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英コアパワーが米海事当局と連携 2028年に原子力商船の建造開始をめざす
海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は8月24日、米国ワシントンD.C.で米運輸省海事局(MARAD)と協力覚書(MOC)を締結した。米国籍の原子力商船の実用化に向け、商業、産業、規制面での取組みを加速することが目的で、連邦機関と民間企業の協力としては初。同社は準備が整えば、2028年にも米国で原子力推進商船の初建造開始をめざしている。本MOCは、米政府主催で8月26日~27日にワシントンD.C.で開催された「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」発足に向けたIAEA閣僚級会合に先立って締結された。米トランプ政権は2026年2月、「海事行動計画」を公表。米国の海洋分野の衰退を食い止め、民間投資を動員し、経済および国家安全保障の要と位置づける 海事産業の再建と米国の造船能力の強化をめざしている。こうした中、小型モジュール炉(SMR)などの先進炉を活用した原子力推進は、商業海運の復興の一翼を担う重要な存在になると期待されている。原子力推進船舶は、長期間の連続航行が可能で、従来の舶用燃料への依存を減らし、推進時の炭素排出がないことが利点とされる。原子力商船の活用は重大な商業的機会である一方で、安全かつセキュリティを確保し、投資可能な環境を整備する必要がある。両者は今回のMOC締結を受け、政府、産業界、その他利害関係者が、規制承認、港湾運営、労働力の資格認定、燃料およびライフサイクルサービス、保険・資金調達、建造・運用面での産業側の能力、連邦政府による将来的な需要創出の仕組みなどについて協議する場を設ける。こうした取組みを通じて不確実性を低減し、船舶、造船所、関連インフラへの民間投資が可能な環境を整備していく方針だ。コアパワー社のM. ボー氏CEOは、中国が世界の商用造船市場を席巻し、原子力推進の商船開発も積極的に進めるなか、戦略的な対応が急務となっていると指摘。同社は、米国の70年にわたる海軍での原子力運用実績と次世代の原子力専門知識を活用し、米国内に原子炉の搭載、初期燃料装荷、試験、試運転、燃料交換・取出しなどを担う専用の「原子力統合・ライフサイクル造船所」の整備を計画している。船体の建造は通常の商業造船所や世界トップレベルの造船能力を有する日本や韓国などの同盟国が担い、米国内の専用造船所では、原子力関連の工程・保守に必要な専門能力を重点的に構築することを想定している。原子力商船の就航を支援すると同時に、原子力資格を有する人材、サプライヤー、重工業の生産能力を拡大し、米国の海事産業基盤の強化につなげたい考えだ。さらに、コアパワー社は8月19日、米テキサス州のコーパスクリスティ港湾局と同港の「海事原子力対応能力(maritime nuclear readiness)」を調査するMOCを締結。調査では、同港に浮体式原子力発電所を設置し、港湾や周辺地域に安定した電力を供給する拠点として活用することや、将来の原子力商船の寄港地とする可能性を検討する。これとは別に、MARADも同日の8月19日にコーパスクリスティ港湾局とMOCを締結した。SMR技術の統合、耐障害性の高い港湾マイクログリッド、陸上電源システム、次世代船舶推進システムに対応可能なインフラ、人材育成などを検討し、海洋エネルギーシステムの発展に向けた取組みを共同で進めていく。同港は米国最大の石油輸出港であり、国内有数の液化天然ガス輸出拠点でもある。本協力は、今年7月のカリフォルニア州ロングビーチ港湾局とのMOC締結に続くもの。MARADは2026年5月、海上輸送システムへのSMR導入支援について業界から意見を募った情報提供要請(RFI)を実施しており、今回の協力もこれを受けたものである。米国では海運・造船の再建政策に加え、国際海事機関(IMO)が掲げる2050年頃までの国際海運の温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ目標や、SMRなどの先進炉開発の進展を背景に、原子力船の実用化に向けた動きが活発化している。こうしたなか、IAEAを中心とするATLASが、海洋における民生用原子力利用を国際的な規制・制度面から支える構図が形成されつつある。
- 01 Sep 2026
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IAEA 海上におけるSMR利用促進に向けてATLASを発足
国際原子力機関(IAEA)は8月26日、民間船舶や浮体式原子力発電所への小型モジュール炉(SMR)などの原子力技術利用を安全・セキュリティ・平和利用の観点から国際的に支援する新たな枠組み「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」イニシアチブを立上げた。ATLASは、特定の原子炉を開発・導入するプロジェクトではなく、原子力推進船舶や浮体式原子力発電所を商用化するための国際的な安全・規制・制度面の土台づくりを目的とした、原子力分野と海運分野を国際的に結びつける初の協調的な取組みである。米政府がワシントンD.C.で主催したIAEA閣僚級会合(8月26日~27日)でATLASイニシアチブが発表された。同会合には50か国以上から政府、規制当局、原子力・海運業界、港湾関係者など約600名が参加。28か国((アルゼンチン、バングラデシュ、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、ドミニカ、エクアドル、フィンランド、フランス、ギリシャ、インド、イタリア、日本、韓国、マルタ、オランダ、ノルウェー、パラグアイ、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スロベニア、トルコ、UAE、英国、米国))が共同声明に参加した。原子力の海洋用途を現実化するには、国際的な原子力・海事コミュニティが協力し、原子力技術の安全かつ確実な導入を確保、海上における民生用原子力利用に対する保障措置の効果的かつ効率的な実施の強化が不可欠。そのためIAEAは今後、運営委員会のほか、各国や産業界などからなる6つの専門プロジェクトグループを設置し、原子力安全、核セキュリティ、保障措置、規制などを検討する。特に、原子炉を船舶や海上施設に搭載する場合に必要となる国際的なルールや規制、港湾インフラ、責任分担など、陸上の原子力発電所とは異なる実務上の課題への対応を進めていくとしている。