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米DOE 先進炉をNEPAの適用除外へ
米エネルギー省(DOE)は2月2日、DOE管理権限下にある先進炉の「認可、サイト選定、建設、運転、再認可、廃炉」について、国家環境政策法(NEPA)の適用除外リストに加える制度変更を発表した。この結果、一部の先進炉プロジェクトでは、NEPAで定めている環境評価書(EA)や環境影響評価書(EIS)の作成が不要となる可能性がある。すでにC. ライトDOE長官は、改定されたNEPA実施手続き文書に1月28日に署名。DOEは来月3月4日まで一般からの意見募集を行っている。1969年に制定されたNEPAは、人間・環境に著しい影響を与える連邦政府の活動について、代替案の検討を含む環境影響評価書(EIS)の作成と公表、それに対して住民が意見を提出するなどの住民参加手続を政府に義務づけている。DOEは今回の制度変更について、「DOEおよび他の連邦機関の知見、現在の技術、規制要件、業界内の慣行」に基づくものだと説明。2025年5月の原子力関連の大統領令のうち、「DOEにおける原子炉試験の改革」ではDOE長官に対し、NEPA遵守に関するDOE規則を見直し、環境影響審査を削減または迅速化するための措置を講じるように指示。一定条件を満たすDOE管理権限下にある先進炉について、NEPAの適切な「適用除外」を求めており、その背景について、「数十年にわたる研究開発により、受動的安全性を備え、設計構造を改善、運転の柔軟性と性能を向上させ、燃料処分リスクを低減する先進炉の試作機が生み出されてきたため」と説明している。DOEのNEPA実施手続きは10 CFR Part 1021に基づき運用されている。今回の改定もその枠組みの中で実施される。DOEは個別案件ごとに、NEPAの適用除外の基準を満たすかどうか、また、通常は除外される行為であっても重大な環境影響をもたらす特別な状況が存在しないかを確認するとしている。必要に応じ、他の連邦機関、州・地方政府などと協議することもある。DOEがNEPAの適用除外と認める先進炉プロジェクトは、核分裂生成物の量、燃料の種類、原子炉設計、運転計画が、放射性物質や有害物質の放出によるサイト外への悪影響リスクを十分に低減していると判断される場合に限られ、有害廃棄物、放射性廃棄物や使用済み燃料が適切に管理できることも示さなければならない。なお、これまで先進炉プロジェクトは、実験・試験・実証目的に限られてきたが、多くの企業が近い将来の実用化を目指す中、DOEは「先進燃料、本質的に安全な設計などの特性から、発電や産業用途向けに開発される原子炉も、この適用除外の対象として適切である」との考えを示している。
- 19 Feb 2026
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米DOE 包括的な燃料サイクルの拠点づくりへ
米エネルギー省(DOE)は1月28日、燃料サプライチェーンの強化、燃料サイクル全体の刷新を目的に、全米の各州に対し、原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス(Nuclear Lifecycle Innovation Campuses)を誘致する関心を問う、情報提供要請(RFI)を開始した。締切は2026年4月1日。DOEは、今回の措置について、地域経済の活性化を図るとともに、連邦政府と州政府が連携して国内の原子力エネルギー戦略を構築するための第一歩になるとの考えを示した。DOEのC. ライト長官は、「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパスは、トランプ大統領の米国の原子力基盤再生に向けた優先事項であり、州と直接協力する機会をもたらすもの」と指摘した。同キャンパスでは、燃料の製造、濃縮、使用済み燃料の再処理、廃棄物処分など、燃料のライフサイクル全体にわたる活動を実施。州の優先事項や能力に応じて、これらのサイトで、先進炉の配備、発電、先進技術による製造、データセンターの共同設置なども支援できる可能性があるとしている。DOEは州に対し、同キャンパスの誘致への関心表明に加え、州が担える人材育成、インフラ整備、経済の多様化、技術的リーダーシップといった戦略的優先事項や、州が想定する活動の範囲を示すなど、建設的なフィードバックを求めている。また同キャンパスの設立・維持に必要な資金調達構造、リスク共有案、その他必要な支援やインセンティブ、連邦政府との連携についても意見を求めている。なおDOEは、本キャンパスの実現に民間資本と州資本を優先、連邦による支援は対象を限定した条件付きかつ期間限定とし、大規模な人材育成、環境保護対策、核不拡散に配慮した運営を想定。同キャンパスが多大な利益を生み出し、エネルギー安全保障を向上させ、原子力分野における国際的なリーダーシップを強化する可能性を秘めていると強調する。DOEは、米国の電力需要が消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測し、2050年までに原子力発電設備容量を4億kWeに拡大する野心的な目標を掲げている。一方で、使用済み燃料の蓄積・滞留や放射性廃棄物の最終処分地の問題は未解決のままである。今回の措置により、州との連携を強化してこれらの問題を解決し、原子力拡大路線を堅持したい考えだ。また、DOE原子力局は2月5日、使用済み燃料・放射性廃棄物を大幅に減容し、エネルギー資源を最大限に活用するために、米国企業5社に合計1,930万ドルを助成して使用済み燃料のリサイクル技術の初期段階の研究開発を支援すると発表した。2024年12月に使用済み燃料リサイクル技術の研究開発活動を支援するとしたDOEの発表を受けたもの。DOEは、米国の既存炉はウランのエネルギーポテンシャルの5%未満しか使わないが、使用済み燃料のリサイクルにより、資源利用率を約95%まで高め、廃棄物量を約90%削減、必要な新規ウラン量を減らすことができ、さらに、医療・産業・防衛分野で利用可能な放射性同位体の回収可能性もあると指摘。本取組みは、2025年5月の大統領令「国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入」「原子力産業基盤を再活性化」に即したものであり、T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「使用済み燃料は、米国にとって未活用の貴重な資源。リサイクルは資源を無駄なく使い、エネルギー自立と経済成長につなげる現実的な政策だ」と強調している。助成先に選定された5社は以下のとおり。国の厳格な核不拡散基準の遵守が前提。助成条件として、プロジェクトの期間は最大3年間、コストシェアリング(最低20%が企業側負担)となる。アルファ・ヌール社(Alpha Nur Inc.)研究炉由来の使用済み燃料から高濃縮ウランを回収し、小型モジュール炉(SMR)向け燃料(高アッセイ低濃縮ウラン: HALEU)に変換する技術を研究。キュリオ・ソリューションズ社(Curio Solutions, LLC)使用済み燃料から六フッ化ウランガスを製造する技術を開発。フリベ・エナジー社(Flibe Energy Inc.)電気化学的方法による使用済み燃料処理を研究。オクロ社(Oklo Inc.)熔融塩中での重元素の挙動を調べ、乾式処理施設の最適化を研究。シャイン・テクノロジーズ社(Shine Technologies, LLC)使用済み燃料のハイドロプロセシングと併せ、輸送・貯蔵・処分を一体化したプロセス設計を開発。先進炉やSMRの普及、脱ロシア依存政策によるHALEUの供給危機のため、使用済み燃料のリサイクルは、燃料供給を確保するとともに、使用済み燃料の蓄積・滞留や最終処分場が決まらない中、廃棄物管理の長期的持続可能性を支援する対応といえる。
