけでなく、分析や戦略策定に踏み込んでいく段階」と述べ、公的部門が中心となってきたフュージョン分野が、産業界主導の新たなフェーズに移行したとの認識を示した。さらに同氏は参加者に対し、「今後のエネルギー政策の転換を支える主役は私たち産業界にある。共に素晴らしい戦略を作り上げたい」と呼び掛け、民間による積極的な関与の重要性を強調した。続いて、ゲストとして出席した内閣府の澤田和弘科学技術イノベーション推進事務局参事官は、「国のフュージョンエネルギー戦略は少しずつ整いつつあり、勢いを感じている。高市首相が掲げる強い経済の実現のための投資対象17分野にフュージョンエネルギーが選ばれたことは、まさにその好例だ」と述べた。また、「産業界、アカデミア、政策担当者が率直に意見を交わせるこのような場は非常に重要だ」と語り、同ワークショップの意義を強調。そして、「具体的な戦略を描くためには、今一歩踏み込んだ議論が必要。関係者間の緊密な連携が重要だ」と述べ、政府として高い目標の達成に取り組む姿勢を示した。
- 13 Nov 2025
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関西電力 美浜発電所のプラント新設に向けた地質調査を再開へ
関西電力は11月5日、美浜発電所サイト内でのプラント新設を見据え、地質調査を再開したと発表した。具体的な調査計画も公表しており、調査は2段階に分けて2030年ごろまで実施する予定である。調査は、2010年にすでに着手されていたが、2011年の福島第一原子力発電所の事故を受けて、一時的に中断されていた。同事故以降、電力会社によるプラント新設に向けた地質調査は、今回が国内初の事例となる。同日には、資機材の搬入を開始。まずは概略調査として、今月10日にボーリング調査を開始し、来月下旬には地表踏査を実施する予定である。発電所の敷地内外の地表面の地質の分布や将来活動する可能性のある断層等の有無を調べるために、ボーリング調査、弾性波探査、地表踏査を行い、地質の概況を把握した上で、より優位なエリアを選定する。続く詳細調査では、選定したエリアにおける地形や地質の状況を把握し、原子炉等の設置に適しているかを確認する。試掘坑調査、弾性波探査、深浅測量、ボーリング調査、地震に関する調査等を行い、新規制基準適合性審査時のスムーズな認可取得を目指すとしている。美浜発電所は、2015年4月に1、2号機の廃止が決定され、現在は、3号機(PWR、82.6万kWe)のみ稼働している。同社は同サイト内でのリプレース、特に次世代型原子炉の設置を視野に入れており、今回の調査結果に加え、革新軽水炉の開発や規制方針、投資判断に係る事業環境整備の状況等を総合的に勘案し、今後の方針を決定する。
- 07 Nov 2025
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関西電力 高浜2号機が60年運転へ 国内2例目
関西電力は11月4日、原子力規制委員会から高浜発電所2号機(PWR、82.6万kWe)の高経年化対策に係る長期施設管理計画の認可を取得したと発表した。これにより同機は、2035年11月13日(営業運転開始から60年)まで運転が可能となった。原子力発電所の長期運転をめぐっては、既存炉の健全性を確認したうえで、運転期間を延長する動きが世界的に広がっている。こうした潮流を受け日本では、GX脱炭素電源法が今年6月に全面的に施行され、原子力発電に関連する「電気事業法」や「原子炉等規制法」の改正によって、実質的に「60年超」運転が可能となっている。ただ、高経年化炉に対する安全規制は強化され、運転開始から30年を超える原子炉は、10年以内ごとに長期施設管理計画を策定し、原子力規制委員会の認可を受けることが義務付けられている。同社によると、同機の安全上重要な機器・構造物を対象に、経年劣化事象が発生していないか、また今後の運転で劣化が進展する可能性はないか、劣化評価を実施した。そして、劣化の恐れがある機器・構造物については、運転開始後70年時点を想定し、現行の保全活動で安全性が確保されているか確認を行った。それらの結果に基づき、同社では現行の保全活動に加えた追加対策を策定。具体的には、炉内構造物の計画的な取替えや原子炉容器の第6回監視試験を行い、疲労評価の継続的な確認を実施。さらに、ステンレス鋼配管の検査計画への最新知見の反映や、原子炉容器保温材内側の冷却空気流入経路の封止など、温度管理の強化を進める。また、電気系統ではピッグテイル型電気ペネトレーションを取替えるなど、長期運転に向けた信頼性向上策を講じる方針だ。同社は、現在行っている保全活動に加えて、これらの追加保全策を実施していくことで、運転開始から50年以降においてもプラントを健全に維持できることを確認したという。
