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米DOEが塩化物熔融塩実験炉開発に追加資金 2027年に初臨界達成をめざす
米大手電力会社のサザン・カンパニーと海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英コアパワー社は10月14日、米エネルギー省(DOE)が「塩化物熔融塩実験炉(Molten Chloride Reactor Experiment, MCRE)」開発の最終段階を加速するため、費用分担型の追加資金支援を承認したことを明らかにした。MCREの開発はDOEの先進炉実証プログラム(ARDP)の下で実施され、アイダホ国立研究所(INL)サイト内にある国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)の試験ラボに設置する計画。サザン・カンパニー、コアパワー社、DOEが共同で取組む官民プロジェクトで、早ければ2027年に初臨界達成が予想されている。MCREが臨界に達すれば、塩化物熔融塩実験としては世界初。高速中性子を利用するMCRE(150kWth)は、液体塩を燃料および冷却材として使用。液体燃料塩は、従来炉の固体燃料棒と比べて高温運転が可能で燃料効率が高く、また安全性の強化が期待されている。INLはこうした特性により、船舶用の小型原子力システムや遠隔地など、新たな応用分野が開かれる可能性を指摘している。2020年12月にDOEの先進炉実証プログラム(ARDP)の将来実証炉リスク低減プロジェクトの枠組みの支援対象に選定され、7年間の事業総額1億1,300万ドルのうち、DOEが80%に当たる9,040万ドルを支援する。今回の追加支援額は公表されていない。MCREの目的は、燃料の挙動、原子炉の運転特性、システム性能などに関するデータを取得し、テラパワー社およびサザン・カンパニーが開発を進める塩化物熔融塩高速炉(MCFR)の2030年代の商業化に資すること。これまで計算モデルに依存していた炉の挙動について、実際に核分裂連鎖反応が持続する状態で測定したデータを得ることが重要となる。INLの原子力科学・技術部門の責任者J. ゲーヒン氏は、実測データによって計算モデルの精度を高め、将来の原子炉設計者や規制当局が抱える技術的不確実性を低減できると説明。一方、サザン・カンパニーは産業界と政府、研究機関の連携によって技術開発を加速させる意義を強調している。また、コアパワー社のM. ボーCEOは、実験結果は、商業展開に向けた炉設計や許認可手続き、新たなサプライチェーンの構築に役立つとし、将来的には大型商用船舶への導入を視野に入れている。MCFRは、産業用熱源や医療用放射性同位体の製造、使用済み燃料から回収したアクチノイドの再利用などへの応用も期待される。燃料は液体塩化物に溶解されるため、将来のシステムでは新しい固体燃料集合体を繰り返し製造することなく、長寿命核種のアクチノイド元素をリサイクルし、最終処分を必要とする廃棄物量の低減や管理期間の短縮が可能となる見込み。燃料のクローズド・サイクルと船舶用原子炉の融合により、持続可能で排出ゼロの動力源が海上における世界貿易の輸送方法を一変させる可能性がある。
- 23 Oct 2026
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NASAとDOE 宇宙探査向け原子力技術開発を加速
米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は10月8日、宇宙探査向け原子力技術開発の加速に向けて覚書「宇宙原子力発電・推進分野における米国の主導的地位の確立(Accelerating American Leadership in Space Nuclear Power and Propulsion)」を締結した。NASAの J. アイザックマン長官とDOEのC. ライト長官が署名し、2026年11月1日に発効する。今回の覚書は安全性を最優先に、先端研究や原子燃料の製造から、厳格な試験、打上げと運用に至るまで、宇宙用原子力技術の開発全般にわたる協力の枠組みを定めたもの。米国が宇宙探査における原子力技術の開発から実用化までを一体的に進め、国内の宇宙原子力産業基盤の強化と宇宙原子力分野での国際的な主導権の確保をめざしている。この協力の背景には、D. トランプ米大統領による2025年12月の大統領令「米国の宇宙における優位性確保」がある。同令ではNASAに対し、2030年までに月面原子炉を運用可能な状態にするよう指示。月面では、約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になる。宇宙用原子力技術の中核となる計画の一つが、2028年までに打上げを予定する原子力電気推進(NEP)を採用した惑星間宇宙船「スペース・リアクター1(SR-1)フリーダム」。原子力推進技術を実際の深宇宙探査に適用する計画で、実現すれば、原子力推進技術が実験室での研究段階から実運用へと進むことになる。これに続く「ルナー・リアクター1(LR-1)」は、月面で使用する核分裂発電システムで、居住区や通信、機器、ローバー(探査車)など、月面の重要インフラにエネルギーを供給し、将来の火星ミッションを見据え、深宇宙探査で求められる厳しい電力供給条件に対応できる技術の確立を図る考えだ。NASAとDOEは、核分裂炉だけでなく、放射性同位体熱電気転換器(RTG)システムの活用も進める。RTGは放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源。2028年打ち上げ予定の土星の衛星タイタン探査機「Dragonfly」には、多目的RTGと24基の軽量放射性同位体ヒーターユニットが搭載される。これらは探査機への熱や電気の供給を担い、Dragonflyはタイタンの複数地点を飛行・探査し、生命の存在可能性を調べるという。また、火星で過去および現在の生命の可能性を調査する欧州宇宙機関(ESA)の「Rosalind Franklin」ローバーに対しても、NASAとDOEは同様のヒーターユニット24基を提供する計画である。
- 21 Oct 2026
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米ABSとDOE 海上における商用原子力技術推進で協力