- 13 Feb 2026
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京都フュージョニアリング DOEとの戦略的パートナーシップ締結
核融合発電の実用化を目指す京都フュージョニアリングは1月29日、米エネルギー省(DOE)と戦略的パートナーシップを締結した。日米の官民が連携し、将来の核融合発電の商業化に不可欠な基盤技術の成熟を加速させる。本パートナーシップの中核として、同社は米オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)と連携し、新たな研究プロジェクト「UNITY-3」に着手する。核融合反応時に発生する中性子環境を精密に再現し、増殖ブランケット技術の性能検証を行う研究基盤をORNL構内に整備する計画で、核融合炉の実用化に向けた重要課題の解決を図る。京都フュージョニアリングはこれまで、核融合炉周辺技術の実証を目的とした「UNITY」シリーズを段階的に展開してきた。京都府久御山町の同社研究施設では、発生エネルギーの利活用を見据えたブランケット・熱サイクルシステムの検証を進める「UNITY-1」の試験を実施中。さらにカナダ・オンタリオ州では、燃料の回収・供給を担うフュージョン燃料サイクルシステムの実証施設「UNITY-2」を建設しており、2026年内の運転開始を予定している。同社は、核融合発電の実現には、中性子を扱う原子力技術や燃料サイクル、増殖ブランケットといった要素技術を、段階的かつ体系的に高度化していくことが不可欠だと指摘。今回のパートナーシップにより、自社のプラントエンジニアリングやシステム統合の知見と、DOEおよび国立研究所が有する最先端の研究基盤を組み合わせ、将来の商業炉建設に向けた技術的ハードルの克服を目指す。小西哲之代表取締役会長は、「日本のエンジニアリング力と民間企業の技術を活かし、フュージョンパイロットプラントでの発電実証、さらには商業化に向けた技術課題の解決に貢献していきたい」と述べた。
- 09 Feb 2026
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米ケイロス・パワー DOEとHALEU供給契約を締結
米原子力新興企業のケイロス・パワー社は1月20日、米エネルギー省(DOE)と高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)供給契約を締結したことを明らかにした。同社がテネシー州オークリッジで建設中のフッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス(Hermes)」(熱出力3.5万kWの非発電炉)向けに利用する。ヘルメスは、米原子力規制委員会が50年以上ぶりに建設を許可した非水冷却炉。ケイロス社は、DOE傘下のロスアラモス国立研究所との提携により、HALEUを用いたヘルメス向けのTRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料ペブルを製造する計画。同社は同実証炉と燃料製造プログラムを、同じくオークリッジに建設予定の発電炉「ヘルメス2」実証プラントから得られる運転データやノウハウと併せ、将来の商業規模のフッ化物塩冷却高温炉「KP-FHR」(熱出力32万kW、電気出力14万kW)に活用したい考えだ。ケイロス社は2025年4月、DOEから条件付きでHALEU供給先として選定された米国内5社のうちの1つ。HALEUの割当ては、民間の研究開発、実証、および商業利用に向けてHALEUの国内供給を確保するためにDOEが2020年に設定した「HALEU利用プログラム」を通じて行われる。多くの先進炉が、既存炉よりも小規模で、より長い運転サイクル、より高い効率を実現するためにHALEUを必要としている。米国の燃料サプライヤーは現在、HALEUを生産する能力が不足しており、国家核安全保障局(NNSA)管理下の原料や政府所有の研究炉からの使用済み燃料由来の高濃縮ウラン(20%以上のU235)を希釈して、限られた量を製造している。なおHALEUは、通常の商用炉向けの濃縮ウラン製造のプロセスを利用した製造も可能であり、DOEはウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)と提携し、オハイオ州パイクトンの濃縮施設で16台の新型遠心分離機を製造、連結設置し、HALEU製造のための濃縮の実証を行っている。ケイロス社のヘルメス実証炉開発プロジェクトは、2020年12月にDOEの先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の10~14年後に実証を想定したリスク低減プロジェクトに選定されており、最大3.03億ドルの資金提供を受けている。また同社は2025年8月、米テネシー峡谷開発公社(TVA)と電力購入契約(PPA)を締結し、ヘルメス2を用いてTVAの送電網に最大5万kWeの電力を供給する計画である。ケイロス社はヘルメス2の出力を当初の2.8万kW(1.4万kW×2基)から5万kWe×1基に増強。2030年の運転開始を見込んでいる。この送電網はIT大手のGoogle社がテネシー州とアラバマ州に所有するデータセンターに電力を供給する。それに先立ち、Google社は2024年10月、自社のデータセンターへの電力供給を目的にケイロス社とフッ化物塩冷却高温炉を2035年までに複数基、合計出力にして最大50万kWeを導入するとしたPPAを締結している。なお、ケイロス社は2025年9月、BWXテクノロジーズ(BWXT)社とヘルメス2を含む先進炉向けTRISO燃料の商業生産の最適化を共同検討することで合意している。
- 05 Feb 2026
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月面原子炉 2030年目標で開発へ NASAとDOEが合意
