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原文財団「原子力に関する世論調査」2025年度版を公表
日本原子力文化財団(原文財団)は3月23日、2025年10月に実施した「原子力に関する世論調査」の結果を公表。原子力に対する肯定的評価は2018年度以降おおむね横ばいで推移している一方で、否定的イメージは2017年度以降、低下傾向が続いていることが分かった。また「信頼できない」との回答も減少し、福島第一原子力発電所事故前と同水準(12.0%)まで回復した。同調査は、全国の15〜79歳の男女1200人を対象に実施。2006年度から同一手法で継続している全国規模の調査で、今回で19回目。世論調査を経年的・定点的に実施し、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握し、原子力に関する知識普及活動のあり方などを検討するのが目的だ。エネルギー政策や社会動向の変化に対応するため、適宜新たな設問の追加や内容の見直しを行い、継続性と時勢の変化への対応の両立を図っている。なお、原文財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。例年通り同調査は、原子力や放射線に対するイメージ、関心、情報保有量、信頼、再稼働や利用に対する考え方など多岐にわたる項目で構成されているが、今年度はいくつかの新設項目が追加された。具体的には、「今後の原子力発電の利用に対する考え」といった将来のエネルギー選択に関する設問や、「核燃料サイクル・バックエンドに関する情報保有量」など、より専門的な領域に踏み込んだ設問がその例で、最新の世論動向を的確に把握できる設計となった。同調査によると2025年度に、最も関心が高かった原子力/エネルギー関連ニュースは「地球温暖化」で、70.3%に上った。これに「電気料金の値上げ」(56.4%)、「自然災害による停電」(53.9%)、「電力不足」(48.3%)が続いた。さらに「巨大地震・津波と原子力」(37.8%)、「ロシア情勢などとエネルギー安定供給」(33.8%)、「再生可能エネルギー拡大の影響」(33.1%)といった項目が上位に並び、「暮らしに直接的に影響する可能性」が高いテーマとなった。一方、原子力業界に関する個別テーマへの関心は相対的に低く、「女川原子力発電所の再稼働」が13.9%、「AI普及に伴う電力需要増加」が11.4%、「原子力発電所のリプレース」が10.8%、「第7次エネルギー基本計画」が4.5%にとどまった。経年で見た場合、「暮らしに影響を与える身近なニュース」に対する関心は低下傾向にあるものの、生活に密接に関わるテーマへの関心の高さと、業界個別テーマとの間に乖離がある実態が浮き彫りとなった。また、今後の原子力発電の利用に関する意識では、「使っていく」「どちらかといえば使っていく」を合わせた肯定的意見が42.0%、「やめていく」「どちらかといえばやめていく」を合わせた否定的意見が35.0%となり、肯定的意見がやや上回った。また、「わからない」は22.6%だった。属性別では、男性で肯定的意見が多く、女性では否定的意見が多い傾向が見られた。年齢別では25〜44歳で肯定的意見が比較的高い一方、24歳以下では「わからない」とする回答が目立った。また、原子力に関する情報保有量が多い層ほど肯定的意見が多く、保有量が少ない層では「わからない」とする割合が高い傾向が確認されるなど、情報量の差が意識形成に影響を与えている実態が浮き彫りとなった。また、経年変化では、再稼働に対する不安を背景とした否定的選択肢は減少傾向にあり、必要性や規制基準への適合といった観点から再稼働を評価する動きが増加しているが、「原子力発電をやめていく」とする層ほど、「災害対策」や「防災体制」、「大事故への不安」、「高レベル放射性廃棄物」、「福島第一原子力発電所の廃炉」といった項目に強い関心を示している。特に、高レベル放射性廃棄物への懸念が顕著となっていることがわかった。これらの結果から、再稼働に対する理解を得るためには、不安や否定的認識に関わる項目に対する情報提供の充実が重要であることが示唆された。原文財団では継続的な調査を通じて原子力を巡る社会認識の変化を把握し、今後の情報発信の在り方の検討に生かす考えだ。
- 25 Mar 2026
- NEWS
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去り行く「よそ者」の意味
2011年の原子力災害から15年が経ちました。相馬市に居住していた4年間も含めた10年以上もの間、私は「よそ者」として福島県相双地区と関わり続けています。ここでいうよそ者というのは、コミュニティから疎外される者、というネガティブな意味ではありません。むしろあるコミュニティにコミットしながら良くも悪くも地域に染まらない・あるいは染まれない者という意味合いと考えていただければと思います。このようなよそ者はコミュニティとの距離感が日々変化し続ける存在とも言えます。そんな自由度を持った彼らは、コミュニティに何かをもたらすだけでなく、その地域から去ることにも大きな意味があるのではないか。この15年の経験を経て、そう感じています。よそ者への期待と差別災害後の被災地では、よそ者に寄せられる期待は平時以上に大きいように思います。先行きを見失った被災地では、現状を打破するための「何か」を強く待ちわびているからです。被災地を訪れる方々もまた、その期待に応えるべく、異文化や新しい視野をもたらそうと一生懸命努力される方が多いと思います。しかしそれは一方で、コミュニティへの貢献度によって来訪者に優劣をつけるかのような風潮も生みえます。この10年あまりの間に、私と同じような多くのよそ者が福島を訪れ、そして去っていきました。その中には「自分は貢献できなかった」「感謝を得られなかった」「地域に染まれなかった」という後悔や失望を抱えながら被災地を去った方も少なくありません。ではその方々の来訪は、地域にとって意味がなかったのでしょうか。私は、被災地への訪問者には必ずしも善意や志や技能が必要だと思いません。なぜなら災害後には、コミュニティにとっての「非自己」であるよそ者がいること自体に必要性があるからです。そしてその方々が「非自己」のまま立ち去ることもまた、復興のためには意味があるのだ、と思います。災害時の心理と他者の存在発災の衝撃が抜けた後、被災者の心理状態は以下のように移り変わるといわれています。自己犠牲的に他者を助けようとする「英雄期・ヒロイック期」ボランティアや公的支援に感謝し、他者との連帯感が生まれる「ハネムーン期」過労と復興の停滞、記憶の風化により社会の負の側面が顕在化する「幻滅期」災害前には戻らないという事実を受容し、真の意味の復興が始まる「再建期」特に福島県浜通りでは、地震・津波災害、原子力発電所事故、大量避難、風評被害など、それぞれの事象ごとにこの心理が循環したため、再建期に至るまでのフェーズに大きな格差が生じ、混沌とした状態でした。