米国船級協会(ABS)と米エネルギー省(DOE)原子力局は10月12日、海上での最新の商用原子力技術の活用促進に向けた覚書を締結した。本合意は、浮体式原子力発電所や原子力推進船舶に加え、それらの建造・維持に必要な港湾、造船所、産業基盤の整備を対象としている。優先事項として、浮体式原子力発電および原子力輸送ルートに関する概念・実現可能性調査のほか、原子力推進船を安全に建造・運用できる米国の造船業界の育成支援を掲げている。ABSは、米運輸省海事局(MARAD)傘下の米国海事イノベーションセンター(USCMI)を通じて、関連業務の調整を行う。ABSのJ. マクドナルド会長兼CEOは「先進原子力技術は構想から実用化へと移行しつつあり、海運業界はそれに備える必要がある」と述べ、DOEや業界と協力し、原子力技術を商業海事分野で安全かつ実用的に活用できる選択肢として確立していく意欲を示した。ABSは、原子力技術の海事利用に向けた取組みを先導しており、浮体式原子力発電所に関する業界初の包括的な船級規則を公表したほか、さまざまな原子力プロジェクトに基本設計承認(AiP)を発給している。一方、DOEは、浮体式原子力発電や原子力推進船舶の導入を進めるため、米国内の政府機関と海事産業との調整・連携を促進する。本覚書に基づき、ABSと海事原子力応用グループ(MNAG)を共同運営し、概念検討や実現可能性調査に関して、技術、規制、経済、政策の各面から検討を進める。また、DOE傘下の国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)は海事・原子力分野の専門家を結びつけ、海事分野における先進原子力技術の実証と商業化を促進するため、MNAGを支援している。DOEのT. ガリッシュ原子力担当次官補は「先進原子力技術には、商用海運業界を変革し、新たな市場を切り拓く可能性がある」と述べ、新興産業における米国の主導的な役割に期待を寄せた。
- 20 Oct 2026
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米ディプロイアブル・エナジーのマイクロ炉 DOMEでフルパワー試験へ
米原子力新興企業のディプロイアブル・エナジー(Deployable Energy)社は10月7日、アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)が運営する「マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments: DOME)」テストベッドで、2027年に同社が開発するマイクロ炉のフルパワー試験を行う事業者に選定されたことを明らかにした。今回の選定を受け、同社はマイクロ炉「ユニティ・ニュークリア・バッテリー(Unity Nuclear Battery)」の商業展開に向けた取組みを推進していく。「ユニティ」は今年6月30日、INLでゼロ出力臨界試験を成功裏に完了した。2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉の臨界到達という目標を達成した4基のうちの3基目である。ユニティはプロジェクト開始から約150日後に臨界を達成。ディプロイアブル社はNRICの「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下で臨界を達成した初企業である。DOMEでの試験は、2026年7月の申請を経て選定され、試験に係るコストは自己負担となる。「ユニティ」は、0.1万kWeの軽水減速・ヘリウム冷却式のマイクロ炉。コンパクトなモジュール式、かつ運搬可能な原子力発電システムで、遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。DOMEは、先進原子力への需要拡大を背景に、産業界向けの実証用に開発され、2026年4月に稼働を開始した。こうしたニーズに対応できる専用の試験環境は、米エネルギー省(DOE)の国立研究所のみが提供可能とされている。2025年5月に発令された先進原子力の開発加速に関する大統領令を受け、テストベッドの建設は当初計画より約1年前倒しで進められた。DOMEは、高さ約30m、直径約24m、高速増殖実験炉II(EBR-II)の格納容器構造を再利用して建設された。同施設で、実験用原子炉の概念試験や将来の商業用ライセンス申請に活用可能な性能データを収集する。原子炉の開発時間やコストの削減、プロジェクトリスクの低減につなげるのが目的。最大2万kWtの熱出力をもつマイクロ炉の実験用に特別に設計され、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つなど、世界で唯一の試験施設だという。ディプロイアブル社のB. ギャラガー共同創業者兼CEOは「DOMEにより、実験のために特注の原子力施設を建設することなく、フルパワー試験運転へ持ち込むことができる。原子炉を建設し、迅速に学び、製造段階へ移行する――これこそが、先進原子力産業に必要なモデル。INLでの2027年の実証実験により、『ユニティ』は実用化に一歩近づく」と述べた。同社はユニティの開発において、1. 工場での燃料装荷、2. 燃料装荷済み原子炉の輸送、3. DOMEへの原子炉の設置・展開および定格出力運転の実施、4. DOMEでの運転終了後、INL内での原子炉の再配置、5. 燃料の処分完了、の一連の取組みを実施し、原子炉システムのライフサイクル全体を実証する計画である。これにより、原子炉とその支援システム全体にわたる統合的な性能データを得て、再現性のある製造、輸送、運転の基盤を築きたい考え。臨界試験と同様に、DOMEでのフルパワー試験を米原子力規制委員会(NRC)は注視しており、ディプロイアブル社は、商用展開の実現に必要な許認可取得への取組みにおいて重要な一歩になるとしている。ディプロイアブル社は今後数か月にわたり、NRICおよびINLと協力し、2027年の試験に向けた設計、実験計画、燃料、安全性、および運用準備に取組む。なお、同社はDOMEで自社技術をテストする2社目の企業。これに先だち、ラディアント(Radiant Industries)社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)が試験を実施している。同炉は、2025年8月にDOEの先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉。
- 16 Oct 2026
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米DOE ビストラの原子力発電所に42億ドルを融資へ