米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は1月13日、月面原子炉の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結し、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を明確にした。2025年12月にはD. トランプ大統領がエネルギー・宇宙政策関連の大統領令に署名しており、今回の協力は、50年以上にわたる両機関の協力関係をさらに強化するものとなる。宇宙探査ではこれまでも原子力が活用されてきた。放射性同位体熱電発電機(RTG)は、放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号でも用いられ、現在に至るまで40年以上電力を供給している。一方、RTGは出力規模が小さく、人が長期滞在する拠点や大規模設備の運用には十分とは言えない。月では約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になるとされ、今回のパートナーシップにより開発が加速するとみられる。NASAのJ. アイザックマン長官は「人類の月への再訪と長期滞在、さらに火星やその先への探査には、原子力エネルギーの活用が不可欠だ」と述べた。DOEのC. ライト長官も、両機関の連携が技術的飛躍につながるとの認識を示した。NASAが2025年12月に公表した月面における電力戦略に関する白書では、探査期間の延長や乗員数の増加に伴い、外部からの電力補強が不可欠になるとの見解が示された。月面電力システムは月探査にとどまらず、将来の火星探査への適用も視野に入る。火星においても、環境条件に左右されにくい電源の重要性が指摘されている。またNASAは1月27日、原子力によるロケット推進エンジンの実用化に向け、実機と同規模の試験装置を用いた検証テストを完了したと発表した。原子炉の熱で推進剤を加熱し、噴射することで推力を得るこのエンジンについて、NASAは現在の化学ロケットに比べ、速度や持続性の面で利点があるとしている。エネルギー技術としての原子力が、宇宙開発をどのように支えていくのか、今後の技術開発と政策動向が注目される。
- 28 Jan 2026
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米DOE INLに使用済み燃料研究センターを設立
米エネルギー省(DOE)原子力局は1月14日、傘下のアイダホ国立研究所(INL)に使用済み燃料研究センター(Center for Used Fuel Research)を設立したと発表した。これによりINLは、使用済み燃料管理に関する研究・開発・実証を担う主導機関に正式に指定された。同センターでは、長期保管条件下における使用済み燃料の安全な乾式貯蔵と輸送に関する応用研究を実施。商業炉およびDOE管理下の使用済み燃料について、最終処分前の安全な貯蔵および輸送に対する国民の信頼向上を目的とした技術的知見の蓄積を進める。INLは75年以上にわたり、燃料の開発、試験、認証を実施しており、今後は使用済み燃料の安全な長期貯蔵や輸送に関して公益事業者、規制当局、連邦政府機関が必要とする実証データの提供拠点となる。DOEはこの取組みについて、エネルギーと環境に関する米国の喫緊の課題を解決するための新たなコミットメントであり、使用済み燃料の最終処分に関するDOEの法定責任に直接対応するものであるとコメント。また、2025年4月にDOEとアイダホ州が合意した1995年和解協定の一部免除がなければ実現し得なかったと説明している。1995年の和解協定では、DOEがアイダホ州から遺留廃棄物を除去するマイルストーンを設定し、INLに商業炉からの使用済み燃料の搬入を禁止していたが、2025年4月、アイダホ州は和解協定の一部免除に合意。INLが商業炉の高燃焼度の使用済み燃料キャスクと国内大学の研究用原子炉から限定的な使用済み燃料を持ち込むことを認めた。これにより現在、ノースアナ原子力発電所に貯蔵されている高燃焼度の使用済み燃料キャスクをINLに搬出し、乾式貯蔵の研究を行うことが可能になった。搬出は2027年に行われる予定である。なおDOEは、同センターは使用済み燃料の安全な保管・輸送に関する問題に専念し、処分や再処理技術に関する直接的な研究は行わないとしている。INLは「ハブ・アンド・スポーク」(Hub and Spoke)モデルを通じて広範かつ多様な協力を調整。INLが中央ハブとなり、DOE傘下の他の国立研究所、産業界、大学、海外パートナーがスポークを形成し、幅広い関係者と効果的に協力する。大学はDOEの原子力エネルギー大学プログラム(NEUP)などのプログラムを通じて参加し、専門知識や人材育成への貢献が期待されている。海外パートナーとは、得られた教訓を共有、重複研究を避け、相互利益とベストプラクティスにおける整合性の確保に向けて連携するとしている。
- 26 Jan 2026
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米DOE HALEUを初出荷
米国のスタートアップ企業であるスタンダード・ニュークリア社は1月7日、テネシー州オークリッジにある同社施設で、米エネルギー省(DOE)から高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)を受領したと発表した。DOEからHALEUの実物を受け取った燃料製造事業者としては初の事例となる。スタンダード社はHALEUを原料として、TRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料を製造する。同社は2025年8月、先進試験炉向けの燃料製造を加速することを目的とした、DOEの燃料製造ラインのパイロットプログラムにおいて、実証対象計画の実施主体に選定されている。今回受領したHALEUは、DOEから先進炉開発企業であるラディアント・インダストリーズ社に割当てられたもので、スタンダード社がTRISO燃料へ加工する。ラディアント社が2026年に計画する先進炉実証に向けた炉心全装荷分の製造に十分な規模であり、スタンダード社は米国における先進炉の迅速な展開を支える燃料供給体制を整えた。スタンダード社のK. テラーニCEOは、「今回のHALEUの受領は、当社が先進燃料サプライチェーンの最前線に立つことを示す画期的なもの。当社はDOEから認可を受けた初の燃料製造企業として、米国製の信頼性の高い先進炉の実用化を実現するために不可欠なTRISO燃料の本格生産へと踏み出せたことを誇りに思う」とコメントした。TRISO燃料は、濃縮ウラン粒子をセラミックと炭素層で3重に被覆した構造を持ち、①極めて高い耐熱性、②優れた被覆保持性能、③想定外事象に対する高い安全性、を備えることから、「地球上で最も堅牢な原子炉燃料」とも称される。ラディアント社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「Kaleidos」は、2025年8月にDOEによる先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉に選定され、DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)が運営するマイクロ炉実験機の実証(DOME)テストベッドで試験を行う計画である。HALEUは、国家核安全保障局(NNSA)ならびにY-12国家安全保障複合施設を運営管理するConsolidated Nuclear Services(CNS)による綿密な調整と専門的管理のもと、バージニア州リンチバーグから安全に輸送された。本プロジェクトは、スタンダード社とDOEのアイダホ・オペレーション・オフィスとの間で締結された、その他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)の枠組みの下で実施されている。スタンダード社は、本取組みが2025年5月に発令された一連の大統領令が目的とする戦略的優先事項に合致し、国家のエネルギー安全保障および強固な国内燃料サプライチェーンの確立に向けた重要な一歩になるとしている。