振り返ってみれば、この格差は主に、「身近にどれだけ他者がいたか」にかかっていたように思います。というのも、再建期に至るまでの3つのフェーズにおいて、地域の人々の幸・不幸は多分に他者の存在に依存しているからです。たとえば英雄期の自己犠牲には救うべき他者だけでなく、その英雄的行為を観察してくれる明確な他者が必要です。「ハネムーン期」の幸福感もまた、自分(たち)が本来関わることのなかった他人に忘れられていない、支えられている、という点に満足感があります。そこで生じた過剰な期待と同調圧力が負の方向へ働けば、分断を生み、その後の他者への幻滅期へと移行するといえるでしょう。福島県において、よそ者と関わり続けてきた人や地域ほど復興が早かったのはこの為ではないかと思います。よそ者がもたらす安定そう考えれば、幻滅期に幻滅されることは、その対象となる人の責任ではなく、コミュニティが復興期に移るための自浄作用であると言えるのではないでしょうか。同じような自浄作用は、ハネムーン期がなくとも起きえます。人は災害時のモヤモヤ感やイライラ感を他者の中に押し込め、自己の日常を守ろうとするからです。たとえば関東大震災後の異国人の排斥や原子力発電所事故後の「フクシマ」差別など、自分以外の人間に「諸悪の根源」のレッテルを貼り、強力に排斥しようとする心理は、上に示す「英雄期」「ハネムーン期」の裏返しといえるでしょう。いずれにおいても攻撃の対象となった方々に何か落ち度があったわけではないのです。ではなぜそこによそ者が関わる必要があるのでしょうか。期待にしても、幻滅にしても、もしその対象がコミュニティの中の誰かであった場合、「幻滅期」「再建期」には村八分状態が生じる可能性があります。このためにいずれ排斥されうる英雄はコミュニティの外にあることが望ましい、という心理が、コミュニティの中で無意識に働いているのかもしれません。つまり、いざというときに「形代(かたしろ)」として排除することが可能なよそ者は、外から刺激を与える者であると同時に被災地の心理的安定のバッファーとしても存在しうるのではないでしょうか。多くの人類学者が「まれびと論」「周辺論」などで述べていることですが、それは被災地のよそ者にも当てはまるのではないか──それが10年あまりの福島を見てきた私の感想です。離れて行った方々へもちろん災害時に必ずよそ者が去らなければならないわけではありません。コミュニティに溶け込んだ方や、重要な職に就いた方々もたくさんいらっしゃいますし、私のように長々とよそ者を続けている人間もいるでしょう。それでも、被災地に関わり、「何もできなかった」「最後に決裂してしまった」と去っていった方々もまた、被災地にとって必要だった──そのことを、これまでに被災地を去っていかれた方々、これから被災地に関わる方々に改めて知っていただきたいと切に願います。
- 25 Mar 2026
- COLUMN
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2045年まで19年
福島第一原子力発電所事故の除染作業により発生した土壌を「除去土壌(復興再生土)」と呼ぶ。除去土壌の総量は1,400万㎥で、東京ドーム11杯分超の容量だ。2045年3月までに福島県外で最終処分することが決まっているが、その場所はまだ決まっていないのが実情である。県外での最終処分に向けては、除去土壌等のボリュームを減らすこと(減容化)が重要となる。減容化の方法としては、放射能濃度が比較的低い除去土壌等を道路整備等で盛土(下地材)として利用することなどが挙げられる。除去土壌等の約4分の3を占める8,000ベクレル/kg以下の土に関しては、再利用できると考えられている。
- 10 Mar 2026
- STUDY
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日米の若手原子力人材が交流 WPAサンタフェプログラムの一環
日本原子力学会若手連絡会とWashington Policy and Analysis(WPA)は2月20日、日米の若手原子力人材による交流イベント「NEXTGEN NUCLEAR TALKS」を開催した。同イベントは、WPAが実施する「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」の一環として企画されたもの。WPAは、米国ワシントンDCに拠点を置くエネルギー分野のコンサルティング会社で、1988年に設立された。創設者兼会長は、米国エネルギー省(DOE)の元副長官であるウィリアム・マーティン氏。同氏は幅広いネットワークを活用し、米国政府や原子力業界、日本政府・電力業界などの関係機関と広く関係を持ち、日米間の原子力分野における政策や産業の橋渡し役として連携や支援を行ってきた。こうした日米間協力活動の一環として、WPAが実施しているのが「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」だ。米国の若手原子力リーダー(20代~40代)らが日本を訪問し、原子力関連施設や政府機関などを視察するとともに、日本の同年代の若手人材との交流を通じて相互理解を深め、日米間の長期的な信頼と協力関係の構築に繋げる狙いがある。同プログラムは2016年に開始され、今年で10回目を迎えた。今年も、さまざまな分野から選ばれた米国の次世代リーダーを日本に招き、原子力関連施設の視察や関係機関との意見交換を行い、日本の原子力政策や原子力産業の現状について理解を深めた。イベント当日は、プログラムの概要説明の後、マーティン氏が開会挨拶を行い、続いて日米の原子力分野が直面する主な課題について、日本原子力学会若手連絡会長の川合康太氏とWPAのレア・ブース(Lea Booth)氏が、双方の視点から講演を行った。川合氏はまず、日本では、脱炭素とエネルギー安全保障を実現する柱として原子力が再評価されている一方で、福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電所の長期停止によって産業基盤が弱体化し、若手人材の不足や熟練技術者の減少、サプライチェーンの縮小などさまざまな課題に直面していると指摘。一方のブース氏は、米国でもボーグル3、4号機 (PWR=AP1000、125.0万kWe×2基)の建設において、建設期間の長期化やそれに伴う建設コストの増加により、大型炉の建設への慎重姿勢が強まっていることや、電力市場の自由化と資金調達、また燃料調達における課題を挙げた。その後、参加者は3グループに分かれ、「日本の原子力開発が直面する最大の課題は何か」「日米の原子力協力で最も有望な分野は何か」などのテーマに沿った意見交換が実施され、課題解決、そして日米協力の可能性について議論した。同イベントの終了後、川合氏は、「日米の若手人材が同じ立場で率直に議論できる点に意義があった」と述べ、こうした地道な交流や情報共有の積み重ねが、日米の信頼関係を支える基盤になると語り、今回のような若手人材の交流の場を今後も増やしていくことの重要性を強調した。