IAEAは、1962年に運転を開始した世界初の民間原子力貨物船「NSサバンナ」から60年以上を経て、次世代の民間海洋原子力利用に向けた国際的なルール作りを本格化させる方針。ATLAS発足の背景には、世界の貿易の約80%を海上輸送が担い、海上貿易が年間約2%拡大する一方で、長距離輸送のエネルギー安全保障や脱炭素化が課題となっていることがある。特にSMRなどの先進炉は海洋用途において安全かつ実現可能な選択肢となり得る。頻繁な燃料補給を必要としない高速海上輸送を可能とし、コンテナ船、バルク船、タンカー、クルーズ船、砕氷船、オフショア支援船などへの利用が期待されている。また、浮体式原子力発電所は、送電網などのインフラが整っていない沿岸・遠隔地の産業に、電力、熱、淡水、非常用電源などを供給する用途も見込まれる。IAEAは設計、燃料、海洋工学の進展により、一部の原子力推進船舶は2030年代にも導入可能になると予測している。IAEAのリーダーシップの下、ATLAS参加国や産業界の間で海事分野における革新的な民生用原子力技術の開発と導入が促進され、あらゆる活動が最高水準の原子力安全、核セキュリティ、および不拡散に根差した協力の継続が期待されている。
- 31 Aug 2026
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シンガポールと中国が原子力協力の覚書を締結
シンガポール貿易産業省(MTI)と中国国家原子能機構(CAEA)は8月17日、中国・北京で原子力技術の平和利用に関する協力覚書を締結した。MTIのS. タン・エネルギー・科学技術担当大臣とCAEAのZ. シャン主任の立会いの下、A. リー・エネルギー・貿易担当事務次官と J. リウ副主任が覚書に署名した。MTIは同覚書締結を、最近の米国、フランス、韓国を含む様々な国際パートナーとの協力と同様、原子力導入の可能性について客観的かつ技術的な評価を行うための自国の能力構築を支援するものと位置付ける。今回、中国と締結した覚書では、能力構築パートナーシップの対象となる主要分野として、原子炉技術の安全性および技術的評価人材育成および専門家の相互訪問市民への啓発、広報、および関与活動原子力安全、保障措置、および核セキュリティー原子力技術の応用を掲げている。シンガポールは、これら海外関係機関との協力による能力構築の取組みを2027年に予定されている国際原子力機関(IAEA)の「統合原子力基盤レビュー(INIR)」フェーズ1ミッションへの準備にも活かす方針である。INIRフェーズ1ミッションでは、将来的な原子力発電導入について「十分な情報に基づいて意思決定できる能力」が国内に整備されているか、能力構築の取組みが正しい方向に進んでいるかを確認するためIAEA専門家が評価する。同ミッションは、原子力導入を決定するための手続きではなく、シンガポールは原子力分野の人材・制度・技術基盤の整備状況を国際的な基準で確認したい考え。国際的に認められた評価フレームワークであるIAEAのマイルストーン・アプローチに基づき、原子力安全規制、放射性廃棄物管理、緊急時対応など19の分野にわたり包括的な評価を受ける。フェーズ1の完了後、安全性、信頼性、経済性、環境の持続可能性を慎重に考慮し、実際に導入を進める場合には、フェーズ2で建設入札を進める準備状況、フェーズ3で初号機を安全に運転できる準備状況についての評価となる。シンガポールが原子力を検討する背景には、電力の約95%を輸入天然ガスに依存し、国土が狭く再生可能エネルギーの拡大余地も限られていること、2050年ネットゼロに向けて安定した低炭素電源が必要なことがある。特に、小型モジュール炉や安全機能が強化された先進炉に注目している。2012年にも原子力導入の技術的可能性が調査されたが、当時の利用可能な原子力技術は同国での展開に適していないと結論付けられた。以後、シンガポールは将来の原子力の技術進歩に備えて能力強化をめざし、IAEAが原子力発電プログラムを確立するために必要とする19の主要分野の能力構築に取組んできている。
- 28 Aug 2026
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NEMS Japan 2026開講 海外14か国と日本から28名が参加
将来の原子力業界を担う人材の育成を目指す研修コース「Japan-IAEA 原子力マネジメントスクール(NEMS)2026」が8月19日に開講し、東京大学で開講式が行われた。NEMSは、国際原子力機関(IAEA)が各国・関係機関との協力の下で展開する、若手の原子力専門人材を対象とした研修プログラム。 原子力発電の新規導入・拡大を検討する国などを主な対象に、こうした国々の原子力プログラムを支えるマネジメント・技術能力を高め、将来のリーダー・管理者を育成することを目指す。 日本版 NEMSは、日本原子力人材育成ネットワーク、東京大学、日本原子力研究開発機構(JAEA)、日本原子力産業協会、原子力国際協力センターがIAEAと協力して運営している。日本での開催は今回が14回目となった。日本版NEMSでは、IAEAや国内外の専門家による講義、グループワーク、原子力関連施設の見学を組み合わせ、技術だけでなく、リーダーシップ、組織運営、関係者との対話に必要な能力向上を図る。 テクニカルツアーでは、福島第一原子力発電所の見学を予定し、事故の教訓を踏まえた安全原則を現地で学ぶ機会を設けている。今年は、海外14か国(ブルガリア、チェコ、エストニア、ガーナ、ハンガリー、インドネシア、マレーシア、モンゴル、フィリピン、シンガポール、スロバキア、スロベニア、タイ、ウズベキスタン)および日本から、男性18名、女性10名の計28名が参加した。 研修生は9月3日まで、東京大学本郷キャンパスでの講義やグループワーク、テクニカルツアーを通じ、原子力に関する幅広い課題を学ぶ。各国の原子力事情を共有し、異なる専門分野・背景を持つ参加者が議論することで、修了後も続く国際的な人的ネットワークの構築を促す。開講式では、NEMS2026の実行委員長を務める村上健太・東京大学大学院工学系研究科准教授が研修生を歓迎した。 同氏は、講義内容がIAEA加盟国間で合意された基本原則に基づくものだと説明し、講師に積極的に質問して研修に参加するよう求めた。 特に海外からの参加者には、日本人参加者に先んじて講師に質問を投げかけることにも期待を示した。続いて、日本原子力産業協会の増井秀企理事長が挨拶を行い、 研修を成功させる要素として、プログラム(Program)、人(People)、参加(Participation)の「3つのP」を提示した。 