- 16 Jan 2026
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米ホルテック SMRの建設許可申請を開始
米ホルテック・インターナショナル社は12月31日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「SMR-300」(PWR、30万kWe)×2基から構成される「パイオニア発電所」の建設許可申請(CPA)の第一部を米原子力規制委員会(NRC)に申請した。同発電所は、ホルテック社が所有・運転再開に向けて作業を進めるパリセード原子力発電所を含む、パリセード・エネルギー・センター(PEC)に建設される。NRC規則10 CFR Part 50に基づくCPAの第一部には、地盤締固め、埋め戻し、基礎設置などの限定作業許可(LWA)の申請、第二部に基づく完全なCPAの発給前に特定の建設作業の開始を可能にする複数の規制上の適用除外の申請、および包括的な環境報告書(ER)の提出が含まれている。ホルテック社はNRCに対し、2026年12月31日までに第一部の審査と承認を要請。一方、NRCは現在、処理に十分な内容か申請書の審査を行っており、申請書が十分であると認められた場合に申請書を受理し、ホルテック社に対し、詳細な技術審査に要するNRCスタッフの予定リソースとスケジュール(18か月以内)を通知するとしている。ホルテック社のK. シンCEOは、「本申請は、米国における新たな原子力配備を現実のものとするための15年近くにわたる努力の集大成。クリーンなベースロード電力をミシガン州にもたらし、増大する電力需要を満たすために世界中に展開する能力を示していく」と述べ、同社のK. トライス社長は、「パリセード発電所の歴史的な運転再開に続き、パイオニア発電所は2030年初頭に電力供給が可能になる」との見通しを示した。SMR-300は2025年12月、米エネルギー省(DOE)による、先進的な第3世代+(プラス)軽水炉SMRの米国内導入を加速する「ファースト・ムーバー・チーム支援(First Mover Team Support)」の対象に選定され、4億ドルの助成金を獲得している。なお、ホルテック社によると、パリセード発電所は当初のスケジュールより数か月前倒しで、かつ予算を大幅に下回る費用で、2026年2月末までに送電開始を見込んでいるという。
- 15 Jan 2026
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米エネルギー省 国内ウラン濃縮能力強化に27億ドル助成
米エネルギー省(DOE)は1月5日、今後10年間にわたり総額27億ドル(約4,000億円)を投じ、米国内のウラン濃縮能力の強化を支援すると発表した。低濃縮ウラン(LEU)と、次世代原子炉向け燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))の供給体制を構築し、燃料サプライチェーンの強化を図る。支援の対象となったのは以下の3社で、各社に9億ドルずつ、随時発注契約を付与する。契約はマイルストーンベースで、段階的な成果の達成が求められる。・American Centrifuge Operating社(セントラス・エナジー社の子会社)HALEU濃縮能力の構築を担う。同社は2019年以降、DOEと連携して遠心分離機技術の実証を進め、2023年にHALEUの実証生産を開始した。昨年12月には、将来的な商業規模の濃縮事業に対応するため、遠心分離機の製造を開始している。今回の支援を通じて設備を段階的に増設し、2029年ごろの商業規模の稼働を目指す。・General Matter(ゼネラル・マター)社HALEU濃縮能力の構築を担う。ケンタッキー州パデューカにある、ガス拡散法を用いたウラン濃縮工場跡地(2013年閉鎖)を活用し、HALEU濃縮施設を建設・運用する計画。・Orano Federal Services(オラノ)社LEU濃縮能力の拡大を担う。米テネシー州オークリッジに新設する大型ウラン濃縮施設に約50億ドル(約7,500億円)を投資する計画で、DOEからの資金もこの事業に充てられる。さらにDOEはグローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社に対しても約2,800万ドル(約42億円)を配分し、レーザー濃縮など次世代ウラン濃縮技術の開発の支援も同時に発表している。従来の遠心分離方式とは異なる技術の実用化を後押しする狙いだ。米国は海外企業の濃縮サービスに依存しており、現時点で米国内にて稼働する商業用ウラン濃縮施設はニューメキシコ州ユーニスのウレンコUSAの工場のみ。また、2028年以降米国ではロシアからの低濃縮ウランの輸入が原則禁止される予定で、供給源の多様化と国内生産体制の確立が課題となっている。DOEのC. ライト長官は、「今回の投資は、既存の原子力発電所と将来の先進原子炉に必要な燃料を生産できる体制を回復させるため、政府が全力で取り組んでいることを示すものだ」と述べ、原子力分野の再建を通じ、エネルギー安全保障と米国の競争力強化を図る姿勢を強調した。
- 09 Jan 2026
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米ディープ・フィッション DOEの原子炉パイロットプログラムをカンザス州で実施
米国の新興原子力企業ディープ・フィッション(Deep Fission)社は12月4日、同社が開発した小型モジュール炉(SMR)である「Gravity」のサイトとして、カンザス州南東のパーソンズにあるグレートプレーンズ工業団地を選定したと発表した。同炉は地下1マイル(約1.6km)、幅30インチ(約76cm)のボーリング孔に設置するPWR(1.5万kWe)で、今年8月に米エネルギー省(DOE)の原子炉パイロットプログラムの対象に選定された。同プログラム下で試験炉の実証成功後、同サイトで本格的な商業プロジェクトを推進する計画だ。パイロットプログラムはDOE傘下の国立研究所以外の場所でDOEの管理権限の下、原子力法に基づく規制手続きを簡素化し、先進炉設計の試験と研究開発の実施を促進する取組み。ディープ・フィッション社は12月3日、同プログラム下で試験炉の建設と運転を行うため、DOEとその他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)を締結した。DOEの認可を条件に、2026年7月4日(米国独立記念日)までに初号機の建設を完了し、臨界達成を目指している。今回、グレートプレーンズ工業団地のオーナーであるグレートプレーンズ開発公社と同プログラムにおける協力ならびに同サイトでの本格的な商業プロジェクト開発に係る基本合意書を締結。