- 04 Mar 2026
- NEWS
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SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 開催 23日まで 「発見!ふくしまお魚まつり」を同時開催
全国各地の魚介グルメを集めた大型フードイベント「SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 (魚ジャパンフェス)in 代々木公園」(主催:SAKANA&JAPAN FESTIVAL実行委員会)が、2026年2月20日(金)から23日(月・祝)までの4日間、東京都渋谷区の代々木公園イベント広場およびケヤキ並木で開催される。後援は水産庁、復興庁、経済産業省、福島県。なかでも注目されるのが、東日本大震災から15年の節目を迎える福島の復興応援企画だ。「常磐もの」として知られる福島県産の魚介を使った料理の提供だ。県産フルーツを活用したスイーツも登場するという。さらに、来場者が体験型で参加できる企画も用意されており、味わうだけでなく、楽しみながら福島の魅力や復興の歩みに触れられる場となる。SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 in 代々木公園は、東京都渋谷区の代々木公園イベント広場~ケヤキ並木で開かれる。開催時間は、20、21、22日が10時~20時、23日が10時~18時。入場無料(飲食代は別途)。
- 20 Feb 2026
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石原環境大臣 復興再生土の新たな再利用先 今秋までに決定
石原宏高環境大臣は2月10日の記者会見で、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で貯蔵されている除染土のうち、放射能濃度が比較的低く再利用が可能とされる「復興再生土」について、新たな再利用先を今秋までに決定する方針を明らかにした。除染土は、福島第一原子力発電所事故後の除染活動で発生した土壌で、法律により2045年3月までに福島県外で最終処分することが定められている。最終処分の量を可能な限り減らすため、一定の基準を満たす土壌を公共事業などで活用する「復興再生利用」が進められている。環境省は昨年9月、再利用対象となる低濃度土壌を「復興再生土」と位置付ける方針を正式決定。政府は昨年8月に策定した県外最終処分に向けたロードマップに沿って、再利用実績の積み重ねと国民理解の拡大を図るとしている。2025年7月には、復興再生土が首相官邸の前庭で芝生の基盤材として使用されたほか、霞が関の省庁敷地内の花壇などでも再利用され社会的な関心を集めた。政府中枢での使用は、安全性への理解を広げる象徴的な取り組みと位置付けられている。石原大臣は「秋までには再利用する場所を必ず見つけられるよう、全力を尽くしたい」と述べた一方、地域住民の理解を得ながら慎重かつ着実に進めていくことの重要性も示唆し、関係各位に理解を求めた。
- 19 Feb 2026
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双葉町と富岡町 特定帰還居住区域で立入規制を一部緩和
福島県双葉町と富岡町では2月13日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制緩和区域が追加設定されたと発表した。福島県双葉町では約160ヘクタールが、富岡町では、約55ヘクタールの地域が新たに追加設定され、2月13日付で内閣総理大臣から計画変更の認定を受けた。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。東日本大震災と福島第一原子力発電所事故に起因する影響で、現在も避難指示が継続している帰還困難区域に該当する各市町村では、「特定帰還居住区域復興再生計画」を作成し、内閣総理大臣の認定を受け、特定帰還居住区域内の除染やインフラ整備等を一体的に進めてきた。現在、双葉町と富岡町どちらも、対象区域の一部で年間20mSvを上回る地点もあるものの、空間線量は概ね20mSv/年以下まで低下しているという。双葉町、富岡町双方とも、2020年代までに帰還意向のある住民全員が特定帰還居住区域に戻れるような環境整備を進め、復興と再生を進め、この度、追加認定された区域でも、線量低減や家屋解体、上下水道などのインフラ復旧を進め、1日も早い避難指示解除を目指すとしている。
- 18 Feb 2026
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柏崎刈羽6号機が発電開始 三村会長「心より歓迎」
東京電力は2月16日の午後10時、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の発電機を送電系統へ接続(本並列)したと発表した。同日未明(午前3時頃)、同機は試験的に送電系統へ接続する「仮並列」を行い、発電機出力を定格電気出力の約20%(約27万kW)まで上昇させ、発電機の運転状態を確認していた。その後、一度送電系統から切り離して発電機出力を0%に下げた後、タービン保護装置の健全性確認として、タービンの回転を定格回転数以上に上昇させ、自動でタービンが緊急停止することを確認。そして、再度、発電機を送電系統へ接続(本並列)し、発電機出力を定格電気出力の約50%(約68万kW)まで徐々に上昇させた。同社は今後、2月20日から下旬にかけて一度「中間停止」を実施し、その後、原子炉の起動・昇圧工程を再開する予定だ。この中間停止では、前半の出力上昇試験(20〜50%)で取得した各種データやプラントの挙動を詳細に評価・確認する。主にタービン系統を対象に、起動過程における温度や圧力の変化、設備運転に伴う振動などを点検し、機器や配管などに異常がないかを確認するという。こうした評価を通じて安全性を確かめたうえで、プラントの再起動工程へ移行する計画だ。再起動後は、原子炉出力を段階的に引き上げながら、安定した連続運転が可能であることを確認していくとしている。同社は総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。同6号機が発電開始したことを受け日本原子力産業協会の三村明夫会長は、「心より歓迎したい」とのコメントを公表。再稼働に至るまで約14年にわたり尽力してきた関係者の取り組みに敬意を表した上で、新潟県や柏崎市、刈羽村をはじめとする地元自治体・住民の理解と判断に対し、深い感謝の意を表明した。