米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing, EDF)は10月5日、米電力大手のビストラ(Vistra)社に対し、同社がペンシルベニア州とオハイオ州で運転する3つの原子力発電所の出力増強や改造工事を資金面で支援するため、最大42億ドルの条件付き融資を行うと発表した。融資の実行には、ビストラ社が技術面、法務面、環境面、財務面で一定の条件を満たす必要がある。本融資は、13州にまたがる系統運用者PJMの管轄地域で増大する電力需要への対応や電力の安定供給、送電網の強化、エネルギーコスト削減が目的。対象となるのは、ペンシルベニア州にあるビーバーバレー(PWR, 95万kW級×2基)、オハイオ州のデービスベッセ(PWR単機, 92.5万kW)、ペリー(BWR単機, 130.3万kW)の各発電所。300万世帯以上に電力供給が可能な約400万kWの設備容量が維持されるとともに、43.3万kWの設備容量が追加され、ペンシルベニア州やオハイオ州、およびPJM地域全体での電力需要増に対応する。発電所の改造工事に伴い、エンジニアリング、建設、停止期間中の保守作業など、プロジェクトに関連して約3,000人の雇用が創出されるほか、数千人分の高賃金の常勤雇用も維持されると見込まれている。米IT大手のメタ・プラットフォームズ(Meta)社は2026年1月、データセンターやAIインフラの稼働に必要な電力の安定確保を目的に、これら3つの発電所から計217.6万kWの電力を2026年後半から20年間購入する電力購入契約(PPA)を締結し、これら発電所で2034年までに計43.3万kWの出力増強を行う計画を支援することでも合意している。ビストラ社によるこれらの発電所への投資は、同等規模の新規建設をすることなく既存発電所の発電能力を増強するとともに、運転認可の20年間延長に向けた取組みを支える。なおDOEによる本融資には、同社がテキサス州で運転するコマンチェピーク発電所(PWR, 125万kW級×2基)における将来的な出力増強への資金提供オプションも含まれている。コマンチェピーク発電所については、ビストラ社は2025年9月、Amazon Web Services(AWS)社と同発電所から最大120万kWの電力を20年間供給するPPA(最大20年間の延長オプション付き)を締結している。電力供給は2027年第4四半期に開始され、2032年までに最大量に達する見込み。
- 14 Oct 2026
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米セントラス マイクロ炉向けHALEUを供給へ
米国の濃縮事業者であるセントラス社は、米マイクロ炉開発事業者であるラディアント・インダストリーズ社およびアンタレス・ニュークリア社と、それぞれ高純度低濃縮ウラン(HALEU)の複数年供給契約を締結した。ラディアント・インダストリーズ社とは9月9日に契約を締結。同社が開発する、ヘリウムガス冷却マイクロ炉「カレイドス」(電気出力約0.1万kW)は、遠隔地やデータセンター、米陸軍の「ヤヌス計画」などの防衛やその他の商業・産業用途を想定した可搬型マイクロ炉。ラディアント社は「カレイドス」の試験を経て、商業利用や国家安全保障分野への展開をめざしており、今回の契約によりHALEUを確保し、原子炉本体の開発と並行して燃料供給体制を強化したい考え。一方、アンタレス・ニュークリア社とは9月17日に契約を締結した。同社は、ナトリウムヒートパイプ冷却マイクロ炉「R1」(電気出力100kW~1,000kW)を開発しており、今回の契約により、宇宙・国家安全保障分野を含むR1の開発・展開に必要なHALEUを確保する。R1は、ノースカロライナ州フォート・ブラッグにおける米陸軍の「ヤヌス計画」やテキサス州サンアントニオ統合基地における米空軍の「先進原子力プログラム(ANPI)」にそれぞれ採用されている。また、宇宙用原子炉の実証を目的とした宇宙軍の「戦略的ブレークスルー賞」にも選定されている。セントラス社は米エネルギー省(DOE)とのHALEUの実証生産に関する2022年の契約に基づき、オハイオ州パイクトンにある米国遠心分離濃縮プラント(ACP)で2026年6月末までに累計1,900kg以上のHALEUを生産した。現時点でACPは西側諸国で唯一、HALEU生産の認可をもつプラントである。米国が最後に所有した大規模なウラン濃縮工場(ガス拡散法)は1950年代に建設され、2013年に永久に閉鎖されており、米国は現在、濃縮ウラン供給を海外企業に完全に依存している。今後数年で原子力発電向け需要の増大が予想され、2028年からロシア産濃縮ウランの輸入が完全に禁止される中、米国所有のウラン濃縮能力の拡大が喫緊の課題となっている。こうしたなか、セントラス社は2025年12月、HALEUおよび低濃縮ウラン(LEU)の大規模生産を含む、数十億ドル規模の拡張計画を開始。今回の供給契約では代金の前払いが定められ、同社の生産能力拡大を資金面で後押しする。同社は商業利用や国家安全保障分野向けの可搬式マイクロ炉の展開に向けて、2020年代末までにHALEUの供給を開始する計画だ。なおセントラス社は、同社のAC100遠心分離機について、実用化段階にある唯一の米国発祥の技術であり、製造も国内のサプライチェーンに依存していると強調。このため、海外起源の技術や資材使用による平和利用上の制約を受けず、国家安全保障/防衛用途に使用可能になるとしている。
- 30 Sep 2026
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フラマトム 米国で先進炉向け燃料製造を推進
仏フラマトム社は7月23日、同社が米ワシントン州で操業するリッチランド燃料製造施設で濃縮度10%までの燃料製造を可能にするライセンス修正申請(LAR)を米原子力規制委員会(NRC)が承認したことを明らかにした。これにより米国内での先進炉向け燃料の生産能力を拡大し、小型モジュール炉(SMR)やマイクロ炉を含む次世代炉の導入加速を支えていく方針。フラマトム社は2024年9月、LARをNRCに提出。今回の承認は、同サイトで乾式転換プロセスを活用し、六フッ化ウラン(UF6)を酸化ウラン(UO2およびU3O8)粉末への転換を可能にするもの。同工程で製造される燃料は、既存の軽水炉燃料よりもさらに高い濃縮度を必要とする原子炉向けで、TRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料の製造も含まれる。今年5月には既存の軽水炉市場向けのLEU+(濃縮度5%超の燃料)製造を可能にするライセンス変更の承認もNRCから得ており、燃料交換サイクルの延長を含む、安全で信頼性の高い経済的な燃料サイクルを支援していく。2025年9月、フラマトム社は米国内唯一の独立系TRISO燃料製造事業者であるスタンダード・ニュークリア社と、特定の炉型に限定しない合弁企業を設立している。SMRやマイクロ炉を含む先進炉の開発・運転事業者向けのTRISO燃料の市場投入が目的。今回の承認を受け、予定通りにリッチランド・サイトで設備の試運転を開始し、年間数トン規模のTRISO燃料を生産する。現在の生産能力から大幅な増産となるという。同サイトでは現在の需要に応えるため、2027年にUO2粉末およびTRISO粒子の製造開始を予定している。さらにフラマトム社は、将来的には濃縮度20%までのHALEU燃料を製造する計画である。米エネルギー省(DOE)に対し、HALEU導入に向けた支援金の申請をしており、必要な設備やシステムはすでに設計・解析済みのため、追加のライセンス修正も迅速に進められると見込んでいる。