- 06 Nov 2025
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九州電力 乾式貯蔵施設を新設へ
九州電力は10月24日、川内原子力発電所(PWR、89.0万kWe×2基)のサイト内に使用済み燃料乾式貯蔵施設を新設することを発表し、同日、原子力規制委員会へ原子炉設置変更許可を申請した。また、安全協定に基づく事前協議書を鹿児島県及び薩摩川内市に提出した。同社は総工費約350億円を投じ、2029年度を目途に運用開始を目指す。同社は今年の5月、玄海原子力発電所での乾式貯蔵施設の設置工事を開始。こちらは2027年度の運用開始を目指している。乾式貯蔵施設は、プールで十分に冷却された使用済み燃料を金属製のキャスクに入れ、空気の自然対流によって建物内で冷却する。水や電源を必要としない点が特長だ。いずれの貯蔵施設も、2026年度に運用開始予定の青森県の六ヶ所再処理工場への搬出を前提としている。川内原子力発電所では、使用済み燃料のプールでの貯蔵率が、1号機が約75%、2号機が約80%(今年9月時点)に達しており、それぞれ2034年、2028年以降に上限に達する見込みとなっていたため、解決策が急務となっていた。同社の計画によると、貯蔵施設は最大560体の燃料集合体を貯蔵可能で、高さ約15メートル、幅約40メートル、奥行き約40メートルの規模となる。遮へい機能を持った鉄筋コンクリート構造の建屋内に乾式貯蔵容器を貯蔵することで、乾式貯蔵施設を設置しても、既設建屋を含めた敷地境界における線量が目標値である年間 50μSv を十分下回る設計になっているという。また、乾式貯蔵容器は、発熱を外気で冷却する除熱機能や、二重の蓋構造で内部を密閉し放射性物質の漏えいを防ぐ閉じ込め機能、金属胴体や中性子遮へい材による遮へい機能、さらに燃料の配置を工夫して臨界を防止する臨界防止機能を備えている。
- 27 Oct 2025
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規制委 特重施設設置期限の延長要望で追加の聞き取りへ
原子力規制委員会は10月22日の定例会合の中で、10月9日に開催された「第22回主要原子力施設設置者(被規制者)の原子力部門の責任者との意見交換会」の概要を報告した。同意見交換会では、以下の4つの議題が挙がり、それぞれ事業者から提案があった。 ①シビアアクシデント(SA)設備の特定重大事故等対処施設(特重施設)の運転上の制限(LCO)に関する記載の一部見直しについて②重大事故等時への特重施設積極活用による安全性向上に係る取組について③特重施設等設置の経過措置期間(延長)について④原子力発電所の廃止措置について 詳細は<こちら>これら議論の報告を受けて、この4件を今後どう扱っていくか、同定例会合に参加した規制委の各委員から意見が挙がった。①と④の議題については、規制委と事業者の認識がほぼ一致しており、「前向きに検討していきたい」との発言があった。また②については、事業者ごとに事情が異なるため、個別の確認が必要だとする意見が挙がったが、概ね、今後の審査で確認すべき事柄が定まっており、特段の異論はなく「個別審査や中期目標の中で進めるべき事項と理解している」との見解が示された。一方で③に関する議論においては、事業者側から建設業界の労働環境の変化等を理由に、特定重大事故等対処施設(特重施設)の3年間の設置期限延長要望があったことを受け、規制委側からさまざまな意見が挙がった。労働基準法改正に伴う時間外労働の上限規制等により、建設業界や物流業界などに影響が出ていることから、マンション建設などでも当初より大幅に完成が遅れる例があるため、柔軟に対応すべきだ、といった意見がある一方で、特重の設置期限を5年から8年に延ばす場合にリスクがどう変化するのか、また、社会に対して相応の説明責任が発生するため、建設業界等の事情のみならず他の要素も含めて情報を整理すべきだとの声が挙がった。また、特重の設置期限の延長が適用される範囲が明確でないため、事業者に確認すべきだとの声が挙がり、規制委では今後、東北電力など事業者側へ追加の聞き取りを実施することが決定した。