続けて三村会長は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は電力供給の安定性を高め、化石燃料の調達リスクや価格変動リスクの抑制を通じて、日本のエネルギー供給の強靭化に大きく貢献すると指摘。とりわけ、供給予備力の確保が課題となっている首都圏を含む東日本において、その意義は極めて大きいとの認識を示した。さらに中長期的には、電力需要の増加が見込まれる中で、経済性の高い脱炭素電源による安定供給が実現することは、日本経済の成長と国際競争力を支える基盤になると強調した。そのうえで、原子力の活用において最も重要なのは安全の確保と立地地域からの信頼だとし、東京電力に対し、ガバナンス強化や地域経済への貢献などの取り組みを着実に進め、立地地域との対話を重ねながら安全・安心の確保と地域活性化に努めることに期待を示した。また、原子力産業界として、低廉な脱炭素電力の安定供給という社会的要請に応えるため、高い安全性と品質の確保に不断の努力を重ねていく考えを示した。
- 17 Feb 2026
- NEWS
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柏崎刈羽6号機 原子炉を起動 臨界を確認
東京電力は2月9日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午後2時に制御棒を引き抜き、原子炉を起動したと発表。そして、午後3時過ぎ、臨界を達成した。現在作業中の工程は原子炉起動・昇圧の段階にあたる。この後、タービン起動・発電機並列を経て、一度「中間停止」を挟み、再び原子炉起動・昇圧の工程から再開する。中間停止をする理由について同社は、前半(出力が20〜50%)の試験で得られたデータやプラントの挙動を、一旦詳細に評価・確認するためだとしている。連続して出力を上げるのではなく、一度原子炉を停止して慎重に評価を行うことで、更なる安全性を確認してから、定格出力(後半)工程へ進む計画だ。同社は総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。
- 09 Feb 2026
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東京電力「第5次総合特別事業計画」を公表 廃炉事業と経済事業の抜本的な改革へ
東京電力は1月26日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で策定した第5次総合特別事業計画(第5次総特)が国から認定されたことを公表した。同社は同計画において、コスト削減の具体額や実施手法に加え、脱炭素電源による供給比率の目標、さらには他社とのアライアンスに関する方針・目標を明確に打ち出した。記者会見には、小早川智明代表取締役社長、山口裕之代表執行役副社長、酒井大輔代表執行役副社長が出席。会見の冒頭、小早川社長は「廃炉作業が前人未踏の領域へ移行しつつあることに加え、GX・DXの進展に伴う電力需要の変化、物価高などによる投資や費用の増加により、当社を取り巻く事業環境は大きく変化している」と説明した。また小早川社長は、経営の原点を福島第一原子力発電所の事故に伴う「福島への責任の完遂」と「安定供給責任の全う」に置き、これら2点が企業の存立基盤に直結するとの認識を改めて示した。その上で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)が再稼働した場合でも、廃炉事業と経済事業の双方において抜本的な改革がなければ、両責任の両立は極めて難しいと述べ、同社が岐路に立っているとの危機感を示した。続いて、酒井副社長が第5次総特の基本方針について説明した。計画策定の背景として、①福島第一原子力発電所の廃炉工程の進展と燃料デブリの取り出しという最難関の段階に入っていること、②GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりを受け、電力需要が拡大していること、③物価高の影響でキャッシュフローが悪化し、成長投資が制約されていること、の3点を挙げた。まず、①の廃炉事業の完遂に向けて最大の難所となる燃料デブリの取り出しに備え、現場主義を重視しながら、経営判断、事業遂行能力、組織体制の3本柱で廃炉事業の抜本改革(遂行能力の向上)を進める考えを明らかにした。そして、②の対応として、データセンター需要をはじめとするデジタル需要を国内に取り込むため、系統接続の早期化や他社との連携を進め、2040年度までに首都圏のデータセンター需要の伸び率で世界トップクラスを目指すとした。そして、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を着実に進めるとともに、2040年度までに供給する電力のうち6割以上を脱炭素電源で賄うことを目標に掲げた。③の財務面については、悪化するキャッシュフローと厳しい資金状況からの脱却を喫緊の課題に位置付け、短中期的には、第三者資金の活用を含む経営の合理化や投資抑制、資産売却を進め、2025年度から2034年度までに累計約3.1兆円のコスト削減を見込む。また、不動産などの資産売却を通じて原則3年以内に約2,000億円規模の資金捻出を目標とした。さらに中長期的には、第三者とのアライアンスを通じて成長投資の原資を確保し、自立的な資金調達力の回復を目指す方針を示した。同社は、経済事業の収益基盤拡大に向け、自社が保有していない技術やノウハウの獲得が必要との認識を示し、アライアンスの重要性を改めて強調。期限を区切ってパートナー候補から広く提案を募集し、具体的な連携の枠組みについて協議・交渉を進める方針を明らかにした。
- 28 Jan 2026
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増井理事長 柏崎刈羽6号機の再稼働や中部電力データ不適切事案に見解