「参加とは教室に座って講義を聞くだけではない」と述べ、発言、質問、互いの見解や経験の共有を呼びかけた。IAEA原子力エネルギー局計画・情報・知識管理部(NEPIK)のファン・ウェイ部長は、NEMSが、技術的知識とマネジメントの間をつなぎ、安全・核セキュリティ・持続可能性を踏まえた原子力プログラムを担う次世代リーダーの育成に重要な役割を果たしてきたと強調。 また、日本政府、東京大学、原子力人材育成ネットワークなど、開催に協力する関係機関への謝意を示し、研修生には主体的に取り組み、互いの経験から学ぶよう期待を寄せた。最後に、上坂充原子力委員会委員長が、日本開催のNEMSはこれまで500人を超える卒業生を送り出してきたと紹介した。 IAEAでの会合や、各国と原子力政策について協議する場で卒業生と出会う機会があると述べ、NEMSのネットワークが各国の政策・技術を担う人材のネットワークへと広がっていると強調した。 研修生に対しては、研修期間中に強固なネットワークを築き、修了後も交流を続けるよう呼びかけた。
- 21 Aug 2026
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第3回国際原子力科学オリンピック 日本代表4選手全員がメダル
サウジアラビア・ジェッダで開催された第3回国際原子力科学オリンピック(INSO2026)で、日本代表として出場した高校生4人全員がメダルを獲得した。8月2日から行われていた大会は、すべてのプログラムを終えた。メダルを獲得したのは、灘高等学校3年の長田知樹さん、麻布高等学校3年の本田弘徽さん、攻玉社高等学校2年の入山哉太さん、広島大学附属高等学校2年の霜崎洸我さん。長田さんと霜崎さんが金メダル、本田さんと入山さんが銅メダルを獲得した。INSOは、IAEAが原子力科学教育の推進を目的に創設した国際大会で、アジア太平洋地域の20歳未満の学生が参加する。日本代表の4選手は、国内選考や大会に向けた研修などを経て、8月1日に開催地のジェッダへ向けて出発していた。日本代表選手団出場支援委員会は9月27日、東京大学本郷キャンパス内で報告会と解団式を開催する予定。
- 10 Aug 2026
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高校生4選手が世界へ挑戦 INSO2026結団式
第3回国際原子力科学オリンピック(INSO2026)サウジアラビア大会に出場する日本代表選手団の結団式・壮行会が7月31日、東京大学で開催された。代表に選ばれた高校生4人に任命状が手渡され、選手団は8月1日に開催地のサウジアラビア・ジェッダへ向けて出発した。INSOは、IAEAが原子力科学教育の推進を目的に創設した国際大会。アジア太平洋地域の20歳未満の学生が参加する。式では、INSO日本代表選手団出場支援委員会委員長の飯本武志先生(東京大学アイソトープ総合センター教授)が大会趣旨を説明。選手団リーダーの角山雄一先生(京都大学環境安全保健機構放射線管理部門准教授)は前回のマレーシア大会の活動成果を、佐藤大樹先生(日本原子力研究開発機構)は代表選手らの大会出場に向けた準備の様子などを報告した。その後、出場する4選手へ任命状が授与された。また、来賓として文部科学省、外務省、千代田テクノル、長瀬ランダウア、関西電力の関係者らが出席し、選手を激励。文部科学省の有林浩二課長(研究開発局原子力課)は、INSOで出題される問題の難易度の高さに触れ、選手らの挑戦を称えた。また、将来的な月面での原子力利用にも言及し、原子力科学の活躍の場が今後さらに広がっていくとの展望を示した。外務省の田中健一郎室長(軍縮不拡散・科学部国際原子力協力室)も、原子力の脱炭素への貢献や、医療・農業分野における放射線利用に触れ、原子力科学への世界的な関心の高まりを強調した。最後に、選手らは一人ひとり大会への抱負を述べ、「4人で金メダルを獲得して帰ってきたい」「世界中の参加者と交流し、新しい知見を得たい」「大会期間中に誕生日を迎えるので、多くの友人をつくりたい」「小学生の頃から興味を持っていた分野で、日本代表として出場できることをうれしく思う」など、それぞれ世界大会への決意を語った。INSO2026は8月2~9日、サウジアラビア・ジェッダで開催され、各国・地域から集まる学生が原子力科学に関する知識や課題解決能力を競う。大会結果は、INSOポータルサイトで随時紹介される予定。
- 03 Aug 2026
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セルビア 新規原子力発電導入のロードマップが明らかに
セルビアのD. ハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー相は7月13日、IAEAの支援を受けて開催された原子力計画実施国家機関(NEPIO)の役割と責任に関するワークショップの開会にあたり、2024年11月の原子力発電所建設モラトリアム撤廃後の、本格的な原子力導入に向けた工程を明らかにした。2035年までに同国初の原子力発電所の建設を開始し、2040年以降の運転開始をめざす。同大臣は、セルビアが国際原子力機関(IAEA)の19項目からなる「原子力発電のための国家インフラ開発におけるマイルストーン」アプローチの基準に従い、段階的に原子力プログラムを推進中と紹介。工程では、2027年半ばまでに原子力発電開発の実施可否について判断を下すために必要なすべての情報を揃える、マイルストーン(フェーズ1)の完了を想定。併せて、基本的な法的・規制的枠組みの確立と、原子力プログラムの実施を担う専任機関(NEPIO)を設立し、2032年までに、制度面、規制面、技術面のすべてにおいて準備を整えた上で、炉型の選定を開始(フェーズ2)。2040年以降に同国初となる原子力発電所を導入すべく、2035年までに建設を開始する考えを示した。なお、フランス電力(EDF)が実施した予備的技術調査の結果が2025年7月にセルビア側に提出されている。現在市場にある大型炉や小型モジュール炉(SMR)について、その技術・商業面での成熟度やサプライチェーンの信頼性、国家的ニーズとの整合性などを分析したという。また、最も懸念されていたセルビアの電力システムと原子力施設の統合に問題はないと評価され、2045年以降にはセルビアが電力の純輸出国となる可能性も指摘。なお、原子力プログラムのフェーズ1と2の完了に5~7年を要し、推計約3,000万ユーロ(55億円)が必要になると示されている。鉱業・エネルギー省は、フェーズ1でさらに4件の調査の実施をEDFに依頼し、残りの14件の調査については、他国での原子力プログラムに参画・開発の実績があり、セルビアの原子力プログラムに関心を表明した様々な企業と協議して委託先を検討するとしている。こうした中、セルビア政府は7月29日、EDFとフランス開発庁(AFD)とパートナーシップ協定を締結。AFDは、セルビアの原子力プログラムへの初の支援として50万ユーロ(約9,200万円)の助成金を供与し、フェーズ1と2の実施に係わる原子力人材の育成(行政・規制当局・技術者の能力強化)、安全文化の醸成などを支援する。セルビア政府は、電力需要の増加やエネルギー安全保障、脱炭素化への対応には原子力の活用が不可欠との認識を示しており、国内産業と地域経済の発展や原子力人材の育成に相乗効果を生み出したい考えだ。初となる原子力発電所の建設は、国家戦略「セルビア2035」のインフラ開発計画の中に位置づけられており、約30億ユーロ(5,500億円)が割り当てられている。