- 19 Aug 2026
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米DOE 原子燃料サイクル・キャンパスの設置候補州を発表
米エネルギー省(DOE)は7月28日、国内の原子燃料サイクルの強化・近代化を目的とする「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス(Nuclear Lifecycle Innovation Campuses)」の候補地として、ユタ州、テネシー州、オクラホマ州、ルイジアナ州、アイダホ州の5州を選定したと発表した。同5州と覚書を締結し、ホストサイトとしての可能性を引き続き検討する。今回の決定は、DOEが今年1月、燃料サプライチェーンの強化、燃料サイクル全体の刷新を目的に、同キャンパスの誘致に関心を持つ全米の各州を対象に実施した情報提供要請(RFI)の結果を受けたもの。各州は2026年4月までに構想を提出。その中で、誘致を希望する活動のほか、労働力開発、インフラ投資、経済多様化、技術リーダーシップなどの推進に向けた方策について提示した。全米26州から28件の応募があり、DOEは今後、誘致を進めると選択した州と本格的な実施段階に向けたホスティング契約を締結予定。キャンパスは、燃料製造、濃縮、使用済み燃料の再処理、およびその最終処分を含む、原子燃料サイクルの活動を支援するように設計。州が誘致する活動や地域の能力に応じて、先進炉の導入、発電設備、高度製造拠点、データセンターの併設も想定されている。DOEは、1拠点当たり最大500億ドル(約7.8兆円)の民間投資を呼び込み、州・地方税収約100億ドル(約1.6兆円)、約2.5万人の雇用創出につながる可能性があると指摘している。
- 03 Aug 2026
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米国とサウジアラビアが原子力協定を締結
米エネルギー省(DOE)は7月22日、米国とサウジアラビアが民生用原子力協力に関する協定(通称123協定)、およびこれに伴う二国間保障措置協定を締結した。DOEのC. ライト長官とサウジアラビアのアブドルアジーズ・ビン・サルマン・エネルギー・産業・鉱物資源相が署名した。DOEは同協定を、数十年にわたる数十億ドル規模の協力の枠組みであり、サウジアラビアの原子力発電導入を米国製の技術と産業が支援する道を開くものと位置づける。DOEによると、本協定は2025年5月の大統領令「国家安全保障強化のための先進炉技術の導入」のうち、特に1954年原子力法第123条(改正)に基づく米国の民間原子力協力の国際パートナー拡大を支援する第8条(米国の原子力輸出促進)を基盤としている。米政府は、サウジアラビアの経済多角化や電力需要の拡大に対応するため、原子力安全、核セキュリティ、核不拡散の基準を堅持しながら、米企業が原子炉建設や関連インフラ整備に参画すると同時に、国内の原子力産業の育成や雇用拡大を図る方針。また、中東地域における米国の戦略的関与を強化し、中国やロシアに対する競争力を高めたい考えだ。サウジアラビア側も、原子力の平和利用におけるノウハウ、技術の交換を促進し、原子力安全、核セキュリティ、不拡散に関する国際基準を順守しながら、両国の相互利益に資する協力と投資の機会の拡大に期待を寄せている。本協定は今後、米議会での審議を経て正式に発効する見通し。現時点で協定本文は公開されていないが、D. トランプ米大統領は自身のソーシャルメディアで、協定ではサウジアラビアによるウラン濃縮を認めていないとしている。また、協定の承認の条件として、サウジアラビアが、「アブラハム合意」((2020年にイスラエルと複数のアラブ諸国が結んだ国交正常化協定の総称。2020年8月にアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの間で締結された外交合意により、両国は平和条約を結び、国交を正常化。その後、バーレーン、スーダン、モロッコも同様にイスラエルとの関係正常化に踏み切り、合意の枠組みは複数国に拡大した。第一次トランプ政権の仲介によって実現した。))に加盟することが必須であると述べている。
- 27 Jul 2026
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米パリセード 運転再開の準備が最終段階に
米ホルテック・インターナショナル社は7月2日、ミシガン州南西部にあるパリセード原子力発電所(PWR, 85.7万kW)の運転再開プロジェクトが大きな節目を迎えたと発表した。主要な改修・更新工事はすべて完了し、現在は保守点検や各種試験、検査、運転準備など最終段階の作業へ移行。運転開始に向けた仕上げのフェーズに入ったとしている。ホルテック社は、長期にわたり安全かつ安定して運転できる準備が整った時点で運転再開すると説明しており、具体的な運転開始予定日は示していない。最終段階において、タービン・発電機を大規模点検・補修後にターニングギアで低速回転させる段階への移行、新型燃料取扱機の据付・試験完了などを達成。また、原子炉圧力容器の検査、原子炉容器上蓋の重要機器の交換、原子炉冷却系の配管内部の化学洗浄や腐食防止処理、蒸気発生器の熱交換管の補修と内部洗浄、新燃料の受入れ・検査に加え、運転員の再教育・再資格取得など、運転再開に必要な重要工事や準備を完了した。当初は2025年末~2026年初めにかけて送電開始を予定していたが、大がかりな工事により運転再開は遅延している。今後は運転指令センター(OCC)が中心となり、安全な起動に向けて、24時間体制で残る試験や確認作業を進めていくとしている。米原子力規制委員会(NRC)は2025年7月、技術審査を完了し運転再開に必要な主要許認可および規制措置を承認したが、原子炉を起動するには、最終的な試験や点検、保守を終え、NRCの検査・監督により、すべてが安全基準を満たしていると確認される必要がある。パリセード発電所は1971年に営業運転を開始。2022年5月の永久閉鎖後、翌6月に当時の所有・運転者であったエンタジー社からホルテック社に売却された。当初は廃止措置を前提とした取得だったが、脱炭素化の動きや新たに電力販売契約が成立したことなどにより採算性の見通しが立ち、方針を転換。ホルテック社は運転再開に向けた整備作業を進めるにあたり、米エネルギー省(DOE)から最大15.2億ドル(約2,400億円)の融資保証や州政府の支援を受けている。NRC委員や超党派の議員代表団も視察に訪れるなど、運転再開への関心も高い。ホルテック社は、すべての連邦規制要件と業界基準を満たしたうえで、運転再開を目指すとしており、このプロジェクトは米国初の商業炉の運転再開事例として、今後のモデルケースになると期待を示している。