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は1月23日、定例記者会見を行った。今年4月に開催予定の第59回原産年次大会の詳細を公表したほか、昨年12月に自身が参加した原子力小委員会での発言内容についても報告。会見後半では柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働や、中部電力における基準地震動策定データの不適切な取扱事案などに関する質問にも応じた。まず増井理事長は、第59回原産年次大会のテーマを「原子力の最大限活用を支える人材戦略」とし、4月14日、15日の2日間にわたって開催する旨を紹介した。今回の大会は3つの柱を軸に構成され、海外からゲストを招いて国際的な視点から原子力分野の人材課題を議論するとともに、最新技術を活用した省人化や業務効率化に関する国内外の事例紹介、さらに多くの学生の参加を促し、原子力業界に対する率直な受け止めや意見を直接聞く場とする方針を示した。次に増井理事長は、昨年12月の原子力小委員会で議論されたGX行動指針の改訂をめぐり、原子力分野に関する3つの意見を表明したと説明した。1点目に、原子力発電の将来像について、中期と長期の二段階で明確に位置付ける必要性を指摘し、産業界が長期的な展望を持てるような目標設定を求めた。2点目に、次世代革新炉の開発・建設に関し、投資回収を可能とする制度設計や政府の信用力を活用した融資など、実効性ある制度構築の必要性を訴えた。3点目に、人材確保や育成について、GX行動指針の共通重要課題に位置付け、すでに設定された6つの重要項目に追加する形で「第7の柱」として整理することを提案したという。会見の後半、記者との質疑応答・意見交換では、柏崎刈羽6号機の再稼働に関する質問が寄せられた。同6号機の再稼働に伴う警報のトラブルについて増井理事長は、警報の事象は2つあるとし、「1つ目は起動前の制御棒引抜試験にて、2つ目は原子炉起動後の制御棒を操作する過程で起きた」と整理した上で、「前者は運転開始時の設定エラー、後者は部品の故障に近いものと推定している」とコメント。その上で、「警報が出たこと自体が直接安全性に影響を及ぼすものではないが、通常とは異なる状態である」と説明し、東京電力に対しては、今後も慎重な姿勢で作業を進めること、少しでもリスクがある事態に直面した場合には、安全最優先で停止する対応が適切だとの考えを示した。また、中部電力のデータ不正事案について増井理事長は、原因は調査中であるとし断定的な評価は避けるとした上で、調査の焦点として、①不適切なデータ操作に至った「動機」、②データを扱っていた担当者の範囲や、国の審査会合に提出する過程で、どの程度の関係者が関与し、どのような形で意思決定が行われたのかという「構造上の問題」、③こうした事案を招いた背景としての「職場の環境」の3点を挙げた。そのうえで、増井理事長は「中部電力には、しっかりと調査を進めてほしい」と述べ、徹底した原因究明を求めた。
- 27 Jan 2026
- NEWS
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柏崎刈羽6号機が再稼働 制御棒の引き抜き作業が慎重に進む
東京電力は1月21日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子力規制委員会から原子炉起動後に実施する設備健全性確認(使用前事業者検査を含む)に向けた原子炉の試験使用承認を受けたと発表。これを受けて同社は、同日午後7時ごろ制御棒の引き抜き操作を開始し原子炉を起動した。福島第一原子力発電所の事故以来、東京電力の原子力発電所が稼働するのは初。原子炉起動後、制御棒を順に引き抜き、同日午後8時半ごろに臨界を達成した。同社は、同6号機の再稼働を当初1月20日に予定していたが、1月17日の制御棒の引き抜き試験の際、警報が発報されない不具合が確認され、起動作業を一時延期していた。同社によると、本来、制御棒を1本引き抜いた状態で別の制御棒を選択すると、誤操作防止のための引き抜き防止機能が作動し警報が発報する仕組みとなっているが、17日の試験時には警報が発報しなかったため、試験を中断し、引き抜いていた制御棒を全て元の位置に戻したほか、制御棒の操作ができないよう電源を遮断していた。そして翌18日、全ての制御棒に対し同様な不具合がないか、警報の確認試験を実施。当該制御棒に設定されていたペアロッド設定に誤りがあることが判明したため、その後設定を正しく修正した上で、引き抜き防止機能が正常に作動し警報が発報することを確認し、運転上の制限から復帰していた。そして1月21日、全ての制御棒で警報が正常に作動することを確認したため、同件を同日午後、原子力規制庁に説明。原子力規制委員会から6号機の原子炉を起動することを認める「試験使用承認書」を受け取っている。同社は、約14年振りの運転となる同機の運転に際し、設備の健全性確認を慎重に進めている。1月22日には、再び制御棒を引き抜く作業を一時中断。制御棒の引抜操作時に、1本の制御棒の操作監視系の警報が発生したことが理由だと公表している。なお、プラント状態は安定しており、外部影響はない。
- 22 Jan 2026
- NEWS
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岩手県一関市で除染土の埋め立て工事が開始 岩手県内で初
岩手県一関市は1月8日、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の影響を低減するための除染作業で発生した、除去土壌(以下:除染土)の埋め立て処分工事を開始した。除染土の埋め立ては、岩手県内で初の事例となる。一関市ではこれまで、公園、スポーツ施設、教育施設など公共施設366か所の敷地内に除染土を埋設保管してきた。しかし2025年3月、国が「福島県外における除去土壌の埋立処分に係るガイドライン」を策定したことを受け、同市は同ガイドラインに基づき、除染土を恒久的に埋め立て処分する方針を決定。昨年12月には、市のウェブサイトで工事の実施概要を公表していた。今回の埋め立て処分では、市内の花泉運動公園多目的競技場と室根支所資材置場の2か所を処分場所に指定。工期は2026年3月まで、事業費は544万円(2025年度)とされている。来年度以降は、教育施設など子どもが日常的に利用する施設から優先的に、除染土の移動と処分を進める方針だ。除染土をめぐっては、2025年7月、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で保管されていた除染土が、首相官邸の前庭や霞が関の省庁敷地内の花壇などで再利用され、社会的な関心を集めた経緯がある。国が定めた同ガイドラインでは、福島県外で発生した放射性セシウム濃度が比較的低い除染土については、地下水汚染防止の観点から、容器への封入や遮水工といった特別な対策は原則不要とされている。一方で、埋め立て作業中の粉塵の飛散や流出を防ぐため、散水やシート養生などの抑制措置を講じることが求められるほか、悪臭、騒音、振動によって周辺の生活環境に影響が生じないよう配慮することも規定されている。また、埋め立て場所には囲いを設け、除染土の埋め立て場所であることを明示する表示を行う必要がある。作業終了後は、開口部をおおむね30センチ以上の土壌などで覆って閉鎖するとともに、敷地境界で空間線量率を定期的に測定し、除染土の量や放射能濃度などの記録を作成・保存することが義務付けられている。
- 13 Jan 2026
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原子力新年の集い 三村会長が3重点示す 赤澤経産相 安全最優先強調