- 31 Jul 2026
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原子力白書を公表 「次世代に向けた核燃料サイクルの展望」を特集 原子力委員会
原子力委員会は6月23日、令和7年度版の「原子力白書」を公表した。白書冒頭の「特集」では「次世代に向けた核燃料サイクルの展望」をテーマとし、核燃料サイクルの意義や技術、国内外の動向等が記された。テーマの選定理由について原子力委員会は、エネルギー安全保障への関心の高まりを挙げ、核燃料サイクルの実現は①海外資源への依存度を低減、②高レベル放射性廃棄物の減容化と有害度低減の2つの効果があると強調。原子力委員会は「国民に正しく理解していただくことが重要」と説明した。また、核燃料サイクルに対する国民理解について、「仕組みが複雑で分かりにくい側面がある」と説明。全体像や各工程の役割を理解するには一定の知識が必要であり、今回の白書ではできるだけ平易な表現で情報を整理することを心掛けたという。原子力委員会は、核燃料サイクルの確立はエネルギー安全保障の強化や将来世代の負担軽減につながる重要な取組みであると強調。その上で、安全確保と平和利用を大前提に、国際原子力機関(IAEA)の保障措置や透明性の高い情報発信を通じて国際社会への説明責任を果たしながら、国際協力の下で取組みを着実に進める必要があるとした。また、核燃料サイクルの将来像を見据えた長期的な戦略のもとで研究開発を推進するとともに、人材育成や技術継承を通じてサプライチェーンを含む技術基盤を維持・発展させることの重要性も指摘した。なお、白書の本文は9章立てとなっており、令和7年度の原子力利用を巡る幅広い分野の最新動向を取り上げている。また、15本のコラムを収録し、AI活用、放射線の宇宙利用、STEAM教育など、多様なテーマを紹介。本紙も多く引用されている。
- 26 Jun 2026
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経済産業省とIAEAが協力深化へ SMR導入支援や人材育成で連携
経済産業省は6月23日、国際原子力機関(IAEA)との間で、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力エネルギー開発およびキャパシティビルディング(能力構築)に関する協力覚書(MoC)に署名した。署名式には赤沢亮正経済産業大臣とラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長が出席し、原子力分野における協力強化を確認した。両者は今後、SMRなど原子力導入を検討する国々に対するインフラ整備や人材育成などで連携を進める。会談の冒頭、赤沢大臣は、昨年のグロッシー事務局長による柏崎刈羽原子力発電所の視察について言及し、今年4月の同発電所の再稼働が東日本の電力需給の安定化や供給力の強化につながっていると強調。安全性を最優先に既設炉の最大限活用や次世代革新炉の開発、バックエンド対策を進めていく方針をIAEAに説明した。そして、福島第一原子力発電所の廃炉については、ALPS処理水の海洋放出を含め、安全性の確保と丁寧な情報発信を継続していく重要性を強調し、IAEAによる継続的な支援と協力を要請。また、グロッシー事務局長が2023年7月の福島訪問時にALPS処理水について、「最後の一滴まで安全に放出されるまでIAEAは現地にとどまる」と述べたことに触れ、「非常に心強く、印象深い言葉だった」と振り返り、改めて謝意を表した。さらに、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取組みに言及し、国際的な信頼確保に向けて、保障措置体制の強化等、IAEAとの連携を引き続き進めていく考えを表明した。これに対しグロッシー事務局長は、日本との原子力分野における協力関係について「極めて重要で戦略的な意義を持つ」と評価。今回の協力覚書についても、原子力分野の将来に関する共通のビジョンと相互の信頼を反映したものであり、日本だけでなく世界の原子力産業の発展にも資する、との認識を示した。また、福島第一原子力発電所をめぐっては、廃炉作業やALPS処理水の海洋放出に関する日本とIAEAの協力体制を高く評価。「日本政府、経済産業省、東京電力による透明性確保の取組みは国際的な模範となるものだ」とコメントした。
- 24 Jun 2026
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日本代表の舞台裏
国際原子力科学オリンピック(INSO)は、次世代の原子力人材が知識と実践力を競い合う国際大会だ。2025年、日本は初の本格参加でメダル獲得という成果を収めたが、その裏では代表選抜から育成、現地での採点交渉まで、多くの挑戦があった。日本代表の育成を担った京都大学の角山雄一准教授に、INSOの舞台裏と、日本の強み、そして今後の課題について聞いた。
- 22 Jun 2026
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WENRA 原子力商船の規制枠組み整備を提言