- 23 Oct 2025
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エネ庁 革新炉ワーキンググループを1年ぶりに開催
総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(以下WG、座長=斉藤拓巳・東京大学大学院工学系研究科教授)が10月3日、約1年ぶりに開催され、次世代革新炉の開発の道筋の具体化に向けた議論が行われた。前回のWG開催後に策定された第7次エネルギー基本計画では、原子力を脱炭素電源として活用することが明記され、次世代革新炉(革新軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合)の研究開発を進める必要性が示された。今回のWGでは、実用化が間もなく見込まれる革新軽水炉と小型軽水炉に焦点を当てた議論が行われ、開発を進める各メーカー(三菱重工・日立GEベルノバニュークリアエナジー・東芝エネルギーシステムズ・日揮グローバル・IHI)から、安全性への取り組み、技術の進捗、今後の見通しなどの説明があった。三菱重工のSRZ-1200は、基本設計がおおむね完了しており、立地サイトが決まれば詳細設計に進む段階で、すでに原子力規制庁との意見交換も5回実施済み。規制の予見性向上に取り組んでいるとの報告があった。日立GEベルノバニュークリアエナジーからは、開発中の大型革新軽水炉HI-ABWRや小型軽水炉BWRX-300の説明があり、特にBWRX-300はカナダのオンタリオ州で建設が決定しているほか、米国やヨーロッパでも導入・許認可取得に向けた動きがあると述べた。東芝エネルギーシステムズは、開発中の革新軽水炉iBRに関して、頑健な建屋と静的安全システムの採用で更なる安全性向上を進めながら、設備・建屋の合理化を進め早期建設の実現を目指すと強調した。IHIと日揮ホールディングスは、米国のNuScale社が開発中の小型モジュール炉(SMR)について、米国では設計認証を取得し、ルーマニアで建設に向けた基本設計業務が進められていると伝えられた。両社は、経済産業省の補助事業を活用し、原子炉建屋のモジュール化や要求事項管理、大型機器の溶接技術、耐震化などの技術開発に取り組んでいるという。その後、参加した委員から多くの期待感が示されたが、同時に課題点の指摘があった。例えば、革新炉開発の技術ロードマップの定期的な見直しの必要性や、日本特有の自然条件への適合に関する議論の進展、また、各社が進める新型炉の開発状況に応じた規制要件や許認可プロセスの予見性向上の必要性など挙げられた。また、エネルギー安全保障の観点や立地地域との信頼の醸成など技術開発以外で取り組むべき事項についても意見があった。産業界の立場から参加している大野薫専門委員(日本原子力産業協会)は、ロードマップには技術開発だけでなく、投資判断の際に重視される事業環境整備やサプライチェーン、人材の維持・強化についても明示的に盛り込むよう要望。また、環境影響評価や設置許可などの行政手続きについては、標準的なタイムラインの提示が必要だと指摘した。 小型軽水炉のロードマップに関しては、国内での開発動向や新たな知見を反映したアップデートに加え、日本企業が参画する海外の小型軽水炉プロジェクトの導入可能性も視野に、ロードマップで取り上げることを提案。またGX関連支援では、革新技術だけでなく、サプライチェーンを支える製造基盤の維持に対する支援継続も不可欠と訴えた。
- 07 Oct 2025
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北海道経済界 泊3号の早期再稼働を要望
北海道経済連合会ら8団体(北海道経済連合会・北海道経済同友会・北海道商工会連合会・北海道建設業協会・北海道商工会議所連合会・北海道観光機構・北海道中小企業団体中央会・北海道商店街振興組合連合会)は9月11日、泊原子力発電所3号機(PWR、91.2万kWe)の早期再稼働に関する要望書を、北海道の鈴木直道知事、北海道議会の伊藤条一議長へ、それぞれ手渡した。同要望書は、日本のエネルギー自給率が依然として低水準に留まる中で、昨今の世界的な政情不安等が大きな脅威となり、安定したエネルギー供給の重要性が高まっていると指摘。今年2月に国が定めた第7次エネルギー基本計画で原子力発電の重要性が改めて示されたことを受け、電力の安定供給と脱炭素化の着実な推進、そして、北海道の経済成長に向けて、泊3号機の早期再稼働を求めた。同機は今年7月、原子力規制委員会から原子炉設置変更許可を受けており、北海道電力は2027年早期の再稼働を目指している。また、立地する泊村では10日、発電所の周辺4町村の地元商工会などから提出された再稼働を求める陳情書が議会に付託され、今後、同村の原子力発電所対策特別委員会で審議される予定だ。