日本原子力産業協会は1月7日、「原子力新年の集い」を都内で開催。会員企業・組織、国会議員、駐日大使館関係者ら759名が参加し、親睦を深めた。冒頭あいさつに立った三村明夫会長は、年末年始の電力の安定供給に尽力した全国の関係者に謝意を示した上で、昨今、エネルギー安全保障と脱炭素の両立に向け、世界的に原子力活用の機運が高まっているとの認識を示した。<年頭挨拶はこちら>昨年11月のCOP30では「原子力三倍化宣言」への支持が拡大し、金融機関やIT企業など幅広い分野で原子力活用を後押しする動きが広がっていると指摘。国際金融機関の姿勢変化により、原子力プロジェクトへの資金調達環境も改善しつつあると強調した。国内では、原子力を巡る動きにも具体的な前進が見られたと指摘した。昨年、関西電力が美浜発電所の後継機に向けた自主的な現地調査の再開を発表したほか、北海道電力の泊3号機や東京電力柏崎刈羽6・7号機の再稼働を巡っては、知事の理解が示されるなど、再稼働や新設に向けた環境整備が着実に進みつつあるとの認識を示した。一方で、こうした取り組みを実現に結び付けるためには、安全確保を大前提に、地域の理解を得るための丁寧な説明と対話を重ねていくことが引き続き不可欠だと強調した。また、高市政権が昨年11月に発表した「強い経済」を実現する総合経済対策で、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉の実現が国家の成長戦略の中核に位置付けられたことを踏まえ、原子力がわが国の産業競争力や技術開発に果たす役割はかつてなく大きくなっていると指摘した。続いて三村会長は、原子力の最大限活用に向け、今後特に重要になる取組みとして次の3点を挙げた。1点目に、新規建設の早期実現に向けた事業環境整備を挙げ、資金調達や投資回収の確保、サプライチェーンの維持・強化が不可欠だとした。2点目には原子力産業の持続的発展を支える人材の確保・育成を挙げ、国際的な視点も踏まえた議論を通じて、将来を担う人材基盤の強化を図る考えを示した。3点目は、国際連携の推進を掲げ、国際機関や海外産業団体との協力を通じて、世界的な原子力活用の機運を維持するとともに、日本の原子力産業の海外展開を後押ししていく方針を示した。来賓挨拶に立った赤澤亮正経済産業大臣は、冒頭、浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案に言及し、国民の信頼を揺るがしかねない重大な問題として、厳正な対応と再発防止を求める考えを示した。その上で、世界的に原子力の重要性が高まっているとの認識を示し、第7次エネルギー基本計画に基づき、安全性と地域理解を最優先に、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉の導入を進める方針を改めて強調した。また、原子力産業の持続的発展に向け、サプライチェーンの維持・強化や人材育成への支援に政府として全力で取り組む姿勢を示し、東日本大震災から15年目の節目を迎える今年、着任前後に福島を訪れた経験に触れ、現場主義のもと、復興と安全な廃炉に最後まで責任を持って取り組む決意を表明した。続いて登壇した電気事業連合会の安藤康志副会長は、浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案について、原子力事業への信頼を損なう重大な事案として深刻に受け止めていると述べ、電力会社を代表して謝罪した。その上で、昨年は国際的に原子力回帰が進み、第7次エネルギー基本計画で原子力の価値が改めて確認された重要な年だったと振り返った。そして、泊発電所や柏崎刈羽原子力発電所で再稼働に向けた進展が見られたことを評価し、今後もさらなる安全性の向上を追求するとともに、地域住民からの理解と信頼を得るため、丁寧な取り組みを着実に続けていく考えを示した。
- 08 Jan 2026
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タイ高専が最優秀賞 第10回廃炉創造ロボコン
日本原子力研究開発機構(JAEA)と廃止措置人材育成高専等連携協議会は12月20日、福島県の楢葉遠隔技術開発センターで第10回廃炉創造ロボコンを開催した。今大会は、日本国内から10校16チームと、マレーシア工科大、タイ高専(KOSEN-KMITL)の計18チームが出場。初出場のタイ高専が最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞した。大会の様子はYouTubeで配信され、アーカイブを視聴することができる。廃炉創造ロボコンは2016年に初開催され、今大会で10回目の節目を迎えた。ロボット製作を通じて、若い世代が廃炉作業に関心を持つと同時に、創造性・課題発見・解決能力を養うことが目的だ。優れたロボットやアイデアについては、将来的に現場への適用や関係企業との共同研究につながる可能性を視野に入れているという。開会に先立ちJAEAの小口正範理事長はあいさつに立ち、廃炉が長期にわたる事業であることを踏まえ、次世代人材の育成が原子力産業界にとって極めて重要な課題であると強調した。その上で同大会について、遠隔操作やAIなど、実際の廃炉現場を見据えた技術に触れる実践の場であり、単なる競技にとどまらず、廃炉を支える技術と人材を育む「希望の場」だと位置づけた。今大会の競技課題は、「廃炉ミッション!原子炉格納容器内部を調査せよ」。福島第一原子力発電所2号機の原子炉格納容器(PCV)内部の調査を想定し、X-1ペネトレーションからPCV内部へ進入し、底部に存在する対象物を回収して帰還するまでの一連の作業に挑んだ。最優秀賞を受賞したタイ高専は、参加チームのうち唯一、すべての課題をクリアした。同校は、「日本型高等専門学校の教育制度(KOSEN)」を本格的に導入したタイ初の高専として知られる。日本の国立高等専門学校機構から教員が派遣され、現地教員への指導や研修が行われているほか、日本国内の高専でのタイ人学生の受け入れなども進められている。
- 07 Jan 2026
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東京電力 「原子力災害対策充実に向けた考え方」に基づく取り組みを公表