西欧原子力規制者協会(WENRA)は5月13日、原子力推進を利用する商船について、各国で一貫した安全審査を可能にする国際的な規制枠組みが必要だとする声明を発表した。国際海事機関(IMO)が「原子力商船の安全コード(Code of Safety for Nuclear Merchant Ships)」の改定に着手する方針を示したことを歓迎しつつ、国際原子力機関(IAEA)との緊密な連携を求めた。同コードは1981年に策定されたもので、当時の主流であった加圧水型炉(PWR)を前提としている。その後、気候変動対策への関心の高まりや、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉、熔融塩炉など先進炉の開発が進展したことから、現行コードでは新技術への対応が十分ではないとの指摘が出ている。IMOは2025年6月、同コードが時代遅れとなっており、先進的な原子力技術の船舶利用に向けた障害となっているとして、改定を進めることで合意している。一方、IAEAは、商船や浮体式原子力発電所など海上での民生用原子力技術の安全・セキュリティ・保障措置に関する枠組みづくりを目的とした「ATLAS(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea)」プロジェクトを立ち上げる予定。WENRAは、IMOによるコード改定とIAEAのATLASの整合性は不可欠とし、改定後のコードを最新のIAEA安全基準に沿ったものとするよう求めている。WENRAは、海上での原子力利用には、陸上の原子力施設とは異なるリスクが伴うと指摘。特に、開発中の炉型には技術成熟度に差があることから、原子炉設計、安全解析、事業者の能力が十分に成熟していることが確認されない限り、海上利用を認可すべきではないとの考えを示した。そして、商船は国境を越えて運航されるため、各国ごとにばらつきのある規制ではなく、国際的に調和した安全要件の整備が不可欠だとしている。そのうえでWENRAは、IMOに対し、IAEAと連携しながら安全目標を明確化し、各国当局が原子力推進船の航行認可を判断する際に活用できる、包括的で詳細な安全要件をコードに盛り込むよう促した。WENRA加盟国も、それぞれの専門分野でコード改定に協力していく方針を示している。
- 25 May 2026
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日本代表決定 第3回国際原子力科学オリンピック
2026年8月2~9日にサウジアラビアで開催予定の、第3回国際原子力科学オリンピック(INSO:International Nuclear Science Olympiad)に出場する日本代表選手が、4月21日に発表された。選ばれたのは、本田弘徽さん(私立麻布高等学校3年)、入山哉太さん(私立攻玉社高等学校2年)、長田知樹さん(私立灘高等学校3年)、霜崎洸我さん(広島大学附属高等学校2年)の4名。15歳から20歳未満を対象に、大学入学前で、高校または高専の在学生または卒業生という条件の元、出場者が一般公募され、44名の応募があった。その後、日本語と英語を使用した2回の筆記試験と日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)での選手育成合宿を経て、代表選手が決定した。本番の大会で出題される問題は、5時間の理論部門と3.5時間の実験部門で分かれており、原子と原子核の構造、放射線、核分裂と核融合などの基礎のほか、環境、歴史や安全などの応用も含む幅広い分野が出題される。実験部門の多くは模擬実験形式で提示され、実験の実施そのもののほか、データ解析に関する理解も試される。設問は高等学校で学ぶ数学や物理を軸としつつ、「到達可能だが高難度」というバランスが重要視されている。INSOは国際原子力機関(IAEA)が企画し、2024年から始まった試み。単なる競技の場を超えた、アジア太平洋地域の原子力科学技術分野の人材育成に重要なものと位置付けられている。今大会には25か国から約100名が参加する見込み。昨年7月に行われた第2回大会では、日本代表4名全員がメダルを獲得した。
- 21 May 2026
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IAEA ALPS処理水放出の安全性を改めて確認 6回目の安全性レビュー
国際原子力機関(IAEA)は16日、ALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に沿って実施されていることを確認したと発表した。安全性レビューは5月11日から15日にかけて実施され、今回で6回目。過去5回の報告と同様、今回も問題は指摘されなかった。レビュー期間中、日本政府や福島県、東京電力は、発電所構内および周辺海域で実施しているモニタリングの概要や実績について説明した。IAEAタスクフォースは、これらが国際安全基準と整合しているかを中心に議論を行った。また、5月13日には、IAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所を訪問し、発電所構内の「ブルーデッキ」から廃炉作業の進捗状況を確認したほか、ALPS処理水移送建屋や放水立坑など、ALPS処理水の海洋放出に関連するモニタリング設備を視察。さらに、タンク解体が進むエリアの現場確認も行ったという。安全性レビューは、2021年に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOR)」に基づき実施されている。IAEAは、自ら定める「IAEA安全基準」に則り、人と環境の保護の観点から、ALPS処理水の放出計画やモニタリング体制などについて確認・評価を実施している。こうしたレビューを通じ、IAEAタスクフォースは、海洋放出の安全性や透明性に関する国際社会の理解醸成に向けた役割を担っている。日本政府は、ALPS処理水の海洋放出について国際社会の理解を得る上で、IAEAによる独立したレビューが重要との認識を改めて示した。その上で、今後も中立性を重視するIAEAと緊密に連携しながら、ALPS処理水の海洋放出に関する理解醸成に取り組んでいく考えを強調した。
- 20 May 2026
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10年ぶりのIRRSミッション報告書を公開 規制体制を評価