- 16 Sep 2025
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規制委 原子力災害指針を一部改正「屋内退避も有効」
原子力規制委員会は9月10日の委員長定例会見にて、原子力災害時の放射線防護の措置などの対応方針をまとめた「原子力災害対策指針」の改正を公表した。同指針の目的は、緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な影響を回避または最小化することであり、防護措置として、「予防的避難」と「屋内退避」の2点が重要な観点だと定められている。これまでも、原子力発電所にて事故が起きた場合、原則以下のような指針が定められてきた。①発電所から概ね5km以内のPAZ(予防的防護措置区域)においては、放射性物質が放出される前段階から予防的に避難等を行う②発電所から概ね5km~30km以内のUPZ(緊急防護措置区域)においては、予防的な防護措置を含め、段階的に屋内退避、避難、一時移転を行う今回の同指針の改正では、「屋内退避」に関する運用の考え方(実施期間や解除要件)に、一部、加筆修正がなされた。具体的には、屋内退避の継続は実施後3日目を目安に国が判断することや、発電所の状態(放射性物質の放出が無い場合)によっては、屋内退避期間中の外出も許可されること、放射性物質を含む空気の塊が周囲に留まらない場合には退避を解除できること等が、新たに盛り込まれた。記者から「屋内退避の継続判断の3日という期間の根拠はどこにあるか」と問われた山中伸介委員長は、「住民の心理的ストレス等を鑑み、国際的な基準と照らし合わせて導いた。また、福島第一原子力発電所の事故の教訓として、無計画な避難は住民に健康被害を及ぼす可能性があること、防災関連備品のストックの目安が3日とされていることも考慮している」と答えた。また、同指針の改正によって期待していることや、今後の課題について問われた山中委員長は「対話の場をこれからも増やし、遮蔽機能を持った建物に留まることも有効な防護措置であることをご理解いただく。そして、各自治体が定める防災計画と照らし合わせ、指針に不十分な部分があれば随時修正し、複合災害対策として、これまで以上に関係省庁間の密な連携を図る必要がある」と述べた。
- 11 Sep 2025
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規制委 AI活用へ 開発費用を来年度予算案に盛り込む
原子力規制委員会は9月3日の委員長定例会見にて、来年度の概算要求等を公表。その中で、原子力発電所の安全審査の効率化に向けてAIの利用を促進すべく、新たにAIの調査や開発のための費用として6,000万円を、来年度予算案の概算要求に盛り込んだ。概算要求の目的として規制委は、新規制基準に適合したプラントの改造工事や原子炉の建て替え等に伴い、審査業務量の増加が見込まれていることを理由に挙げた。審査業務にAIを導入することで、過去の審査実績との比較や、チャットによる書類の横断的確認、審査書案の作成支援等を行うことで、申請書の確認や審査資料の確認作業の効率化が見込まれる。また、今年5月に成立した人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律において、「国は、行政事務の効率化及び高度化を図るため、国の行政機関における人工知能関連技術の積極的な活用を進めるものとする」と制定されたことを受け、急速な進歩を遂げている大規模言語モデル(LLM)をはじめとするAIを審査業務の支援に活用し、原子力発電所の審査業務全般の効率化を目指す。規制委はAIの活用を段階的に実施する方針で、まず来年度から、職員のニーズやデータに基づき、審査業務のうちAIが有効に活用され得る業務分野を特定し、AIによる審査支援の実現可能性を探る。