東京電力は12月19日、「原子力災害対策充実に向けた考え方」に係る同社の取り組みについて、最新の進捗を反映した内容を公表した。これは、2016年に経済産業大臣から要請を受けた「原子力安全対策および原子力災害対策に関する取り組み」を整理したもので、前回公表(2024年12月20日)以降の進捗を反映し、現在の状況を取りまとめたものである。今回は、福島第一原子力発電所の廃炉や福島第二原子力発電所の廃止措置の進展、柏崎刈羽地域における緊急時対応の見直し、福島県内のヘリポート設定の追加など、原子力災害対策の実効性の向上に向けた内容が盛り込まれた。第1章では、事故収束活動の体制や各原子力発電所の現状、安全対策の状況を整理し、第2章では、原子力災害発生時における事業者の役割や支援体制に加え、福島第一原子力発電所事故の責任を踏まえた賠償、復興推進に関する取り組みを示した。主な変更点は以下の通り(一部抜粋)①福島県内ヘリポートの設定を追加②福島第一の廃炉作業の進捗を踏まえ更新③福島第二の廃止措置計画の進捗を踏まえ更新④協力企業と連携した輸送訓練を追加⑤柏崎刈羽地域の緊急時対応取りまとめを踏まえ更新⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化を追加⑦2025年度新潟県および福島県の原子力防災訓練の反映変更点の概要は以下の通り①福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の2か所をヘリポートの拠点として設定。さらに、協力企業と連携し、楢葉ヘリポートおよび平ヘリポートの計2か所の運用を始めている。②2024年度には、汚染水対策で発生量を1日約80~90㎥まで抑制し、2025年目標を前倒しで達成。燃料デブリについては、2024年の9月に2号機で試験的取り出しを開始し、11月には採取に成功した。今回公表された資料には、改訂のポイントとして、これら2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業の内容の反映のほか、原子炉格納容器内部の調査作業の具体的化が盛り込まれた。③44年にわたる廃止措置計画のうち、現在は第1段階(解体工事準備期間)にあり、管理区域外設備の解体や管理区域内の調査を進めている。今後は、これらの成果を踏まえ、第2段階への移行を目指す。④協力企業と連携し、事故収束活動に必要な資機材の輸送訓練を継続的に実施。従来のトラックによる陸上輸送に加え、資機材をより迅速に現地へ搬送するため、ヘリコプターを活用した航空輸送訓練も実施し、対応力の強化を図る。⑤柏崎刈羽地域では、要配慮者の避難を支援するため、同社から福祉車両や要員を提供する。具体的には、要配慮者を搬送可能な福祉車両31台を配備するとともに、各車両に運転手と補助員を配置し、計62名を派遣する体制を整備。また、空間放射線量率が高い区域から住民が避難する際には、検査・除染要員を派遣し、車両や住民への放射性物質の付着の有無を確認する。付着が認められた場合には除染を実施し、その際に発生する汚染水や汚染付着物についても、同社が責任を持って処理する。⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化に向けて、同社が除排雪体制の強化や屋内退避施設の環境整備に協力。具体的には、除雪車両の増強、消融雪施設の設置、監視カメラの設置、指定避難所の空調設置や断熱性向上を図るという。⑦2025年10月・11月に、新潟県にて災害対策本部の運営訓練をはじめ、福祉車両を用いた要配慮者の搬送、PAZ内住民の避難訓練やUPZ内住民の一時移転訓練などを実施した。また、柏崎市、燕市、見附市では、放射線に関する講座や避難退域時検査のデモンストレーション体験など、自治体ごとの個別訓練にも参加。2025年11月、福島県にて災害対策本部運営訓練や避難退域時検査訓練に加え、医療中継拠点の設置・運営訓練、甲状腺被ばく線量モニタリング、安定ヨウ素剤の配布訓練などに参加したことが追記された。
- 24 Dec 2025
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IAEA 海洋放出開始後5回目の安全に関する報告書を公表
国際原子力機関(IAEA)によるALPS処理水海洋放出の安全性を検証するレビューミッションが、12月15日から19日にかけて実施された。今回のレビューミッションは、海洋放出開始後5回目。IAEAのグスタヴォ・カルーソ原子力安全・核セキュリティ局調整官ら6名のスタッフと、専門家9名(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、米国、ベトナム、ロシア:以下IAEAタスクフォース)が来日。IAEAによると、これまで公表してきた過去4回の報告書と同様に、一連の対応は国際的な安全基準に沿っており、問題は見つからなかったと結論付けた。なお、同レビューミッションは、2021年7月に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いに関する安全面のレビュー付託事項(TOR)」に基づき行われている。12月17日にはIAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所訪問し、東京電力から最新の状況について説明を受けた。現地では、ALPS処理水移送建屋や放水立坑をはじめとする海洋放出関連設備のほか、2025年度中に解体開始が予定されるJ8エリアのタンクや、すでに解体が完了しているJ9エリアの確認が行われた。さらに、IAEAタスクフォースは、ALPS処理水の測定や分析を担う化学分析棟およびIAEA福島ALPSラボラトリーを訪れ、分析体制や運用状況を確認したという。12月18日および19日には、経済産業省と東京電力がIAEAタスクフォースに対し、ここ1年のALPS処理水の放出実績や、海洋放出開始以降に実施してきた海域モニタリングの結果を説明。また、あわせて、IAEAの国際安全基準に基づく放出開始後の取組み状況に関する報告がなされ、これらを踏まえた議論が行われた。日本政府(経済産業省)はHPにて、IAEAによるレビューを通じて国際安全基準に沿った取組みを継続し、ALPS処理水の海洋放出の安全確保に万全を期す考えを示した。また、IAEAと連携しつつ、国際社会に対する透明性の高い情報発信を続け、国内外の理解促進に努めるとしている。
- 22 Dec 2025
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高市首相 福島第一を初視察 復興・廃炉を「内閣の最重要課題」と強調