12月9日には起工式が挙行された。サイト面積約60㎢のグレートプレーンズ工業団地は、産業・エネルギー開発向けのエリア。ディープ・フィッション社は、サイト内で事業を拡大し、今後数十年にわたり工業団地にエネルギーを供給する可能性がある。「Gravity」は、原子力、石油・ガス、地熱分野での実証をベースに設計。発生した熱は地下深部にある蒸気発生器に伝わり水を沸騰させ、非放射性の蒸気が急速に地表に上昇、そこで標準的な蒸気タービンを回して発電する。検査が必要と判断された場合、原子炉に取り付けられたケーブルにより、原子炉を地表に持ち上げることが可能。モジュール設計により、出力を最大150万kWeまで拡張可能で、産業現場、データセンター、遠隔送電網、商業ハブ全体を対象に柔軟に展開できるという。また既製部品と低濃縮ウラン(LEU)を利用し、サプライチェーンの合理化を追及。原子炉は地下1マイルに設置され、地下深部の地質が自然封じ込めの役目を果たす立地アプローチにより、安全性とセキュリティを強化、土地の占有面積を最小限に抑え、コストの削減をねらう。同社のコストモデルでは、従来の原子力発電所と比べて全体コストを70~80%削減し、発電コスト(LCOE)は5〜7セント/kWhと推定している。
- 19 Dec 2025
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米INL 塩化物熔融塩実験炉用の燃料製造を商業規模で開始
米アイダホ国立研究所(INL)は12月3日、世界初となる塩化物熔融塩実験炉(Molten Chloride Reactor Experiment: MCRE)向けに、商業規模での燃料塩(熔融塩化物とウランの混合物)の製造を開始したことを明らかにした。高速増殖実験炉II(EBR-II)の運用以来、30年ぶりのINL最大規模の燃料生産事業となる。MCREは塩化物熔融塩高速炉設計で、液体塩を燃料および冷却材として使用。液体燃料塩は、従来炉の固体燃料棒と比べて高温運転が可能で燃料効率が高く、また安全性の強化が期待されている。INLは、こうした特性により、船舶用の小型原子力システムや遠隔地向け施設など、新たな応用分野が開かれる可能性を指摘している。INLによると、燃料製造チームは今年9月末に初の燃料塩バッチを製造。2026年3月までにさらに4つのバッチを製造する予定である。MCREで原子炉が臨界に達するまでには、合計72~75バッチの燃料塩が必要とされる。MCRE向けの燃料塩製造プロセスは2020年に開始。2025年3月にウラン金属の95%を、バッチあたり18kgの燃料塩にわずか数時間で変換することに成功した。これまで1週間以上かかった工程を大幅に短縮したという。INLのB. フィリップス燃料塩合成技術責任者は、「高速炉用に塩化物ベースの熔融塩燃料が製造されたのは歴史上初めて。米国のイノベーションにとって大きな節目であり、先進原子力に対する米国のコミットメントを明確に示すものだ」と語った。また、MCREプロジェクトのD. ウッド上級技術顧問は、「海運業界への影響は大きい。熔融塩炉は船舶に高効率で低メンテナンスの動力を提供し、温室効果ガスの排出量を低減するとともに長距離・無停船航行を可能にする。この技術は移動可能で拡張性があり、世界的に変革をもたらす新たな原子力分野の台頭を促すだろう」と述べた。MCREは、INLがサザン社、テラパワー社、コアパワー社、米エネルギー省(DOE)と共同で取組む官民プロジェクト。DOEの国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)がINLに建設中の運転試験ラボ(LOTUS)のテストベッドで、世界初の高速スペクトル熔融塩臨界システムの実証試験を行う計画だ。試験は6か月間の小規模実験として、早ければ2030年に実施される予定。MCREの成果は、テラパワー社およびサザン社が開発を進める、塩化物熔融塩高速炉(MCFR)の2030年代の商業導入に活用される。
- 17 Dec 2025
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米ディープ・アイソレーション社 先進炉向け廃棄物管理技術を実証
米国の放射性廃棄物処理のスタートアップ企業、ディープ・アイソレーション(Deep Isolation)社は12月3日、先進炉向けの廃棄物管理システムの開発を進めるプロジェクト「アップワーズ(UPWARDS)」の完了を発表した。プロジェクトは米エネルギー省(DOE)エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)から約377万ドル(約5億8000万円)の助成を受けたもので、2022年からの3年間にわたり実施された。先進炉向け燃料から生じる廃棄物は、従来の軽水炉と比べ、形態が小型かつ多様であることが特徴とされる。このため従来の処分システムを前提とした標準化が難しく、処分プロセスを改めて設計する必要性が指摘されてきた。アップワーズプロジェクトでは、先進炉から発生する使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物を対象に、「ユニバーサル・キャニスター・システム(UCS)」の設計、製造、試験、検証を行った。UCSは、廃棄物の貯蔵、輸送、最終処分の3段階に対応できるよう設計された共通容器で、再処理後のガラス固化体など、さまざまな廃棄物に対応できるとしている。また、同社の処分概念は、従来のように大規模なトンネルを掘削する地下処分場とは異なり、廃棄物を地中深くの細い孔(ボアホール)に隔離する「深地孔処分(Deep Borehole Disposal)」を採用している点が特徴。石油やガス開発で用いられてきた掘削技術を応用することで、垂直掘削に加え、途中から水平方向へ掘り進めるなど、精密な掘削が可能とされる。また、廃棄物の設置作業は人が地下に入ることなく実施できるという。今回実証を終えたUCSは、同社が提唱する深地孔処分に加え、従来型の地層処分の双方に対応できることを想定している。プロジェクトの主任研究員を務める同社のJ. スローン氏は、「新たな原子力技術への投資拡大が進む中、原子力産業にとって最も喫緊の課題の一つに対応するものだ」と述べた。同社は、プロジェクト完了により、将来的な商用化に向けた重要な基盤を構築したとしている。今後は米国や他国の先進炉分野においても、UCSのライセンス取得や運用に向けた準備を進める計画だ。
- 17 Dec 2025
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米DOE 第3世代+軽水炉SMR早期導入支援で2企業を選定