令和9・10年度には、調査結果を踏まえて、審査支援のためのシステムの設計・開発を行い、AIからのアウトプットの品質が要求レベルを上回るかどうか等を検証する。そして令和11年度には、システムの構築や運用マニュアル等の整備を行い、令和12年度以降のAIの導入を目指す。規制委の山中伸介委員長は定例会見にて「米国でもAIが審査の効率化にかなり役立っていると聞いている」と述べ、「日本でも審査効率の改善にAIを活用していきたい」と導入への意志を示した。記者からAI技術に具体的にどのような期待を持っているかを問われ、山中委員長は「モーターの音、コンクリートの打音などをAIに記憶させて異常診断に使うケースなどを想定している。実際に使わないと分からない部分もあるが、現状と安全上同じレベルを維持しながら、審査時間を短縮することを望んでいる」と応えた。
- 09 Sep 2025
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柏崎刈羽7号機 燃料を取り出しへ
東京電力は8月28日、柏崎刈羽原子力発電所7号機(ABWR、135.6万kWe)から、装荷済みの燃料を取り出すと発表した。同7号機は、特定重大事故等対処施設及び常設直流電源設備(特重施設等の設置)が法定の期限(2025年10月13日)内に完成しないことを受け、原子炉施設の冷温停止状態を継続する。同社は同日、原子力規制委員会に対し、原子炉施設の冷温停止状態を継続すること、また、工程・期日を見直した使用前確認変更書を提出した。今後、特重施設等の工事の進捗にあわせて、使用前確認変更等の申請を行う。同社は原子力規制委員会の審査に合格した6号機(ABWR、135.6万kWe)と7号機のうち、当初、7号機の再稼働を優先していたが、この度の決定を踏まえ、当面、6号機の再稼働を目指すことになる。すでに6号機は今年の6月、燃料装荷を開始し、新規制基準を踏まえた安全対策工事の施工や、使用前事業者検査を実施し、原子力規制委員会の承認を受けている。同社によると、7号機の燃料集合体を取り出す作業は、10月から2週間程度かけて行う。計872体を、より安全に管理するため燃料プールに移す予定だ。8月29日の新潟県知事定例記者会見で、記者から所感を求められた新潟県の花角英世知事は、「事業者の合理的な経営判断だと思う」と述べた上で、「6号機か7号機かという問題は議論の本筋ではない。いずれにしても原子力発電所とどう県民が向き合っていくのかが問題だと捉えている」と、引き続き県民の意向を見極める意向を示した。
- 05 Sep 2025
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泊3号機に設置変更許可
北海道電力は7月30日、原子力規制委員会から泊発電所3号機(PWR、91.2万kWe)の原子炉設置変更許可を受けた。同日午後、同社の勝海和彦取締役常務執行役員が、東京都内の原子力規制庁を訪れ、再稼働に必要な「設置変更許可」の許可書を受け取った。2013年に策定された新規制基準の審査には、これまでに17基が合格しており、今回が18基目の許可事例となった。泊発電所3号機は、2013年7月に設置変更許可申請を提出していたが、敷地内の「F-1断層」の活動性をめぐる議論が長期化し、許可の交付に約12年を要した。今後、発電所の設備の詳細設計に係る「設計及び工事計画の認可申請」および運転管理体制などを定めた「保安規定変更認可申請」に係る審査への対応、防潮堤などの安全対策工事を進め、2027年のできるだけ早期に再稼働を目指している。なお、審査中の1、2号機(PWR、57.9万kWe×2)は、2030年代前半の再稼働を目指している。同社の斎藤晋社長は、「大きな節目だ。不断の努力を重ねて世界最高水準の安全性を目指す」とコメントした。日本原子力産業協会の増井秀企理事長は同日、コメントを発表し、「道内における電力の安定供給をより強固なものとし、同時に、二酸化炭素の排出削減にも貢献すると期待される。データセンターや半導体工場の新増設に伴って今後の電力需要の伸びが著しいと予想される北海道において、原子力発電の役割は大きい」と、泊3号機の再稼働に期待を寄せた。林官房長官は同日午後の記者会見で、「政府としては、今後も自治体と連携しながら、地域の方々の不安を払拭できるよう、原子力災害対応の実行性向上に取り組んでいく。また、国も前面に立って、新規制基準の適合性審査の結果や再稼働の必要性・意義、原子力防災対策などについて、住民の皆様や自治体のご理解を得られるように、分かりやすく丁寧な説明・情報発信に粘り強く取り組んでいくことが重要であると認識している」と述べた。また、武藤容治経済産業大臣は、1日の閣議後記者会見で、同発電所3号機が原子力規制委員会の審査に合格したことを受けて、北海道の鈴木直道知事に、再稼働を進めていく政府方針を電話で伝えたと明らかにした。