高市首相は12月2日、就任後初めて福島第一原子力発電所とその周辺施設を視察し、廃炉の進捗状況や帰還困難区域の現状を自ら確認した。高市首相はまず、大熊町の中間貯蔵施設を訪れ、土壌貯蔵施設や、除染土壌を道路盛土に再生利用する実証事業の取組みを確認。その後、福島の復興・環境再生の取組みを発信している中間貯蔵事業情報センターに移動し、職員から説明を受けた。午後には双葉町の帰還困難区域と荒廃農地を視察し、未だ復興途上にある地域の現状に理解を深め、特定帰還居住区域制度を活用しながら、避難指示解除に向けた取組みを加速させる考えを示した。また、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任をもって取り組む決意を示した。そして、高市首相は、除去土の中間貯蔵施設を受入れた大熊町・双葉町、そして福島県に対し、改めて深い謝意を表明。福島県内で発生した除去土を2045年3月までに県外で最終処分を行うという国の方針について、「法律に基づく国の約束であり、責任をもって実現すべきものだ」と強調した。政府はこれら除染土の処分量を減らすために、放射性物質の濃度が低い土を、全国の公共工事の盛り土等に用いて再生利用する計画を進めている。すでにその第一歩として、総理大臣官邸の前庭や、霞が関の省庁の花壇などで除染土の利用が開始されている。さらに今年8月、政府は県外処分へ向けたロードマップを策定。2030年頃に最終処分場候補地の選定を開始し、2035年を目途に処分場の仕様を具体化、候補地選定につなげる計画を示した。高市首相は、「責任を持ってロードマップの取組みを進めるとともに、段階的に2030年以降の道筋も示していきたい」と述べ、改めて国の責任を明確にした。高市首相は今回の視察を通じ、福島の復興が依然として長い道のりであり、震災と事故の記憶を決して風化させない姿勢を強調。「『全ての閣僚が復興大臣である』との決意のもと、復興に向けた取組みを一層加速させる方針で、福島の再生を内閣の最重要課題として責任を持って進めていく」と強い意志を示した。
- 05 Dec 2025
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新潟県 柏崎刈羽6、7号機の再稼働を容認へ
新潟県の花角英世知事は11月21日の記者会見で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に同意する意向を表明した。判断は12月の新潟県議会に諮った上で、国へ正式に報告する。知事は同意の前提として、国に対して次の7項目を確実に対応し、責任を持って確約するよう求めた。国へ求めた7項目①県民への丁寧な説明の徹底原子力の必要性・安全性について、取り組み内容が県民に十分伝わっていないとの意識調査結果を踏まえ、国と東京電力に対し改めて丁寧な説明を要請。②新たな知見に基づく安全性の再確認最新知見が得られた場合、迅速に安全性を再確認するよう要請。③緊急時対応での国の関与強化避難・屋内退避で民間事業者では対応困難なケースに備え、国の実動組織が確実に行動できるよう、平時から関係機関の連携強化を要請。④避難道路・退避施設、豪雪対応の集中的整備原子力関係閣僚会議が示したインフラ整備を、新潟の豪雪事情も踏まえ早期かつ集中的に実施するよう要請。⑤使用済み燃料処分、武力攻撃対策、損害賠償の確保県民の大きな懸念である課題へ、国が責任を持って対応するよう要請。⑥東京電力の信頼性回復依然として十分に信頼が回復していないと指摘。国が設置する「監視強化チーム」の実効性と、活動成果の確実なフィードバックを要請。⑦UPZ拡大と交付金制度の見直しUPZ(緊急防護措置準備区域)が30km圏に拡大したにもかかわらず、電源立地対策交付金制度が見直されていない点を問題視し、公平な制度運用のため早期の見直しを要請。花角知事は容認判断の理由として、同6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格し安全性が確認されたこと、原子力発電が優れた安定供給力と国産化率を有し、国が原子力の最大限活用を推進する方針を示していること、同発電所の再稼働が東日本の電力供給構造の脆弱性や電気料金の東西格差を是正し、脱炭素電源を活用した経済成長にも寄与するとの見通しを示し、「国民生活と国内産業の競争力を維持・向上させるためには、柏崎刈羽原子力発電所が一定の役割を担う必要があるとの国の判断は、現時点において理解できる」と述べた。このタイミングで容認となった背景について花角知事は、「昨年3月に経済産業省から理解要請を受けて以来、長い時間をかけて関係各所と議論した。リスクを完全にゼロにはできないが、ただ漠然とした不安や合理性のない理由で再稼働を止めることはできないと考えていた」と説明。また、県民意識調査では、安全・防災対策の認知度が高いほど再稼働を肯定する意見が増加する傾向や、20~30代の若年層で賛成する傾向が強いことが示された一方、依然として原子力に不安を抱えている県民が多いことも明らかになった。その上で知事自身が、今月半ばに福島第一原子力発電所を視察し、事故の影響や復旧作業の現状を直接確認した事を踏まえ、「原子力規制委員会が新規制基準を策定し、その知見と教訓が柏崎刈羽原子力発電所にも適用されている」と強調。19日の定例知事会見では発電所内の新しい技術や設備の改善にも触れ、「災害発生時の柔軟な対応を可能にする可搬型(モバイル型)設備の充実は、多重防護の観点からも教訓が反映されている」と評価。また、現場で働く東京電力社員の努力についても言及し、「約5,000人の職員や協力企業の方々がチームで動く意識を持ち、コミュニケーションを重視していた。『ワンチーム』という言葉が繰り返され、意識の高さを感じた」と語っていた。また、花角知事は、自身の判断が県政全体の信頼の上に成り立つべきだとの姿勢を示し、県議会に対し、知事職継続への信任を求める意向を示した。
- 25 Nov 2025
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規制委 住民避難基準の見直しに向け活発な議論
原子力規制委員会は11月19日、第14回「緊急時活動レベル(EAL)の見直し等への対応に係る会合」を開催した。EALは、原子力災害時に、原子力事業者が原子力施設の状況に応じて緊急事態レベルを判断するための基準で、2011年の福島事故を受け、国際基準を踏まえて2013年に導入された。その後、段階的な見直しを経て現在の体系に至っている。具体的には、放射線の線量変化・設備機能の喪失・格納容器の状態に応じて、「警戒事態」、「施設敷地緊急事態」、「全面緊急事態」の3区分に分類される。緊急時にはこのレベルに応じて、周辺住民の被ばく低減のための避難、屋内退避、ヨウ素剤の服用等の防護措置が実施される。今回の会合では、日本と米国およびIAEAにおけるEALの考え方を比較検証した結果が示された。その中で、日本の基準では設備機能が喪失した段階で全面緊急事態へ移行するケースが多く、実際のプラントの状態と緊急事態区分の深刻度が一致しない可能性が指摘された。結果として、避難の早期化や、緊急度の低い避難指示の発出を招くおそれがあると懸念された。いわゆる、日本のEALは設備の機能喪失に起因する発出条件が多く、今後はプラントの状態そのものに応じた実際のリスクの大きさに基づき判断する手法(放射性物質放出のリスク状態に応じる必要性)に切り替えるべきだとの意見が挙がった。EALの見直しの必要性は以前から議論され、必要な知見の蓄積が規制委の重要な研究課題となってきた。次回会合(12月中旬予定)では、屋内退避解除の判断基準を取り上げ、議論を深める予定だ。
- 20 Nov 2025
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