- 15 Jul 2026
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米DOE 原子力サプライチェーン再建に向けた融資を発表
米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)は6月23日、米国の商用原子力サプライチェーンの再建に必要な長納期機器の調達資金を支援する、総額175億ドル(約2.8兆円)に上る条件付き融資を実施すると発表した。同融資制度により、米国で唯一、運転実績のある第3世代+(プラス)の大型炉であるウェスチングハウス(WE)社のAP1000(PWR, 125.0万kW)×10基の建設を支援する。DOEからの融資はWE社の特別目的会社(SPV)を通じて実施される見込み。SPVは全米で最大5社の電力会社・エネルギー企業と提携し、同融資制度の下で、1サイトに2基建設する。各プロジェクトはWE社と提携企業の共同所有となり、SPVは原子炉圧力容器や蒸気発生器などの長納期機器を2基分まとめて固定価格契約で調達する。これにより、建設・運転を最大3年前倒しするとともに、大量一括発注方式によるコストの削減、サプライチェーンの大幅な効率向上が見込まれている。2025年5月に発令された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」で設定された、2030年までに設計済みの大型炉10基の着工という目標を後押しするものとなる。なおDOEからの融資を受けるにあたり、WE社と提携企業はそれぞれ5億ドルずつ(合計10億ドル)自己資本を拠出する必要があり、各プロジェクトの機器調達は、自己資本の拠出時期などに応じて段階的に進められる。また、DOEが最終的な融資契約を締結・融資を実行する前に、WE社とその所有者、提携企業は一定の技術的、法的、環境的、および財務的条件を満たす必要がある。DOEによると、WE社はすでに建設予定地が特定されている候補企業7社と基本合意書(Letter of Intent)を締結しているが、企業名やサイトは明らかにされていない。WE社は2025年10月、株主である資産運用会社ブルックフィールド社(51%)とウラン供給大手カメコ社(49%)とともに、米商務省と原子力発電所の新設を推進する戦略的提携を締結。政府は融資面や許認可面で支援し、米国全土で少なくとも800億ドル規模のAP1000の新規建設を想定している。DOEは2024年時点の約1億kWeから2050年までに4億kWeへ原子力発電設備容量を拡大する目標を掲げており、多くの措置の実施を通じて、次世代の技術開発を加速させ、国内サプライチェーンを再建したい考えだ。
- 06 Jul 2026
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米国 3基目の先進炉が臨界を達成
米原子力新興企業のDeployable Energy社は6月30日深夜、アイダホ国立研究所(INL)において、同社が開発するマイクロ炉「Unity」のゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験を成功裏に完了した。これにより、2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された期限である7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉を臨界に到達させるという目標が達成された。今月初めには、Antares Nuclear社の「Mark-0」と、Valar Atomics社の「Ward 250」が、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)の下でゼロ出力臨界を達成している。Deployable Energy社のUnityは、国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)がアイダホ国立研究所(INL)で運営する「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下、初めて臨界を達成した原子炉。同イニチアチブは、RPPをさらに発展させた取組みで、DOEによる認可を活用した先進炉の認証・建設・実証を迅速に進め、その先の実用化・商用化に向けて支援する制度である。Unityは、コンパクトな0.1万kWe級の水減速・ガス冷却式の原子力バッテリー。遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。Unityは、プロジェクト開始から約150日の短期間で初臨界を達成した。今後は段階的な試験プログラムへと移行する。原子炉物理特性のさらなる検証、負荷追従運転の確認、固有安全性の検証、定格出力運転の実証などが含まれる。試験期間中に収集されたデータは、継続的なシステムの検証、性能の最適化、および今後の米原子力規制委員会(NRC)からの許認可取得および商用化に向けた取組みに活用される。DOEのC. ライト長官は、「昨夜、多くの人が実現不可能だと考えていたスケジュールで重要なマイルストーンを達成した。Unityのような先進的な原子力技術は、次世代の産業を支え、エネルギー安全保障を強化し、米国が世界の原子力イノベーションをリードし続けることを可能にする」と語った。
- 03 Jul 2026
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米オクロ セントラスとHALEU調達で提携