- 01 Aug 2025
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MOX燃料工場の認可申請 日本原燃
日本原燃は7月7日、MOX燃料工場に関する設計および工事計画について、第3回目となる変更認可申請および新たな認可申請を原子力規制委員会に提出した。申請は全4回に分けて行われ、これまでに第1回(認可日=2022年9月)と第2回(認可日=2025年3月)の認可をすでに取得している。今回の申請では、一次・二次混合設備、圧縮成形設備、研削設備、ペレット検査設備といった成形施設をはじめ、火災防護設備、非常用所内電源設備、放射線監視設備など、約500点の設備が対象となった。申請内容には、新規制基準が施行される前に認可を受けた設計・工事計画(設工認)の変更に加え、新たな設工認の取得も含まれる。これにより、新規制基準への確実な適合を図りつつ、使用済み燃料の有効活用に向けた取り組みを一層加速させる方針だ。建設が進められているMOX燃料工場は、隣接する六ヶ所再処理工場で回収されたウランとプルトニウムを原料に、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を製造する。日本の燃料サイクルを支える中核拠点として、2027年度中の竣工を目指している。地政学リスクやウラン価格の高騰が続く中、エネルギーの安定供給と安全保障の観点から、MOX燃料の国内製造体制の強化が課題となっていた。日本原燃は、「オールジャパン体制」で、早期の認可取得と工場完成に向けて全力で取り組む姿勢を示している。
- 09 Jul 2025
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金子規制庁新長官 「新型炉の規制で事業者らと連携」
原子力規制庁で7月3日、1日付で原子力規制庁長官に新たに就任した金子修一氏(59)の就任会見が開かれた。6代目長官の金子氏は、前任の片山啓氏(62)に続く経済産業省の出身。2012年の原子力規制委員会の発足準備段階から携わっているひとりだ。2011年の福島第一原子力発電所の事故対応の経験を持つ同氏は、「事故対応の経験を持つ職員は一定数いるが、数としては少なくなった。事故から学んだことは、準備ができていないことは実行できないということ。危機感や臨場感を口頭で伝えるだけではなかなか伝わらないという課題もあるが、規制庁で培われてきた独立性や継続的改善の姿勢を継承し、当時の状況や意識を伝え続けていく」と抱負を述べた。その後、記者から、「準備に万全はないという発言は、安全規制には終わりがないという意味が込められていると思うが、特に力を入れたいことは何か」を問われ、金子長官は、「最近は、新型炉の規制や核融合といった新しい技術に対応する規制のあり方など、幅広い課題に取り組んでいる。そういった技術の動向や政策の方向性については関心を持って見ており、事業者や研究機関と密に連携していくつもりだ。また、4月から新しい中期目標を設定し、今後5年間で重点的に取り組むべき課題をその中に盛り込んだ。これら課題を着実に解決したい」と述べた。そして、他の記者から「審査期間の長期化によって、膨大なコストをもたらすと懸念されているが、審査や規制の効率化について、どのように考えているか」と問われ、金子長官は「先述の中期目標において審査の効率化は大きな柱として掲げた。過去の経験や実績を活かし、確認済み事項については再確認を不要とするなど、事業者と連携しながら効率化は図れるだろう」と述べた。また「規制庁の職員は1000人を超え、大きな組織となっている。職員1人ひとりがやりがいを感じ、積極的に、前向きに仕事ができる環境を整えることも私の重要な役割だ」と働き方改革にも意欲を見せた。
- 07 Jul 2025
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