原子力規制委員会は5月13日、今年1月26日から2月6日に行われた、IAEAによる総合規制評価サービス(IRRS)ミッションの報告書を公開した。日本では2016年にIRRSミッション、2020年にそのフォローアップ・ミッションが実施され、今回はおよそ10年ぶりの実施となる。報告書で日本の規制の枠組みは、包括的で堅固と評され、IAEAの安全基準との高い整合性が確認された。規制委が実施する緊急事態への準備及び対応訓練の評価が良好事例として挙げられた。その一方、改善のための24件の勧告、19件の提言が示された。原子力規制委員会の、独立性、人材計画および戦略、内部監査、マネジメントシステムなどが勧告の対象となった。更に、グレーデッドアプローチ(リスクや重要度に応じて規制の厳しさを調整する)を規制プロセス全体に適用することで、規制システムの全体、特に許認可プロセスの実効性を高められると指摘した。また、5月14日に行われた、全国原子力発電所所在市町村協議会の年次総会に原子力規制庁の児嶋洋平次長が登壇。今回のIRRSミッションでの勧告に触れ、提言を踏まえて、規制委は安全のレベルを下げることなく、グレーデッドアプローチに基づく規制制度の改善に取り組むと述べた。IRRSは、IAEAが加盟国の要請に基づき原子力利用の安全確保に向け実施しているレビューサービスの一つ。専門家で構成されるレビューチームにより、対象国の原子力規制に関し、その許認可・検査に係る法制度、関係組織も含む幅広い課題について、規制当局や被規制者へのインタビュー、原子力施設への訪問などを通じた総合的レビューを実施し助言・勧告を行う。今回のチームは18名の専門家と5名のIAEAスタッフからなり、日本の原子力及び放射線安全に関する政府、法的、及び規制の枠組みをレビューした。レビュー範囲は、政府の責任と機能、規制機関の責任と機能、許認可など多岐に渡り、11の項目にまとめられた。なお報告書は、ミッション期間中に実施された政策に関する議論を含む12項目で構成されている。
- 19 May 2026
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IAEA ALPS処理水の「第6回安全性レビュー」を開始
国際原子力機関(IAEA)の職員と専門家で構成されるIAEAタスクフォース※1がこのほど来日し、福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に関する安全性及び規制面のレビュー(安全性レビュー)を、5月11日に開始した。また、同日、外務省にてオープニングセッションが開かれ、日本側から、外務省、原子力規制委員会、経済産業省、東京電力の関係者が出席した。安全性レビューは5日間の日程で実施され、今回はALPS処理水に関連するモニタリング活動に重点を置いたレビューが行われるという。2023年8月のALPS処理水の海洋放出開始後、IAEAタスクフォースによる「安全性レビュー」はすでに5回(2023年10月、2024年4月、2024年12月、2025年5月、2025年12月)実施されており、今回で6回目となった。オープニングセッションでは冒頭、外務省の松本恭典氏(軍縮不拡散・科学部審議官)が、「ALPS処理水の海洋放出が安全かつ着実に進められていることを、大変心強く感じている。また、IAEAが中立的かつ客観的な立場で継続的にレビュー活動を実施していることに対し、深く感謝申し上げる」と述べ、改めて謝意を表明した。また、経済産業省の宮﨑貴哉氏(大臣官房福島復興推進グループ原子力事故災害対処審議官)は、今後もIAEAによる同レビューを通じ、国際安全基準に沿ったALPS処理水海洋放出の安全確保に万全を期す考えを改めて表明。あわせて、IAEAと連携しつつ、国内外に向けた透明性の高い情報発信を継続し、理解促進に努めていく方針を示した。東京電力の佐藤学執行役員は、「2023年8月以降、計19回のALPS処理水放出を実施してきたが、いずれも安全かつ計画通りに進めてきた」と説明。また、IAEAによる同レビュー活動に加え、SNSを通じた情報発信や、IAEA常駐検査官・職員による監視活動が「透明性向上につながっている」と述べた上で、客観性と透明性の維持に向け、今後も常に改善に努めていく姿勢を強調した。同レビューを総括しているIAEAのグスタヴォ・カルーソ調整官は、今後もIAEAがALPS処理水の放出に関する独立した監視機関の中心的役割を担うと説明。モナコやオーストリア・ザイバースドルフ、ウィーンのIAEA環境研究所およびIAEA福島ALPSラボにおいて、各種試料(処理水、希釈水、海洋環境サンプルなど)に関する分析、検証を継続し、分析・検証結果を国内外へと発信すると述べた。またカルーソ調整官によると、2025年から海洋環境、地下水、気象条件に関する追加モニタリングも開始しており、2026年には追加措置プログラムも本格化すると説明した。カルーソ調整官は、「IAEAは今後も、独立性、科学的根拠、透明性に基づくモニタリングを継続していく」と述べた上で、福島で行われているALPS処理水の放出が関連するすべての国際安全基準と整合していることを、引き続き検証していく考えを示した。※1 IAEAタスクフォースには、IAEAからは独立した立場で参加するアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、韓国、マーシャル諸島、ロシア、英国、米国、ベトナム出身の11名の専門家が含まれる
- 13 May 2026
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チョルノービリ事故から40年 NSC復旧に資金提供
ウクライナのチョルノービリ原子力発電所4号機の事故から40年を迎えた4月26日、同発電所のサイト内で「国際復興・原子力安全会議」が開催された。同会議では、2025年2月のロシアのドローン攻撃により損傷した新シェルター(New Safe Confinement: NSC)の修復に向けた資金調達活動が開始された。同会議にはウクライナのV. ゼレンスキー大統領、D. シュミハリ第一副首相兼エネルギー大臣のほか、国際原子力機関(IAEA)のR. グロッシー事務局長、欧州復興開発銀行(EBRD)のO. ルノーバッソ総裁、欧州委員V. ドンブロフスキス氏(経済担当)とD. ヨルゲンセン氏(エネルギー担当)、パートナー国のエネルギー大臣らが出席した。暫定的な推計では、NSCの修復および安全性向上の費用は約5億ユーロに達する。2028年から2030年にかけて修復作業を実施する予定である。EBRDはチョルノービリ原子力発電所側と、EBRDが管理する国際チョルノービリ協力基金(ICCA)からNSC修復の早期のエンジニアリングおよび調達作業向けに3,000万ユーロを割り当てる合意文書を締結。会議ではまた、パートナー国による約1億ユーロ拠出の初期コミットメントが発表され、NSC修復と原子力安全強化に充てられることとなった。シュミハリ大臣は、財政資源の動員プロセスでリーダーシップを発揮するEBRD、ウクライナのエネルギーシステムの強靭性強化を支援するIAEA、欧州連合、パートナー国政府に謝意を示した。同会議では、NSC修復に向けたウクライナの取り組みを支持する共同声明を採択。同声明には、日本を含む26か国が参加している。