米国で先進炉と燃料リサイクルの開発を進めているオクロ社とウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー(旧・米国濃縮公社, USEC)社は6月18日、オハイオ州南部で建設を計画する「オーロラ(Aurora)」発電所向けに、高純度低濃縮ウラン(HALEU)を供給する意向表明書(LOI)を締結した。今回の合意は、HALEU燃料確保を確実なものとし、燃料供給能力の拡大を後押しするものと期待されている。オクロ社は同州南部パイクトンにあるセントラス社の米国遠心分離プラント(ACP)に隣接する120万kWe規模を想定したクリーンエネルギーキャンパスにおいて、最大5基のオーロラ発電所を建設する計画。契約が正式化すれば、セントラス社は2029年から数年間にわたりHALEUを供給する。同発電所は大手IT企業のMeta社のデータセンター向けに電力を供給する計画である。LOIでは、オクロ社が将来供給を受けるHALEU燃料の代金の一部を前払いする仕組みも検討されている。セントラス社による生産能力拡大を資金面で後押しするとともに、オクロ社としても燃料の安定確保につなげる狙いがある。この他、セントラス社は、ACPの大規模拡張を計画しており、数十億規模の民間資本に加え、米エネルギー省(DOE)からの今後10年間にわたる9億ドルの随時受注契約を活用する方針である。オクロ社はまた、米建設大手キウィット(Kiewit)社とも協力し、設計・調達・建設計画を進める方針である。本計画全体で、数十億ドル規模の民間クリーンエネルギー投資と、南オハイオに数百の雇用をもたらすと期待されている。オクロ社は今年3月、セントラス社のパイクトン・サイトでHALEUやその他の燃料サイクル技術のための再転換サービスの共同事業の実施に向けた協議を進めることでも合意している。発電、燃料供給、建設体制の一体的整備により、先進原子力産業の商業展開の加速が期待されている。開発中の「オーロラ」は、高速炉設計を採用し、構造を簡素化することで長期間の安定運転を目指す小型炉で、金属燃料を用いる点が特徴。現在、アイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設準備が進められている。
- 26 Jun 2026
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米国 2基目の先進炉が臨界を達成
米エネルギー省(DOE)は6月18日、Valar Atomics社の開発した試験用マイクロ炉「Ward 250」が、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)の一環として、ゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験に成功したと発表した。試験はユタ州エメリー郡のサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)で実施され、国立研究所の外でDOE認可を受けて建設された原子炉として初めて臨界を達成した事例となった。Ward 250は、2025年5月の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された7月4日までに少なくとも3基を目標とする臨界を達成した2基目の先進炉。これに先立ち、6月4日、アンタレス・ニュークリア(Antares Nuclear)社が開発した先進マイクロ炉「Mark-0」(ナトリウムヒートパイプ冷却炉)もRPPの下で、アイダホ国立研究所(INL)のサイトでゼロ出力臨界を達成した。Valar Atomics社のI. テイラー創業者兼CEOは、9か月前には何もなかった場所に原子炉を建設し、臨界達成という目標を実現したことを強調し、今後は7月4日(独立記念日および建国250周年)までに出力運転に向けて取組みを進めると述べた。Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWeのマイクロ炉。試験と評価のため、今年2月中旬に米軍機でカリフォルニア州からユタ州の空軍基地に空輸(米国史上初)され、同州USRELへ設置された。ユタ州のS. コックス知事は、Ward 250の臨界達成を受け、ユタ州は次世代の原子力技術の最前線にいることを誇りに思う、とコメントした。DOEのRPPは、革新的な先進炉の設計・実証を迅速に進めることを目的としており、その成功を踏まえてDOEは新たに「Nuclear Energy Launch Pad」を設立し、先進原子力技術の実用化と展開をさらに加速させる方針を示している。
- 22 Jun 2026
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ウレンコUSA 濃縮能力を大幅増強へ
ウラン濃縮会社のウレンコUSA社は6月2日、米国ニューメキシコ州ユーニスにある同国唯一の商業用ウラン濃縮施設の生産能力を約50%拡張する計画を明らかにした。数十億ドルを投資し、新たに遠心分離式の濃縮プラント施設を建設、カスケード最大24基、2,100 tSWU/年の生産能力を追加する。2032年から順次稼働し、2036年までの完成をめざす。既存の濃縮プラントの生産能力は4,300tSWU/年で、米国の濃縮ウラン需要の約1/3を占める。現在、700 tSWU/年の拡張プロジェクトも進行中で、2027年に完了予定。今回の拡張計画と併せると、2030年代には生産能力が7,000 tSWU/年以上となる見込みである。米国での拡張計画は、ウレンコ社がオランダ、ドイツで所有・操業する濃縮プラントの拡張計画と併せ、合計4,600 tSWU/年を拡張するプログラムの一環。今回の計画は、米国で原子力発電の利用拡大が進む中、原子燃料の安定供給体制を強化し、海外、とりわけロシアへの依存低減を目的としている。また、既存の軽水炉向け低濃縮ウラン(LEU)だけでなく、将来の先進炉向け燃料需要にも対応できる体制を整えたい考えだ。米国では、今後拡大する原子力発電向け燃料需要やエネルギー安全保障への対応を目的に、低濃縮ウラン(LEU)の供給能力の増強など、国内燃料サプライチェーンの再構築をめざす動きが本格化している。一例として、仏オラノUSA社は50億ドルを投資し、米国テネシー州オークリッジに遠心分離方式によるウラン濃縮工場「Project IKE」の建設を計画中で、初期の生産能力は4,000 tSWU/年を見込んでいる。同社は2026年3月に米原子力規制委員会(NRC)に建設・操業認可を申請し、NRCは5月21日、これを受理。NRCは、2025年5月の「NRC改革に関する大統領令」に従い、通常より短い12か月で審査する方針を示している。なお、オラノUSA社は2025年1月、米エネルギー省(DOE)より、国内のウラン濃縮能力強化を目的とする9億ドルの助成の対象に選定されているほか、テネシー州の原子力基金からも支援を受けている。
- 12 Jun 2026
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米先進炉が初臨界を達成 原子炉パイロットプログラム初の成功事例に