米エネルギー省(DOE)は12月2日、米国における先進的な第3世代+(プラス)軽水炉小型モジュール炉(SMR)の米国内導入を加速する「ファースト・ムーバー・チーム支援(First Mover Team Support)」の対象として、テネシー峡谷開発公社(TVA)とホルテック・ガバメント・サービス社を選定したと発表した。本支援は、2025年3月にDOEが募集した総額9億ドルの助成金支援のうち、最大8億ドルを活用するもので、電気事業者、炉メーカー、建設会社、エンドユーザーなどがコンソーシアムを組んで参加することが条件。これによりDOEは、2030年代初めの導入と国内サプライチェーンの強化を目指す。DOEのC. ライト長官は、「先進的な軽水炉SMRは、原子力ルネサンスの到来と米国のエネルギー支配の拡大に向けた大統領令の前進を後押しする。データセンターとAI産業の成長を促進し、より強固で安全な電力網を強化するために不可欠な、信頼性の高い24時間稼働の電力を供給する」と強調した。DOEは、米国の電力需要は、消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測。SMRはエネルギー集約型部門に信頼性の高い電力の提供とコンパクトなサイズおよびモジュール設計により柔軟な設置が可能であり、特に、軽水炉型SMRが、米国の既存の軽水炉を支えるサービスとサプライチェーンの活用により、短期間で導入可能な利点を指摘する。第3世代+炉の実証を前倒しし、既存の軽水炉と先進炉とのギャップを埋めたい考えだ。TVAは、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー社製の「BWRX-300」(BWR、30万kWe)をテネシー州クリンチリバー・サイトへの配備を進めるとともに、インディアナ・ミシガン・パワー社およびエレメンタル・パワー社の追加ユニットの配備を加速する計画である。さらに、国内の原子力サプライチェーンパートナーであるスコットフォージ社、ノースアメリカン・フォージマスターズ社、BWXテクノロジーズ社、エーコン社と協力する。その他の支援パートナーには、デューク・エナジー社、オークリッジ・アソシエイテッド・ユニバーシティ、電力研究所(EPRI)などがある。ホルテック・ガバメント・サービス(ホルテック)社は、ミシガン州コバートにある運転再開にむけて準備中のパリセード原子力発電所サイトに、同社製SMR-300(PWR、30万kWe)を2基配備し、国内外での追加受注の実現可能性を評価する計画。ホルテック社は、技術ベンダー、サプライチェーンベンダー、韓国の現代E&C社との提携による原子力プラント建設業者、プラント運営者、近隣の電力会社やエンドユーザーに電力を販売する電力販売業者という役割を全て担うことで、SMR導入に向けた革新的なワンストップショップ方式を推進している。DOEは両社に4億ドルを配分。残りの1億ドルについては、「ファスト・フォロワー・導入支援(Fast Follower Deployment Support)」として、第3世代+SMRのさらなる配備の促進に向け、設計、許認可申請、サプライチェーン、サイト準備などの分野で国内の原子力産業の発展を妨げてきた主要課題の解決に充てるべく、支援対象を今年末までに決定する予定。
- 11 Dec 2025
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米AI国家戦略「ジェネシス」始動 DOEが次世代炉開発を支援
米D.トランプ大統領は11月24日、産学官が連携し、国家主導で人工知能(AI)開発を推進する「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」を立ち上げる大統領令に署名した。政府が保有する科学データと研究基盤を統合し、科学研究にAIを活用して技術創出を加速するとともに、研究支援に特化した新たなAIモデルを国家として開発する二つの取り組みを進める。重点分野には原子力も含まれ、米エネルギー省(DOE)がプロジェクトの中心的役割を担う。大統領令は、構想を「かつてのマンハッタン計画に匹敵する規模とスピード感で推進すべき国家的課題」と位置付け、その重要性を強調した。ミッションでは、DOEと傘下の17の国立研究所が連携し、国家のスーパーコンピューターを含む研究インフラを横断的に活用する「AIプラットフォーム」を構築する。また、政府が保有する膨大な科学データを一元的に統合し、研究支援に特化した「科学用ファウンデーションモデル(Scientific Foundation Models)」の新規開発を進める。AI活用の重点領域としては、先端製造、バイオテクノロジー、重要素材、核分裂・核融合エネルギー、量子情報科学、半導体・マイクロエレクトロニクスなど、国家安全保障や産業競争力に直結する分野が挙げられた。原子力は主要領域のひとつとして明確に位置づけられている。DOEは特設ページを開設し、ミッションを「エネルギー」、「基礎研究」、「国家安全保障」の三本柱で説明。このうち原子力分野では、次世代原子炉の開発を掲げ、SMR(小型モジュール炉)の設計最適化や許認可手続きの効率化を、AIツールと連携して進める方針を示した。AIの導入により、開発期間の短縮と安全性・性能の向上を図るとしている。ミッションのディレクターには、DOE科学担当次官のD.ギル氏が就任した。MITで電気工学・コンピューターサイエンスの博士号を取得し、IBMで研究部門を率いた経歴を持つギル氏は、AI、量子、核融合、バイオなどで中国が急速に台頭している現状に触れ、「これは必ず勝利しなければならない競争だ」と強調。さらに第二次大戦期のマンハッタン計画を引き合いに、「科学技術は国家の戦略的優位性を決定づける」と述べ、ミッションの緊急性と国家的重要性を訴えた。
- 11 Dec 2025
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オクロ社マイクロ炉「オーロラ」主要設備調達へ シーメンスと設計契約
米国の先進炉と燃料リサイクルの開発企業、オクロ社は11月19日、独シーメンス・エナジー社とマイクロ炉「オーロラ」向け電力変換システムの設計契約を締結した。両社は2024年8月に優先サプライヤー契約を結んでおり、協業は実行段階へと移行した。今回の契約では、シーメンス社が蒸気タービンや発電機を中心に、関連機器の詳細設計と設備配置の策定を担う。主要機器の製造開始が可能となり、初号機建設の具体化へ前進した。オクロ社は、産業分野で実績のある既製機器を活用する設計方針が、建設コストや開発期間の圧縮につながると説明。シーメンス社も、高効率で信頼性の高い発電設備の提供を通じ、次世代炉の事業化を支援する姿勢を示した。オーロラは金属燃料を用いるナトリウム冷却高速炉で、出力は1.5万〜5万kWeの範囲で調整可能。HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))燃料により20年以上の連続運転を想定し、高い熱効率を生かした分散型電源としての利用も見込む。同社は米アイダホ国立研究所(INL)敷地内に建設する初号機を商業展開に向けた実証炉と位置づけ、開発を進めている。さらにオクロ社は11月11日、INL内で計画するオーロラ燃料製造施設(A3F)について、米エネルギー省(DOE)アイダホ事業局から原子力安全設計契約(NSDA)の承認を得たと発表。DOEの先進燃料製造ライン整備を後押しするパイロットプログラムで最初の承認例で、審査は提出からわずか2週間で承認された。A3Fでは使用済み燃料を再処理して得た金属燃料をオーロラ向けに製造する。初号機の商業運転に向け、燃料供給と発電所建設の整備が並行して進んでいる。