- 01 May 2026
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セルビア 原子力導入をめぐり仏EDFと協議
セルビアのD. ハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー大臣は3月13日、フランス電力(EDF)のB. フォンタナ会長兼CEO一行と会談。セルビアにおける原子力分野における協力の継続について協議した。セルビアでは2024年11月、エネルギー安全保障の確保に向けて、エネルギー法改正法案が採択され、旧ユーゴスラビア時代の1989年、チョルノービリ事故から3年後に施行された原子力発電所建設のモラトリアムが、35年ぶりに解除されている。ハンダノヴィッチ大臣は、セルビアではまだ原子力開発に必要な法制度および組織的枠組みが整っていないため、その分析と整備も協力分野の一つであると指摘。原子力プログラム実施のための組織(NEPIO)については近い将来に設立されることも明らかにした。加えて、原子力発電所の建設とプログラム開発が、経済成長の促進、サプライチェーンの形成、雇用創出をもたらすとし、人材面では国内専門家の活用に加え、特に教育・訓練の強化を重視しており、海外での人材育成実績のあるEDFとの協力に期待を寄せた。さらに、ハンダノヴィッチ大臣は4月7日、原子力発電導入計画の第1段階における調査準備に関して、省庁間専門家作業部会の分科会リーダーらと協議。政府が原子力発電導入計画について十分な情報に基づく意思決定を行うために必要なすべての調査を完了させ、2032年までに炉型選定と建設契約の入札に向けた準備を整え、2040年以降に原子力発電所を稼働させる考えを示した。なお、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は2月23日、セルビアのA. ブチッチ大統領ならびにハンダノヴィッチ大臣と会談。原子力分野における協力拡大、ロスアトムの海外プロジェクトへのセルビア企業の参加、ロシアの大学におけるセルビア人学生への原子力関連分野の教育・研修機会の提供について協議。リハチョフ総裁は、ロシアは小規模から大規模プロジェクトまであらゆる原子力ソリューションをセルビアに提供する用意があると述べた。
- 13 Apr 2026
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原子力委員会でINSOの成果を報告 「成果はメダルにあらず」
原子力委員会は3月24日の定例会議で、昨年夏にマレーシアのバンギで開催された「第2回国際原子力科学オリンピック(INSO)」について、東京大学の飯本武志教授から報告を受けた。INSOでは日本代表の高校生4名が全員がメダルを獲得した。飯本教授は、INSO創設の背景として、IAEAのアジア太平洋地域技術協力プログラム(TCP)において、多くの国で原子力分野の人材育成体制が十分に整っていないという問題意識があったと説明。2010年代前半から中高生向け教育強化の議論が進み、2024年にフィリピン・クラークで第1回大会が開催されたと述べた。その上で、「成果はメダルではなく、原子力の平和利用への理解深化や国際連携の促進、人材育成にある」と強調。参加者には知識だけでなく、コミュニケーション能力や主体的な発信力の向上を期待する考えを示した。委員からは、全員メダル獲得を評価する声とともに、参加学生の動機が純粋な探究心に基づく点を評価する意見が上がった。質疑では、今後の継続的な運営に向けた課題についても議論が行われた。委員からは「高いレベルの大会に挑戦する高校生の存在自体が大きな発見」との指摘があり、挑戦を支える仕組みづくりの必要性を問う声も上がった。これに対し飯本教授は、認知度向上と裾野拡大が課題であり、現状は関係者のネットワークに依存していると指摘。大学や研究機関にとどまらず、民間も含めた展開が必要との認識を示した。会議には、金メダルを獲得した田中優之介さん(私立東海高等学校3年 ※当時)も出席し、「原子力を知る入り口として取り組みやすく、実物を見ることで理解が深まった」と振り返った。また、海外選手との交流を通じて「多くのつながりが生まれ、大きな財産となった」と述べた。上坂充委員長は、「今回得た経験やネットワークを今後に活かしてほしい」と期待を示し、INSOについて「国際的なネットワーク形成と次世代人材の育成の観点から意義深い」と評価した。
- 10 Apr 2026
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緊迫する中東情勢 原子力の再評価が高まる-パリで原子力エネルギー・サミットが開催
フランス・パリで3月10日、フランス政府と国際原子力機関(IAEA)共催による第2回「原子力エネルギー・サミット」が開催された。原子力エネルギー利用に対する世界的な関心が高まる中、国家元首や政府首脳、国際機関や金融機関のリーダー、業界の専門家が一堂に会し、主要なエネルギーおよび気候課題に対処する上での民生用原子力エネルギーの役割について議論した。原子力は現在、世界の総発電電力量の約10%を占めており、多くの国で低炭素かつ安定した電源として、再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担っている。2025年9月、IAEAは5年連続で原子力拡大の予測を上方修正し、世界の原子力発電設備容量が2050年までに倍増する可能性があるとの見通しを発表。電力需要の増加、脱炭素化の必要性、エネルギー・セキュリティを背景に、同サミットは国際協力を強化し、民生用原子力の安全かつ持続可能な発展にむけた具体的な解決策を模索する重要な機会と位置付けられた。2024年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された前回のサミットをふまえ、本サミットでは原子力発電国と、原子力導入を検討している新興国との間で国際協力を推進するとともに、国家、国際機関、金融界、産業界間のパートナーシップを促進させて、気候目標に沿った、安全で経済的に実現可能な民生用原子力エネルギーの開発の基盤を築くことを目的としている。さらに、2026年春に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、最高レベルの安全、安全性、核不拡散の確保という国際的な公約に沿った原子力エネルギーの平和利用を強調している。