米エネルギー省(DOE)は6月4日、DOEの先進炉設計の開発・試験・認証の迅速化を目指した「原子炉パイロットプログラム」の一環として、原子力新興企業アンタレス・ニュークリア(Antares Nuclear)社が開発した先進マイクロ炉「Mark-0」(ナトリウムヒートパイプ冷却炉)が、アイダホ国立研究所(INL)においてゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験に成功したと発表した。今回の実証試験にはDOE、INL、BWXテクノロジー(BWXT)社に加え、将来的な利用者となる米陸軍も協力。「Mark-0」は、商用モデル「R1」マイクロ炉(電気出力100kW~1,000kW)の性能検証を目的とするもので、DOEの原子炉パイロットプログラムで進められている複数の先進炉の中で、最初に臨界達成に成功した。またMark-0は、1951年以来、INLで臨界を達成した53基目の原子炉となった。DOEは2025年8月、同年5月発令の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」を受け、先進炉の設計試験を迅速に進めるため、DOEの管理権限の下で「原子炉パイロットプログラム」を開始した。大統領令で示された期限(2026年7月4日、独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の試験炉で臨界達成を目指す目標が示され、同プログラムには10社11件の先進炉プロジェクトが選定されており、アンタレス社はその一つである。アンタレス社は、「2026年に臨界達成、2027年に『Mark-1』でのフル出力発電実証、2028年に軍事施設への実用配備を目指す」との目標を掲げている。同社のJ. ブランブルCEOは、構想開始からわずか12か月で臨界状態の原子炉を実現したとして、先進炉の迅速な認可・実証を可能にする新たなライセンスモデルを示したと強調している。Mark-0には、軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉「プロジェクト・ペレ」向けにBWXT社が開発したTRISO燃料が使用されており、今回得られたデータはプロジェクト・ペレにも還元され、将来の軍用マイクロ炉開発に活用される予定。また、炉心物理特性や計装・制御システムの挙動などを検証し、商用炉の設計高度化に必要なデータも収集。同社によると、この経験を通じて設計・認可・建設・試験までを短期間で実施できる体制を構築し、原子炉技術だけでなく、規制対応やサプライチェーン構築の知見も大きく向上したという。C. ライトDOE長官は今回の成果について、「40年以上ぶりに米国で民間開発の非軽水炉が臨界に到達した歴史的な出来事」であり、「米国の原子力産業復活の象徴となる瞬間だ」と評価。T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「1年足らずで臨界達成は不可能だと考えられていたが、それを実現したことは原子力の未来を切り開く成果である」と述べた。DOEは今回の臨界試験について、原子炉設計の安全性と運転性能を実証するだけでなく、将来の商用炉の設計や米原子力規制委員会(NRC)の認可手続きにも役立つ重要なデータを提供すると説明している。実用化されたマイクロ炉は、地上での分散型電源だけでなく、宇宙開発や軍事施設など安定した電力供給が求められる分野での活用も期待されている。
- 10 Jun 2026
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米オクロ 余剰プルトニウム利用プログラムの交渉対象に選定
米国の先進炉・燃料サイクル開発企業オクロ社は5月26日、米エネルギー省(DOE)の「余剰プルトニウム利用プログラム(Surplus Plutonium Utilization Program)」において、今後の交渉の対象企業に選定されたことを明らかにした。同プログラムは、米政府が保有する余剰プルトニウムを民間企業に提供し、厳格な安全保障・保障措置・核物質管理の下で先進炉向け燃料に転換することを目的としたもの。2025年5月発令の大統領令「国家安全保障のための先進原子炉技術の導入」「原子力産業基盤の再活性化」では、DOE長官に、米国内の原子炉向けにリサイクルまたは処理可能な有用ウランおよびプルトニウムのDOEの在庫内での特定ならびに余剰プルトニウムを処理・先進炉向け燃料として利用するプログラムの立上げを指示。DOEは、酸化物および金属形態の約19.7トンの余剰プルトニウムを、民間企業が利用可能な燃料にして処分する計画。2025年10月には、詳細な再処理・加工計画について、その資金調達計画やスケジュールを含め、民間企業からの提案募集(RFA)を開始した。オクロ社は他の4社とともに交渉対象に選定され、今回の決定を同社の燃料調達戦略を支える重要な一歩と位置付ける。なお、オクロ社の他にExodys Energy、Flibe Energy、SHINE Technologies、Standard Nuclearが交渉対象に選定されている。オクロ社のJ. デウィットCEOは、先進炉の普及において燃料供給が大きな制約になっていると指摘。今回のプログラムによって既存の余剰プルトニウムが「橋渡し的な燃料(bridge fuel)」となり、原子炉導入を早められる可能性があるとしている。同社はフランスを拠点とする先進炉開発企業ニュークレオ(newcleo)社と連携し、余剰プルトニウムの利用を主導する計画である。オクロ社がプロジェクトの中心的な役割を担い、ニュークレオ社は燃料製造に関する知見や資金面での支援を提供する構想だ。両社は、2025年10月から米国内で先進燃料製造インフラを整備するための戦略的提携を進めており、その中には余剰プルトニウム関連事業も含まれている。ニュークレオ社は関連プロジェクトに最大20億ドルを投資する可能性を示しており、2026年2月には米原子力規制委員会(NRC)と事前申請の協議も開始している。
- 05 Jun 2026
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米国で原子力モラトリアム撤廃進む 2016年以降6州が規制解除