- 05 Dec 2025
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米陸軍 マイクロ炉で陸軍基地の電力レジリエンス強化へ
米陸軍は11月18日、陸軍が10月に開始したマイクロ炉導入プロジェクト「ヤヌス計画(Janus Project)」の最初のステップとして、マイクロ炉発電所の設置候補地を発表した。拠点の特性や電力需要、既存インフラの状況を踏まえ、全米9つの陸軍施設を特定した。米陸軍は、配備先は1拠点に限らず、条件を満たす複数拠点への導入拡大も視野に入れている。選定されたのは以下の9施設。・フォート・ベニング(ジョージア州)・フォート・ブラッグ(ノースカロライナ州)・フォート・キャンベル(ケンタッキー州)・フォート・ドラム(ニューヨーク州)・フォート・フッド(テキサス州)・フォート・ウェインライト(アラスカ州)・ホルストン陸軍弾薬工場(テネシー州)・ルイス・マッコード統合基地(ワシントン州)・レッドストーン・アーセナル(アラバマ州)陸軍は今後、各施設の環境・技術的要件の追加評価を進め、最終決定に向けた検討を行う。ヤヌス計画は、2025年5月にトランプ大統領が署名した大統領令「国家安全保障のための先進原子炉技術の配備」に基づき、10月14日に公表された。近年、軍事作戦領域ではAI(人工知能)の導入や次世代兵器システムの稼働により電力需要が急増しており、基地の電力レジリエンス強化が課題となっている。計画では、米エネルギー省(DOE)と協力し、民間の送電網から独立したマイクロ炉を陸軍基地に設置することで、任務遂行に不可欠な電力の確保を図る。初号機の設置は2028年までを目標にしている。さらに米陸軍は、国防イノベーション・ユニット(DIU)と協力し、民間企業から幅広く技術提案を募る枠組みを整備した。DIUは、必要な技術分野を示す関心領域通知を公開し、産業界にマイクロ炉の導入に向けた提案を募集している。両者は、NASAが民間宇宙輸送で採用した方式を参考に、開発の進捗に応じて企業を段階的に支援する契約モデルを構築している。陸軍は燃料サイクルや関連サプライチェーンの監督を担いながら、民間技術を取り込む形で初期配備に向けた検討を進める方針だ。
- 04 Dec 2025
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米DOE TMI-1の運転再開に向けて10億ドルを融資
米エネルギー省(DOE)は11月18日、DOEの融資プログラム局(LPO)が電力大手のコンステレーション・エナジー社と10億ドルの融資契約を締結したと発表した。同社がペンシルベニア州で所有する、クレーン・クリーン・エナジー・センター(旧称:スリーマイル・アイランド原子力発電所)1号機(PWR、89万kWe)の運転再開を支援する。同融資は、2025年7月に成立した「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」(OBBBA)(=ワーキングファミリー減税法)に基づき推進されている「エネルギー支配資金(EDF)プログラム」(貸出枠2,500億ドル、2028年9月30日まで)から拠出される。同1号機は1974年に営業運転を開始したが、安価なガス火力との競合で経済性が悪化し、2034年まで運転認可を残したまま2019年に閉鎖された(同2号機は、1979年に炉心溶融事故を起こし、廃止措置が進行中)。コンステレーション社は今年6月、最短で2027年の運転再開を目指す方針を示しており、米原子力規制委員会(NRC)による許認可を得た上で運転再開する。運転再開後は約80万世帯分に相当する電力供給が可能となり、電気料金の抑制、雇用創出、系統信頼性の強化に寄与するとされる。AI関連の電力需要の増加傾向が続く中、米政権が目指す「AIイノベーション主導」と国内製造業再興に資する点も強調されている。一方、同社は11月4日、メリーランド州で最大580万kWeの新規発電および蓄電を含む大規模エネルギープロジェクトに対する数十億ドルの短・長期の投資計画を公表した。電力需要の増加に対応しつつ、電気料金の引き上げを回避し、同州の経済成長を支える次世代のクリーン電源の導入を目指している。長期的には、同社のカルバートクリフス原子力発電所の既存炉2基(PWR、各90万kW級)の運転期間延長(80年運転)と出力向上を行い、2034年と2036年に予定された閉鎖を回避する考えだ。これに加えて、同サイトで約200万kWe規模の次世代炉新設も検討しており、同発電所の合計出力を400万kWe規模へと実質倍増させる計画である。これらが実現すれば、現在50%強を占める州のクリーン電源比率が約70%へ引き上げられる見込みだ。なお、カルバートクリフス発電所2号機では、仏フラマトム社製のPROtect事故耐性燃料集合体が照射試験されている。同先行燃料集合体(LFA)は、DOEの事故耐性燃料プログラムを通じて開発されたもので、2021年に商業炉としては初装荷された。2023年春、2025年春の燃料交換停止時に各24か月運転サイクル後の検査を実施。この48か月の運転において、堅牢な燃料特性が設計通りに機能していることが確認され、2027年春に3回目の運転サイクルを完了予定。その後、DOE傘下の国立研究所に送られ、許認可取得活動の一環として、照射後試験を実施する。LFAは2019年のコンステレーション社との契約に基づき、ワシントン州リッチランドのフラマトム社の施設で製造。176本のクロム被覆燃料棒とクロミア添加燃料ペレットが含まれ、炉心の変化に対する耐性の向上、高温条件下での腐食や水素生成の抑制が期待されている。フラマトム社、GEベルノバ社、ウェスチングハウス社はいずれも、2030年までに事故耐性燃料が広く採用されることを目指し、全国の商業炉で試験を実施しているところ。DOEは事故耐性燃料の利用は、既存炉の経済性と性能の向上に寄与し、トランプ米大統領が掲げる2030年までに既存炉による500万kWeの電力供給の目標を支える可能性があると指摘している。
- 26 Nov 2025
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米ラスト・エナジー社 テキサスA&M大学でマイクロ炉実証へ