サミット冒頭、フランスのE. マクロン大統領は、民生用原子力発電がエネルギー・セキュリティの確保に寄与しており、「フランスの2025年の原子力発電電力量は約3,700億kWhを記録し、900億kWh以上のカーボンフリー電力を輸出した。原子炉の国内における新規建設プログラムも前進している。より不安定で、断片化し、不確実な世界において、それは主権の選択であり、競争力の選択であり、未来への保証でもある。フランスはこの選択をした」と強調した。続けて、IAEAのR. グロッシー事務局長は、「原子力は、低炭素で天候や燃料供給の混乱の影響を受けにくい安定した電源として、エネルギー・セキュリティと電力システムの安定に寄与する。再生可能エネルギーの導入を支えるベースロード電源として、AIの普及などによる電力需要の増加にも対応可能。現在、約60か国が導入を検討しており、原子力の拡大には予測可能な政策、強固なサプライチェーン、資金調達、標準化の推進が重要となる。IAEAは国際金融機関と連携し、各国の原子力導入を支援している」と語った。欧州委員会のU. フォンデアライエン委員長は、欧州は、化石燃料を高価で不安定な輸入に完全に依存し、現在の中東危機はその脆弱性を痛烈に思い知らせたと言及。「1990年は欧州の電力の3分の1が原子力由来だったが、現在は15%程度に過ぎない。欧州が、信頼性が高く廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった」と述べた。「欧州には自国産の低炭素エネルギー源が必要だ。原子力と再生可能エネルギーの組み合わせが重要であり、原子力は24時間、年間を通じて電力供給が可能である」と原子力の優位性を強調。そのうえで、「欧州には主導権を握るための全てが揃っている。原子力分野には50万人の高度な技能を持つ労働者がいる。欧州が次世代原子力エネルギーの世界的拠点となるために、我々は迅速かつ大規模に前進する意欲がある」とし、「2030年代初頭までにSMRの欧州における実用化を支援するため、革新的原子力技術への民間投資を後押しする2億ユーロの保証枠を創設する」と新たなSMR戦略を明らかにした。その後、各国首相および政府首脳の声明が行われ、午後には、パネルおよび円卓会議で、エネルギー転換およびカーボンフリー電力へのアクセスにおける原子力の役割、特に新規導入を検討する諸国の原子力プロジェクトを支える資金調達、SMRを含む先進炉技術とイノベーション、産業利用の可能性のほか、燃料供給保証、使用済み燃料や廃棄物の管理、施設の建設・運営に必要なスキルやサプライチェーンの開発などについて議論された。なお、同サミットにおいて、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28、於UAE・ドバイ)で署名された、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にするという「原子力の三倍化宣言」にあらたに、ブラジル、ベルギー、中国、イタリアが署名した。今年3月初めに署名した南アフリカと併せ、署名国は38か国((アルメニア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、日本、カザフスタン、ケニア、韓国、コソボ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ナイジェリア、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、セネガル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国 (以上38か国)))に拡大した。
- 11 Mar 2026
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中国 北山地下研究所プロジェクトで地下の主体構造が完成
中国甘粛省の酒泉市の北山(Beishan)地区における高レベル放射性廃棄物(HLW)処分研究施設「北山地下研究所」の建設プロジェクトにおいて、12月26日、螺旋状スロープの工事が完了。「スロープ+3本のシャフト+2層の試験用トンネル」からなる地下の主体構造が完成した。北山地下研究所建設プロジェクトは2016年3月、中国の「国家経済社会開発第13次5か年長期計画」における100の主要プロジェクトの一つに指定された。HLWの処分問題解決を目的とし、包括的な機能を有する世界最大規模の研究開発のプラットフォームとして、同国北西部のゴビ砂漠地帯で計画が進められている。同建設プロジェクトは2019年5月に国家原子能機構(CAEA)による認可を経て、中国核工業集団(CNNC)傘下にある北京地質研究院が設計・建設を担当して進められている。2021年6月に起工式が開催。中国が自主開発した極硬岩掘削機「北山1号」にて2023年1月に正式に掘削を開始した。周囲の岩石損傷を最小限に抑えながら、断面直径7mのスロープ約7,000mを掘削、最大掘削距離21.6m/日、342m/月を達成した。北京地質研究院が2020年6月に作成した同建設プロジェクトの環境影響(評価)報告書によると、同施設は螺旋状のスロープと3本のシャフト(1本は人員用、2本は換気用)、地下280mと560mに設置のトンネルで試験を行う構造。受入れ可能な廃棄物容量は51万4,250㎥。2027年の建設完了を予定し、施設としての耐用年数は50年、総工費は27億2,313万元(約613億円)と見込む。なお、建設工事と科学研究試験の同時展開が北山地下研究所の特徴であり、CAEAの支援の下、建設中に9つの科学的研究プロジェクトが同時に実施され、サイト特性の精緻な評価、ならびに深部岩盤掘削および現地試験にむけた主要な技術の研究開発が実施されている。CAEAは、HLWを長期的に管理する科学研究モデルの開発に取り組んでいるが、地下研究所の研究開発等に基づいてHLWを地層処分する革新的なシステムの確立を目指し、国内外の研究者と交流を進めている。こうした中、国際原子力機関(IAEA)は2021年10月、北京地質研究院を「IAEA高レベル放射性廃棄物地質処理協力センター」に指定。中国はIAEAとの交流・協力を継続し、HLW地質処分場の選定・評価、地下試験室の設計・建設、緩衝材の研究開発を行い、科学研究の骨幹や専門家を育成していく方針である。中国は、北山施設での研究・試験(~2040年)を経て、地層処分施設の建設を2041~2050年に計画している。
- 09 Jan 2026
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