米国では近年、電力需要の増加や脱炭素化の進展を背景に、原子力発電所の新設を制限してきた州レベルの「原子力モラトリアム(禁止・制限措置)」を見直す動きが広がっている。米エネルギー省(DOE)は5月19日、全米の原子力モラトリアムの現状を整理した資料を公表し、近年相次ぐ規制撤廃の動向を紹介した。米国では1970年代以降、使用済み燃料の最終処分問題などを理由に、16州が何らかの形で新規原子力開発を制限してきた。しかし近年は、AIの急速な普及にともなう電力需要の増加に加え、エネルギー安全保障や脱炭素化への対応を背景として、原子力を再評価する動きが強まっている。実際に2016年以降、ウィスコンシン州、ケンタッキー州、モンタナ州、ウェストバージニア州、イリノイ州、ニュージャージー州の6州がモラトリアムを撤廃した。このうちイリノイ州は2023年に30万kW以下の先進炉に限定して新設を認めた後、2026年1月には出力制限そのものを撤廃し、大型炉を含む新規建設を可能とした。また、ニュージャージー州も2026年4月、約50年間続いた新規原子力発電所建設禁止措置を解除している。一方で、カリフォルニア州、ハワイ州、メイン州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州の8州では現在も州全域を対象としたモラトリアムが維持されている。ただし、これらの州でも原子力への姿勢に変化がみられる。3月にはニューイングランド 6 州(コネティカット州、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、バーモント州)の知事らが共同声明を発表し、電力需要の増加への対応策として先進炉導入の可能性を共同で検討する方針を打ち出した。また、ニューヨーク州では州全域のモラトリアムは存在しないものの、一部地域に制限が残る一方で、ホークル知事が州営ニューヨーク電力公社(NYPA)に対し、州北部で少なくとも100万kW規模の先進炉建設を検討するよう指示している。さらに同州は今年1月、「Nuclear Reliability Backbone」構想を公表し、州内の新規原子力発電設備を500万kW規模まで拡大する方針を示した。DOEは、全米で電力需要の拡大が見込まれる中、先進的原子炉実証プログラム(ARDP)や国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)などを通じて先進炉の実証・商業化を支援している。トランプ政権も原子力産業の拡大を掲げており、州レベルの規制見直しと合わせて、米国では新規原子力開発に向けた環境整備が進みつつある。
- 03 Jun 2026
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米NRC ロング・モット発電所の環境審査を前倒しで完了
米原子力規制委員会(NRC)は5月18日、ダウ・ケミカル社がテキサス州メキシコ湾沿いにあるシードリフト・サイトにおいて建設を計画するロング・モット(Long Mott)発電所の環境アセスメントを予定より前倒しで完了し、「重大な影響なし(FONSI)」と判断したことを明らかにした。米国の大手化学メーカーであるダウ社とX-エナジー社は2025年3月末、X-エナジー社製SMRの高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」(電気出力8万kW)を採用したロング・モット発電所の建設許可をNRCに申請した。シードリフト・サイトで、運転期間満了間近の既存の発電・蒸気設備をリプレースし、化学製品の生産に必要な電力・産業用蒸気を供給する。申請書には、1年間の現地調査や地下水モニタリング(水質測定を含む)、複数の州機関との連携による1,000ページ以上の環境報告書が含まれていた。Xe-100 は、米エネルギー省(DOE) の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)で支援対象に選定された2設計の一つ。5~7年以内の実証運転開始を目指している。NRCは、既存の工業地帯における本プロジェクトの環境への影響が限定的であることから、より詳細な環境影響評価(EIS)ではなく、環境アセスメント(EA)が適切と判断した。環境アセスメントは2025年6月10日に開始され、1年未満で完了した。このアプローチにより、厳格な環境基準を維持しつつ、審査期間の短縮につながった。NRCは、「NRC改革に関する大統領令」で定められた18か月の期限に沿い、今年後半に建設許可申請の安全性審査を完了する見込み。その後、許可に関する最終決定となる。運転認可については別途申請を行う必要がある。
- 27 May 2026
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日本から HALEU 輸送 米先進炉向け燃料供給を支援
米国家核安全保障局(NNSA)は5月7日、日本の文部科学省、日本原子力研究開発機構(JAEA)と協力し、日本から米国へ1.7トンのHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)を輸送したことを明らかにした。NNSA史上、最大規模の国際輸送であり、米政権による先進炉の推進とエネルギー安全保障の強化に資するとともに、核拡散防止においても大きな成果とされている。今回輸送されたHALEUは、JAEAにある「高速炉臨界実験装置(Fast Critical Assembly: FCA)」の廃止措置に伴い不要となったもの。テネシー州オークリッジにあるY-12国家安全保障複合施設で、民間利用できる形に再加工され、DOE原子力局のHALEU供給確保プログラムを通じて供給される。HALEU は多くの先進炉で利用が想定されており、高燃焼度化や長期運転サイクルなどを可能にすると期待されている。一部用途では、HEU 使用低減につながる可能性がある。NNSAは、今回の輸送が日米間の長年の核セキュリティと核不拡散協力の延長線上にある取り組みであるとの認識を示した。なお海上輸送にあたっては、英原子力廃止措置機関(NDA)傘下の原子力輸送を専門とするニュークリア・トランスポート・ソリューションズ(NTS)が支援している。NNSAのM. ナポリ防衛核不拡散担当副長官は、「この節目は、安全で独立したエネルギーの未来への進展を加速させ、核拡散防止へのコミットメントを再確認するもの。日本との連携により、次世代原子力を推進し、米国のエネルギー主導権を確固たるものにする」と語った。2025年5月に発令された大統領令「国家安全保障強化のための先進炉技術の導入」では、エネルギー省(DOE)長官に対し、DOEの管理下において民間セクターが使用する20トン以上のHALEUを容易に入手可能な燃料バンクに放出するよう指示。米国では、HALEU 供給の多くをロシアに依存してきた経緯があり、近年は国内サプライチェーン構築が重要課題となっている。
- 19 May 2026
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