米マイクロ炉開発企業ラスト・エナジー社は10月15日、テキサス州の州立大学群を統括するテキサスA&M大学システムと提携し、同システム傘下の応用研究キャンパス「テキサスA&M-RELLIS」敷地内にマイクロ炉「PWR-5」を設置し、共同研究を行うと発表した。同社にとって米国内で初のマイクロ炉の配備となる。テキサスA&M大学システムは2024年11月、大学キャンパス近郊に位置する約9.7平方キロメートルの敷地を複数企業の小型原子炉の試験・建設に提供すると発表し、米原子力規制委員会(NRC)許認可手続きを開始した。プロジェクトにはこれまでケイロス・パワー、ナチュラ・リソース、テレストリアル・エナジー、アーロ・アトミックスの4社が参画。ラスト・エナジー社は5社目となる。PWR-5は、同社の商用炉PWR-20(PWR 、2万kWe)と同一設計を採用し、出力を5000kWeにスケールダウンした実証モデル。来年夏の開始を目指して低出力臨界試験を実施し、その後送電網への接続や発電試験に移行する計画だ。同社はすでに大学と土地のリース契約を締結し、燃料も確保している。PWR-20は米エネルギー省(DOE)が今年8月に開始した先端原子炉パイロットプログラム(AAP)の11炉型の一つ。モジュール設計で、工場生産から輸送、現地組立を24か月以内で完了できるという。2024年7月にはマイクロ炉開発企業として初めて英国での予備設計審査(PDR)を完了し、原子力サイト許可(NSL)の正式手続きを開始している。ラスト・エナジー社のCEO、B.クーゲルマス氏は「燃料の確保、立地の確定、関連する認可も取得済みだ。マイクロ炉の実証に理想的な条件が整っている」と期待を寄せた。同社は今年2月、テキサス州ハスケル郡で最大30基のマイクロ炉を建設する計画を発表し、事前サイト許可(ESP)の申請準備を進めている。この計画をはじめ、同社の商業契約の約半分はデータセンター向けだという。テキサスでの実証を足がかりに、商用炉の早期展開を目指す。
- 31 Oct 2025
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ニュークレオとオクロ 米国で先進燃料製造へ
英国発の先進炉開発企業ニュークレオ社(Newcleo)と、米国の先進炉・燃料サイクル開発企業オクロ社(Oklo)は10月17日、米国内での先進燃料製造・供給インフラ開発に関する共同契約を締結し最大20億ドル(約3,000億円)規模を投資する計画を発表した。スウェーデンの先進原子力技術企業ブリカラ社(Blykalla)も、今後の参画を検討している。欧米が連携することで西側主導の燃料サイクル確立を目指す動きと言えるだろう。ニュークレオ社は2033年までに小型の鉛冷却高速炉(LFR、電気出力20万kWe)の商業化を目指しており、フランスでMOX燃料製造工場の建設計画も進めている。今回の提携では、米国における燃料製造施設への共同投資や立地検討、余剰プルトニウムの米国安全基準に基づく再利用の取り組みなどが盛り込まれる見通しだ。オクロ社の共同創業者兼CEO、J.デウィット氏は、「余剰プルトニウムを再利用することは、過去の負債を解消しつつ、豊富な燃料源を確保する最良の方法」と期待を寄せた。オクロ社は2025年9月、米エネルギー省(DOE)の先進燃料製造AFFプログラムに採択され、DOEの支援を受け燃料製造施設の建設を進めている。今回の提携の背景には世界のウラン濃縮能力の約44%をロシア企業が占め、特に先進炉向け燃料加工分野でロシアが市場を独占している現状がある。こうした状況に対応するため、2025年5月、トランプ政権は原子力産業の活性化を目的とした大統領令に署名し、燃料供給拡大や余剰プルトニウム処理方法の見直しを柱とした政策を打ち出した。ニュークレオ社とオクロ社は政策の後押しも受けながら、自前の燃料供給網を整備してエネルギー安全保障強化を図っている。
- 24 Oct 2025
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フィリピン 新規建設誘致にむけて準備
フィリピンのエネルギー省(DOE)のS. ガリン長官は10月3日、マニラで開催されたフィリピン国際原子力サプライチェーンフォーラム(PINSCF)2025において講演し、国内のエネルギーミックスに原子力を組み入れる包括的枠組みに関する省令に、前日に署名したことを明らかにした。この枠組みの下、商業的に開発・運転される同国初となる原子力発電所は、導入される原子力技術に係わらず、ベースロード電源となり、優先的な送電が認められるなど、大統領令に基づく優遇措置と迅速な手続きの対象となる国家重要エネルギープロジェクトに認定されるという。DOEは、原子力発電所への競争力ある投資環境を整備し、先行開発事業者による円滑な電力販売を促進させ、国の長期的なエネルギー安全保障を強化したい考え。省令の公布から90日以内に、DOE職員と財務省、経済計画開発省、政府系ファンドのマハルリカ投資公社、その他関連機関が、政府参加モデルや資金調達オプションを検討。エネルギー規制委員会が、規制資産ベース型モデルまたは類似の資本回収メカニズムを実施する任務を負っているという。さらに送電システムへの原子力発電の円滑な統合を確保するため、送電網整備の作業を優先するとしている。ガリン長官は、「原子力をエネルギーミックスに組み入れる明確なルールを確立することで、投資家、パートナー、関係者に対して、フィリピンがクリーンエネルギー移行の一環として原子力を責任ある戦略的導入の準備が整っているという確信を与える。原子力は信頼性が高く安定したベースロード電源となって再生可能エネルギーを補完し、気候目標を達成しながら、経済成長に必要なエネルギー安全保障を確保するものだ」と述べた。また同長官は、政府による支援政策と投資家の強い関心から、2032年までに国内初の原子力発電所の運転に期待を寄せつつも、その実現は投資家の決定など多くの要因に左右されると言及。さらに地域社会の受け入れが原子力発電所を建設する際の主要な要件の一つであると強調した。PINSCF 2025には、米国、韓国、カナダ、UAE、アルゼンチン、フランス、フィンランド、ハンガリー、フィリピンの政策立案者、原子力技術部門や規制当局の専門家が参加し、フィリピンのエネルギー転換を支える戦略的かつ適応性のあるサプライチェーン構築に焦点を当て、議論された。昨年11月に開催された第1回フォーラムでは、国際的に活躍する原子力専門家、政策立案者、エネルギー関係者、外交官らが出席。原子力産業における最新の動向、ベストプラクティス、安全とセキュリティ、および資金調達メカニズムなどについて協議されている。フィリピンでは2022年2月、大統領令により原子力をエネルギーミックスに加えるという方針が確定し、昨年には原子力ロードマップが発表された。2032年までに同国初の原子力発電所の稼働を目指し、少なくとも出力120万kWeをエネルギーミックスに組み入れ、2035年までに240万kWeに倍増、2050年までに480万kWeまで増強する方針である。今年9月には、国家原子力安全法を制定。原子力の平和利用を規定し、原子力安全および放射線活動を監督する、独立した原子力規制機関(PhilATOM)の設立を定めており、原子力の導入にむけた諸準備が本格化している。なお同国では、1985年に東南アジア初の原子力発電所となるバターン原子力発電所(=BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)がほぼ完成したが、1986年に発足したアキノ政権は、同年のチョルノービリ原子力発電所事故の発生を受け、安全性及び経済性を疑問視し、運転認可の発給を見送った。その後、急速なエネルギー需要が国産エネルギーの開発や輸入エネルギーの増加でも賄えない場合に備え、1995年から原子力発電の導入について検討が始まったが、2011年3月の福島第一原子力発電所事故により、再度原子力発電開発を断念した。現在、韓国水力・原子力の支援を受け、BNPP稼働に係わる包括的な実行可能性調査を実施中である。
- 22 Oct 2025
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