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規制委、女川2号機が新規制基準に「適合」との「審査書案」まとめ
原子力規制委員会は11月27日、東北電力女川原子力発電所2号機(BWR、82.5万kW)について、新規制基準に「適合している」とした「審査書案」を取りまとめた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会、一般からの意見募集を経て正式決定となる運び。同機は2013年12月に審査が申請され、規制委員会では、女川原子力発電所が過去に大地震を経験してきた地理的特性を踏まえ、特に地質・地震動評価や耐震設計について慎重な審査を行ってきた。 同発電所は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震の震源地に最も近い原子力発電所で、発災時には最高水位13mの大津波が押し寄せたが、建設段階から津波対策を重要課題として、敷地高さを海抜14.8mに設計していたことなど、緊急時対策の積み重ねにより、重大事故には至らなかった。 現在東北電力では、さらなる安全性向上を目指し、基準津波評価に対し十分な裕度を持つ海抜29mまでの防潮堤かさ上げ工事を進めている。新規制基準や最新知見を踏まえ実施している女川原子力発電所の安全性向上対策は2020年度に完了予定(特定重大事故等対処施設、常設直流電源設備を除く)。2019年3月の定例社長会見によると、同2号機の安全対策工事費は3,400億円程度となっている。
- 27 Nov 2019
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規制委が福島第一事故の調査・分析再開へ、現場の環境改善踏まえ
原子力規制委員会は9月4日の定例会合で、福島第一原子力発電所事故に関する調査・分析を再開する方向性を示した。2020年内の中間報告書(第2次)取りまとめを目指す。同委では、福島第一原子力発電所事故に関し、東京電力による廃炉に向けた取組を監視・評価する検討会を概ね月1回の頻度で開催しているが、事故の調査・分析を行う検討会は2014年の中間報告書取りまとめ以降開かれていない。中間報告書では、国会事故調報告書で未解明問題とされた7項目の個別課題に関する検討結果を取りまとめているが、高線量などのため現地調査に着手できない事項もあったことから、廃炉作業の進捗や新たに解明された事実も踏まえ、引き続き長期的な検討が必要であるとしている。4日の規制委員会会合では、今後の事故調査・分析に向けて、「現場の環境改善や廃炉作業の進捗により、原子炉建屋内部などへのアクセス性が向上し、必要な試料の採取や施設の状態確認が可能となってきた」などと、事故分析を再開できる段階に至ったとの見方が示された。その上で、事故分析の再開に際し、施設の状態や機器内付着物など、必要な現場状況が廃炉作業の進捗に伴い変貌・喪失する可能性もあることから、資源エネルギー庁や東京電力他、関係機関を交えた公開の連絡調整会議を設け、作業計画に係る情報共有やスケジュール調整を図りながら進めていくとしている。今後の事故分析の対象範囲に関して、8月下旬に原子力規制庁職員が福島第一2号機の原子炉建屋内の現地調査を行っている。会合終了後の記者会見で、更田豊志委員長は、同建屋内の「耐圧強化ベントライン/ラプチャーディスク」と呼ばれる部位の作動状況に関し、1992年の通商産業省(当時)要請「アクシデントマネジメント」を受けた事業者の自主的取組として整備されたことを振り返り、「着実に施工がなされていたのか、きちんと検証したい」と、予断を持たずに調査に臨む考えを強調した。
- 05 Sep 2019
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